転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

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第六部

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「――蛇種のフィジャです」

 最初に口を開いたのはフィジャだった。

「ボクは腕っぷしは強くないから、物理的に彼女を守れる自信はないけど……、でも、絶対に、食べるものに困らせることはないです。一生、彼女の食生活を幸せなものにしてみせます。だから――マレーゼとの結婚を、認めてください」

 宣誓のような、懇願のような、その言葉は、広い空間の中によく響く。迷いのない言葉に、文句をつける人は誰もいない。
 それにしても、アピールポイントを宣言しつつ、結婚を認めてもらおうというのは、確かにちょうどいい内容なのかもしれない。実際に島長の挨拶で何を問われるのかは分からないけれど、前世の神父ですら、愛を誓うかと問われるのだ。何かしら聞かれる可能性は高い。

 となると――わたしが、皆に誓えることって、何だろう。

 そう考えていると、次はイエリオの番だった。

「私は、兎種のイエリオです。私も腕力に覚えはありませんが、知識は負けません。特に、彼女が生きていた時代のことは。……彼女の方が詳しいかもしれませんが。私たちがいれば問題はないと思いますが、もし、彼女が千年前を思って孤独を感じたとしても、私が、私たちが支えてみせます。ですので、マレーゼとの結婚を認めていただけませんか」

 「あの男に頼らずとも、マレーゼには寂しさを感じさせませんよ」と追加するイエリオ。イナリばかりが師匠を分かりやすく嫌悪していたと思っていたが、この感じ、イエリオもそうだったというのだろうか……。
 師匠のこと、そう言う風に見たことは一度もないのに。

「……名は、ウィルフです。狼種なのか、ローヴォルなのかは――分からない」

 ウィルフが少し言いよどむ。

「それでも、彼女を守りたいという気持ちに偽りはありません。マレーゼとの結婚の許可を」

 短く、端的な言葉。しかし、わたしを想っての言葉に迷いはないようだった。

「――……狐種のイナリ。僕は……彼女に何かをしてあげられるって、自信を持って言えるものはないけど……でも。隣にいるために必要なことは、何でもします。だから――」

 イナリが少し、間を空ける。けれど、それは言葉を迷っているからではない。むしろ逆で、はっきりと、決意を伝えるために言ったのだと、彼の声音から分かる。

「――だから、愛するマレーゼとの結婚を、認めてください」

 その言葉に、わたしは思わず、イナリの方を見てしまった。
 好きだと言う自信がない。
 そう言っていたはずなのに、一段階、すっ飛ばしてきたのだから。

 ここまで言われて、わたしも黙ってはいられない。

「人間の、マレーゼです。今は猫の見た目をしてますけど、あなた様方がいた時代を生きた、人間です。それでも、わたしは彼らと会い、共にありたいと思いました。あなた様方の時代からしたら、わたしたちの結婚の形は少し、変わっているように見えるかもしれませんが――でも、わたしは、これを、諦めたくないので」

 わたしは顔をあげ、まっすぐ、墓石を見た。
 島長の墓。きっと、かつてのシーバイズで何人もの夫婦の成立を見届けてきた彼らに、わたしたちの形式は、歪に見えるかもしれない。

 でも、もう、迷わず、諦めない。

「彼らを好きになり、愛してしまったので。どうか、結婚をさせてください」

 わたしはハッキリと、言い切った。
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