大切なお義兄ちゃんのために皇帝になりましたが実弟と戦ったり臣下に惚れられたり色々と大変です。

第４編皇帝陛下と楊玉環

第５章料理

「最近厨房によく行ってるらしいね。何か見たいものでもあるの？」
ある日、私は自分の部屋で雪女衣に問いかけた。

すると雪女衣は言った。
「はい。お料理に関心がありまして。いつかはやってみたいと思ってやり方を見て学んでいるんです。」

「ミー。ミー。」
それに対して悠々が言った。

雪女衣は悠々の言葉を聞いて落ち込んだ様子だった。
私は楊ちゃんに言った。
「悠々は何て言ったの？」

楊ちゃんは言った。
「（羽とくちばしでは料理は出来ないでしょう。）って言ったの。まったく畜生は思いやりがないわねー」

悠々は雪女衣の落ち込んだ様子に少し焦ったのか言った。
「ミー。ミー。」

すると楊ちゃんが言った。
「（ですが気持ちは素晴らしいですね。働きもせず惰眠をむさぼっている狐とは大違いです）ですって。言うじゃない。私だって料理くらい出来るわよ。」

それに対して雪女衣が尊敬した様子で言った。
「お料理が出来るのですか？　さすがですね。」

すると楊ちゃんはばつが悪そうな顔をした。
悠々はそれを見逃さずに言った。
「ミー。ミー。」

楊ちゃんは悠々の言葉に怒った様子で言った。
「（嘘ですね。狐にそんな高等な技術があるわけがありません。）ですって。本当に失礼な猫ねえ。私の料理の腕の披露もかねて猫なべでも作ってやろうかしら。」

楊ちゃんの言葉に悠々は鼻で笑った。
すると楊ちゃんは狐に変化し、悠々に飛びついた。

「シャー。シャー。」
悠々は楊ちゃんの攻撃をかわし楊ちゃんに飛び掛った。

「お二人とも止めたほうが」
雪女衣は二人の様子を見ると止めに入ろうとした。

「近づくと危ないよ」
私は雪女衣を抱き上げた。

すると雪女衣は不安げに言った。
「ですがお二人が怪我でもしたら。」

私は言った。
「大丈夫だよ。じゃれあってるだけだから。二人とも本気で怪我するまではやらないよ。」

「そうですか」
雪女衣は安心した様子で言った。

一通り落ち着くと楊ちゃんは言った。
「今日はこんな所にしておいてあげるわ。あと言っておくけど、私は料理なんか出来ないわよ。さっきのは見栄を張っただけ。」

私はなぜ楊ちゃんがここまで得意げであるのか疑問だったが余計な事を言って喧嘩が再発しても良くないため黙っていた。

すると雪女衣が言った。
「陛下はどうなのですか？」

その言葉に悠々はあきれた様子で鳴いた。
「ミー。ミー。」

楊ちゃんが言った。
「（陛下は皇帝陛下ですよ。お料理は下々の者のする事です。陛下がなさるわけが無いでしょう）ですって。まあ。そうよね。私もそう思うわ。」

雪女衣は言った。
「そういう事ですか。」

それに対して私が言った。
「料理でしょ。結構得意だよ。」

すると楊ちゃんは驚いた様子で言った。
「あなた。料理が出来るの？　一体いつ覚えたのよ？」

私は言った。
「小さい頃にこっそり練習してたんだ。ばれると怒られちゃうから夜中にこっそりだけどね。」

それに対して楊ちゃんが何かに気付いた様子で言った。
「分かったわ。またあの真面目男のためでしょう。」

私は言った。
「そうだよ。その頃、お義兄ちゃんは忙しくてあんまり食事を取らなかったから。少しでもなにか食べて欲しくて料理の練習をしてたんだ。」

その言葉に楊ちゃんは私を抱きしめて言った。
「本当に健気ねー。そして安定して気持ちが重いわ、」

すると雪女衣が涙目で言った。
「素晴らしい関係性ですね」

私は言った。
「結局。かえって迷惑かけちゃったんだけどね。上手くできなくて泣いてたらお義兄ちゃんが気付いてきてくれて料理を教えてくれたんだ。それに失敗したものも全部食べてくれたんだよ。」

悠々は鳴いた。
「ミー。ミー。」

すると雪女衣が言った。
「（昔からお優しい方ですね。）ですか。そうですね。李憲様は本当に真っ直ぐなかたです」

それに対して楊ちゃんが言った。
「あの男はなんだかんだ言って陛下には甘いのよねー。でもそうなると興味が出てきたわ。陛下の料理を是非食べてみたいわ。」

私は言った。
「いいよ。気分転換に作ってあげる。」

こうして私は料理を作る約束をしたのだった。