【こんな恋なら男なんて絶滅すればいいのに】

25 あとがき

□□□ 精神鑑定・医師の証言

　宮城好江はサイコパスである。

　その人を愛するのではなくその職業や地位が彼女の恋愛対象となっていた。

　最初の結婚相手の山ノ井氏は大学教授、それも好江が学生時代から付き合っていたのではないだろうか。卒業して程なくしてから結婚、出産。そこで今まで先生として見ていた山ノ井氏が先生でなくなった、実際に職業が変わったわけではなく彼女の主観の中で配偶者や子供の父親に存在が変化したわけです。愛していた教授ではなくなった。情熱が冷めて離婚へと至る。

　彼女の愛は娘さんへと乗り換えた。だが、娘さんが成長するに従って自分の支配下から自立していくと娘(という職業)から興味が失われた。彼女の職業愛は刑事という強烈な不倫相手の城東氏へとシフトする。そこに邪魔なのは不倫相手の妻と子供だった。

　同時期に年下の恋人がそれに取って代わった。やがてその関係も年下の彼が自堕落なヒモになって棄てた。そこで彼女がシフトしたのは誰だったのか？それは佐々木弁護士である。問題をたちどころに解決してくれて、絶対的な自分の味方の佐々木氏が愛しくて堪らなくなった。

　タイミング良くというか悪くというか武井氏が暴漢として現れ刺し殺せばまた守ってもらえると信じた。実際に無罪になってますからね。

　そして今、弁護しきれなくて精神鑑定へと逃げ込んだ佐々木氏を見限ったのではないでしょうか？万が一彼女を無罪にして街へと返せば、佐々木弁護士が復讐の対象として狙われて危ないかもしれない。

　ん？そんなサイコパスな彼女の現在の職業恋愛の対象は誰か？考えたくはないのですが、多分精神鑑定で無罪を証明してくれる精神科医じゃないでしょうかね。

　そして、彼女はこれからも生きていく。

【終わり】