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第四部
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でも、そうして、彼を助けた冒険者――ジェルバイドさんに会いに行こうとして、現実を知ってしまった。
――彼は裁かれ、刑務所にいる、ということを。
それを知ったのは、ジェルバイドさんを探しながら、冒険者になった少し後のことだという。
「最初は冒険者になるつもりはなかった。『あの人』と話が出来たらそれで十分だったからな。でも、俺は『あの人』の見た目は知っていたが名前も階級も知らなくて、その上、獣人になったとはいえこんな見た目だ。親切にしてくれるやつなんてそうそうにいなくて。情報を得るためにも、生活をするためにも、冒険者になって――初めて依頼を受けた時に、『あの人』の顛末を知った」
依頼書が張り出される掲示板の、隅。ボロボロで、誰かが落書きをした、悲惨な状態の依頼書。
当時は文字が読めなくて、代理で文字を読んでくれるギルド職員に、あれはなんだ、と聞いて――それがジェルバイドさんからの依頼だったことを知ったそうだ。
刑務所の中にいる、ジェルバイドさんからの。
「冒険者への依頼は、報酬さえ払えれば誰でも出すことが出来るからな。刑務所の中からの依頼でも、受理されたんだろう。……それを引き受ける冒険者がいるかは、また別の話だが」
街を半壊状態にした、といってもおかしくない事件を引き起こした獣人の依頼。それを引き受ける人がいるか、と言われれば――落書きさえされるような始末が、答えを物語っている。
「あの事件を引き起こした獣人の依頼なんて誰も受けやしねえ、と言われて、俺は迷わず、その依頼を受けた。まあ、元々会いに行くのが目的だったしな」
街に戻した妹の安否を確認してほしい。兄は元気でやっているが、シャルベンの街より稼ぎがいいからこっちの街でしばらく仕事をするから帰ることができない。
妹に、そう嘘をついてほしい。
そんな依頼だったそうだ。
「その依頼を受けて、俺は思ったんだ。いつかこの人を解放するんだって。冒険者は級が上がるごとに願いを聞いてもらえて、特級にもなればなんでも聞いてもらえる、ってことは冒険者になるときに説明されたからな。だから、特級冒険者まで駆けあがったわけだが……結局、情けないことに、今になっちまったよ」
「でも、特級冒険者って数少ないんですよね? 難しいなら時間がかかっても仕方がないんじゃ……」
わたしはそう言ったが、ウィルフさんは首を横に振った。
「いや、特級冒険者自体には、冒険者になってから一年半くらいで成し遂げた。……もう、二年以上前の話だ。二年も、俺は『あの人』のことを放置し続けたんだ。……『あの人』の為に、特級冒険者になったはずなのにな」
そう言うウィルフさんの声音は、酷く自嘲の色が滲んでいた。
――彼は裁かれ、刑務所にいる、ということを。
それを知ったのは、ジェルバイドさんを探しながら、冒険者になった少し後のことだという。
「最初は冒険者になるつもりはなかった。『あの人』と話が出来たらそれで十分だったからな。でも、俺は『あの人』の見た目は知っていたが名前も階級も知らなくて、その上、獣人になったとはいえこんな見た目だ。親切にしてくれるやつなんてそうそうにいなくて。情報を得るためにも、生活をするためにも、冒険者になって――初めて依頼を受けた時に、『あの人』の顛末を知った」
依頼書が張り出される掲示板の、隅。ボロボロで、誰かが落書きをした、悲惨な状態の依頼書。
当時は文字が読めなくて、代理で文字を読んでくれるギルド職員に、あれはなんだ、と聞いて――それがジェルバイドさんからの依頼だったことを知ったそうだ。
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「冒険者への依頼は、報酬さえ払えれば誰でも出すことが出来るからな。刑務所の中からの依頼でも、受理されたんだろう。……それを引き受ける冒険者がいるかは、また別の話だが」
街を半壊状態にした、といってもおかしくない事件を引き起こした獣人の依頼。それを引き受ける人がいるか、と言われれば――落書きさえされるような始末が、答えを物語っている。
「あの事件を引き起こした獣人の依頼なんて誰も受けやしねえ、と言われて、俺は迷わず、その依頼を受けた。まあ、元々会いに行くのが目的だったしな」
街に戻した妹の安否を確認してほしい。兄は元気でやっているが、シャルベンの街より稼ぎがいいからこっちの街でしばらく仕事をするから帰ることができない。
妹に、そう嘘をついてほしい。
そんな依頼だったそうだ。
「その依頼を受けて、俺は思ったんだ。いつかこの人を解放するんだって。冒険者は級が上がるごとに願いを聞いてもらえて、特級にもなればなんでも聞いてもらえる、ってことは冒険者になるときに説明されたからな。だから、特級冒険者まで駆けあがったわけだが……結局、情けないことに、今になっちまったよ」
「でも、特級冒険者って数少ないんですよね? 難しいなら時間がかかっても仕方がないんじゃ……」
わたしはそう言ったが、ウィルフさんは首を横に振った。
「いや、特級冒険者自体には、冒険者になってから一年半くらいで成し遂げた。……もう、二年以上前の話だ。二年も、俺は『あの人』のことを放置し続けたんだ。……『あの人』の為に、特級冒険者になったはずなのにな」
そう言うウィルフさんの声音は、酷く自嘲の色が滲んでいた。
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