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第五部
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「――……こっ、ここ!? 大丈夫、わたしおかしくない? 入って平気?」
親族が集まっている、と言われてイエリオに連れてこられたのは、すごく高そうな料理店だった。多分、こんな機会がなければ絶対訪れないような場所。
こういうところってドレスコードとか必要なんじゃないの? 大丈夫? イナリの服が悪いとは言わないけど、イナリのお店って、普通の服の方はどちらかと言えばカジュアルな方だし、これ、手作りな服だし。
おろおろとしたわたしとは裏腹に、イエリオは平然としている。こういうところに慣れているのだろう、本当にお坊ちゃん……。
「大丈夫ですよ、マレーゼ。祝集祭の日は、祝集祭の服を着ている場合はそれが一番ですから。今の貴女の格好でも十分です」
そう言うイエリオも、祝集祭の服を着ていた。髪の毛なんかはわたしよりも長いので、普段は緩く結んでいる髪を編んでいてそこに花がささっているという、なかなかに派手な装い。確かにイエリオなら大丈夫そうだけど……。
「それに個室の店ですから。他の客の視線は気になりませんよ」
そう言われると、少しだけ、大丈夫かな? という気になってくる。緊張していることに変わりはないけど。
ドキドキしながら、イエリオの後をついていく。こういうときは腕を組むものなんだろうか。分からないけど、絶対に離れないでという意思表示のため、イエリオの裾を引っ張った。
「――こちらを掴みますか?」
くすっと笑われながら、イエリオに手を差し出される。思わず、イエリオの手と顔を、交互に見てしまった。
でも、ここで裾でいい、と言うのもちょっと。わたしは勇気を出して、イエリオの手を握った。
「――!」
本当にわたしが手を握るとは思っていなかったのか、イエリオは少し驚いているようだった。そして、軽く、顔が赤くなる。
「ぜ、絶対離さないでね。こんなところで一人にしないでね」
正直、前世でも、シーバイズでも、露骨な高級店、というところには行ったことがなかった。だって、機会もないし、お金もない。そもそも、わざわざそんなところに行かなくたって、手軽で美味しくて、安いお店なんていくらでもあったので。
シーバイズに至っては、高級志向という考えがあまりないので、行事ごとならともかく、服の規定があるような店自体がそうそうない。貴族専用、という店ならまだしも。
なので、本当に一人にされたら困る。
「……はい、離しません」
イエリオは、それはそれは嬉しそうにほほ笑みながら、わたしの手を握り返してくれた。……なんだか、わたしの離さないで欲しい理由が伝わっていない気がするけど……ばっさり言ってしまうのも可愛そうなので、言わないでおく。
――それに、イエリオと手を繋ぐの、嫌じゃ、ないし。
い、いや、駄目でしょ! なんかそれは駄目――いや、駄目じゃないのか?
一人困惑しているわたしをよそに、イエリオは店員の案内にしたがって、歩いていく。当然、手を繋いでいるので、わたしもついていくわけだが。
「こちらになります」
そう言って案内された、一室。この先に、イエリオの親族が……。そう思うと、さっきまでの雑念は飛んで、再び緊張が強くなる。
わたしはごくり、と唾を飲み込んだ。
親族が集まっている、と言われてイエリオに連れてこられたのは、すごく高そうな料理店だった。多分、こんな機会がなければ絶対訪れないような場所。
こういうところってドレスコードとか必要なんじゃないの? 大丈夫? イナリの服が悪いとは言わないけど、イナリのお店って、普通の服の方はどちらかと言えばカジュアルな方だし、これ、手作りな服だし。
おろおろとしたわたしとは裏腹に、イエリオは平然としている。こういうところに慣れているのだろう、本当にお坊ちゃん……。
「大丈夫ですよ、マレーゼ。祝集祭の日は、祝集祭の服を着ている場合はそれが一番ですから。今の貴女の格好でも十分です」
そう言うイエリオも、祝集祭の服を着ていた。髪の毛なんかはわたしよりも長いので、普段は緩く結んでいる髪を編んでいてそこに花がささっているという、なかなかに派手な装い。確かにイエリオなら大丈夫そうだけど……。
「それに個室の店ですから。他の客の視線は気になりませんよ」
そう言われると、少しだけ、大丈夫かな? という気になってくる。緊張していることに変わりはないけど。
ドキドキしながら、イエリオの後をついていく。こういうときは腕を組むものなんだろうか。分からないけど、絶対に離れないでという意思表示のため、イエリオの裾を引っ張った。
「――こちらを掴みますか?」
くすっと笑われながら、イエリオに手を差し出される。思わず、イエリオの手と顔を、交互に見てしまった。
でも、ここで裾でいい、と言うのもちょっと。わたしは勇気を出して、イエリオの手を握った。
「――!」
本当にわたしが手を握るとは思っていなかったのか、イエリオは少し驚いているようだった。そして、軽く、顔が赤くなる。
「ぜ、絶対離さないでね。こんなところで一人にしないでね」
正直、前世でも、シーバイズでも、露骨な高級店、というところには行ったことがなかった。だって、機会もないし、お金もない。そもそも、わざわざそんなところに行かなくたって、手軽で美味しくて、安いお店なんていくらでもあったので。
シーバイズに至っては、高級志向という考えがあまりないので、行事ごとならともかく、服の規定があるような店自体がそうそうない。貴族専用、という店ならまだしも。
なので、本当に一人にされたら困る。
「……はい、離しません」
イエリオは、それはそれは嬉しそうにほほ笑みながら、わたしの手を握り返してくれた。……なんだか、わたしの離さないで欲しい理由が伝わっていない気がするけど……ばっさり言ってしまうのも可愛そうなので、言わないでおく。
――それに、イエリオと手を繋ぐの、嫌じゃ、ないし。
い、いや、駄目でしょ! なんかそれは駄目――いや、駄目じゃないのか?
一人困惑しているわたしをよそに、イエリオは店員の案内にしたがって、歩いていく。当然、手を繋いでいるので、わたしもついていくわけだが。
「こちらになります」
そう言って案内された、一室。この先に、イエリオの親族が……。そう思うと、さっきまでの雑念は飛んで、再び緊張が強くなる。
わたしはごくり、と唾を飲み込んだ。
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