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21.あるいはその全て
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しおりを挟む俺の謹慎が解除されたのは七日の後だった。
※
「ニ条優貴の解除も無事終わり、転校の手続き等もほぼ完了したそうだ」
「…そうですか」
父の静かな声にゆっくりと頷いた。
「もう週末だ。
明日には謹慎も解除されるだろうからそのつもりで」
「はい」
可能な限り感情を排除して答えたつもりだったが、父は僅かに口端を上げた。
「…結局番は作らなかったのか」
「いえ、…自分の望む条件で契約可能なオメガが一人いましたので申請は出しましたが…お返事はいただけませんでした。相手の眼鏡にかなわなかったようです」
「ほう…暁付の剱であるお前がねぇ」
「この目のせいかもしれません。普通は母の様に気味悪がるものなのでしょう」
契約のみの関係だとしても、自らの番は美しいほうがいいに決まっている。
俺の目を美しいと言って下さるのは理央だけだ。
それが仮令、俺が最も身近なアルファであるせいだとしても。
呆れたような笑みを浮かべ、父は一つ息を吐いた。
「本当に番が必要なら、今、身近にオメガが一人居るだろう」
「は、…」
思わず顔を上げ、父を見る。
「瑞穂だ」
「…っ、」
唾液を飲み込んだ。
ごくりと喉が鳴る。
「あれも契約出来るアルファを探しているからねぇ」
「…彼女は、…契約のみでかまわないのでしょうか。自分は現在、結婚するつもりはありません。理央様は他の女性やオメガの匂いを極度に嫌悪されますし、…番うなとも、理央様のお戯れだとは思いますが、申し付けられております。…少なくとも、理央様が正式に番契約されるまでは…自分も正式な番を迎えるつもりはありません」
事実は「番うな」ではなく「番うところなど見たくない」と言われただけだ。
だがそもそも俺は、番等持つつもりは無かった。
一生、理央にお仕えする。
俺の結婚も、その相手も、理央の都合が良いように決めて下さればいい。
そう思っていた。
「理央チャンがねぇ…」
「瑞穂がそれでもかまわないのでしたら、…願ってもないお話ですが」
「願ってもないという貌ではないよ、お前」
『わかっている』というように口端を持ち上げた父の視線から逃れるように、俺は目を伏せるしか無かった。
「…申し訳ありません」
「まぁいい。謹慎が解除されたら何時でも発てるよう、仕度だけは済ませておくように。お前もここにいるよりもそのほうが楽だろう」
「…はい」
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