両性愛は人類愛!

真憂

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別れと目覚め

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彼女は彼の腕の中にいた。その安心感で、あいつの姿はすっかり消えていた。身代わりに刺された彼は、体からナイフを抜き取る。

「夢だから血、出ないんだ」

「俺は人間じゃなくて概念だからな。あのストーカーだってこの世界ではそうだよ。全部お前が作り上げたものなんだよ」

「私が…作り上げた、もの?」

「今お前は自分で自分を守れた。これで心配ない。あ、後あのオーディション、現実ならまだ間に合うと思うぞ」

「えっ?」

「あれ、お前の緊張感が生み出した架空の体験だからな。ストーカーも殺人未遂が明らかになれば逮捕されるだろうし、まだオーディションに応募した段階の時に起こった事件だから」

「急いでリハビリすれば間に合うってこと?」

「そういうこった、トップアイドルになれよ!」

彼が身体を離す。

「まだ安心感足りない?」

「ううん」彼女は首を横に振る。「どんな時でもどんな悪意に直面しても、歌ってればいいんだって思えた、でも…」

「でも?」

「あなたに会えないのはちょっとさみしい…」

そのとたん、彼が唇を塞いできた。優しいキスだった。

「昔から王子のキスで、姫は目覚めるって言うだろ」

彼の声が段々遠い。

「そんなおとぎ話…」彼女は何とか言う。光が眩しい。

「白馬の王子って思えって言ったろ、また押し潰されそうになったら俺が助ける」

彼の言葉がもう聞こえない。でも脳裏にはしっかり刻み込まれる。意識が遠ざかっていく。

「またね、お姉さん」
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