さきのない恋だとしても

真憂

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好きを伝える方法

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「美味しいね~」

「ん~」

間宮優一と付き合い始めて1ヶ月。映画の帰りに焼き肉に来ていた。

優一が苦笑した。「ん~ってどっちなのさ。美味しい?美味しくない?」

「美味しいよ。」

「ほんとかなぁ、美智留はいつも俺に対して受け身だし、どっか冷めてるよね。俺の事好き?」

「好き」言うが、棒読みになってしまう。それを優一も見抜いたようで、溜め息をつく。

「やっぱ、前の彼氏の事?」言葉に詰まる。正直啓の事はまだ忘れていない。女は次の彼氏ができたら前の彼氏の事なんか黒歴史になると言った奴は誰だ。私は女だが全然当てはまらないぞ。

「やっぱ俺が至らないのかなぁ…」しょぼくれてしまう優一に慌ててフォローを入れる。

「そんなことないよ。優一はよくやってくれてる。デートの行き先だってちゃんと候補持ってきて私に聞いてくれるし、私があんま話せない時も話題を振ってくれるし、気も使ってくれる。」

「なんか褒め方が仕事みたいなんだよなぁ…」

ぶつぶつ言う優一。彼の言いたい事は大いに分かる。恋人なら当然の「あなたがとにかく好き!」という気持ちを感じたいのだろう。優一はそうな訳だし。しかしもともと恋人にぞっこんになるタイプじゃないのと、啓の事があってどうも優一という存在に集中できない。

「サバサバもここまでくると…せめてツンデレにできない?デレが欲しいです。」冗談めかして言ってるけど、本気なんだろう。

しかしこれは結構深刻な問題だ。恋人と言えない関係になりかねない。何とかできないだろうか。

そうだ!優一の良いところに目を向ければいいんだ。恋人的な良いところ。普通好きで付き合ってるんだったら意識しなくてもできる気がするけど、嫌いな人の良いところを上げてったらいつの間にか好きになってた的な心理もあるし。いや、優一の事は別に嫌いな訳じゃないんだけどね。興味が持てないだけで。とりあえず優一の良いところを本人に伝えてみよう。

「優一ってさ…」

「ん?」

「…イケメンだよね」

「何さ今更。あと何で嫌そうなの?」

失敗した。心理学は当てにならない。あなたが好き!という気持ちは態度で感じるものだよな…
あと私がイケメン基本的に嫌いなのがバレてしまった。

ええい、最終手段だ。「ん!」手を伸ばす。

「ん?」

「繋ぐの!手!」

「何で焼肉屋で食事中に?」優一は言いながらもとりあえず私の手を握った。

ぶんぶん振ってから離すと、優一は嬉しそうに笑っていた。

「美智留は不思議な娘だなあ、今のが気持ちってことね。」

とりあえず切り抜けられた。やっぱ言葉で無理ならスキンシップ…なのかな?
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