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15.あいしているとは、告げられなかった
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しおりを挟む邸に到着すると同時に、紫香楽が車のドアを開け、理央の容態を確認した。「…立てますか、理央様」
「…ああ、」
車を降りようとシートを掴んだ理央の手は震えていた。
「俺が」
細い身体を抱えて車を降り、エントランスを潜る。
「…すまない、」
出迎えたメイドたちが慌てる様子に、騒がぬよう目を配った。
部屋の前につくと、理央が億劫そうに腕を上げ、紫香楽に自室のカードキーを差し出す。
それを受け取った紫香楽がカードを通し、ドアを開けた。
部屋のドアが閉まる瞬間、神木と目が合って頷いて見せる。
神木も頷き、ドアが閉まった。
寝室のベッドにゆっくりと理央をおろす。
「…上着を脱がせて」
「はい」
カラーのフックを外して制服の上着を脱がせ、シャツのボタンをいくつか外した。
「…つるぎ、?」
「ここに」
憔悴しきった声と汗ばむ膚。
白い首筋を覆うチョーカーが酷く目についた。
俺の手に頬を寄せる理央の熱い吐息が手の甲にかかり、息を飲む。
「大和」
紫香楽に呼ばれて我に返り、理央の髪を撫でた。
「…はい」
紫香楽を残して寝室を出る。
自室に戻るか迷った末、リビングのソファに座り、紫香楽が理央の寝室から出てくるのを待った。
二十分の後、その姿を目にすると同時に立ち上がりかけたが、手で座れと促されて素直に腰をおろす。
「…理央様は――」
「大丈夫だ」
「一体、…何が、…」
紫香楽が一つ息を吐き、俺の正面のソファに座った。
「…先に通話で聞いていたので一応思い当たる限りの解毒剤を用意しておいたが、持参したもので間に合って幸いだった」
「…毒?」
「ヒート誘発剤を知っているかね。最近、無味無臭のものが出回り始めたと聞いていたのだが」
「まさかそれが、理央様に使われたと…」
「従来のものは甘い匂いが特徴だったのでね。デザート等に混入されることが多かったが。無味無臭であれば料理にも使いやすい。幸い理央様はほとんど口にされなかったようだ。この程度の症状で済んでよかった。一日あれば回復されるだろう」
理央はもともと少食ではある。
だが今日は不自然なほど、料理を口にしていなかった。
それでこれだけの状態だというのならば。
「逆に…普段通りの量を口にされていたらどうなっていたのです」
「…通常はオメガの拷問に使われるものだ。国外ではオメガは高額で取引されるところもある。反抗的な者を飼い慣らすために強制的にヒート状態を維持させ、痛みと快楽で従順にさせる。今回理央様が口にされたのは純度の高いものだ。数度解毒剤を使用しても二週間はヒート状態が維持されるだろう。廃人になるオメガも多いがそのほうが都合がいいという買い手も多い」
「…伊関の者ですか」
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