127柱目の人柱

ど三一

文字の大きさ
138 / 666
学舎編 一

霜座の力

しおりを挟む
挨拶が終わるとそれからは会食の時間となり、師達が和やかに話し始めると神様候補達も気を緩め用意された食事を頂きながら会話を楽しむようになった。何故か神様である雁尾が同席する事となったナジュ達は、一応の敬意を払いつつも文句を訴える。

「ガンビサマの席あっちだろ?師達は皆並んでるぞ」
「僕達のご飯返してよ!神様だからって主様以外にそんな横暴はいけないんだからね!」
「小うるさい手下達だねぇ。ようく考えてみな、あちらの席だと端しか空いてないだろう?そこに座ったとしても隣は君達よりもさらにうるさい麒麟殿。かなり格下しかいないこの席の方がまだ悠々自適に過ごせるってもんだわ。それにここは食事も余っているようだから、他の者より多く美味い食事にありつける。ここのを平らげて後で本来の席に戻れば6人前だ」
「俺達の分を勘定に入れんな!」
「流石にこの人の席から御馳走を運んでくるわけにはいかないし……先にご飯を確保しておこう!ナジュくん!」

桃栗とナジュはまだ手付かずの食事を自分達の方へ移動させようと立ち上がる。他夏の席の食事を平らげようとしていた雁尾は、手下達の浅知恵をのんびりと眺め、「愚かだなあ」と一言つぶやき指先を食事に向けた。

「ほいっ」
「わっ!?何か寒い!」
「!?…見ろ、汁物が!」

桃栗が寒気を感じて己の身体を抱く。ナジュは移動させようと器に触れる所であったが、突然汁の表面が白っぽく変色し始めた事で驚いて手を離した。

「これっご飯が凍りついてるよ!?」
「嘘だろ……つめたっ!」

小さくパキパキと音がしている。移動させようとした器もその上に盛り付けられた料理も、表面に薄く霜が降り、短時間でカチカチに凍ってしまった。ナジュは箸を持って料理を突いてみると、コンコンと鈍い音がした。芯まで凍りつき、器から剥がそうとしても剥がれなかった。桃栗と二人で何故と首を傾げていると、ナジュの料理をつまんでいた雁尾が口を開いた。

「君達つらは良いけれど、あんまり頭がよろしくないねぇ。先程茂籠茶老様の紹介で”霜座”と仰っていたのを聞いていなかったのかな?」
「あっ!!ナジュくん、ご飯食べられなくなっちゃったの、この人の仕業だよ!」
「こいつの?」
「霜座…霜…つまり、この人がご飯を凍らせちゃったんだ!」
「そうそう。もぐ…お腹空いてたから君達に食べられないように凍らせたの」

あっけらかんと白状する雁尾にナジュは苛立ち声を荒げた。

「神様のくせに意地汚いぞ!それに座の力をこんなことに使うなよ!もっと特別な時に使うんじゃないのかよ!?」
「はっはっは、結構気軽に普段使いしているよ。暑い時は涼しくしたり、寒い時は寒気を取ってみたり。まあ座してからは寒く感じた事はないけれどね」
「ちょっと!僕だけずっと寒いんだけど!これ何かしてるよね!?」
「ああ、どっちも寒気を与えているんだけど、君の方は大目に寒くしているよ」
「何で!?」
「そっちの手下はちゃんと雁尾様って呼んでるからね」
「…そういえば俺はひやっとする程度だな」
「ああもう!!雁尾様、寒気を取って下さい!!」
「よろしい、心底頭が悪いわけじゃなくてよかったよ」

雁尾が再び指先を振ると、凍えてしまうような寒気は消え、氷漬けだった料理は箸が通る位に戻った。二人がとぼとぼと席に帰ると、二人の料理の大半が雁尾によって平らげられていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

御月様(旧名 僕君☽☽‪︎)
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL短編まとめ(現) ①

よしゆき
BL
BL短編まとめ。 冒頭にあらすじがあります。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

BL短編まとめ(現) ③

よしゆき
BL
BL小説短編まとめ。 色んな傾向の話がごちゃ混ぜです。 冒頭にあらすじがあります。

身体検査その後

RIKUTO
BL
「身体検査」のその後、結果が公開された。彼はどう感じたのか?

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...