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漆黒の魔女

森のゴーレムスリー

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「エリーゼ、落ち着いた?」
「ごめんなさい。お雪さん」
「いいのよ。私だってシレーヌには許せない恨みがあるもの。でも、今は抑えてね。冷静になってね」
「そうね。ありがとう。」
「シレーヌは、本当に恐ろしい人。私も昔は憧れていたけど、今では恐怖の対象だわ」
「そうなの?」
「そうよ。あの人は、人の仮面を被った悪魔だったわ」「そうかぁ。」
「エリーゼは、シレーヌに会ったことあるの?」
「うん。」
「どう思った?」
「恐かったよ。強くはないけど、人間の醜い欲望のかたまりのようだった。」
「それだけ?」
「うーん。分からない。あの時は、大切なものを奪われあの女を殺してやりたいと思った」
「そうね。分かるわ。あの女は、憎むべき存在よ」
「そうね。殺してやりたかった」
「エリーゼは、優しいのね」
「どうして?」
「普通なら殺したくなるわ。」
「そっかぁ。」
「エリーゼは、シレーヌに復讐したいの?」
「もちろん、だけど、いまは、生かしておいたら、更なる犠牲者がでる。だから行かしておけないと思う」
「そうね。エリーゼの気持ち次第よね。私は、シレーヌを殺すつもりだけど、エリーゼは、どう?」
「殺す、より止めたい。かな?結果的には殺すと同じだけどね」「そっか。やっぱりエリーゼは優しいね」
「優しくないよ。ただの自己満足だよ。自分の心が安らぐから、殺さないだけ。」
「それでも、エリーゼの心が救われればそれでいいじゃない。」
「そうだね。」
「明日に備えて寝ましょう。」
「うん。」
☆☆☆
翌朝
「おはようございます。」
「よく眠れた?」
「うん。」
「では、出発します。」
「気をつけてね。」
馬車を走らせる。
しばらくすると、
「エリーゼ、止まって!」
「どうしたの?」
「前方に人が倒れてる!」
「えっ?」
「助けないと!」
「ちょっとまって!」
「どうしたの?」
「様子がおかしい。まずは、様子を見てみましょう。」
エリーゼ達は、馬を降りると慎重に近づく。
「これは?」
「酷いな」
そこには、女性が一人いた。しかし、全身傷だらけで、血まみれで息をしているのがやっとという状態だった。
「エリーゼ!回復魔法を!」
エリーゼは、治癒スキルを使う。「ヒール」
エリーゼの魔力が女性に流れ込んでいく。
「これで、大丈夫だと思う」
女性は、意識を取り戻すと、
「たすけてくれてありがとう」
「大丈夫ですか?」
「えぇ、なんとか」
「良かったわ」
「あなたたちは誰?」「私たちは、冒険者です。偶然通りかかって、あなたを見つけました。」
「そうなんですか。」
「ところで、あなたの名前は?」
「私は、アシュリーといいます。」
「こんな所で何があったのですか?」
「実は、魔物に襲われて逃げてきたのです。」
「どんな魔物ですか?」
「オーガです。」
「なに?それは本当か?」
「はい、私の知るオーがとは少しちがうようでしたが個体差でしょう」
「なぜここに来たのだ?」
「この近くに村がありましてそこで休ませてもらっていたので、食料を調達しようと出掛けました。」
「なるほど。」
「その村はどこにあるのですか?」
「ここからだと、3時間程の距離にあります。」
「どの辺で襲われたの?」
「もう少し先です。」
「分かりました。とりあえず、一緒に来てください。」
「はい。よろしくお願いします。」
☆☆☆
「ここは?」
「私の家です。」
「失礼ですが、お1人で住んでるのですか?」
「はい。」
「そうですか。」
「では、事情をお話しください。」
「わかりました。」
アシュリーは、話し始めた。
「私が、ここに来たのは2週間前になります。」
「そうですか。」
「はい。ここに来るまでは、小さな農村に住んでいました。両親と妹がいます。」
「そうですか。」
「ある日、近くの森で狩りをしていました。すると、オークが現れて、私の妹を攫っていきました。私も必死に抵抗しましたが、力及ばず、殺されてしまいました。」
「殺された?」
「はい。」
「では、今話してるあなたは誰?」
「私は、生き返るために美しい女の魂を求めてさ迷ってるのです。
美しい女の顔、恐ろしい鬼のようなぎょうそにかわる。鋭い爪を持つてを降り回し、遅ってきた。エリーゼは、剣を抜き放つと、攻撃をしかける。
エリーゼの攻撃をかわしながら、アシュリーは攻撃を仕掛けてくる。
エリーゼは、攻撃を避け、反撃する。
エリーゼの攻撃を受け流すと、今度は、エリーゼが反撃してくる。
激しい攻防が続く。「任せろ」
壁はアシュリ~の振り下ろす腕をがっちり受け止める。エリーゼは、すかさず、後ろに回り込み背中から心臓めがけて剣を突き刺す
「ギャっ~!卑怯者めーっ!」
絶叫して絶命した。
「騙しまし討ちしょうとしたやつがいうか?」
「これって日本の鬼だよね?」
「鬼女ってやつだな!」
「うん。多分そうだと思う」
「そういえば、昔読んだ小説に書いてあったわね。確か、鬼になった女性の話だったと思うわ!」
「そういえば、以前にも鬼と遭遇したわね」
「そうだな。あの時は、お雪が倒したけどな!」
「今回は、私じゃないわよ!」
「まあね。でも、この鬼女は、相当強かったわよ。」
「そうね。」
「それにしても、なぜこんなところに?」
「やはり誰かが召喚したんだろうな」
「先を急ぎましょう」
☆☆☆
「ここが、アシュリーの住んでいた村か?」
「はい。」
「誰もいないみたいね」
「とりあえず、中を調べよう」
村長の家らしき建物から調べることにした。
「エリーゼ、何か感じるか?」
「特に何も感じないわ」
「分かった。」
☆☆☆
「どうやらここには、何もないようだね。」
エリーゼ達は何も発見できなかった。
「これってずっと以前に廃村なったみたい」
朽ち果てかたがひどい。
アシュリーだった鬼女は嘘をついてたのだろう。
「そもそもあの鬼は、この世界の存在ではない、召喚されたのだし」
「そうなの?」
「うん。恐らく、召喚魔法陣を使ってこの世界に呼び出したんだと思う」
「道を急ぎましょう。」
☆☆☆
エリーゼ達は森の中の道を進んでいく。すると、前方に馬車が見えてきた。
馬車には、何人か乗っているようだ。
「こんにちは。」
「あなた達は、どちら様でしょうか?」
「私たちは、旅のもので、この先の村に行こうとしてるところです。」
「あんたら、道を間違えてる。引き返したほうがいい。この先に村なんかない。この先は樹海だぞ」
「そうですか。ありがとうございます。」
「いや、気をつけなよ」
「ありがとうございました。」
☆☆☆
「やっぱり、ここの森は深いわね」
「そうだな。かなり歩いたがまだつかないのか?」
「まだ、半分くらいかな?」
「そうかぁ。」
しばらく進むと、前方から人の声が聞こえてきた。
「助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」
「なんだ?人の声か?」
「行ってみましょう。」
「おう。」
そこには、10人程の人が魔物に襲われていた。
魔物はオーガで5体いる。
「大丈夫ですか?」
「はい。なんとか逃げれます。」
「早く逃げてください。」
「ありがとう。」
「エリーゼ!俺がオーガを引き付ける。その間に、アシュリーと村人を頼む」
「わかったわ」
壁は素手で殴り倒してる。オーガたちは、壁に攻撃している隙にエリーゼはお雪と他の人たちを連れて離れる。
オーガは、壁に攻撃を続けている。
エリーゼは、剣を構えて斬りつける。しかし、傷は浅い。
「剣はダメね。これだから人間の武器は!」
エリーゼは、ウォーターカッターオーガーを切り裂いていく。
オーガーは、血飛沫を上げて倒れていく。お雪は、アイススピアでオーガーを貫く。オーガーを殲滅するのには、さほど時間はかからなかった。
「お怪我はありませんか?」
「はい。助かりました。本当に感謝します。」
「いえ。ところで、何があったのですか?」
「実は、この先で野営していたのですが、突然、オーガが現れたんです。」
「そうですか。」「それで、護衛の冒険者が応戦したのですが、数が多くて、どんどん仲間が減っていきました。」
「それは大変でしたね。」
「はい。」
「皆さんは、これからどこに行くつもりですか?」
「私どもは、この先にあるアシュリンという町に向かうつもりです。」
「そうですか。では、お気をつけて。私達は森の奥へ向かいますので」「えっ?」
エリーゼ達は、奥へ進んでいった。
☆☆☆
エリーゼ達が去った後、残された人々は、エリーゼ達の後ろ姿を呆然と見送っていた。
「行ってしまいましたね。」
「あぁ、不思議な人達だったな。」
「はい。」
「こうして、エリーゼ達は再び森の中を進み始めた。☆☆☆

「はぁ、はぁ、はぁ・・」
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・」
二人は、肩を上下させて呼吸を整えている。
「ふぅ~疲れた~」
「そうか?」
「タフというか、鈍感」
「水がほしい…ふぅ」
エリーゼ、ため息をつく
「仕方ないわね~」
そう言うと、水魔法を使い水をだしてあげた。
「ありがとう。でも、飲みたいのじゃなくて水にはいりたい…」
「近くに泉でもないかしら?」「探してみるか」
☆☆☆
「あったわよ」
「ほんとか!?」
「うん」
「そうか。よかった。これで生き返れる」
「そんな簡単に死なないわよ」
「干からびて死ぬ~」
「は?」「そうか。」
「そうよ」
「でも、冷たいし、気持ちいいぞ」
「そうね。」
「エリーゼも入るか?」
エリーゼは、ドボンと音をたてすでに飛び込んでいた。
足元にはエリーゼの服が脱ぎ捨ててあった。
「ぷはぁー!冷たくて最高」
「だろ」
「お雪さんもはいりませんか?」
無具から飛び上がって手を振ってるので胸が見えそうになってる。
「私、泳げないから遠慮するわ」
「あれ?泳げたのでは…。そうか!壁さんにみられると恥ずかしいものね!」
「そ、そういうことじゃないから!(照)」
「まあまあ、足だけでも」
「そうだぞ」
「私は、いいわ」
「ひとしきり泳いで満足したエリーゼがじゃばじゃばと浅瀬まで戻って来た。
しかし、胸を腕でかくしてるが、下半身は、丸出しだ。
「エリーゼ、下、見えてる!」
「はい?それが?なんです?」
「隠せ!」
「何をですか?」
「お前!人魚の体じゃないんだぞ!」
「ああ!そうか?人間は下半身見られると恥ずかしいのか?」

☆☆☆
「まったく。人間ってめんどくさい生き物ですね」
「人間の体なのよ!少しは、考えなさい」「はい。」
「もともとは、真魚体なのよ!真魚に恥をかかせるつもり!」
「まあまあ、ここに俺達しかいないし…」
「だから、あんたがいるから問題って言ってるの!」
「俺は、なんとも思わないが?」

☆☆☆
「どうでもいいけど、早く服を着て来なさいよ」
「うん。分かった。」
「全く、あの子は…改めて思うわ。真魚とは違うのね。」
エリーゼは、慌ててパンツをはこうとしてバランスを崩してひっくり返ってる。
「なにをしてるやら…」
「はぁ。服を着るだけでこんなに手間取るなんて…」
「脱ぐのは早かったがな!」
「見たの?!」
お雪が壁をにらむ。
「早かったから見えてない」
「見たんでしょ?」
「見えてない」
「嘘つきは嫌いです!」
「見えてない。」
「本当ですか?」
「うん。」
「壁さんは、正直者なのでしょうね。」
「はい。」
「それなら、信じましょう」
「ありがとうございます。」
☆☆☆
「やっと着替え終わった。」
「遅いわね」
「ごめんなさい。」
「ほれ、タオルだ」
「ありがと。」
「さあ、行きますか?」
「そうね」
エリーゼ達は、歩き出した。
「西魔女マルガリッタさんが嘘をついてるようには見えなかったけどノワールさんも嘘をついてるようにも見えなかった。どっちが嘘をついてるのかしら?」
「西の魔女のことは、知らないけど少なくともノワールからシレーヌの魔力を感じなかった。私には、シレーヌの魔力を感じることができます。その西の魔女にあえばシレーヌかどうかわかります。」
「そうなんだ」
「でも、私の勘違いかもしれません。」
「それは、大丈夫よ。きっと会えるわ」
「そうですね。」
「エリーゼ、この森は魔物が多いようだ。気をつけよう。」
「そうね。注意しましょう。」
「それにしても、この森は、広すぎるな」
「そうね。」
☆☆☆
「お腹すいたなぁ」
「そうだな」
「もう、日が落ちてきたな」
「そうね。今日はここで野営にしましょう」
エリーゼ達は、焚火をたき食事の準備を始めた。
「ん~お肉焼いて食べましょうか?」
「そうするか」
「お野菜もあるからサラダにして」
「そうしよう」
「お鍋もあるからスープもつくるわね」
「そうだな」
「お米とお味噌汁があれば完璧なんだけどねぇ」
「あるわけないだろ」
「わかってるわよ」
「そうだ。エリーゼ、魔法で水を出してくれないか?」
「えっ?」
「水がないんだよ」
「わかったわ」
エリーゼは、水魔法を使って水をだす。
「ありがとう」
エリーゼ達は、食事を済ませ寝ることにした。
☆☆☆
エリーゼ達なは早朝から森の奥へと更に進むことにした。
「昨日より静かね」
「そうだな」
「でも油断は禁物よ」
「そうね」
エリーゼ達が森の中を歩いていると前方から何かが近づいてきた。
「あれは…濡れ女?」エリーゼが呟くと、エリーゼ達の前に立ち塞がった。
「海もないのに現れるなんて、召喚されたいがいに考えられないわね」「エリーゼ、どうする?」
「もちろん倒すのよ」
「そうか」
濡れ女は、海の妖怪で首から下が蛇の姿をしている。「エリーゼ、ここは、俺に任せてくれないか」
「いいわよ」
「ありがとう」
壁は、剣を構えて走り出す。
「ふん!」壁は、剣を振り下ろす。しかし、壁の攻撃は避けられてしまった。
「なかなかやるわね」
「くそ!なぜ当たらない」
壁は、何度も切りつけるが、すべて避けてしまう。
「ふぅ、はぁ・・・はぁはぁ、ダメだ。動きが早すぎて当てられない」
壁は、肩で息をしている。
「壁さん、下がってください。私がやります」
「動きが速いのか、なら」
ウォーターショット
高圧の水流を弾丸のように打ち出す。
塗れ女にヒットした。
「よし!当たった」
しかし、ダメージは与えていないようだ。
「ちぃ!これではだめか!」
壁は、悔しそうにしている。
「なら、これでどうかしら?」
ライトニングボルト!電撃の槍を放つ。
「グギャー」
効いている。
「二人とも下がって」
お雪が叫ぶと同時にブリザードを発動させる。視界阻害と体力消費、意識混濁、体温低下に見舞われる。

「エリーゼ、今よ!」
「わかった」
エリーゼは、ウォーターショットを放ち続け、壁は、ストーンバレットを放っている。
エリーゼ達は、攻撃を続けながら後退していく。
☆☆☆
しばらくして、エリーゼ達の猛攻に耐えられなくなったのか倒れた。
「やったわね」
「ああ」
「それじゃあ、とどめを刺しましょう」
「待て!」壁が止めた。
「どうして?」
「こいつをこのままにしておくとまた被害が出るぞ」
「そうかもしれないけど……」
「それに、こいつは、俺が倒したい」
「分かったわ。壁さんの好きにしたら」
「そうさせて貰う」
壁は、剣を構えた。
「行くぜ!」壁は、突っ込んでいく。
「はぁはぁ、やっと倒せた。」
「お疲れ様」
「おつかれさまです」
壁は、満身創痍だった。
「壁さん、怪我してますね」
「大したことないさ」
「見せてください」
「本当に大丈夫だから」
「ダメです」
エリーゼは、壁に回復魔法をかける。
「はい。終わりました」
「ありがとう。助かった」
「いえ、お役にたてて嬉しいわ」
「そういえば、この魔物はなんなんだ?」
「それはね、濡れ女よ」
「濡れ女?聞いたことがないな」
「私も詳しくは知らないけど、海に住む妖怪で一説によると牛鬼の変化した姿とも言われる事もあるらしいです」
と濡れ女の遺体からメキメキと音がしてきて蜘蛛のような足が生えてきた。牛のような体に8本の足が生えてきた。
鬼のような頭をもたげる。
かなり巨大だ。
「あっ。牛鬼になった…」
「エリーゼが変なこと言うからだ」
「知らないよ~」「エリーゼ、どうする?」
「討伐依頼が出てるわけじゃないし放置しましょう」「そうだな」
しやかしやかと真っ直ぐこちらにむかってくる。
「そういうわけにもいかないみたいね」
「そうだな」
エリーゼ達は、構えるが……。
「やっぱり逃げるぞ」
「えっ?」
「逃げよう」
「仕方ありませんね」
エリーゼ達は、全速力で逃げた。
しやかしやかと高速で追ってくる。
「エリーゼ、あいつは、何者だ?」
「牛鬼だよ。やっぱり海の妖怪。人を食べたり、毒をはいったり…」シャーっと音をたて毒をはいてきた。
「危ない!」壁がエリーゼを突き飛ばす。
「ぐっ」
壁は、毒を浴びてしまった。「壁さん!」「壁!しっかりしろ!」エリーゼとお雪が駆け寄る。
「俺は、大丈夫だ。毒耐性がある。それより、早く逃げろ!
「壁を置いていけないわ」
「いいから行け!」壁が怒鳴った。
「逃げないわ!」
エリーゼが叫んだ。
「エリーゼ、壁のいう通りだ。ここは、壁に任せて行こう」
「絶対いや!」
「今は、壁を信じて先に進みましょう」
「お雪さん。一人で逃げてください」
「逃げないもん!」「エリーゼ、わがままを
「いや!」
ハリケーン ブースト
牛鬼上空に巻き上げられ大地に叩きつけられて動かなくなった。
エリーゼは肩で息をしている。
「はぁはぁ、どう?」
「エリーゼ、すごいな」
「ありがとうございます」
「でも、まだ終わっていないわ」
「そうですね」
「そうね」
牛鬼は、立ち上がると、口から液体を吹き出した。
エリーゼ達は、避ける。避けきれずに、お雪が被弾してしまった。
「きゃあ」お雪は、倒れてしまった。
「お雪さん!」
「私は、だいじょうぶです。それよりも壁を」
「わかりました」
「壁は、私が助けるわ」
「任せます」
☆☆☆
牛鬼は、壁に向かって猛突進してきた。
「くそ!これでは避けられない」
壁は、回避を諦め迎え撃つことにした。
「はぁー」壁は、渾身の一撃を放った。
ドカン! 壁の拳が牛鬼の顔面にめり込んだ。
「やったか?」
しかし、牛鬼は、平然としている。
壁の胸ぐらを掴むと地面に投げつけた。
「がはっ」
壁は、苦しそうにしている。
「くそ!」壁は、起き上がると再び攻撃を仕掛ける。
しかし、全て避けられてしまう。
壁の体は、傷だらけになり血を流している。それでも壁は、諦めずに攻撃をしていく。
壁の体力は、限界を迎えていた。
「もう一発」
ハリケーン ブースト エリーゼはスキルを発動する。
再び、牛鬼上空に巻き上げられ大地に叩きつられて動かなくなる。
「やったわね」「はい」
エリーゼは、壁に駆け寄って回復魔法をかけた。
「壁、大丈夫?」
「ああ、助かった」
「よかった」
「壁、少し休んでいて」
「わかった」
お雪が壁の隣に座ると壁の手を握った。
「壁さん、がんばりすぎです」
「そうね。もう少し私達を頼ってもいいと思うんだけど」
「そうだな」
ドサッとエリーゼが倒れる。「エリーゼ!」「エリーゼ!」
二人が慌てて抱き起こす。
「ごめんなさい。もう無理」
「無理もないわね」
「そうだな」
「壁さん、お願いがあるのですが」「なんだ?」
「私を運んでください」「お安い御用だ」
壁は、エリーゼをお姫様抱っこすると歩き始めた。
エリーゼは、壁の腕の中で眠ってしまった。
1時間は眠ってしまったろうか?
「壁さん。ありがとう。もうおろしてください」
「ああ、分かった」
エリーゼは、壁から降りると自分の足で立った。
「さて、これからどうします?」
「そうだな。とりあえず奥へ進もう」
3人は、移動を開始した。
しばらく進むと、洞窟を見つけた。「ここに入るのか?」
「そうね」
「行くしかないか」
中に入ると、かなり広い空間が広がっていた。
「これは・・・?」
「ここで夜営するか?」「ええ、それがいいかも」
「それじゃあ、準備しよう」
エリーゼが食事の準備を始めた。
「はい。できたよ」「ありがとう」
食事を済ませると、3人で見張りを立てることにした。
「俺が先に見張る」
「壁、大丈夫?疲れてるでしょ?」
「大丈夫さ」
「何かあったら起こしてね」
「わかっているよ」
☆☆☆
朝になった。
「おはよう」
「おはよう」
「おはようございます」
さらに奥へ進む。「この辺りだと思うんだが」
「ええ」
「そうですね」
エリーゼ達は、魔物と戦っていた。
「ウォーターカッター!」
「ストーンバレット!」
「ブリザード!」
雑魚はすぐに片付いた。
しかし、ボスが見つからない。
「どこにいるのかしら」
「わからないわ」
「気配は感じるんですけどね」
「とにかく探すぞ」
エリーゼ達は、探索を続けた。
☆☆☆
さらに2日後……。
「ようやく、ここまできたな」
「意外に時間がかかったわね」
「鬼女や濡れ女、牛鬼ま出たからな」

「ここってなんです」
「以前魔女教会がゴーレムを配置してた…」
「ゴーレムってこれですか?」
「馬鹿な!全部壊したはずなのに!」
「また魔女教会が設置したのかな?」
街路樹のように一定間隔で通路の左右に以前のように配置されてる。
「前のはあの背信者が設置したらしいが…」
「これは?魔女教会が?」
「わからん。あの背信者が捕まる前に設置したのかもしれん」
「もし魔女教会が設置したなら、ノワールが嘘をついてるということね」
「西の魔女にあえばわかるよ」
エリーゼは、まっすぐゴーレムの間の通路を歩き出す。
「エリーゼ、そこは、トラップ…」
ゴゴゴ…ゴーレムが動き出す。
「ん?何?どうせぶっ壊すんだし…」
エリーゼが攻撃しようとすると、壁が制止する。
「待て!エリーゼ!」
「なんで止めるの?」
三体のゴーレムが、大空をとぶ。
「えっ?」
三体が合体して一体になる。
「ゴーレムスリー」

どこから声がして三人の前に立ちふさがる。
どこか、未来的なデザインのゴーレムだ。
「なにこれ?」
「合体するいみはなにかしら?」
エリーゼとお雪はくびをかしげる。
「なんか、人間の子供向けテレビ番組でこんなのみたぞ!」
壁は、ツッコミを入れる。
「壁、そんなこと言ってる場合じゃないわ」
「そうですよ。早く倒さないと!」
「よし!いくぜ!」
壁は、走り出した。
「お雪さん!援護お願い!」
「わかりました!」
お雪は、水の弾丸を撃ちだす。
壁は、それを盾ではじきながら接近していく。
壁は、ジャンプすると剣を振り下ろす。
ゴーレムは、腕でガードすると蹴りを放つ。
壁は、後ろに飛んで避ける。
「くそ、なんてパワーだ」
「ゴーレムロケットパンチ」
ゴーレムの手のパーツがとんでくる。「ぐはぁ」壁は吹っ飛ばされてしまう。
壁は、立ち上がると再び突撃する。
「壁さん!」エリーゼは、叫ぶことしかできない。
壁は、何度も攻撃するがダメージを与えられない。
「壁さん!下がってください」
お雪が魔法を発動する。
「アイスニードル」
ゴーレムの動きが止まる。
「今です!」
「おう!」
壁は、渾身の一撃を放った。
ドカンと音がしてゴーレムは倒れた。
「やったか?」
「壁さん、油断しないで」
ゴーレムの巨体に無数のヒビがはいってる。
アシッド ハリケーン
エリーゼは、酸性の渦を発生させる。
ゴーレムのからだから煙が上がり、融けていく。ズシンと音を立て倒れる。
「倒したみたいだな」
壁は、お雪をみる。
お雪は、うなずき返す。
「ええ、なんとかなりましたね」
と、ゴーレムの頭部にランプのような光が点灯して光る。
後方にあったまだ動かない2体のゴーレムが空を飛ぶ
倒れていたゴーレムも飛び合体する。
「ゴーレムファイブ!」
またしてもなぞの声。
「えっと?なに?」
「合体する意味は?」
「確かパワーアップメカ?」
「エリーゼ、あんまり知らないでしょ」
「なんだかわかりません!」
「エリーゼ、ゴーレムには気をつけろ」
「ゴーレムビーム」
ゴーレムがなぞの光を発生する。「きゃあああ!」
エリーゼ達は吹き飛ぶ。
「みんな大丈夫?」
「大丈夫よ」「ええ」「問題ありません」
壁には傷ひとつついていない。
☆☆☆
「みんな無事でよかった」
「ええ」
「次は私がやります。冷凍光線!」
お雪はゴーレムを凍らせる、
「はい?光線?」
「ごめん。ついノリで!」
もちろんスキルで光線ではない。
ゴーレムは、氷漬けになっている。
「今のうちに倒しましょう」
「そうだな」
壁が走り出す。飛びげりだ。
「壁キーック!!」
「え?」
「すまん!ノリで」 
ゴーレムは砕け散った。
「二人とも遊びすぎなのでは?」

「そうね。反省するわ」
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