虚口の犬。alternative

HACCA

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16.このまま、時間が止まってくれないだろうか

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「…俺で、…よろしいのですか」

(俺のような、…出来損ないの剱など。…もう、理央にとって必要無いというのに)

「お前は剱だ。…側にいてくれるだけでいい」

慈悲深い主人の言葉に奥歯を噛み締めた。

「…はい。理央が俺でかまわないのでしたら」

俺を剱からはずし、吉良を据えることもできるだろうに、理央はまだ俺を剱として側に置いて下さっている。

(…ただの、気紛れかもしれないが)

俺の手を引いて寝室のドアを潜る理央の、華奢な首を覆うチョーカーを見つめた。

ベッドに腰掛け、理央は俺の眼帯を取ってサイドチェストに置く。

遠慮がちに寄り添う理央の細い身体を抱き寄せ、横にした。

今日は事前に遮断剤を服用している。

冷静でいられるはずだ。

そう思いながら美しい黒髪にキスした。

「…大和」 

理央が笑って、俺の髪に指を通す。

「名前で呼んで下さって嬉しいです。…好きです、理央」

その手に頬を押し付け、手のひらに口付けた。

「っ、」

びくりと震えた細い身体に、図々しく触れ過ぎてしまったかと、手を離す。

「…すみません、許可も得ずに触れました。…申し訳ありません、俺のようなアルファが、…」

「いや、…いいんだ、お前がいいなら、…俺は、」

遠慮がちに抱き寄せられて、華奢な肩を手のひらで撫でた。

羽織っていた理央のシャツが肩を滑ってシーツに落ちる。

白い鎖骨にキスして、怯えるような視線で見上げてくる理央の頬にも口付けた。

「そんなに怯えないで下さい。あなたに傷を付けるようなことは絶対にしません」

何か言おうとした薄い唇を見つめたが、言葉はこぼれてこなかった。

(仰って下されば、…)

戦慄く理央の唇を親指の腹で水平に辿る。

(何でもする。『誰かの代わりになれ』でも、『目の前から消えろ』でも何でもいい。あなたが望むなら、喜んでそうする)

「……触…って、…くれ、…」

まるでそれが罪深い言葉であるかのように眉を寄せ、理央は手のひらで自分の口を塞いだ。

「…っ、」

「理央、」

「やまと、」

別の、もっと辛辣な言葉を予想していた俺が安堵したのを、理央は気付いただろうか。

「…っかわいい、どうしてこんなに、」

「っあ、」

細くしなやかな身体を撫で、理央の器官に触れたら、理央は俺の手を掴んだ。

「理央、…?」

「…そこは、…ぃぃ、」 

顔を伏せ、そう呟いた理央の髪に口付ける。

「…でしたら、…」

「ッン、く、」

理央の脚の間に手を触れた。

そっと触れたつもりだったが、理央がびくりと身体を跳ねさせる。

「…こちらに触れてもいいですか」

「…っ、ん、」

今度は驚かせないよう、そっと内腿を吸った。


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