おっさんは 勇者なんかにゃならねえよ‼

とめきち

文字の大きさ
58 / 115

第五十八話 新たな命

しおりを挟む

 帰路は、特に荒れた様子もなく、レジオ領まで順調に進んだ。
 さすがに、紫電であれだけやられては、すぐには動けないさ。
 カズマは、宿代に金貨一枚出してきた。
 あいつらが、素直に宿を直すか心配だったからな。
 貧乏?
 出すところでケチるやつは、だめな領主さ。

 その後も、シェルブール辺境伯爵とゲルマニア帝国との間では、小競り合いが続いている。

「やはり出兵はしなきゃならんか。」
「そうですね、お屋形さま。」
 アリスは、俺のそばにいて書類の整理を手伝っている。
「しょうがない、陣借りを三百人くらい雇うか。」
「少ないです、五〇〇人になさってください。」
「金はあるのか?」
「ございます。」
「わかった、じゃあ五〇〇人。一月末には出兵したい。」
「かしこまりました。」

 ウチのカミさんは、しっかりものだよね。
 パイオツだけが取柄じゃないよ。

 カズマは、輜重用に新たに皮袋を作った。
 これに、食い物を三ヶ月分つめて、ロフノールに持たせた。
 馬の轡もちは、ラルである。
 ブルードラゴンの鎧は、陽を受けてきらきら輝いている。
 出陣に際し、一週間ほどレジオ式訓練をしたところ、二割近く逃げ出した。
 根性ねえな。
 ちょっと行軍訓練をしただけじゃん。
 揃ってないとみっともないから。
 俺の鎧に合わせて、全員の鎧を青く塗った。

 
 後に、「レジオの青揃え」と呼ばれる軍団を引き連れて、北西のシェルブール辺境伯爵領に向けて出発した。
 留守は、ユリウス=ゴルテスにまかせた。

 「赤電の知らせ」という特殊魔法を使えるアリスに、連絡を頼んで何かあれば即座に戻れるよう、準備もしている。
 二月とはいえ、よく晴れた空に歩いていると少し汗ばむようだ。
 王都の北西と言う事で、まずは王都へ。
 まあ、王都はシカトして、王都の横を通過してやろうと思ったら、出兵のあいさつに行くと言う。
 めんどくさい話だが、しかたがない。

「けたくそ悪いな、王都なんか無視してやればいいのに。」
「そうも行かんでしょう、まあ我慢なされ。」
「ちぇっ、ロフノールは気楽に言ってくれるぜ。」
「わはは、器がしれますぞ、お屋形さまはで~んと構えてなされ。」
「そうか、じゃあ文句を言うのはやめだ。陸軍大臣にメシたかってやるか。」
「わはは!」

 王宮で国王陛下に謁見し、出兵の挨拶に向かう。
「レジオ男爵、出兵大儀である。」
 謁見の間では、陛下がじかにねぎらってくれた。
 今回は、時間もないので、このあとすぐに城を出て移動を開始する。
 

 王都ではすこしいいメシを全員に食わせて、英気を養ってから出発した。

 随時オルレアン公爵領を通って行く。

「けっ、ここにもケタくそ悪いおっさんがいやがった。あのヒョウロクダマ(息子のこと。ロイ=ピエール。)は元気かの?」
「ひょ、ヒョウロクダマとは…言いえて妙。」
 マリウス=ロフノールは、くくくと肩を震わせた。
「少しいじめてやろうかな~。」
 俺は、いたずらを三つほど考案した。
 ロフノールは、ぐっときつい目をして振り向いた。
「およしなされ、つまらぬ波風は、一度で結構。」
「へいへい。」

 レジオを出発して一週間。
 カズマたちはシェルブール辺境伯爵領の戦場に着いた。
「ロフノール着いてこい。ラル、馬を頼む。」
「「ははっ」」
 俺たちは、指揮官の集まる天幕に向かって歩き出した。
 シェルブール辺境伯爵の天幕は、馬鹿みたいにでかいが、毎年使っているせいかくたびれたものだった。
「なるほど、ここも歴戦の勇者か…」
「ほう、お主若いのによくわかっておるのう。」
「や?これは…」
「ふぉふぉふぉ、若いモノはなかなか時間の重みがわからんものでな。」
「はい。勉強させていただきます。」
 カズマは、おもわず若手の芸人みたいなことを口にしていた。

「わはははは!なんと言う若者か!先達を立てるとはな。」
 周りはおっさんばっかしだな。
「そこで大笑いしているのは、ベルフット伯爵殿でござる、王国南部の大所帯でござる。」
「なるほど。」
 ロフノールの注釈にうなずく。
「最初に声をかけたお方こそ、シェルブール辺境伯爵殿でござる。」
「ロフノール、知っているのか?」
「多少は。陸軍として何度か来たことがござる。」
 さすがに、歴戦のロフノールだけのことはある。
「なるほどね。御大将、シェルブール辺境伯爵どの、副将ベルフット伯爵殿、レジオ男爵でござる。」
「ほう、お主が噂の男爵か。」
 頭を下げるカズマに、声をかけたのはシェルブール辺境伯爵。
 なかなかに肝の据わった御仁に見える。
「は、若輩の身でござるが、陣の端にでもお加えください。」
「遠路はるばる御苦労であったの、ドラゴン砕き、期待しておるぞ。」
 どっしりした銀の鎧に身を固め、立ち居振る舞いにも隙がない。
 この御仁、なかなかやる。

「まこと、ドラゴン砕き、オークキング、トロールまで単独で撃破、綺羅星のごとき戦果だ。」
 副将、ベルフット伯爵は、カズマの評判を吟味しているようだ。
「いえ、大したことでは…それより、この戦の落とし所は、どのあたりとお考えですか?」
 二人は顔を見合わせた。
「それは?どういうことかな?」
 シェルブール辺境伯爵は、眉間にしわを寄せて聞き返した。
 ちょっと怒ったかな?
「領土を削るか、賠償金を取るか、敵将の首を要求するかなどでござる。」
「左様、本来なら帝国全土を差し出させるものであるが、今回は帝国ベルゲンの鉄鉱石鉱山の利権だ。」
「それは?むこうさんが、さきに仕掛けたからですか?」
「そうだ、いつもの小競り合いではなく、ラルト川を越えてしかけてきおった。今度は許せん。」

「毎年のことなのに?」
 カズマは、不思議そうに聞いてみた。
「毎年毎年、いらぬ戦費を消耗させられるこっちの身にもなってみよ。領民の、民の苦労が無駄であろうが。」
「それを言われると、返す言葉もございませんな。民の苦難でありますれば、私、全力で当たらせていただきます。」
 カズマは、まっすぐシェルブール辺境伯爵の顔を見た。
「敵将の首をあげて、ベルゲン鉱山を取ればよろしいのですね。」
「さよう、ゲオルグ=フォン=ミューラーめ、毎年国庫を背景に攻めてまいる奸物!やつの領土から鉱山を切り取ってくれる!」
「切り取った場合、殊勲者の報奨はいかほどになりますかな?」
「そうさのう、上がりの半分でどうじゃ。」
 シェルブール辺境伯爵は、なかなか豪勢な褒章を提示した。
 あとで値切るなよ。
「出陣前に誓書をいただけますかな?さすれば、ミューラーの首、差し上げましょう。」
 カズマは、にやりと笑って見せた。
「まことか!」
「この、レジオ男爵、できないことは申しません。」
 カズマは、ブルーメタルの鎧の胸を張って見せた。

「むむむ、ならば今夜にも誓書をくれてやろう、それでよいか?」

「畏まって候。」
 カズマたちは、そのまま天幕を出た。
「お屋形さま、本当にやるつもりですか?相手は鉄腕ミューラーですぞ。」
 慌てた様子で、ゴルテスが袖を引く。
「鉄腕?」
「先の戦で、敵陣深く切り込み、孤立無援となったミューラーめは、その自慢の戦斧を振りまわし、一〇〇人からの雑兵を切り裂いて活路を開き申した。」
 カズマはうなずいて続きを促す。
「槍のシャンドと呼ばれる王国の騎士と一騎打ち。しかし、その戦いで左手を失ったのでござる。」
「ふむ。」
「以来、そこに鉄の義手をとりつけて、そのかぎ爪で敵兵を切り裂いたのでござる。それゆえ、綽名を『鉄腕』と申す。」

「鉄腕けっこう。俺のメイスとどっちが上か、試してみたい。」
「さすが、お屋形さまでござる。」
 ロフノールは、にこにこと快活に笑った。
 戦場をよくわかっている。
 こう言う、緊張した場所で、そこまで快活にいられる、その肝っ玉に惚れるわ。
「じゃあ、こうしよう…」
 おれは、二人に明日の仕儀を説明した。

「なんとまあ、お屋形さまの肝の太さには、呆れかえるばかりですな。」
「馬鹿言え、こんなものはただのクソ度胸だよ。」

 翌日、カズマはその戦場を見に行った。
 ラルト川は、広く浅い川原を見せていた。
 くそ寒い冬の光に照らされて、波間は光を放っている。
「ほえ~、まあ広いとは言え、河原の様子はあまり広くもないな。川幅も五〇メートルそこそこか。」
「まあ、帝国の言葉で言えば、ラルトとは、姉と言う意味ですからな、なよなよした川なのです。」
「姉川だと?縁起でもない。まあいい、場所は両軍がよく見えるあそこにしよう。」
 カズマの指さす先は、小高い丘になっていて、両方の陣屋がよく見える場所にあった。
 若干の木が生えていて、実に好い木陰を作っている。
 カズマは、一〇名ほどの兵士を従えて、その丘に立った。

 当然のように、敵陣では「すわ!推参か!」とざわめいているが、こっちは呑気にテーブルといすを、丘の木陰に配置した。
 白いテーブルクロスをかけ、真ん中に花を生ける。
 その脇には、魔道コンロを設置して、スープを温める。
 カズマは、おもむろに立ち上がると、風邪の魔法で言葉を運んだ。

「やあやあ、我こそはイシュタール王国にその人ありと歌われた、ドラゴン砕きレジオ男爵である。猛将・鉄腕ミューラーどのにもの申す。」
 すると、相手も風使いの魔法に乗せて、声を送ってきた。
「ワシがゲオルグ=フォン=ミューラーである、レジオ男爵殿、何事であるか。」
「さっそくのお返事、恐縮であります。初めて御意を得る、赴任したてのレジオ男爵でござる。」
 カズマは一歩前に出た。
「さても、ここにささやかな粗餐を用意いたしました。お受けくださるか。」
「なんと、戦場でかように敵将をもてなすか。」
「左様、毒など入っておりませんぞ。」
「もとより承知!すぐに参る。」
 カズマは、鎧などいっさい身につけていない。
 平服ではないが、そこそこの上着を着た程度の、ごく普通のいでたちである。
 向こうから、馬に揺られてミューラーがやってきた。
 彼も、鎧を脱いで、平服である。

 わが陣営では、この様子を見てかなり揉めていたようだ。
 いわく、平服のミューラーに矢を射かけろなどと言う、武人の心のわからぬ貴族がいたそうで、困ったものだ。

「お招きにより、推参つかまつった。」
「これはミューラーどの、ようこそおいでくださった。レジオ男爵カズマでござる。カズマとお呼びください。」
「ゲオルグ=フォン=ミューラーでござる。では、ワシもゲオルグと。」
「はは、こちらにおりますのは、私の小姓のラルと申します、給仕をします。」
「結構でござる。」
 カズマの合図により、ゲオルグは席に着いた。
 なんお変哲もない椅子である。
「さて、ゲオルグどの、これはわが領土で作ったカルヴァドスでござるが、お試しを。」
「ほう、それはありがたい。戦場では、酒は貴重品でござる。」
「はるほど、近くに酒屋はございませんな。存分にお上がり下さい。」
 ゲオルグは、まるで疑ったそぶりも見せず、一気に酒をあおった。

「うお!これはうまい!酒精が濃いですな。」
「はい、強制的に酒精を上げる手法を開発しましてね、わが領とお隣マゼランの一部でしか手に入りません。」
「ほほう。戦が終わったら、交易したいですな。」
「それはけっこうですね。」
 スープが出されると、豪快に飲んでみせる。
 まあ、アチチな温度にはしていないが、さすが豪傑。
「これは、レジオのパンです、スープと一緒にどうぞ。」
「ほほう!これが噂の…なんとのう、同じ原料とは思えぬ柔らかさではないか、おおう!うまい!」
「いくらでもございますが、メインのオークキングのステーキがございますよ。」
「オークキング!それは珍しい。」
「厚く切ってさしあげろ。」
「はい!」
 隣の魔道コンロにフライパンを乗せて、じっくりと焼き上げる。下には、大量のニンニクを敷き詰めている。

 ゲオルグは、鼻をヒクヒクさせて香りを楽しんでいる。

「うまそうな匂いだ。」
「私も好きなんですよ。」
 前に出されたステーキを、熱いにもかかわらず、ものすごい勢いで食べてしまう。
「おかわりはいかがですか?」
「いただこう。」
 焼ける間に、また酒を出す。
「今度は、甘いな。」
「それは、無花果のワインです。」
「肉に合うではないか。」
「でしょう?」
 テーブルに、瓶ごと置いてやった。五合の貧乏徳利のような瓶だ。
 ゲオルグは、嬉々としてこれを自分のグラスに注いだ。
 あえて、銀のグラスである。
 毒は入れてないよと言う謎かけだが。

 焼きあがったステーキを食べ終え、ゲオルグは一息ついた。
「時にゲオルグどの。」
「なんですかな?」
「この戦、そちらからの仕掛けと伺いましたが、そうですか?」
「うむ、帝国の皇帝からの指示でな、まあ、宮仕えの悲しさか。」
「ミューラー領では、どうお考えです?」
「年行事のようなものだ、シェルブール辺境伯爵領にうまみは少なかろう。帝国が拡張するには、足がかりとなろうが。」
「そうですか、シェルブール辺境伯爵は、ベルゲン鉱山を割譲するなら、講和すると言っておりますが。」
「それは、勝ったものの言うことであろう。まだ、一当たりしただけではないか。」
「まあ、そう言うことですか。」
 カズマも、ワインに口をつける。

「ではまあ、次の一戦で決着を付けましょうか。わが軍は、ベルゲン鉱山を要求しますよ。」
「ならば、わが軍はシェルブール辺境伯爵領の半分を要求しよう。」
「かしこまりました。そのお言葉、お忘れなきよう。」
「うむ、うまい食事と酒を感謝する。」
「いえ、私も何もわからぬ新参者ゆえ、こうしてお話できて感謝の極み。」
「ふははははははは!気持ちの良い男だ、味方の陣営より話のわかる男が、敵陣営に居ようとはな!では、また会おうぞ。」
「次は、戦場で。」


 ゲオルグ=フォン=ミューラーは、愉快そうに陣営に戻って行った。


「さて、俺たちも戻ろうか。」
 カズマは、荷物を手早くまとめ、革袋に収納して陣営に帰った。

「さて、男爵、鉄腕ミューラーはなんと言って来たのだ?」
 シェルブール辺境伯爵は、鋭い目で俺をにらんだ。
「はあ、この戦で勝ったら、シェルブール辺境伯爵領の半分を寄こせと。」
 辺境伯爵は、目を見開いた。
「なんとまあ、欲の深い男よのう。」
「左様ですね、こちらはベルゲン鉱山をよこせと言っておきました。」
「ふむ、それではこちらのほうが、欲が深いかもしれんな。」
「はははははは。」


 ベルフット伯爵は、若干この若造が気に入らなかった。

 俺より目立つな、と言う嫉妬心であるが、若造にいいところを持っていかれたという感は否めない。
 副将と言う立場から、レジオ男爵を隅っこに追いやろうと思っていた。
「では、鶴翼の陣のこの右のところに、レジオ男爵軍五〇〇を配置する。」
「承知しました。」
 おっさん、よくやってくれるぜ。
 はじっこに配置して、出番をなくすとは。
 だが、地形の流れからすると、本陣前には兵士は集まらない。
 流れ的には、一当たりした後丘を回って、この右はじに向かう部隊が現れる。
 そこを叩けば、勝敗は決したも同然だろう。
 そう言う流れを、事前予想したのでいろいろ画策させてもらった。
 具体的には、俺の土魔法で高さ三〇センチくらいの壁を丘に何重にも立ててやった。
 これで、引っかかって丘を転げ落ちる。
 その上、それを避けると、必然的に丘を迂回して進行方向は左に転じる。

 本陣は、無事なんだからいいだろう?

 二月七日、決戦は目の前である。
 シェルブール辺境伯爵領の軍は五〇〇〇人、ベルフット伯爵は三五〇〇人、それに追加の軍勢が二〇〇〇人(地方領主の選抜軍)カズマの五〇〇人。
 都合一一〇〇〇人。

 対する帝国軍は、一四五〇〇人に上る。
 数では圧倒的に不利だな。
 イシュタール王国よりも国土が狭いくせに、よくもまあ集めたものだ。
 ただし、雑兵の練度はいかがなものかね?

「戦は人数ではないさ。」
「お屋形さま、いかがなさいます?」
 ゴルテスが、馬上から首をめぐらせた。
「目立つなといいたいのかねえ?あのオッサン。」
 自然な流れと言うものが、野戦にはあると言うことが、まるでわかってないんじゃないか?
 戦術とか戦略とか言うものは、ほんらい経験から身に付くものだが、このおっさん毎年戦争やっててぜんぜん身になってない。
「この陣形では、俺が目立つのは否めんわ。」
「さようでしょうか?こんなはじっこで?」
「見てろ、きっと出番は来る。ここは、みんな英気を養え。」
 そう言って、全員に喰い物を配らせた。
 酒だってくれてやる、戦は勢いが大事だぜ。

「飲みすぎるなよ、集中力が落ちる。いいか、ここで待ってりゃ手柄の方からこっちにやって来てくれる。そのとき、取りこぼすんじゃねえぞ!」
「「「「おおおおおううう!」」」」
「好い返事だ、今のうちに右前方に馬防柵を組め!」
「承知!」
「御意!」
 丘の右側に馬防柵を張って、敵の騎馬隊を狭い回廊に導きこむ作戦だ。
 うまく行かないと、後ろからやられるんだけど、どうぜ前も後ろも気が付いていない。
 丘の右前方には、森が点在していて、見晴らしが悪いんだ。
「挟み撃ちをされないように、次善策は必要さ。」
「左様、陣の後ろが若干弱をうござるな。」
「そこなんだよ、どうすればいいと思う?」

「まあ、シンガリに信用のおける部隊を配置するものですが、なに、馬防柵を森に向けてもう少し延ばせば、回り込むのに苦労しもうす。」
「じゃあ、俺が見えないように土の柵を立てるよ。」
「それがよろしゅうござる。森のところまで伸びれば、敵は進軍でき申さぬ。」
「さすがロフノール、陸軍士官は伊達じゃねえな。」
「元・でござるよ。今は、お屋形さまの家臣でござる。」
「へい、感謝感謝!」
 カズマは、土魔法で幅一メートル、長さ一五〇メートルほどの馬防柵を立てた。高さは一メートル半くらいだ。
 木製の馬防柵はかなりたくさんできたので、うまく並べて、長槍隊をその横に配置し、馬を横から突き刺すようにした。
 ま、武田の騎馬隊ほど勇猛でもないさ。
 みんなルーティーンワークのように思っている。

 カズマは、今日でこの戦を終わらせるつもりでいる。

 その差は大きいぞ。

 やがて、シェルブール辺境伯爵の軍配がひるがえって、進軍の銅鑼が鳴り響く。
 全体的に丘のふもとに向けて移動を開始する。
 勇壮なラッパの合図により、鶴翼の陣はその翼に獲物をとらえようとしていた。
 楔形陣形で本陣をつこうとしていたゲルマニア帝国軍は、丘の手前で急に向きを変えこちらの右翼に確固撃破を仕掛ける。
「ほら見ろ、やっぱり変化(相撲用語で言う。)しやがった。」
「後詰めの利点が出ましたな。」
「ああ、そろそろ俺たちも動くとしよう。」
「御意。」
 前方に作った馬防柵に向かって、そろそろと進軍する。
 どうせ、ほっといても丘の罠にはまり、ころころと…あ~あ、落ちてるよ、早ぇ~よ。

 カズマたちの陣の前では、どっかの黒エンビ着たチョビ髭のおじさんみたいにコミカルな現象が起こっていた。
 歩兵が、後ろから押されて、足を取られて、こけたままころころと丘を転げ落ちる。
 その向かう先は、馬防柵で囲われた狭い道しかない。
「長槍隊、配置に着きました。」
「よし、騎馬隊が通過しかけたら、横から突け!」
「御意!」
 本陣の方が、かなり激戦になっているようだが、こちらは搦め手で後ろに回ろうとしている部隊が来る。
 焦って走りぬけようとすると、ひどい目にあうぞ。
 ほらほら、歩兵がいるのに駆け抜けようとするから、混乱が起こっている。
 あ、歩兵が突っかけられた。
 なんの功もなく、自軍に踏まれる歩兵なんて、哀れなもんだ。

「よし!横っ腹に喰いつくぞ!」
「御意!」
「ロフノール!長槍隊まかせたぞ!」
「御意!」
 カズマは、馬を返して丘の上に上がった。
 馬を持って参戦した陣借り者一〇〇名と、こちらから馬を出したもの一〇〇名合わせて、二〇〇騎が丘の上から騎馬隊に突っかける。
 広い丘だが、馬で埋め尽くした感がある。

 一気に襲い掛かった。


「わあああああ!  わあああああ!」
「敵襲ー!敵襲ー!」
 これだけ混戦だと、魔法を使う暇がない。
 カズマは、メイスを振りまわして、向こうから来る騎馬武者を打倒して行った。
「行けー!行けー!」
 勇敢なわが兵は、いささかも臆することなく、馬上から槍を振り回している。
 狭い回廊での防戦など、敵うわけもなく、帝国兵が倒れていく。
 歩兵はもう逃げ出したいのに、馬がひしめいていて逃げ出せない。
 事態はますます混乱の極地。
 騎馬隊も戻そうとし始めて、丘の下はハロウィンの渋谷交差点なみの混雑になった。
「ロフノール!ウチの隊を引かせろ。」
「御意!」

 騎馬隊の指揮をロフノールに任せて、カズマは魔力を練る。
 久しぶりの極大魔法だ、存分にぶちかましてくれる。
 敵軍の上には、黒い雲が渦を巻き始めた。
 時折、気の早い空電がピカピカと光を漏らす。
 まだまだ、アホどもが混雑しているうちに、魔力はさらに練り込まれる。
「さあ、きたぞー。ロフノール!、準備はいいか!」
 一斉に引いたわが軍の動きに、なにかあるのではと躊躇した敵軍は、そこから前に進めなくなった。
 思うつぼだな。
「お屋形さま!全員引きましてございます。騎馬隊もこちらに戻っておりもうす。」
「よっしゃ!いかずちよ!敵を撃て!」

 別に、そんなこと言う必要もないんだけど、みんなに聞こえないと何やってるかわからないじゃないか。
 だから、これはサービス。
 雷系の魔法は、カズマだけのオリジナルなんだよ!

 その時、この世のものとも思えないほどの光が、塊となって暗雲から降り注いだ。
 中心に居たものは、その場で吹っ飛び、周囲にいたものは余波でしびれて動けなくなった。
 半径二〇〇メートル以内のものは、一斉に動きを止めた。

 しゅうううううううう

 静電気がパチパチと、唸りを上げている戦場は、そこだけ死闘の終わりを告げていた。

「うおおおおおおおお!!!!」
 わが軍の兵士たちが、勝利の雄叫びを上げる。
 思わずカズマも大声を上げていた。

「圧倒的じゃないか!わが軍は。」
「まことに。」
「さて、御大将どのはどうしたかな?」
 捕虜を拘束するには、いまだ静まっていない静電気が、放電されるまで三〇分ほど待たねばならない。
 丘の向こうを覗くと、いまの大音声で双方固まっているようで、動きが見られない。
「シェルブール辺境伯爵さまー!こちらは片付きましたぞー!」
 風魔法で、声を拡散させてやった。
 さあ、敵軍は浮足立ってきた。

 向こうの陣には、後方に偉そうにしているやつがいる。
 ゲオルグ=フォン=ミューラーじゃないな、誰だ?
「ロフノール、あいつだれだ?」
 敵方の小高い丘の上に立つ、騎馬武者を指さして聞いた。
「ほうほう、どこでござる?」
「あそこの陣の後方で、白い馬に乗ってる金色のやつだ。」
 見るからに、金持ちそうで鼻につく。
「おお、あれは帝国第二王子どのではござらんか?」
「まさに、あの兜の飾りに見覚えがござる。」
「そうか、では俺の獲物としよう。」
「ここから狙うのでござるか?」
「いや、それでは首を取っても、誰が取ったかわからんではないか、ひとっ飛びかっさらってくるさ。」
「御意。」
「その間、こちらは陣を守って、捕虜を拘束してくれ。」
「「承知!」」



 ほんの三〇人ほどの護衛を付けて、後方で戦闘を見ていた帝国第二王子、ロルフォ=フォン=ゲルマニアは、退屈していた。
「なんだ、こんどこそイシュタール王国の領土を切り取ると言うので見に来たが、苦戦しているではないか。」
「戦はこれからでございます。」
「そうかのう?あそこでなにか光ったぞ!」
 どおおおおお~~~ん!
 大音声のあと、そこにはピクリとも動かない兵士たちで埋め尽くされていた。
「うわー!あれはなにをしたんだ!」
「ま、魔法のようですが、何をしたのかわかりません!」
「うむむ、ゲオルグ=フォン=ミューラーはどこじゃ!」
「前線で指揮を取っているようです。」
「そうか…どうしたものかのう。」
 王子は、御年二十二歳。
 初陣を飾ってより、戦争は五回目であるが、かつてこれほどの音を聞いたことがなかった。

 そして、安全な場所に居すぎたために、判断が遅いと言う欠点があった。

 カズマは、フライの魔法を使って、軽く戦場を迂回して、向こうの丘に居る王子の元に向かった。
 ひゅ~っと言う音と共に、丘の上の王子のところに降り立つ。
「帝国第二王子、ロルフォ=フォン=ゲルマニアどのとお見受けする!私は、王国男爵レジオと申します。いざ、尋常に勝負!」
 わあっと、護衛の騎馬が駆けよって来る。
「ホーミングレーザー!」
 俺の一〇本の指からほとばしる光の筋が、駆けよる騎士の腕を貫く。
「うああ!」
「ぎゃー!」
 騎士は馬から次々と落ちる。
「馬に罪はなかろう。徒歩の敵に対して、馬で迫るは卑怯であろう。」
「ふ、ふざけるな!なんだその面妖な魔法は!」
「これは、修行の結果でござる。卑怯ではござるまい。剣技と一緒でござるよ」
「な!なんだと!」

「さあ、剣技でお相手いたすか?」
「いいだろう、抜け。」
 馬上で剣を抜く王子。
「よろしい、一手ご指南いたす。」
 すらりとメイスを構える。
「メイス?」
「左様、まいられい。」
 だっと馬を蹴って、剣が迫る。
 かくぃんと剣を打ち上げて、その剣を持った腕をつかんで馬上から引きずり下ろす。
「ごめん!」
 かきいいいんん!と、兜の上から打ちすえると、中で共鳴したのかぐったりと力が抜けた。
 馬から落ちてけがされても困るからな、そっと受け止めて寝かせる。
「なんだか、トンカチ漁みたいだなあ。」
 渓流で魚を取るあれですね。

 ついでと、周りの護衛はすべて電撃でのした。
 いちいちうるさいのはかなわんからな。

「ゲオルグ=フォン=ミューラー!王子はいただいたぞ!」

 戦場中に響くよう、風の魔法で拡声する。
「降伏せよ!投降せよ!戦は終わった!」
 戦場中に響く声に、全員が唖然とする。

「なんと、どうやってあの王子をとらえたのだ!王子とは言え相当な手練だぞ。」
 ミューラーは、目を剥いて驚いた。
「将軍!いかがしますか!」
 副官の声に我にかえるが、ことここに至ってはどうしようもない。
「こうなればどうしようもない、全軍ひけ!」
「はっ!」

 カズマは、馬に王子を乗せ、その轡を引きながらつかまえた馬に乗って進む。
 戦場は、モーセの十戒のように、真ん中で割れていく。
 みな疲弊しきっていて、立ち上がれない者もいる。
 その先に、ゲオルグ=フォン=ミューラーが仁王立ちしていた。
「よう、ゲオルグ=フォン=ミューラー、王子はいただいたぜ。」
「カズマ=ド=レジオ、やってくれたな。」
「戦法的に悪くなかったが、俺が居たのは不運だったな。」
「まことに、いつもの小競り合いなどと油断したわい。」
「じゃあ、ベルゲン鉱山はいただいていく、早々に引き返されるがよかろう。」
「王子はどうする。」
「そのうち、身代金くれるんだろう?捕虜として、保護するさ。ちっと臭い飯になるかもしれんが。」
「おいおい、相手は仮にも王子だぞ。」
「仮にもって、ひどい言い草だな。」

「捕虜になっては、何も言えんよ。」
「そうか、あとは文官の出番だ、また、イッパイ呑もうぜ!」
 カズマは、そう言って戦場を突っ切って行った。
 だれも手を出せなかったようだ。
 カズマが、王子を捕虜にして戻って見ると、上を下への大騒ぎになっていた。
 まあ、降伏勧告にも匹敵する大将首だ、シェルブール辺境伯爵だって、手放しで嬉しいだろう。
「よくやった!レジオ男爵!」
「どうも。」
「なんじゃ、嬉しくなさそうだな。」
「ゲオルグと、一当たりしたかったですね。手ごたえがありそうだったのに。」
「贅沢をいうものではないぞ、お主の陣地に向かった中に、猛将と言われるペーター=ラッセルが居たはずだが?」

「はあ?その辺でねっころがってるんじゃないですかね?手ごたえも何も、あっさり全滅してくれましたからね。」
「なんとまあ、お主、帰り血もないではないか。」
「そりゃまあ、私の得物はメイスですから、気絶させればいい。」
「なるほどのう。さて、凱旋じゃ!」
「そうですね、あとは文官の仕事ですね。」
「その通り!レジオ男爵よ、お主の持っているカルヴァドスと言う酒、ひとくちくれんかのう?」
「ああ、これですか?瓶ごとどうぞ、伯爵殿も。」
 カズマは、懐から酒びんを二本出して見せた。
「まさか、戦場でこうまでいい酒にありつけるとはのう。」
 カズマは、だまって銀杯を出すと、二人に持たせた。
 ゆっくり酒を注ぐと、二人は一気にあおった。

「ぷは~!うまい!」
「まったく!レジオ男爵!今夜はゆっくりやろうぞ。」
「承知しました。では、捕虜をしまってまいります。」
「うむ、王族である、丁重にたのむぞ。」
「了解しました。」

 カズマの陣屋に戻ると、そこでもお祭り騒ぎになっていた。
「うちのお屋形さまが、一番首じゃ!やったぞ!」
「お屋形さま!ペーター=ラッセルも捕虜にしました!その他、大勢大将首が舞い込みましたぞ。」
「そうか、捕虜にはちゃんと食事を出せよ。」
「先刻承知!おかゆを山ほど食わしてやりましょう。」
「しばらくは、しびれて動けないからな。三時間はほかしておけ。」
 シェルブール辺境伯爵は、何を言っているのか理解できていないようだが、ぽかんと口を開いていた。

 ベルフット伯爵に至っては、呆然としている。

 ゲルマニア帝国が誇る猛将を一網打尽に捕虜にしてしまったレジオ男爵という存在に、あきれているのか…。

 功名が辻である。

 たった一戦で、あきれるほどの戦果を挙げたレジオ男爵は、意気揚々と帰路に就いたのであった。

 ちなみに、陣借りものたちは、なんとなくレジオに居ついてしまったようだ。
 次の戦まで、レジオにいたほうが身入りがいいと感じたんじゃないかな?



 レジオに帰って、一〇日もしたころティリスが産気づいた。



 恵理子は、期待に添うように、しっかり産屋を清潔に保ってくれた。
 えい児死亡率が高いイシュタール王国において、安全に出産できる環境を整えるのは、重要なことなんだ。
 ベスおばさんに追い出されて、カズマたちは産屋の近くの部屋に座り込んだ。
 ゴルテスがいらいらと、肩をゆすりながらその辺を歩いている。
 ロフノールも貧乏ゆすりをしている。
「お前ら落ち着け、病気じゃないんだから。」
「そう言うお屋形さまも、顔が真っ青ですぞ。」
「さようさよう、お茶のカップも持ったままですぞ。」
「「「へへへへへ」」」
 全員そろってため息をついた。

「なにやってるんですよ、みなさんそろって。」
「チコか、お前も手伝いか?」
「はい、お湯持ってきました。」
「そうか、頼むよ。」
「おまかせください、お屋形さま!」
 そう言って、部屋に入って行った。
「どうです?」
 ウォルフが部屋をのぞきに来た。
「ああ、今はいったばっかだからな、ぜんぜん。」
「そうですか…」
 そう言ったまま、ソファの端に座る。

「にゃ?みなさん、こんなところでどうしたにゃ?」
「トラか…」
 トラは、白いシーツをたくさん持ってきた。
「まあ、ドロ船に乗ったつもりで、ど~んと構えるにゃ。」
「そりゃ大船だろう。」
「にゃははははは。」
 トラは顔を赤くして、部屋に入って行った。
「トラちゃん!マリア呼んできな!」
「はいにゃ!」
 トラが、あわてて部屋を飛び出してゆく。

「アカン、ここにいると悪いことばっかり考えちまう。俺は、執務室にいる。」
「そうですね、僕も戻ります。」
「それがしも、兵舎に戻りますわい。」
「…」
 みんな、いたたまれなくなって、部屋を出ていく。
 トラは、マリアを呼んできた。
「お屋形さま、このままだと生まれるのは夜中ですにゃ。」
「そうか、みんな頼む。」
 男のできることなんて、ここには何もない。
 情けない話だが、出産の場で男は無力だ。




 ただひたすら待つばかりだった…
しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

戦場の英雄、上官の陰謀により死亡扱いにされ、故郷に帰ると許嫁は結婚していた。絶望の中、偶然助けた許嫁の娘に何故か求婚されることに

千石
ファンタジー
「絶対生きて帰ってくる。その時は結婚しよう」 「はい。あなたの帰りをいつまでも待ってます」 許嫁と涙ながらに約束をした20年後、英雄と呼ばれるまでになったルークだったが生還してみると死亡扱いにされていた。 許嫁は既に結婚しており、ルークは絶望の只中に。 上官の陰謀だと知ったルークは激怒し、殴ってしまう。 言い訳をする気もなかったため、全ての功績を抹消され、貰えるはずだった年金もパー。 絶望の中、偶然助けた子が許嫁の娘で、 「ルーク、あなたに惚れたわ。今すぐあたしと結婚しなさい!」 何故か求婚されることに。 困りながらも巻き込まれる騒動を通じて ルークは失っていた日常を段々と取り戻していく。 こちらは他のウェブ小説にも投稿しております。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

処理中です...