転生からの魔法失敗で、1000年後に転移かつ獣人逆ハーレムは盛りすぎだと思います!

ゴルゴンゾーラ三国

文字の大きさ
22 / 493
第一部

22

しおりを挟む
「いらっしゃ、あああ!? ……いませ」

 店に入ると、店員さんがにこやかに挨拶をしようとして――失敗していた。驚きの声をあげ、なんとか挨拶の体裁を保とうとしてはいたが。

「あれ、トゥージャ?」

 きょどきょどしている店員へ親し気に声をかけるのはフィジャだ。フィジャとトゥージャ……名前似てるし、兄弟かな……? 確かに、そう考えると似てるかもしれない。トゥージャさんは一重でやや目が細いが、それでも十二分にモテる顔だ。あ、でもこっちだと、わたし基準の顔面偏差値はモテに関係ないんだっけ。

「えー、トゥージャ、ここで働いてたの? 久しぶりだね、三年ぶりくらい?」

 けらけらと笑うフィジャに、一瞬疑問が浮かぶ。兄弟で五年も会わないのって普通なのかな。遠方に引っ越したとかならまだ分かるけど同じ街の中。仲が悪いのかな? とも思ったが、二人の様子を見ていると、とてもそうは思えない。トゥージャさんはちょっと怒りぎみだけど、それも身内が職場に来て親しげに話すことに対しての照れくささのようなものから来ているように見えるし、フィジャの笑顔もごく自然なものだ。

 謎な関係だな……とこっそりイエリオさんに聞いてみると、どうやら獣人は独り立ちすると、親だけでなく兄弟と会うこともあまりないらしい。手紙のやり取りをする者は珍しくないらしいが、あまり頻繁に会っていると自立できていないとみなされるのだとか。
 一度自立して巣立つと、五年に一度ある祝集祭という祭りの際か、それこそ葬式のときにしか家族が集まることはないという。

 国が違うと文化も違うし、世界と時間が違えばこうも変わるもんなんだ……。わたしは前世で盆暮れ正月には帰省してたし、シーバイズ時代は職についても実家暮らしだったから、変な習慣だなあという気持ちしかない。否定するつもりはないけどね、変わってるよね。

「で、今日はどんな用事……、でしょうか?」

 身内との会話だからか、彼の口調は砕けたものになっている。取り繕うとはしてるみたいだけど。

「あ、うん。家建てようと思って! 結婚するんだー」

「へー、結婚、めでた…………は?」

 たっぷりと間を開け、もう一度。

「……は?」

「だから、結婚するの。一妻多夫だけど、ほら、この子、ボクのお嫁さんね」

 ぐい、と急に引っ張られて思わずバランスを崩す。ぽす、とそのままフィジャに寄りかかるような体制になってしまった。フィジャの身長はわたしと大差ないので、非常に顔が近い。ひえ……。

「おま、けっ、えええええええ――っ、いってえ!」

 あごが外れるのでは? と思うほど大げさに驚いていた彼は、ごつり、と拳骨を落とされていた。拳骨を落としたのは、先輩か、店長か。
 とても大柄で、身長はウィルフさんに勝るとも劣らない。二メートル近いんじゃない、これ? 目つきが悪いのも相まって、威圧感がすごい。
 ちょっと怖い、と見上げていると、その顔はにかっと恵比寿顔になった。

「いらっしゃいませ、グリオン工務店へようこそ!」

 いや、それはそれで怖いわ。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

わたしの正体不明の甘党文通相手が、全員溺愛王子様だった件

あきのみどり
恋愛
【まじめ侍女と、小悪魔系王子、無自覚系ツンデレ王子、寡黙ぼんやり系王子、三人の甘党王子様たちによるラブコメ】 王宮侍女ロアナは、あるとき思いがけない断罪にみまわれた。 彼女がつくった菓子が原因で、美貌の第五王子が害されたという。 しかしロアナには、顔も知らない王子様に、自分の菓子が渡った理由がわからない。 けれども敬愛する主には迷惑がかけられず… 処罰を受けいれるしかないと覚悟したとき。そんな彼女を救ったのは、面識がないはずの美貌の王子様で…? 王宮が舞台の身分差恋物語。 勘違いと嫉妬をふりまく、のんきなラブコメ(にしていきたい)です。 残念不憫な王子様発生中。 ※他サイトさんにも投稿予定

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

【完結】 異世界に転生したと思ったら公爵令息の4番目の婚約者にされてしまいました。……はあ?

はくら(仮名)
恋愛
 ある日、リーゼロッテは前世の記憶と女神によって転生させられたことを思い出す。当初は困惑していた彼女だったが、とにかく普段通りの生活と学園への登校のために外に出ると、その通学路の途中で貴族のヴォクス家の令息に見初められてしまい婚約させられてしまう。そしてヴォクス家に連れられていってしまった彼女が聞かされたのは、自分が4番目の婚約者であるという事実だった。 ※本作は別ペンネームで『小説家になろう』にも掲載しています。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

騎士団寮のシングルマザー

古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。 突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。 しかし、目を覚ますとそこは森の中。 異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる! ……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!? ※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。 ※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。

処理中です...