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8 明かされた理由
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「それは……」
途端に口ごもるヴィクター。
私が気づかないとでも思っていたのだろうか。
貢ぎ物としか思えない大量のドレスや装飾品が持ち込まれていたのだ。
いくら内密にしようとも、分かってしまう。
この不自然な程の狼狽えぶり。やはり浮気に違いない。もはや確信し、私はヴィクターに詰め寄る。
「さぁ、これについて説明はして頂けるのでしょう?」
さあ、その口から素直に言ってもらいましょう。それを持って私は貴方とキッパリ離縁させて頂きます。
自信満々に迫ると、ヴィクターは何故かものすごく困った表情になった。
「どうしても言わないと駄目、だよな」
「むしろこの状況で言わない方がおかしいのでは?」
私の中では完全にクロが確定しているけれど、本人の口から真相を聞くのが何よりの証拠となる。
するとヴィクターは「暫く待っていてくれ」と言い残し、執務机の横にある棚へと歩いていく。
そして棚の引き出しをあけると何かを物色し、程なくして戻ってきた。
「……これを、君に。少し早いけれど誕生日おめでとう」
その手にあったのは小ぶりなピンクの花の花束だった。私は訳が分からず、ぱちくりと瞬きをする。ピンクの花は生花のようだが、魔法で状態が固定してあるようで、瑞々しい可憐な花びらからとても良い香りがした。
「私の誕生日はまだ先ですよ?」
私の誕生日は一ヶ月後。近いとも言えば近いのかもしれないが、まだ早すぎる気もする。
それに、何より。
「私の誕生日を覚えていらっしゃったんですか?」
知らないと思っていた。この三年間、誕生日に夫が屋敷にいることはなかったからだ。
花束を持ったまま呆然と問いかけると、ヴィクターは照れくさそうに頭を搔きながら頷いた。
「本当は毎年祝いたかった。けれどどうしても外せない仕事があって、渡せなかったんだ。今年はどうにかして調整できそうだったから、今まで用意できなかった分、祝おうと思って。でも私は何がいいのかよく分からないから君に選んでもらおうと思って……」
それであの大量の装飾品やドレスが運び込まれていた、という訳だ。
「そう、だったんですか……」
あれらの荷物は全て私のためだった。彼は彼なりに、三年間の誕生日の埋め合わせをしようと準備していたという訳だ。
――浮気では、なかったのね。
脱力して床に座り込む。私が勝手に早とちりして、誤解して。馬鹿みたいだ。
事の真相を知り、床に座り込んだ私の前にヴィクターが膝まずく。真剣な紫の瞳が私を覗き込んできて、思わず魅入ってしまう。
「これで許されるとは思っていない。だからこれから時間をかけて誤解を解いていきたい。そのためにも私にどうか時間が欲しい。それでも君が離縁したいというのなら、その時は応じよう。だからどうか、今一度この手を取ってくれないだろうか?」
そう言って差し出された手。
ヴィクターの弁解により誤解は解けた。今まで離縁したいと思っていたのは確かだ。けれど真実を知った今、私はどうしたいのだろう。
思考が空回りする。
――今一度夫に向き合って、自分の気持ちを整理するのも手かもしれない。
とりあえず夫と結婚生活をやり直してみて、それでも無理と判断すればその時は改めて離縁を申し込めばよい。幸いヴィクターもその時は応じると言ってくれた。
ならば夫の誘いに応じるのも手かもしれない。
そう結論し、差し出された夫の手を花束を持っていない方の手で握り返す。
「では、また暫く妻としてよろしくお願い致します」
「ああ、よろしく頼む」
交渉成立。互いに握手を交わす。
こうして、私たちのやり直しの結婚生活が始まることになった。
途端に口ごもるヴィクター。
私が気づかないとでも思っていたのだろうか。
貢ぎ物としか思えない大量のドレスや装飾品が持ち込まれていたのだ。
いくら内密にしようとも、分かってしまう。
この不自然な程の狼狽えぶり。やはり浮気に違いない。もはや確信し、私はヴィクターに詰め寄る。
「さぁ、これについて説明はして頂けるのでしょう?」
さあ、その口から素直に言ってもらいましょう。それを持って私は貴方とキッパリ離縁させて頂きます。
自信満々に迫ると、ヴィクターは何故かものすごく困った表情になった。
「どうしても言わないと駄目、だよな」
「むしろこの状況で言わない方がおかしいのでは?」
私の中では完全にクロが確定しているけれど、本人の口から真相を聞くのが何よりの証拠となる。
するとヴィクターは「暫く待っていてくれ」と言い残し、執務机の横にある棚へと歩いていく。
そして棚の引き出しをあけると何かを物色し、程なくして戻ってきた。
「……これを、君に。少し早いけれど誕生日おめでとう」
その手にあったのは小ぶりなピンクの花の花束だった。私は訳が分からず、ぱちくりと瞬きをする。ピンクの花は生花のようだが、魔法で状態が固定してあるようで、瑞々しい可憐な花びらからとても良い香りがした。
「私の誕生日はまだ先ですよ?」
私の誕生日は一ヶ月後。近いとも言えば近いのかもしれないが、まだ早すぎる気もする。
それに、何より。
「私の誕生日を覚えていらっしゃったんですか?」
知らないと思っていた。この三年間、誕生日に夫が屋敷にいることはなかったからだ。
花束を持ったまま呆然と問いかけると、ヴィクターは照れくさそうに頭を搔きながら頷いた。
「本当は毎年祝いたかった。けれどどうしても外せない仕事があって、渡せなかったんだ。今年はどうにかして調整できそうだったから、今まで用意できなかった分、祝おうと思って。でも私は何がいいのかよく分からないから君に選んでもらおうと思って……」
それであの大量の装飾品やドレスが運び込まれていた、という訳だ。
「そう、だったんですか……」
あれらの荷物は全て私のためだった。彼は彼なりに、三年間の誕生日の埋め合わせをしようと準備していたという訳だ。
――浮気では、なかったのね。
脱力して床に座り込む。私が勝手に早とちりして、誤解して。馬鹿みたいだ。
事の真相を知り、床に座り込んだ私の前にヴィクターが膝まずく。真剣な紫の瞳が私を覗き込んできて、思わず魅入ってしまう。
「これで許されるとは思っていない。だからこれから時間をかけて誤解を解いていきたい。そのためにも私にどうか時間が欲しい。それでも君が離縁したいというのなら、その時は応じよう。だからどうか、今一度この手を取ってくれないだろうか?」
そう言って差し出された手。
ヴィクターの弁解により誤解は解けた。今まで離縁したいと思っていたのは確かだ。けれど真実を知った今、私はどうしたいのだろう。
思考が空回りする。
――今一度夫に向き合って、自分の気持ちを整理するのも手かもしれない。
とりあえず夫と結婚生活をやり直してみて、それでも無理と判断すればその時は改めて離縁を申し込めばよい。幸いヴィクターもその時は応じると言ってくれた。
ならば夫の誘いに応じるのも手かもしれない。
そう結論し、差し出された夫の手を花束を持っていない方の手で握り返す。
「では、また暫く妻としてよろしくお願い致します」
「ああ、よろしく頼む」
交渉成立。互いに握手を交わす。
こうして、私たちのやり直しの結婚生活が始まることになった。
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