乙女ゲームの主人公に転生した私は、BADENDを避ける為に悪役令嬢と仲良くしようと思います

ヨッシー

文字の大きさ
7 / 14
第一章 魔法学校入学前

06.襲撃

しおりを挟む
 原作通りなら、とうの昔にバレている。
 原作での『ラヴィ・プラネス』の魔法覚醒は6歳。
 事の発端は『ラヴィ・プラネス』が無意識に魔法を使ってしまった事。
 それを偶然母親が発見する。
 
 シナリオとしてはそんな感じだ。
 
 勿論当初の私の精神年齢は20歳を超えている。
 幼き故の過ち、魔法の暴発などは有り得ない。
 原作を知ってるのだから尚更。
 つまり私の役目は『ラヴィ・プラネス』を演じ、原作通りに事を進める事。
 魔法学校に入学する事だ。
 だが私は原作通りに事を進めず、意図的に隠し通す。
 勿論いつかバラすつもりではいた。
 でも母と別れるのは辛い。
 いざ言おうとすると心が痛む。
 明日、また明日と先延ばしにしてるうちに、ズルズルここまで来てしまった。

 そして私は気づいた。

 果たして言う必要があるのかと。
 
 私は今まで無意識のうちに『ストーリー通りに進めなきゃならない』と思い込んでいた。
 乙女ゲームの台本通りに。
 だがここは『乙女ゲームの世界』であって、『乙女ゲーム』とは違う。
 彼らは紛れもなく人間。
 別の言い方を用いれば、キャラクターに自我が宿った形。
 元々の性格は設定された当初のものだが、自分の意思で判断し、行動出来る。
 違和感なく会話が成立するのだから、それは間違いない。
 ここは現実だ。
 台本通りに事を進めなくとも、時間は進む。
 私が魔法の事を母に打ち明けて無いのに時間が進んでいる現状が、それを裏付ける。
 シナリオに縛られる必要は無い。
 現実にシナリオは存在しないのだから。
 
 ならこのままでも良いのでは無いか?
 母とこのまま暮らしても?
 
 母と一緒に居たい。
 その想いは強い。
 だがそれを抜きにしても、私はここに居た方がいい。
 現に魔法学校に進めば、乙女ゲームのストーリーが始まってしまう。
 攻略対象と悪役令嬢に出会う。
 つまり死ぬ可能性が出てくる。
 ワザワザ死にに行く馬鹿者はいないだろう。
 ここに居て安全に暮らした方がマシだ。
 無条件にバッドエンドを回避出来る。
 日々悩み、死から解放される。
 出世の為に命はかけられない。
 今の暮らしでも十分。
 私は母と暮らせればそれでいい。
 出世して楽をさせてあげられないのは気掛かりだが...........
 
 すると私の目の前に選択肢が浮かび上がった。




1:辺境の村で母と二人で暮らす。
2:魔法学校に入学する。

 


 まるで乙女ゲーのよう。
 考えるまでも無い選択肢。
 私は頷く。
 そして迷う事なく『2』を選ぼうとしたところで...........

「きゃあああああああああああああ!」

 村中に悲鳴が響いた。
 それと同時に私の脳内の選択肢が搔き消える。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

子ドラゴンとゆく、異世界スキル獲得記! ~転生幼女、最強スキルでバッドエンドを破壊する~

九條葉月
ファンタジー
第6回HJ小説大賞におきまして、こちらの作品が受賞・書籍化決定しました! ありがとうございます! 七歳の少女リーナは突如として前世の記憶を思い出した。 しかし、戸惑う暇もなく『銀髪が不気味』という理由で別邸に軟禁されてしまう。 食事の量も減らされたリーナは生き延びるために別邸を探索し――地下室で、ドラゴンの卵を発見したのだった。 孵化したドラゴンと共に地下ダンジョンに潜るリーナ。すべては、軟禁下でも生き延びるために……。 これは、前を向き続けた少女が聖女となり、邪竜を倒し、いずれは魔王となって平和に暮らす物語……。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

政治家の娘が悪役令嬢転生 ~前パパの教えで異世界政治をぶっ壊させていただきますわ~

巫叶月良成
ファンタジー
政治家の娘として生まれ、父から様々なことを学んだ少女が異世界の悪徳政治をぶった切る!? //////////////////////////////////////////////////// 悪役令嬢に転生させられた琴音は政治家の娘。 しかしテンプレも何もわからないまま放り出された悪役令嬢の世界で、しかもすでに婚約破棄から令嬢が暗殺された後のお話。 琴音は前世の父親の教えをもとに、口先と策謀で相手を騙し、男を篭絡しながら自分を陥れた相手に復讐し、歪んだ王国の政治ゲームを支配しようという一大謀略劇! ※魔法とかゲーム的要素はありません。恋愛要素、バトル要素も薄め……? ※注意:作者が悪役令嬢知識ほぼゼロで書いてます。こんなの悪役令嬢ものじゃねぇという内容かもしれませんが、ご留意ください。 ※あくまでこの物語はフィクションです。政治家が全部そういう思考回路とかいうわけではないのでこちらもご留意を。 隔日くらいに更新出来たらいいな、の更新です。のんびりお楽しみください。

悪役令嬢に転生したけど、破滅エンドは王子たちに押し付けました

タマ マコト
ファンタジー
27歳の社畜OL・藤咲真帆は、仕事でも恋でも“都合のいい人”として生きてきた。 ある夜、交通事故に遭った瞬間、心の底から叫んだーー「もう我慢なんてしたくない!」 目を覚ますと、乙女ゲームの“悪役令嬢レティシア”に転生していた。 破滅が約束された物語の中で、彼女は決意する。 今度こそ、泣くのは私じゃない。 破滅は“彼ら”に押し付けて、私の人生を取り戻してみせる。

魔力0の貴族次男に転生しましたが、気功スキルで補った魔力で強い魔法を使い無双します

burazu
ファンタジー
事故で命を落とした青年はジュン・ラオールという貴族の次男として生まれ変わるが魔力0という鑑定を受け次男であるにもかかわらず継承権最下位へと降格してしまう。事実上継承権を失ったジュンは騎士団長メイルより剣の指導を受け、剣に気を込める気功スキルを学ぶ。 その気功スキルの才能が開花し、自然界より魔力を吸収し強力な魔法のような力を次から次へと使用し父達を驚愕させる。

婚約破棄は良いのですが、貴方が自慢げに見せているそれは国家機密ですわよ?

はぐれメタボ
ファンタジー
突然始まった婚約破棄。 その当事者である私は呆れて物も言えなかった。 それだけならまだしも、数日後に誰の耳目げ有るかも分からない場所で元婚約者が取り出したのは国家機密。 あーあ、それは不味いですよ殿下。

処理中です...