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秋野小窓

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【4】欲しいもの

4−18

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<鹿賀side>

 ようやく優太君と気持ちが通じ合ったところで、タイミング悪くインターホンが鳴った。
 無視しようかと思ったが、2回鳴らされて渋々体を起こす。名残惜しいが仕方ない。

 モニターを確認し、ドキッとした。

「お客さんですか?」
「……お父上です」

 何か荷物を持っているようだ。優太君のものだろうか。

「すみません、また別室で待っていていただけますか?」

 あんなことやこんなことでいっぱいだった頭を無理矢理切り替える。ひとつ咳払いをしてから応対した。

「田牧さん、どうされましたか」
「何度も申し訳ない。すぐに帰りますので。これを家内が」

 そう言って、玄関先で段ボール箱を渡してくれた。上は開いていて、中身が見えている。

「これは……野菜ですか?」
「近所の人から分けてもらったそうで。形は悪いのもありますが」

 カブに長ネギ、菜の花。袋に入っているのは、ふきのとうだろうか。

「こんなにたくさん、ありがとうございます」
「優太は野菜が嫌いでしょう。天ぷらにすれば何でも食べますから」
「そうなんですか?」

 うちでは好き嫌いせずに何でも食べていた。サラダも残さず食べていたようだったが……。

「父さんっ!余計なこと言わないでいいから!」

 声に驚いて振り返る。

「優太、」
「野菜もちゃんと食べてるし!大丈夫だから!」

 父親の声を遮るようにそれだけ言うと、すぐに奥へ引っ込んでしまった。

「すみません、優太さんとは諸々落ち着いたらゆっくり……」
「いえ。十分です。元気な姿が見られただけで」

 眼鏡の奥の温かい視線を追ってもう一度振り返ってみたが、優太君の姿は見えず。十分と言いつつ、また出てこないかと待っているように見える。

「っとに、生意気なことを言って。鹿賀さんに迷惑をかけるようなことがあったら、遠慮なくおっしゃってください」

 怒ったような口調でも、彼が笑っていることが今ならわかる。

「わかりました。そのときには、野菜尽くしのメニューにしておきます」
「ははは」

 ジョークで返すと、今度はしっかり笑ってくれた。

 今日のところは、ほんの僅かでも優太君が顔を出してくれただけで大きな進歩だろう。つっけんどんな物言いも、私から見れば父親に甘えているようにしか感じなかった。
 そう遠くない未来に、ご家族とわだかまりなく交流できる姿を期待して。





++++++++++++++

ここまでお読みいただきありがとうございます。

なかなか進展しない二人でしたが、ようやく恋人らしくなってきました。
4章はこのお話で終わりです。

次章が完結章となる予定です。
当初、進行次第では途中からR指定に……と思っていましたが、全年齢のままで本編を完結させる方向で現在は考えています。
続編として、別ブックにて新しく連載を始めることになるかと思います。
流動的で申し訳ありませんが、その際はまた近況ボードなどでお知らせさせていただきます。

お気に入り登録やご感想、エールもありがとうございます。
ぜひこの先も見届けていただけますと幸いです。

こまど

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