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冒険はお姫様抱っこのままで

回想-冒険者-

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☆☆☆☆
壁達が活動する街から遠くはなれたとある雪山であるカップルが遭難しかけていた。
「スノーがんばれ。この山を越えれば俺たちは自由になれる。」
「クライフ様。私もう走れない」
「弱音を吐くな!頑張れ!」
「だって、足が痛くて歩けないんです」
「しょうがない奴だな」
クライフは、スノーをお姫さま抱っこする。
「きゃあ!」
「しっかりつかまってろ」
「は、はい」
クライフは、スノーを抱きかかえて歩き続ける。
しかし、やがて体力の限界がきてその場に倒れ込む。
「もうダメです」
「諦めるな!必ずこの山をこえられる!」
「はい」
「この山を越えたら俺と結婚してくれ」
「えっ?」
「頼む」
「はい///」
二人は、力を振り絞る。
「あっ!」
「どうした?」
「見て下さい!」
「なんだ?」
二人の目の前には、大きな城があった。
「あそこに逃げ込めばきっと助けてもらえる」
「ク、クライフ様。おかしいです。こんなとこに城なんて」
「だがいまは、すこしでもやすめるなら…」
「クライフ様、この山には、恐ろしい化け物がすんでると言われます。その化け物の棲みかでは?」
「バカな、そんなの根も葉もない噂だ」
二人は、城の門を叩く。
「すいませーん!誰か居ませんかー!」
返事はない。
「いないみたいだな。入ろう」
「はい」
二人は、中に入ろうとする
急に声が聞こえてきた。
「こんな山奥に誰かしら?」
美しい女性が現れた。「あの、私たちは……」
「あら、可愛い子達ね。どうしたの?」
二人は、事情を話す。
「なるほどね。大変だったのね。いいわ。中に入って休んでいきなさい」
「いいのですか?」
「もちろんよ。遠慮しないで」
二人は、城に招き入れられた。
二人は、部屋をあてがわれる。
「お腹が空いてるのではなくて?大したものはありませんが、あたたかいものならありますよ」

「ありがとうございます」
「どうぞ召し上がってください。そういばお名前をうかがつてめせんでしたね。わたくしはユキリともうします」

「俺は、クライフだ。この子はスノー」
「よろしくお願いいたします」
「こちらこそよろしく」
三人は歓談しながら食事をとる。
「あのユキリさんはどうしてこんな山奥にすんでらっしゃるのです?」
「スノー失礼だぞ」
「いえ、構いません…以前、恋人に裏切られて…それ以来、ショックでこの山にこもってしまっていますの」
「それはひどい話だ。かわいそうに」
「ええ、でも今はこうしてあなた達が来てくれたおかげで寂しくなくなりました。ありがとう」
「いや、俺たちは何もしてないよ」
「いいえ、あなた達が来てくれなければ今頃私は孤独に苛まれていた
「そうです。こわくないのですか?なんでもこの山に化け物がでるとききました!」
「まあ、恐ろしい。でも初めて聞きました。どんなばけものなのです?」
「なでも年老いた老婆に化けた鬼とか、背筋が凍りつくような美女とか…」
「スノー!すいません。根も葉もない噂にすぎません。忘れてください」
「いいのよ。気にしないわ。それより、これからどうなさるの?」
「俺達は、この山を越えたいと思います。そして結婚して慎ましやかに暮らしたいと思ってます」
「クライフ様!」
スノーは赤面する。
「そうなの」
「はい」
「でも、あてがないなら、ここで暮らしてみては?使用人としてはたらいてみない?」
「よろしいのですか?」
「ええ、構わないわ」
「では、お言葉に甘えてそうさせていただきます」
「そう、よかったわ。では二人ともゆっくり休んで」
「はい」
「さぁ、行くぞ。スノー」
「はい。クライフ様」
二人は、用意された部屋に向かう。
☆☆☆
「ふぅ、なんとか助かったな」
「ええ、一時はどうなることかと思いましたが」
「そうだな。それにしても、あの人はなぜ俺たちを助けてくれるんだ?」
「優しいかたなのですわ」「だとしたら、ありがたいことだな」
「はい」
☆☆☆
次の日、二人は、ユキリの元に行く。
「おはようございます。クライフ様」
「ああ、スノーか。よく眠れたか?」
「はい。ぐっすりと」
「それは良かった」
「あの、クライフ様」
「どうした?」
「クライフ様には、本当に好きな人はいないのですか?」
「なんだよ突然、それは君のことだよ」
「クライフ様///」
「なあ、スノー。君さえ良ければ俺と結婚してくれないか?」
「えっ?」
「ダメかな?」
「い、いえ!嬉しいです!」
「じゃあ、俺と結婚しよう!」
「はい!」
「あらまあ、仲がよろしいこと」いつの間にユキリが二人の前いた。「うぉっ!」
驚くクライフ。
「お二人に明日から働いてらっていいかしら?」「はい!」
「では、スノーさんには、台所のお仕事をクライフさんは薪割りしていただきたいのです。」
ユキリは説明すると奥の部屋に去っていった。
「な、なんか照れるな」
「そ、そうですね」
二人は顔を赤くしていた。
「ところで、なんでこんな山奥に城があるんだ?」
「私も気になっていました」
「まさか、ユキリさんが建てたのか?」
「それはありえないですよ」
「確かにな」
「きっとどこかの貴族の別荘だったんですよ」
「そうか。それなら納得だな」
二人は、仕事に取りかかる。
「よし!やるぞ!スノー」
「はい!頑張りましょう!クライフ様」
二人は、懸命に働いた。
☆☆☆
突然、ドアを叩く音がひびく。

「誰だろう?」」
二人は、玄関に向かった。
「私が対応します。お二人は、お仕事をお願いします」
ユキリが玄関に向かう。するとそこには、仮面をつけた怪しい人物が立っていた。
「お婆ささん、ここに女連れのクライフという男とがこなかったかしら?」
「あんた達は誰じゃ?」
「私は冒険者のレイカ」
「冒険者?ああ、貴族の坊っちゃんが村娘と駆け落ちしたってんで連れ戻すよう依頼を受けたのよ。知らないか?」
「そいつらか、どうか知らんが、3日前に二人連れが山を越えていったよ」


「そうかい。ありがとうよ。まったく手間かけさせやがる。おい、いくぞ」
「はい」

冒険者達が立ち去ると老婆は美しい女ユキリに姿を変えていた。

ユキリは、邪悪な笑みを浮かべる。
その頃、クライフとスノーは、順調に仕事をこなせていた。
「ふう、終わったぞ。スノー」
「こちらも終わりました」
「お疲れ様お茶を入れましようね」ユキリが現れる。
「ありがとうございます」
「いやー、助かるよ」
「いえいえ、いいのよ。それより、もうすぐご飯よ。お風呂も沸いているから、いつでも入って大丈夫よ」
「ところでさっきの客人はなんでした?」
「あなた達を連れ戻しにきた冒険者でした」
「やっぱりそうか」
「あなた達は、とうに山を越えたと伝えました。しばらく、外にでない方がいいですよ。まだ近くにいるかもしれませんから」
「わかりました」
「ごめんなさい。余計なこと言ってしまって」
「いいえ。親切にしてくれて感謝しています」
「ありがとう」
「いいのよ。それより、早く食べてしまいましょう。冷めてしまうわ」
「そうですね」
三人は、食事をとる。
「美味
しいです」スノーが言う。
「うん。おいしいな」クライフが同意する。
「それはよかったわ。お代わりもあるわよ」
「いただきます」
「はい。どうぞ」

「あなた方、駆け落ちをなさったそうですね」夕食後、ユキリが語り始めた。「ええ、まぁ」
「少し昔話をしましょう。私には恋人がいました。結婚したいと思ってました、でも、裏切られてしまったの。裏切った、彼が許せなくて、私は、彼を殺して食べてしまったのです」
「えっ?」二人は驚きの声をあげる。
「それ以来、人間の味が忘れられ仲なったのだ」
美しいユキリの顔が恐ろしい老婆の顔に変わり頭に角が生えている。
「お前達を食ってやる、お、えらは、駆け落ちして山を越えた、誰も食われなんて思わないだろうよ」
「なんだと!」
老婆剣とかわらないデカイ包丁を振りかざす。
クライフは剣を抜いて構える。
「馬鹿め、人間風情が鬼に勝てるわけないだろう」
「やってみなければわからない!」
クライフは斬りかかる。
「甘い!」
ユキリは、クライフの腹を蹴り上げる。
「逃げろスノー」
「はい!」
スノーは走り出す。
「逃がすか!」
ユキリは、スノーを追い掛ける。
「行かせるか!」
クライフは、ユキリの前に立ちふさがり斬ろうとする。
「邪魔をするな!」
ユキリは、クライフの頭をつかむと壁に叩きつける。
「ぐはっ!」血が吹き出る。
「クライフ様!」スノーが叫ぶ。
「ぐふっ!」クライフは口から吐しゃ物を吐きながら倒れる。しかし立ち上がるとスノー手を取って走る
「クライフ様!」スノーはクライフを支える
「その男を捨てて逃げれば逃げ切れるかもな」
ユキリは嘲笑う。
「そんなことできるはずないでしょう!私にとってこの人は全てなんです!だから見捨てることなどできません!たとえ命に代えても守って見せます!」
「クライフ!その女をさしだせばおまえをみのがしてもよいぞ」
「ふざけるな!誰が渡すか!」
「ふん、なら死ね」
ユキリは、巨大な包丁で襲いかかる。
「クライフ様!私が時間稼ぎをします。その間に逃げてください」
「何を言う!君を置いて逃げることなんてできない!それに俺はまだ戦える!一緒に戦うぞ!」
「クライフ様///」
二人は、ユキリに立ち向かう。

突然、城のドアが空いて冒険者が躍り込んできた!
「なんじゃ貴様ら!山を越えて探しに行ったのではないのか!」
「残念!私らは、駆け落ちした坊っちゃんを探してたんではない。それは、お前を油断させる嘘だ。私達は、お前を討伐しにきたのだ!」凛とした声が響く。
「ライト、貴族のぼんぼんにボーションを!

「了解でさ!姉御!」
「姉御言うな!」
レイカは、剣を構え対峙する。「ちぃ、また冒険者か、しかも今度は女かよ」
「さあ、覚悟しろよ鬼婆!」
「くそぉ!」
ユキリは、レイカに襲いかかる。
「クライフさん、今のうちに」
「わかった」
クライフとスノーは、その場から離れる。
「あんた、大丈夫かい?」レイカはクライフに声をかける。
「ああ、なんとかな、俺も戦う。」
「怪我人は引っ込んだでな!」
「いや、ここで逃げたら男が廃る。やらせてくれ」
「よし、じゃあいくぞ!」
「おう!」
☆☆☆
「馬鹿ものめ!人間が何人こようと同じこと
鬼婆が包丁を降るとレイカの仲間の二人の冒険者のくびがごろりと落ちて雪が鮮血にそまる」
「ライト!セイバー!」「ぎゃぁぁぁぁ!」
「ほれ、もう一人も」
「ひぃぃぃ!」
「次はお前だ!」
「させねぇよ!」
クライフは、鬼婆に剣を突き刺そうとするが剣は簡単に弾かれる。
「そんなもんかよ?貴族のお坊ちゃんよ」
「まだまだだ!」
クライフは、剣を振る。
「遅いんだよ!」
鬼婆は、クライフの腹を蹴飛ばす。
「ぐっ!」クライフは倒れこむ。
「クライフ様!」
さらにレイカに切りかかる。
レイカの肩から血がほとばしる。
「くっそ!

「今日は、人間が五人も食える」
ユキリは邪悪な笑みを浮かべる。
「まだ、終わっちゃいないぜ!」
「しぶとい奴等だ。だがもういい、お前達を食ったあと、あの二人を追いかけるとしよう」
ユキリの口が大きく裂けて牙が伸びる。
「まずい、一旦引くぞ!」
「逃がすかぁ!」
「お前達の相手は、私だよ!」
ユキリが振り返ると、そこにはレイカがいた。
「なんだと!」
「隙あり!」
ユキリは、レイカの振る剣を指先で止めていた。
「やった」と喜ぶレイカ。
「馬鹿め、こんなものが鬼に通用すると思うたか」
「なに!?」
「ふん!」
ユキリは、レイカの腕を掴むと壁に叩きつけた。「がはっ!」

「レイカ!」

「さぁ、とどめをさしてやる」
ユキリは、包丁を振りかざす。
「クライフ様!」
「スノー!危ない!」
クライフはスノーを庇うように抱きしめる。
「終わりだ」
と突然、さっきまで舞う程度だった雪がボサボサ振り出し風も強くなり目の前の相手
すら見えない吹雪となった。「ぐっ!これは、まさか!」
「なにも見えない!スノーどこだ!」
クライフ、スノー、レイカ三人ともお互い冴え見えないというの一人だけはっきり見える女がいる。真っ白な服をきた背筋が凍るような美女が悲しげな表情で立ってる。
「老婆のような化け物、背筋が凍るような美女は、別なのばけものだったのか!」
レイカは絶望した。
ああ、死んだ。
クライフもまた死を予感せざる終えなかった。スノーだけでも助かってくれと神に祈る。
雪がやむと三人は再びお互いの姿を確認できた。
あの女はいない、鬼婆は、凍死していた。「なんでだ?」
「わかりません」
「まあ、いいか」
「はい」
二人は、抱き合って喜んだ。
「よかった」
「はい」
「本当に無事で良かった」
「クライフ様こそ」
二人は見つめ合う。「さあ、帰ろう」
「はい」
二人は手を繋いで歩き出す。
「ところで、君の名前は?」
レイカは、迷った。あの女の怪物を報告しなくては、でも信じてもらえるかわからない。
いや、たすけてくれたのか?だとしたら、報告しない方がそれにあの恐ろしい怪物をどう説明すればいいのか。
「おい、貴族の坊や!」「ん?誰だ」
「私街にかえるといい。あんたの親父さんは、二人の結婚を認めるそうだ。ただし、家はは弟につがせるそうだ」
レイカが、クライフに伝える。
「そうか、ありがとう」
「なに、私はただ頼まれたことをしただけだ」
「君に会えて嬉しかったよ」
「私もさ」
クライフはとスノーは手をつないで街へ帰る
☆☆☆
レイカとクライフ、スノーは、街の入口に着くと別れた。
クライフは、スノーの手を握る。
スノーも握り返す。
クライフとスノーは、寄り添って歩く。
すると、前から男が歩いてくる。
クライフの父である。
クライフは、父の前に立ち頭を下げる。
そして、手を差し出して言う。「俺と結婚してください」
「わかった。幸せになれよ」
こうして、スノーとクライフは結婚した。
☆☆☆
結婚式が終わりスノーとクライフは新居に向かう。
これから、二人で住む家だ。

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