すべては誤解だったけど、なぜか二人の男に愛されています。これはきっと冬の花火のせい

橘 咲帆

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08.ナオの誤解

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 ナオの家で衝撃の発見をしてしまったハルキだが、しばらく気不味くてナオからのメッセージを無視していた。しかし、ナオと同じ学校であり、同じ最寄り駅だ。いつ何時出会うかわからない。ハルキは重い腰をあげてメッセージを返信した。

【彼女出来たんだな】
【おめでとう】

 彼女じゃなくて、彼氏と書かなかったのはナオがなんとなく濁しているからで。多様性を認める世の中になりつつあるけれど、ナオや兄ちゃんはこの地区で古くからいる人間だから、保守的な親戚も多いだろう。同性の恋人の事は隠しているのだろうと思った。

(なんか、変な気ィつかう)

 ヴヴヴヴとハルキのスマホが震え、ナオの返信があった。

【そっちもな】
【おめでとう】

 ハルキの頭に盛大なクエスチョンマークが浮かぶ。

(そっちもなってことは、あれ? 俺、彼女がいるってことになってる? いやいやいやいや。俺、彼女いないけど?)

【彼女?】
【いないけど?】

 ハルキは返信をしようとして面倒くさくなった。メッセージアプリのトークアイコンをタップしてナオを呼び出す。

『うぃーっす』
「おう、おひさ」
『どしたー?』
「何か誤解があるみたいで」
『誤解?』
「ん。俺、彼女いないけど?」
『へ? マネージャーの子と付き合ってんじゃねぇの』
「いやいやいやいや。あの子、坂城先輩に告って成功したみたいだぞ?」
『へ、え?! マジ? 夏休み前くらいに西の渡り廊下あたりでお前に告ってたじゃん』

 ハルキは目まぐるしく過去の記憶を辿る。そして思い当たった。

「あ! ああ! あれか! あれ、先輩に告るってんで練習台になれって言われて」
『は? あ──? マジか。俺はてっきり』
「うん。そりゃまごうことなき誤解だわ」
『そっか、そっか。ワリいな。俺ばっかり幸せで』
「は? ムカつく。リア充死ね」
『あはは、ごめんごめん』

 久々に話をしたら意外と普通に話が出来た。いや、普通以上に話が尽きなくて、盛り上がった。

「ナオ、部活やめたんだよな」
『う、うん。ちょっと兄ちゃんの仕事手伝ってるから……』
「じゃあ、前みたく一緒に登下校出来ないよな」
『そうなっちゃうね。あ、でもハルキの部活がない、試験の時なんかは大丈夫なんじゃね?』
「そっか、その時はナオんち寄るよ」

 最後はそんな約束を交わし、通話を切った。
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