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第四十二話 王国の思惑

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「行ったか…」
「はい。」
 侍従は、無感動に、無表情に対応する。
 王宮の執務室は、やはり地味なもので、濃い色の板を張り巡らせた、十畳ほどの広さの部屋である。
 王の机の前に立つ宰相は、王よりいくばくか上のようだが、やせて顔色もあまりよろしくない様子である。
「この王都の守りの要は、マゼランだが、そこを抜かれたらレジオで食い止めねばならん、そのためにもレジオは早急に復興させねばな。」
 宰相は、困った顔で答える。
「それであれば、わざわざ新興の男爵などとおっしゃらなければよろしいのに。」
 国王は、にやりと笑う。
「ガス抜きよ。ほかの貴族の不満なども一緒に持って行ってもらわねば、王室への風当たりがきつくてかなわん。」


「これは、王様のお言葉とも思えませんな。」
 宰相も、にやりと笑う。
「貴族など屁でもないか?」
 国人衆などが、落ち着きがない。
「体制としては、特に問題なのは、バロア侯爵領でしょうか。」
「まあな、彼は玉座を狙っているのはよくわかっていて、面白味がないな。」
「御冗談を、彼の軍隊は五千人を超えますよ。」
「それでも五千だよ。隣国との境を守っているのだから、簡単に動かすことはできまい。それに、王国の軍隊は二万ではきかんだろう?」
「それだといっても、国境維持軍を含めての数字です。」


「だからカズマが必要なのだ、搦め手とはいえ魔物一万匹を屠ってみせた手腕は、ほかの国に引きぬかれたら脅威だぞ。」

「御意。」
「シェルブール辺境伯の様子はどうだ?」
「いまほど届きました密書によれば、隣国ゲルマニアとの小競り合いが発生したとのことでございます。」
「ならば、勢力はそっちに持っていかれるな。」
「はあ、なにぶんあそこの製鉄の生産は、重要ですから。」
「それゆえの、辺境伯であろう?鉱山の維持には、金がかかる。それゆえ、広大な領地がある。」
「まことに。」
「やつがだめなときは、カズマをぶつけてやれ。領地の入れ替えでもいいな。」
「それは、内乱の元になります。」
「冗談だ。」

 王国も、なかなか一枚岩とは言いかねるようです。

「それにしても、レジオのパンはうまかったのう。」
「は?」
「なんでもない。」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「新興の男爵家のう…」
「お屋形さま、レジオ男爵家ですか?」
 執事は、湯気の立つお茶の器を、執務机に置いた。
「どう見る?」
 長年この辺境伯家につかえ、数々の戦闘に参加してきた、たたき上げの執事である。
 最悪、こいつがうちの最後の砦だな。
「残念ながら、スケープゴートにされますな。」
「やはりか?」
「実績も何もない、ぽっと出の冒険者でございましょう?後ろ盾もなにもなく、男爵領は人口が半分。失敗するのは目に見えてございますな。」
「それをもって、われわれの不満をガス抜きするか。」
「御冗談を。」
「ふむ、王国の施政もすでに三〇〇年、そろそろ代替わりをしてもよかろうな。」

「お屋形さま、壁に耳ありでございます。」

 障子にメアリー?

「そうだな、いましばらく体制が整うまでは、この野望が漏れてもいかん。」
「は、それまでは辛抱でございます。」
「うむ。」
 香気の立つお茶を手に、辺境伯ノルト=ド=シェルブールは、椅子の背に深々とその背を預けた。


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 かぽかぽと、呑気な音を立ててロバの馬車は行く。
「お屋形さま~、ちんからりんと音がしないんですねえ?」
 恵理子は幌の中から、のんきな声をかける。
「俺は、パン売りじゃねえ。」
「あはは~、レジオのパンは有名やないですか。」
 こいつ、情報収集がうまい、油断ならないな。
「なるほど、パン屋のおやじかい。」
 すると、アリスティアはほほえんだ、
「おやじってほどの年でもございませんでしょう?」
「確かに。」

 馬車の横には、アルマン=ボルドーと、マルクス=レクサンドが馬車を挟むようにして進んでいる。
 マリウス=ロフノールは、退屈になったのかゆらゆらと舟こいでやがる。
 総勢二〇〇人余の隊列は、粛々と進み農場で作業する農夫たちは、手を止めてそんな行列を眺めている。
 馬車の前に一〇〇騎、馬車の後ろに一〇〇騎。輜重隊の馬車が一〇台シンガリだ。
 徒歩の兵は、後方からのんびりと進んでくるので、ここからは見えない。
 豊かな農村が、レアンの郊外には広がっていて、王都の食を支えているのだな。
 農地の向こうには、深い森が点在して魔物たちの住処となっている。
 ウサギやウルフ以外は、あまり森から出てはこない。
 やはり、森の木々に身を守られているからだろう。

 どんどんどんどん!

 前方から和太鼓のような勇壮な音が聞こえてきた。
「まずい!」
 アルマン=ボルドーが、騎馬の首を回して前に出た。
「男爵殿、前線の指揮を執ります!」
 そう言い残してアルマンは走り出した。
 どおーんという音とともに、前方で数人の騎士が空に舞う様子がここからでも見える。
「な・なんだあれは!」
 俺の声に、マリウスが目を覚ました。

「「「わああああ!!!」」」
 騎士たちの真っただ中に躍り込んだマウンテンゴリラの大きさは、頭のてっぺんまで八メートル。
 筋肉の塊のような盛り上がった胸板。
 一振りで、四~五人を、一気に吹っ飛ばす腕力。
 尋常でない相手である。
 しかも、騎馬での対応は、いまいち現実的ではない。

 通常なら、数十人で囲んで、槍で突き殺すものである。
 騎士たちは、刺突槍を持っていない。
 今は、片手剣のみの装備であるから、騎馬から攻撃が届かない。
「うわー!」
 騎士の三人がこぶしをくらって、馬から弾き飛ばされた。
「ちくしょう!このままではジリ貧だ!」
『下がれ下がれ!みんな、下がって陣形を組みなおすのだ!』
「アルマン隊長!」
『後ろの馬車から槍が届くまで、直接戦ってはならん!』
 騎士たちは、馬の首を回すと、一気に距離をとる。
 マウンテンゴリラは、牙を剥き出して威嚇しながら、胸のドラムを高らかに鳴らした。

どんどんどんどんどん!

「どうしたんだ?マリウス。」
「あの音は、マウンテンゴリラの『怒りのドラム』です。これはまずいですね、最初から怒っているようです。」
「マウンテンゴリラ?」
「男爵は見たことがありませんか?」

「寡聞にして知らないなあ。」
「さようですか、マウンテンゴリラは森の果物を主食としている大型のサルですが、人を襲って喰うこともあります。今は繁殖時期で気が立っているのでしょう、人間の群れを見つけて怒り狂っていますね。」
 なるほど、スイートホームを荒らしに来たとでもいうことか。
「そうか、騎馬隊で対処できるのか?前方には二十騎ほど先行していたようだが。」
「まずいですね、騎馬では対処が難しいです。歩兵のハルバートで取り囲んで倒すのがセオリーです。」
「それじゃまずいじゃないか、マリウス、悪いが伝令に出てくれ。」
「は、かしこまりました。」
「直ちに撤収、ここまで下がれだ。俺が行く。」
「了解であります、男爵の雄姿が見られますな。」
「さて、それはどうかな?」
 俺は、ロバを止めて、アリスに手綱を渡した。
「馬車を頼む。」
「はい。」

「ダンナ、だいじょうぶ?」
 恵理子は、ホロの中から不安そうな顔を出して聞いた。
「まあ見てろ恵理子、装着!」
 青い鎧が飛び出して、俺の体を鎧う。
「うは~!じょうちゃくした!」
 恵理子は字をまちがえてる。


 街道のかなたから、騎馬隊が撤収してくる後を、土煙を上げながら二頭のマウンテンゴリラが、駆けてくるのが見える。
「ほほう、でかいな~、七~八メートルはありそうじゃないか。」
「お屋形さま、本当に大丈夫ですか?」
 アリスも、心配顔をしている。
 まあ、あれを見たらな…
「わからんが、なに、一当てしてみないことには、なんとも言えんだろう。」
 俺は、愛用のメイスを片手に走り出す。
 やはりこの体は軽い、走っても息切れもしない。
 前方から駆けてくる騎馬の群れとすれ違う。
「アルマン、後方で陣形を固めてくれ、聖女を頼む!」
「は!」

 ロバの馬車を取り囲むように、騎馬の騎士たちが集まった。
 幸いにして重症のものはいないようだな。
 せいぜい手足が折れた程度か。(十分重症だと思うが…)
 聖女がついている、怪我などなにほどもない。

「ごおおおお!」
 俺が前に出ると、前方から走ってきたマウンテンゴリラが、咆哮をあげた。
 どんどんどんどん!
 なるほど、胸に空気をためてそこを叩くから、太鼓のように響くのか。
「ならば、そこは弱点か!」
 マジックアローを二〇本同時起動して、ゴリラの胸に叩き込む。
 きんきん!きん!きん!
 硬質な音を立てて、マジックアローが跳ね返される。
「なんだあの固さは!」

 どんどんどんどん!

「まったくキングコングかっちゅうの!」
 怒りのドラムを叩きまくり、俺に対して威嚇してくる。
「それがどうしたあ!」
 俺はメイスを地面に突き刺して、両手を広げた。
「ホーミングレーザー!」
 レーザーが光の尾を引いて、コングの胸に向かうが、かいん!と音を立てて跳ね返される。
「ありゃあ?こりゃあまずいかなあ?」
「ごああああああ!」
 口から火を吹く勢いで、マウンテンゴリラは向かって来た。
「ちくしょう!これならどうだ!ホーミングレーザー!」

 俺は、ゴリラの足首に焦点を集中して、焼き切ることにした。
 思った通り、足首の皮は胸板ほど厚くないようで、レーザーは直径三センチほどの穴を足首にあけた。
「ごあああ!」
「そりゃ痛いだろう!」
 ゴリラは、俺の目の前で前転する。
 あ~あ、顔から突っ込んでるよ。
 もう一匹も、走り出す前に足首を貫く。
 むこっかわで、足を抑えて転げまわっている。
「そりゃ、痛いだろうな。」
「ごああああ!」
 片足になった目の前のゴリラは、それでも八メートルはある。
 目の前に壁ができたように思えるが、右足が痛みでぶるぶる震えている。

 俺は、改めてメイスを手にすると、残った左足の甲に、おもいっきり打ちつけた。
「がわ!ごわ~!」
 そりゃ痛いよなあ。俺も痛いもん、そこ。
 ゴリラはやみくもに拳に握った手のひらを振りまわす。
 見えているのかいないのか?
「うおお!」
 目の前に来た拳を、メイスの柄で受けると、後方に吹っ飛ばされた。
「いって~!」
 背中から地面に打ちつけられて、いっとき呼吸が止まった。
 びっこをひきながら、さらに迫ってくる。
 がん!がん!
 地面だろうとお構いなしに、拳を叩きつけてくるのを、横に回転して何とか避ける。
 こぶしが当たった地面は、盛大に土煙を挙げて、小石がばんばん飛んできて俺に当たる。

「あんなもん、当たったらただじゃすまんわ!」


 かと言って、タダじゃなければいくらだと、教えてくれるようなゴリラじゃないが。


 俺は必死に距離を取って、魔力を集中する。
「ランドウオール!」
 ゴリラが軸足にしている左足の下から、土の壁が盛り上がる。
 いわゆる土ボコだ。
 当然、ゴリラは後ろ向きにひっくり返るのだ。
「ファイヤーボール!」
 頭の上から、顔に向けて玉ころがしのような大きさの(一メートルくらい。)ファイヤーボールを叩きつけた。
「ぼはあ!」
「お!効いてる効いてる!」
 メイスでもって、おもきし横面を張り倒す!
 耳から血を噴き出すが、まだまだ元気だな。
 心臓も、バスケットボールより大きそうだもんな。
「ごあ!ごああああ!」

「もういっちょう!」
 今度は、ドラムの上からメイスを叩きつける、思惑通り空気が無理矢理吐き出される。
「ごはあ!」
 やっと動きに隙ができた。
 俺は、五メートルほど下がって、魔力を練る。
「ランドランサー!」
 オークキングを屠ったあれである。
 固く固く固めた土の槍。(全長約三メートル。)
 もはや、鉄と言ってもいいぐらいに固くなったそれを、空高く飛翔させる。
 具体的には一キロくらい上空に上げて、一気に落下させるとどうなるか?
 きいいいいいいいぃぃぃぃぃぃんんんんんんん
 落下するに従って音速を超える。
 ソニックブームをまとって、そいつはゴリラの腹に突き立った。

 突き刺さると同時に、衝撃波が後からやってくる。
 ぅどおおおおおおおん!
 舞い上がる土煙の中に、マウンテンゴリラの断末魔が響き渡った。
「ふう!こえーこえー、チンタマ縮むぜまったく。」
 マウンテンゴリラは、ドテッパラに一メートルくらいの大穴を開けて、そこで大の字になっている。
 びくんびくんと振動しているが、そのうち止まった。

 当然ながら、槍は地面に突き立っているが。
「男爵殿!もう一匹来ますぞ!」
「サンキュー!マリウス!」
 マリウスは、パリカールの馬車を固めた一団の先頭に居る。
「いてまえ!お屋形さま!」
 恵理子は顔を出すなよ、あぶねえなあ。


 もう一匹も、足を引きずりながらこっちに向かっていた。

 こいつも八メートルは優に超える。
「うぜえ、サンダー!」
 風魔法サンダーを二〇本ほど呼びだす。

 こいつは、当たるとシビれて動けなくなる。

 ぱあん!ぱあん!と、景気のいい音を立てて、サンダーが地面を穿つ。
 二〇本のうち、何本かがゴリラに当たるが、効きが悪い。
 あの分厚い毛皮が曲者だ!
 かんたんに魔法を弾き飛ばしてしまう。
 強敵だ!

「ごあああああ!」
 こいつも拳を振りまわしてきたが、さっきのやつよりかなり狙いが正確じゃん。
 メイスの柄で受け流そうとしたが、いい角度でもらってしまった。
 がいん!
 鎧にまで当たっている。
「いてえ~!」
 俺は五メートルほど弾き飛ばされた。
「男爵どの!」
 マリウスが駆けよって、槍を構えた。
 声を出そうとして気が付いた、アバラ五本ほど持ってかれた!
 ぐはあ!いてえ!

 ヒーリングが必要だな!

「よせ、マリウス。」
「なんの、この程度の魔物など…」
「ごあああ!」
 マリウスの槍での牽制を、ゴリラの手のひらが、かきはらおうとして左右する。
 さすがにマリウスはうまい、それをさばきつつ、穂先を体に届かせている。
 ゴリラの手のひらから鮮血が舞う。
「男爵殿!」
 後ろから、剣を抜いたアルマンと、近衛騎士隊のマルクス=レクサンドが徒歩<かち>で走ってきた。
 この場合、馬は邪魔になるのだ。
「こいつ!」
 がいん!
 マルクス=レクサンドが剣を叩きつけるが、分厚い毛皮が通さない。
 マウンテンゴリラの固い毛皮は、業物の剣ですら一度では通らないようだ。
 何度も切りつけて、やっと皮を切り裂くことに成功した。

 その間に、いったん下がった俺は、治癒魔法を寝る。
 俺は、痛む背中を気にしつつ、ヒーリングを行い、メイスを頼りに起き上がった。

 アバラが動いて、むちゃくちゃ痛かった。

「アルマン、マルクス、かたじけない。」
「なんの!」
「男爵こそ。」
「そのまま、引きつけておいてくれ。」
「「承知!」」
 俺は、痛む背中を気にしつつ、魔力を集中する。
 生半可な魔法では太刀打ちできないと悟った。
 集中する、魔力を限界まで練りこむ。
 ちくしょう、詠唱に時間がかかる。
 いくぞ!
「テラサンダー!」

 俺の両手から弧を描いて、極太のサンダーがゴリラの頭部を狙う。
「ばづん!」
 奇妙な音がして、ゴリラの耳から黒い煙が吐き出された。
 見れば、目、鼻、口からも煙が出ている。
「やりすぎたか?」

「やりすぎましたな。」
 マリウスが、余波でしびれて槍を取り落とした。
「た、たしかに。」
「しびれました。」
 アルマンとマルクスも、金属鎧のため、全身に感電したようだ。
 二人とも尻餅をついた。
 がしゃり、金属鎧が重そうな音を立てた。

「ぷは~。」
 マリウスが、息を吐きながらその場にしゃがみこんだ。
「悪い悪い、ちょっと加減ができなかったんだ。難敵だったね。」
「さよう、難敵でござった。」
 俺も、その場に座り込んで、あぐらをかいた。
「さすがに無詠唱とは驚きました。」
「そんなに珍しいかい?」
「ええ、めったにお目にかかりませんな。」
「そんなもんかねえ?」

「お屋形さま~!」
 アリスがあわてて走ってきた。
 その後ろから恵理子もかけてくる。
「ああ!お屋形さま!ご無事でなによりです~。」
 なにげにすがりついて、び~び~泣き始めた。
「お屋形さま、かっこよかった~!」
 恵理子にはウケたようだな。
 走ったからか、ほほが真っ赤だ。
「どうした?アリス。」
「向こうから見ていたら、あんまり大きい魔物ですもの、心配で心配で!」
 ズビズビ鼻水をすすりあげる。
「そうか、悪かったな。」

「奥方、男爵どのは、無双でござる、心配は御無用ですわい。」
「まことに。」
「うんうん。」
 三人三様、うなずいている。

「よせやい、もうちっと修行しないと、いまのはヤバかった。アバラ五本持ってかれたし。」
「アバラ五本でござるか!」
 マリウスはあきれた声を上げた。
「それでよくまあ、集中できたものですな。」
 アルマンも、うめき声を上げている。
「まことに。」
 マルクスも呆れ顔だ。

「ま、みな無事でなによりでござる。」
 マリウスは、槍をたよりに、よろよろと内またで立ち上がった。
「おう、そう言えば、騎士団の連中は無事か?」
「はい、みなさん軽傷で、軽く治療しておきました。」
「そうか、手数をかけたな。」
「いえ。」
「ありゃ?」
 妙に痛いなと思ったら、左手が見事に折れている。
「痛いわけだ、折れてるわ。」
「お屋形さま~!」
 アリスは、鼻水をたらしながら治癒魔法をかけてくれた。


「ずびずび。」


「こいつって食えるかなあ?」
「肉は柔らかいそうですよ。」
「うえ~、こんなでっかいの食べるの?」
 恵理子は顔をゆがめている。
「好き嫌い言ってんじゃねえよ、文明人。」
「あんま~わかりませんわ、こっちに来てまだ五日くらいやし。」
「それであのぼろんぼろんって、おまえどんだけ抵抗したんだよ。」
「いや~、言葉はわからんし、いきなりつかまれるしで、パニックですわ~。」
「それで手足折られて、お漏らしするほど殴られるかふつう。」
「だって、犯されると思ったら、ふつうは暴れるやないですか。」
「まあそうかもしれんけどな。」
「だいたい、さらっと漏らしたとか、よう言いますね。花も恥じらう乙女つかまえて。」
「あっこまで見て、それ以上どうせいって言うねん?」


「まあまあお屋形さま、騎士たちにお下げ渡しになってはいかがです?」
「そうか、騎士諸君、こいつでイッパイやるか?」
「「「「おおおー!」」」」

「やるってさ、じゃあ酒出してやろう。」
 俺は、ストレージから酒樽を出して、騎士たちにふるまうことにした。
「どうせそろそろ野営地だろう?このくらい呑んでも、大丈夫さ。」
「賛成ですな、くじ引きで見張り番を決めましょう。」
「あらま、そいつはかわいそうね。」
「これも任務のうちですよ。」

 は~、銭湯シ~ンを書くのは楽しいねえ。
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