蒙古を倒したのに恩賞がない!?故に1人の女と出会い、帝王が支配する異世界へと赴く。

オオカミ

文字の大きさ
24 / 65

24 覚醒(アウェイクニング)

しおりを挟む
「ルナどの、【覚醒(アウェイクニング)】とは何だ?」

「現在支援魔術の中で最強と言われている魔術です。これを使ったのは、大魔術師サハリが初代帝王にかけただけです」

「初代帝王?」

「しかし、この魔術は禁じ手になったはずでは!?」

「そう、強力な魔術なので禁じ手となった。だが、我が輩は密かに【覚醒(アウェイクニング)】を調べた。そしてついに優秀な我が輩はこの最強の支援魔術も習得できた。これで我が輩は君を倒し、そして我が輩をバカにしたあの魔術師を倒す!」

 某の顔面に向けて突こうとしたミハエルの刃は弾こうとした。
 だがその刃は円を描き、某の足を襲った。
 躱した次の瞬間、下からその刃が襲ってきた。

 後退した時、某の刃とやつの刃がぶつかり火花が散った。
 
 足から血が流れ出た。
 軽く斬られた。

 某には今、ルナどのが掛けてくれた【疾風迅雷(ラピッドサンダーストーム)】がかかっている。

 だが瞬間移動したかのようなミハエルの速さはそれ以上の速さで太刀を奪った。

「これではあまりにも理不尽だ。太刀を返してやろう」

 ミハエルが太刀を某の足下に放り投げた。
 某は太刀を持った。

 奴の構えはまるで棒のように背筋を伸ばして剣を真っ直ぐ某に向けている。
 そのおかげか常に動き続け片手で刃を自在に振り回している。

 ダン!

 ミハエルの上からの攻撃を躱した。

 合撃で払い落とそうとした。

 だがぐらつき全身に痛みを感じた。
 奴からあふれ出る黄金の覇気が刀を振ると同時に某を吹き飛ばすような衝撃と痛みを感じた。

 合撃どころの衝撃ではない。

 初代帝王もこれと同じ強さだったのか。

「すぅ・・・・はっ!」

 全身に気迫を込め太刀を鞘に収め柄に手を添えて構えた。

「それは降参するから攻撃しないで欲しいという意味かね?残念だがそれは聞き入れられない!」

 ミハエルの黄金の覇気が某を襲ってくる。
 その覇気の中からミハエルが突いてきた。
 某は躱して鞘から太刀を抜いた。

 某の刃はミハエルの黄金の覇気を切り裂きミハエルの剣を持っている右腕へと向かった。

 ガン!

「なんと、そのような剣技があるとは!」

 抜いた太刀はミハエルの切り返した刃に弾かれた。
 ミハエルがお返しとばかりに振り上げた刃の起動を変えて振り下ろした。

 腕のしびれと共に喉に痛みが走り、何かが流れ落ちた。

 どうやら喉を切られたようだ。
 だが軽傷で問題は無い。
 
 ミハエルが絶えず某の周りを回っている。

「ダメだ。ダメだよ。そんなんじゃあ」

 ミハエルの眼が異様にギラついている。
 それが段々と強くなっているように感じた。

「虎吉さん、敵から離れて下さい!」

 ルナどのが【雷矢(ライトニングアロウ)】を放とうとしていた。

「ひ弱な武士よ。君のパートナーが我が輩との戦いを望んでいる。もしそうであれば我が輩はあの貴女を殺さねばららんがよいか?」

「・・・・・・」

 ルナどのがためらった。
 その様子にミハエルは瞳孔を大きく広げて口を開けた。

「ルナどの手を出すな・・・」

「そう、あなたはそこでおとなしく仲間が死ぬところを見ているのだ」

 その言葉にルナどのは自分の杖を強く握ることしかできなった。
 悔しさが顔に出ていた。

「くっくっく、ひゃはははは!」

 ミハエルが段々おかしくなっていく。
 某は太刀を右下段から切り上げた。

「だめだだめだ。とどかんとどかん!」

 ミハエルは異様に笑いながら太刀を躱した。
 某は左上段に切り上げた太刀を振り下ろした。

 ザン!

「なんとぉ~そんな攻撃をするとは!うひゃひゃひゃ」

 太刀を左上段から振り下ろすとき右手を離して左手で切り下ろした。
 そうすれば間合いが伸びるからだ。

 ミハエルは顔を震わせながら、狂気の瞳で某の技をぎりぎり躱して笑った。
 某はミハエルの動きを観察した。

 いける。
 某はもう一度太刀を鞘に収めた。

「ひゃはははは、また刀を納めた~!」

 ミハエルが突進した。

 ガツン!

 太刀を抜いたが奴の刃に弾かれた。
 まるで巨大な牛にでも体当たりされたような衝撃だった。

「この魔術のぉ~更なる力をぉ~見せてやろおー」

 ミハエルの身体から出る黄金の覇気がさらに大きくなり、その覇気が某の周りを取り囲んだ。

「ぐう!」

 黄金の覇気が某の身体を締め付けた。
 覇気に身体が潰されそうだった。

「喝!」

 師匠から鍛えてもらった渾身の気合いで覇気を吹き飛ばした。

 某はまた距離を取って太刀を納めた。
 その光景にミハエルは身体を震わせながら大笑いした。

「ぶしぃ~は~。それしか出来ないのかぁ~、うは、ぐははは!」

 奴の構えが崩れてきた。
 軽やかな足の運びが乱れている。

 ミハエルが突進した。

 ザン!

 お返しに奴の左肩を切った。
 ミハエルから笑いが消えた。

 確信した。

「お主、その魔術、禁じ手とか申してなかったか?」

 ミハエルは自滅した。

「そ、それが、ど、どうし・・・がはっ!」

 ついにミハエルは絶えきれず膝をついた。

「こっこの・・・」

 ミハエルがよろけながら立ち上がった。
 眼球が揺れ動いてる。
 某に焦点が定まっていない。

 身体を震わしながら、構えている。

「うぉおおお!」

 杖を高々と上げてミハエルが突進した。
 それはもはや攻撃とは言えない動きだった。

 某はミハエルの脇腹を切った。

「がはああ」

 ミハエルは光に包まれ、真っ黒な素石になった。

「虎吉さま!」

 ミハエルを倒すとルナどのが走り寄ってきた。

「怪我したんですね!」

「うん、大したことはない」

 某はそう言ったが、身体中を斬られ、全身が痛かった。

「【治療(ヒール)】をかけます」

 ルナどのが某の身体に触れた。
 ルナどのの手が光り出し、たちどころに身体中の出血が治まり、傷口も消えた。

「ごめんなさい。何もできないで」

「いや、奴を倒せたのはルナどのが疾風迅雷(ラピッドサンダーストーム)をかけてくれたからだ。あれがなかったら一瞬で殺されていた」

「無事、倒せたようですね」

 ポイが現れた。

「よかった、よかった。虎吉さんすごいです」

「何が良かっただ。何が凄いだ。お主まさかずっと見ていたのか?」

「いやー、僕は怖くて何もできませんでした。ごめんなさい」

 ポイは無邪気な笑顔で俺に謝った。
 可愛く腹の立つポイだった。

「ところで目印は見つけましたか?」

 ポイが目印を聞いてきた。
 某は1本の若木を思い出した。

「1本の若木、だけ葉っぱが違っていなかったか?」

 周りにあるのはこの森の巨木、パイリウムだった。
 そしてあの若木はその子供だと思うが、葉っぱがまん丸な大人のパイリウムと違って楕円形になっていた。

「お見事、それが正解です!」

 ポイは万歳をしながら正解したことを祝福した。

「あそこに大魔術師サハリさまの小屋へと続く道が隠されています。ではご案内しましょう!」

 ポイと一緒に若木がある道までいった。
 巨木が奥へと入るのを拒むかのように立ち並んでいる前に立っている1本の若木の前にポイは停止した。

「見てて下さいよ」

 ポイは特異そうな顔でそう言った。
 ポイは若木の数枚の葉っぱに触れた。

「・・・・・・あれ?」

 何も起きない。
 ポイがこっちを振り向いた。
 少し焦った顔だ。

「ちょっと待って下さい!」

 ポイが慌てながら紙を取り出した。そしてそれを見ながら、再び数枚の若木の葉っぱに触れた。
 次の瞬間、若木が消え、奥の巨大な根っこが動き出した。
 そして大きな穴のようになり、奥へと道が続いた。

 我らは穴へと入っていった。
 どこまでも続く木の穴をポイはどんどん先へと行った。それについていくとたくさんの妖精達が集まり周りを飛び回った。
 中には好奇心か某やルナどのの肩にとまる者もいた。

「わあ!」

 ルナどのが驚きの声をあげた。

 穴から出ると、そこは丘の上に出た。
 広大な森に立つ巨木達が一望できる。
 光に照らされて、パイリウムの葉が青く輝いて見えた。

「サハリ様が住む小屋だよ!」

 前方に一軒の屋敷があった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

【完結】悪役令嬢ですが、元官僚スキルで断罪も陰謀も処理します。

かおり
ファンタジー
異世界で悪役令嬢に転生した元官僚。婚約破棄? 断罪? 全部ルールと書類で処理します。 謝罪してないのに謝ったことになる“限定謝罪”で、婚約者も貴族も黙らせる――バリキャリ令嬢の逆転劇! ※読んでいただき、ありがとうございます。ささやかな物語ですが、どこか少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

【完結】無能と婚約破棄された令嬢、辺境で最強魔導士として覚醒しました

東野あさひ
ファンタジー
無能の烙印、婚約破棄、そして辺境追放――。でもそれ、全部“勘違い”でした。 王国随一の名門貴族令嬢ノクティア・エルヴァーンは、魔力がないと断定され、婚約を破棄されて辺境へと追放された。 だが、誰も知らなかった――彼女が「古代魔術」の適性を持つ唯一の魔導士であることを。 行き着いた先は魔物の脅威に晒されるグランツ砦。 冷徹な司令官カイラスとの出会いをきっかけに、彼女の眠っていた力が次第に目を覚まし始める。 無能令嬢と嘲笑された少女が、辺境で覚醒し、最強へと駆け上がる――! 王都の者たちよ、見ていなさい。今度は私が、あなたたちを見下ろす番です。 これは、“追放令嬢”が辺境から世界を変える、痛快ざまぁ×覚醒ファンタジー。

【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】 佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。 新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。 「せめて回復魔法とかが良かった……」 戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。 「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」 家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。 「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」 そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。 絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。 これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

追放された俺のスキル【整理整頓】が覚醒!もふもふフェンリルと訳あり令嬢と辺境で最強ギルドはじめます

黒崎隼人
ファンタジー
「お前の【整理整頓】なんてゴミスキル、もういらない」――勇者パーティーの雑用係だったカイは、ダンジョンの最深部で無一文で追放された。死を覚悟したその時、彼のスキルは真の能力に覚醒する。鑑定、無限収納、状態異常回復、スキル強化……森羅万象を“整理”するその力は、まさに規格外の万能チートだった! 呪われたもふもふ聖獣と、没落寸前の騎士令嬢。心優しき仲間と出会ったカイは、辺境の街で小さなギルド『クローゼット』を立ち上げる。一方、カイという“本当の勇者”を失ったパーティーは崩壊寸前に。これは、地味なスキル一つで世界を“整理整頓”していく、一人の青年の爽快成り上がり英雄譚!

処理中です...