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仕返し編
7 第七皇女は相談する
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「ふーん、成程ね……」
これまでの経緯を話終えると、メルランシアお姉様は頬に手を当てて考え込む仕草を見せる。
「そうねぇ、まず映像が証拠品になるかどうか……だけど。それは問題ないとは思うわ。前世でも防犯カメラの映像が証拠として取り上げられることは珍しくなかったしね。ただ、帝国では前例がないし、魔術で作り上げたものだろう、と言われる可能性も否定出来ないわね……。保険の意味でも追い詰める材料としても他の証拠についても押さえた方がいいかもしれないわ」
「やっぱりそうですよね……」
私もそれは懸念していたことではある。記録ができる魔具というのは今まで前例がなく、証拠で用意した映像が魔術で作ったものだと指摘されたらそれまでだ。
だが映像に関してはこの際あの男が別の女といた、という証明になるだけでいいのだ。
当然ではあるが第七皇女の誕生パーティには多くの人が招かれている。その中で現在私は――正確には私に化けたセイルだが――は今一人で行動しているはずだ。
皇女には挨拶回りがあるから当然多くの人目に触れる。
その中には皇女が婚約者を伴わず一人でいることに疑問をもつ者も多くいるはずだ。
普通、婚約者はパーティではエスコートをするものなのだから。
この時に「皇女が一人でいる間、婚約者は何をしていたのか」という疑問に対して明らかになる答えがあれば一発でアウトだ。
そもそもこの婚約は現皇帝、お父様がお決めになったもの。それを否定したような先程のバカ男のセリフは全て試作機の魔具が録音している。皇女を侮辱している時点で既に不敬罪は確定しているのだし、あとは余罪が増えるだけ。
後は映像の証拠品以外に確たる証拠を見つけ、大勢の前で断罪すればあの男は終わる。裁判をする訳でもないので明確に証拠になるかどうかは置いておいてもいい。断罪の場を盛り上げる要因が増えれば増えるだけ私にとっては楽しくなるのだから。
それに別の証拠については既に手を打っている。
「要はあの男が浮気していた事実が分かればいいのですわよね。そういえば先程風の精霊にこちらまで送ってもらった時に公爵に関する噂を集めて貰うようにお願いしてますの」
クロムウェル公爵が女遊びをしているという噂はかねてより飛び交っていた。まさか私がいるのにそんなことをするわけはないだろうと高を括っていたが、目の前で実際に見てしまったのだからその噂は真実なのだろう。
であれば、情報の収集と伝達が得意な風の精霊に頼めばさらに詳細な情報が集まるはずだ。風の精霊の噂好きは折り紙付きである。あの男はそこまで利口ではない。必ずどこかに襤褸を出しているはずだ。
いや、なかったとしても意地でも集める。あの男に鉄槌を下すために手段は選ばない。せいぜい今のうちに余裕をぶっこいてなさい。十五歳の小娘にしてやられて、私の怒りを思い知るがいいわ。
静かに怒りに燃える私を見て、メルランシアお姉様は少し慄いたように後ずさった。
「レスは敵に回すと容赦ないわね……精霊に愛されてて国内最強の魔力持ちってだけで十分チートなのに……公爵、死なないといいけど……」
南無、と手を合わせるお姉様に私はにこりと笑い返した。
「何を仰いますの。一週間で魔術師団長を仕留めて帰って来たお姉様程ではありませんわ。ご謙遜を」
「ああ、アレは都合がよかったからよ。男は尻に敷けがウチの……ああ、前世のだけど家訓だったのよ。いやぁおばあちゃんはいい家訓を残してくれたわ」
遠目をして前世を懐かしんでいる様子のお姉様。
男は尻に敷け……成程。確かにいい家訓だわ。
胸に刻んでおきましょう。
密かにお姉様の前世のお祖母様に尊敬の眼差しを向けていると、お姉様が咳払いをして話題を戻した。
「ごほん。……まぁ、証拠については問題ないわね……レスが意地で何としてでも見つけるでしょう。問題はいつ実行するかよね?勿論、映像を派手に流すつもりでしょう?」
ニヤニヤして笑いながら問いかけてくるお姉様に対し、あくまで上品に笑って頷く。
勿論派手にするつもりだ。当然。これは仕返しという名のお祭りなのだから盛大にしなくては意味が無い。
「ええ、スクリーンに盛大に映像を流して差し上げる予定ですわ。音声付きで」
「いいねぇいいねぇ。楽しくなってきたわね! ――で、いつ実行するのよ。勿体ぶらないでお姉様に教えて頂戴」
ワクワクしてたまらないといった様子のお姉様に今度は満面の笑みを向ける。
実行の日もきちんと決めている。
近々、皇城で盛大な催し物があるのだ。
その催しに便乗して奴の不祥事を明かしてやる。
これぞ完璧なシナリオ。
「今度行われる『祝勝の祭典』でヤツを盛大に貶めて差し上げますわ!」
これまでの経緯を話終えると、メルランシアお姉様は頬に手を当てて考え込む仕草を見せる。
「そうねぇ、まず映像が証拠品になるかどうか……だけど。それは問題ないとは思うわ。前世でも防犯カメラの映像が証拠として取り上げられることは珍しくなかったしね。ただ、帝国では前例がないし、魔術で作り上げたものだろう、と言われる可能性も否定出来ないわね……。保険の意味でも追い詰める材料としても他の証拠についても押さえた方がいいかもしれないわ」
「やっぱりそうですよね……」
私もそれは懸念していたことではある。記録ができる魔具というのは今まで前例がなく、証拠で用意した映像が魔術で作ったものだと指摘されたらそれまでだ。
だが映像に関してはこの際あの男が別の女といた、という証明になるだけでいいのだ。
当然ではあるが第七皇女の誕生パーティには多くの人が招かれている。その中で現在私は――正確には私に化けたセイルだが――は今一人で行動しているはずだ。
皇女には挨拶回りがあるから当然多くの人目に触れる。
その中には皇女が婚約者を伴わず一人でいることに疑問をもつ者も多くいるはずだ。
普通、婚約者はパーティではエスコートをするものなのだから。
この時に「皇女が一人でいる間、婚約者は何をしていたのか」という疑問に対して明らかになる答えがあれば一発でアウトだ。
そもそもこの婚約は現皇帝、お父様がお決めになったもの。それを否定したような先程のバカ男のセリフは全て試作機の魔具が録音している。皇女を侮辱している時点で既に不敬罪は確定しているのだし、あとは余罪が増えるだけ。
後は映像の証拠品以外に確たる証拠を見つけ、大勢の前で断罪すればあの男は終わる。裁判をする訳でもないので明確に証拠になるかどうかは置いておいてもいい。断罪の場を盛り上げる要因が増えれば増えるだけ私にとっては楽しくなるのだから。
それに別の証拠については既に手を打っている。
「要はあの男が浮気していた事実が分かればいいのですわよね。そういえば先程風の精霊にこちらまで送ってもらった時に公爵に関する噂を集めて貰うようにお願いしてますの」
クロムウェル公爵が女遊びをしているという噂はかねてより飛び交っていた。まさか私がいるのにそんなことをするわけはないだろうと高を括っていたが、目の前で実際に見てしまったのだからその噂は真実なのだろう。
であれば、情報の収集と伝達が得意な風の精霊に頼めばさらに詳細な情報が集まるはずだ。風の精霊の噂好きは折り紙付きである。あの男はそこまで利口ではない。必ずどこかに襤褸を出しているはずだ。
いや、なかったとしても意地でも集める。あの男に鉄槌を下すために手段は選ばない。せいぜい今のうちに余裕をぶっこいてなさい。十五歳の小娘にしてやられて、私の怒りを思い知るがいいわ。
静かに怒りに燃える私を見て、メルランシアお姉様は少し慄いたように後ずさった。
「レスは敵に回すと容赦ないわね……精霊に愛されてて国内最強の魔力持ちってだけで十分チートなのに……公爵、死なないといいけど……」
南無、と手を合わせるお姉様に私はにこりと笑い返した。
「何を仰いますの。一週間で魔術師団長を仕留めて帰って来たお姉様程ではありませんわ。ご謙遜を」
「ああ、アレは都合がよかったからよ。男は尻に敷けがウチの……ああ、前世のだけど家訓だったのよ。いやぁおばあちゃんはいい家訓を残してくれたわ」
遠目をして前世を懐かしんでいる様子のお姉様。
男は尻に敷け……成程。確かにいい家訓だわ。
胸に刻んでおきましょう。
密かにお姉様の前世のお祖母様に尊敬の眼差しを向けていると、お姉様が咳払いをして話題を戻した。
「ごほん。……まぁ、証拠については問題ないわね……レスが意地で何としてでも見つけるでしょう。問題はいつ実行するかよね?勿論、映像を派手に流すつもりでしょう?」
ニヤニヤして笑いながら問いかけてくるお姉様に対し、あくまで上品に笑って頷く。
勿論派手にするつもりだ。当然。これは仕返しという名のお祭りなのだから盛大にしなくては意味が無い。
「ええ、スクリーンに盛大に映像を流して差し上げる予定ですわ。音声付きで」
「いいねぇいいねぇ。楽しくなってきたわね! ――で、いつ実行するのよ。勿体ぶらないでお姉様に教えて頂戴」
ワクワクしてたまらないといった様子のお姉様に今度は満面の笑みを向ける。
実行の日もきちんと決めている。
近々、皇城で盛大な催し物があるのだ。
その催しに便乗して奴の不祥事を明かしてやる。
これぞ完璧なシナリオ。
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