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47 砂漠の庭
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「バート船長から君たちを船に乗せるように言われてね」
我らはアシム大陸の西のとある浜辺にいた。
ハンツどのから光明をもらった後、ルナどのが「いそいでセレーネ国へ行こう」と言い出し港町アロへ戻った。
セレーネ国に行くためには、セヌビア砂漠の海岸にあるエルザグの町へと乗せていってくれる船を見つけねばならなかった。
そんなときに突然バート船長配下のヘンリー船長が現れた。
ヘンリー船長曰く、サハリどのがバートどのに頼んで手配してくれたそうだ。
「かたじけない!」
我らはヘンリー船長の舟に乗り込んだ。
「虎吉さま、あそこクエール!」
「ああ、小さいけど海から飛び上がっているな」
ルナどのが某がバートどのからもらったテレスコープで海を飛んで泳ぐクエールと呼ばれる生き物を眺めていた。
某はその側に一緒にいた。
初めてこの世界に来てからどれくらいたったか知らぬが、ルナどのとはずっと一緒にいて旅をしていた。
今では、すっかり何の気なしに会話をしている。
テイチの港街パロから西へ1ヶ月ほどの航海を経て、ルナどのが希望したエルザグの町へと到着した。
「虎吉さま、ここはエルザグが住む町です」
「肌が真っ黒だ」
海岸にある町にいたのは足が長く額に2本の長い角を生やし、黒い肌を持った魔物達だった。
「わたしの国はこの先にあります。行くためにはカーメルが必要になりますので、カーメルを貸してくれる商人のところに行きましょう!」
「カーメル?」
ルナどのが町の中に入っていった。
「あ、そうだ。その前に虎吉さまのローブも買っておかなくちゃ!」
ルナどのが道沿いにあった着物売りの店に入っていった。
「1万エルーでございます」
「虎吉さん1万エルーです!」
「いるのか?」
「これから砂漠の中を進むんです。絶対にいります!」
ルナどのが「買え」と申すのでローブを買って、ローブを初めて着た。
頭まで覆われて逆に熱いと思うが。
「いたカーメルの行商人!」
町の真ん中の広場に馬のような体格で背中が盛り上がり、耳が異常にでかい魔物が数頭座っていた。
「4日間で2頭合わせて8万エルーだな」
ルナどのがパスクーブで8万エルーを支払った。
「さぁ、行きましょう!」
盛り上がった背中に乗った。
我らが乗るとカーメルが立ち上がった。
見晴らしは馬よりも高く、乗り心地は悪い。
「砂しか無いのか?」
この世界というのはどこまで広く、いったいどれだけの光景があるのだ。
今某がいるのは砂しか存在しない世界だった。
この世界に来て、元の世界では見れぬものをたくさん見てきた。
そして今この先で某はまた己が知らぬ所へと連れて行かれる。
某はこの世界のどこへ行こうとしているのか。
「ルナどの。あのエルザグもそうだが、ルナどのの民は、こんな砂漠でどうやって生きているのだ?」
「ご安心ください。セレーネ国は、このセヌビアにある巨大なオアシス、『トレースドガーデン』の中にありますので、そこは緑豊かな楽園です!」
「楽園だと?」
この砂の大地の先に楽園があると言うのか。
カーメルは我らを乗せて砂漠の中を進んでいった。
ルナどのの言うとおり、ローブが役に立った。この砂の中で太陽が身体を照らそうものなら、一瞬にして即身仏にでもなるかもしれぬ。
このローブが我が命を守っている。
やがて黄色い砂が太陽が傾くと共に赤く変わっていった。
「何だ?」
黄色い砂が宝石のように光り出した。
「この砂漠には、長い年月をかけて結晶化した石が所々にあるんです。『トレースドの宝石』と呼ばれて、この時間帯に輝くんです。あと、虎吉さま。迷子にならないように、ちゃんとわたしの側にいてください!」
「え、まだ覚えてるの?」
ノム国の首都シャドで迷子になったことを、ここで言われた。
「時々、周りに光っているトレースドの宝石に目がくらんで、それを取っている間にトレースドの砂地獄に落ちる者がいるんです」
「え、そうなのか?」
周りの落ちている光り輝く宝石を見た。
確かに目を奪われる輝きだ。
「宝石じゃなくてわたしを見て!」
「はい!」
ルナどのを見失わないようルナどのだけを見て歩いていた。だが、暗闇の中にある無数の綺麗な宝石はまるで地面に散らばる星のように輝きに眼を奪われる。
その中に一本の光の道が現れた。
その道をカーメルは歩いていた。
「セレーネ国は隠された光の国とも言われています。・・・わたしたちがずっと隠し守っているものがそうです」
「隠された光?」
「はい、わたしの国は小国ながら、大切なものを守っている国です。それは初代帝王と約束をした大切な守りものです」
「初代帝王との約束?」
「はい。噂ですが、初代帝王はセレーネ国の一人の女性に恋をしたと言われています。その女性との約束とも言われています」
「女性?」
「古い言い伝えがありまして・・・。この世界が始まるころ1匹の龍が空より舞い降り1匹のハサルトと恋に落ちました。2匹は仲睦まじく世界を創造し、世界を守りました」
月が輝きだした。
その月から無数の光が、砂の大地へと降り注いだ。
不思議だ。
その光景は砂の上を歩いているはずなのに、まるで夜の大海原の中を突き進んでいるようも見えた。
「やがて龍に死が訪れました。龍は深い水の底へとその亡骸を沈めました。そしてハサルトにも死が訪れたとき、ハサルトは龍が眠る同じ水の底へ亡骸を沈めました。
その水は長い長い年月、龍とハサルトの力を磨き上げ、それは世界を動かすほどの巨大な力となったと言われています。でもそんな水など世界のどこにもなくただの伝説だと言われていました」
「・・・もしかして、その伝説と言われていた水が?」
「はい1万ネン前、1人の魔術師が小さな湧き水を飲みました。その瞬間その魔術師はとてつもない力を発揮したそうです。それは私たちの国の中にありました」
「それでどうしたのだ?」
「わたしの先祖はその水を封印し隠すためにその場所に国を作りました。ですが、いくら隠しても勘ぐる者が現れます。わたしたちは小国ながら必死に守ってきました。
そして100ネン前、初代帝王がこの地に来たとき、1人の女性が初代帝王にこの国を守ってくれるよう願いました。初代帝王はそれを守ってくれました。セレーネ国を子子孫孫守り抜くよう初代帝王は言い残しました」
何者だ。
その小国を初代帝王に守らせた女とは。
「ミントスの巨岩だ。虎吉さま、今日はここで一泊しましょう!」
辺りが大分暗くなり、砂がかなり黒くなったとき、目の前に大きな奇形な岩があった。
その窪みで我らは休むことにした。
「セレーネ国には明日到着できます・・・もうすぐ父と、母に・・・」
「さて、飯でも・・・ルナど・・・!?」
某はカーメルに着けていた荷物を下ろし、食料を取った。そしてルナどのに渡そうとした。
「あ・・・すいません」
ルナどのが目に涙を浮かべていた。
「気を抜いた途端に・・・」
ルナどのが涙を拭いた。
そして膝を強く抱えて恐怖を押し殺した。
「虎吉さま・・・セレーネはこの先なので・・・側にいてください」
「うむ・・・」
朝。
目を開けるとルナどのの笑顔が見えた。
「行きましょう!」
ルナどのがカーメルに乗った。
某もカーメルに乗った。
「ん?」
遠くでウサギが某を見ている。
「うわお!」
こんどは空からフクロウが某の頭すれすれを飛んできた。
そして上空で某を眺めている。
奴らは某が迷うのを待っているのだろうか。
「ふふ・・・」
「な、なんじゃ?」
ルナどのが某を見て笑っていた。
「虎吉さまにもっと見せたいです。この砂漠には他にも綺麗な景色があって、オアシスにはもっとたくさんの生き物がいて、虎吉さまを驚かせたいです!」
ルナどのが某をからかうように言って笑った。
「虎吉さま・・・もうすぐです・・・」
遠くの地平線から何かが見えてきた。
上には青、下には灰色がかった黄色い光景の中に別の色が見えてきた。
「ルナどの・・・【覚醒(アウェイクニング)】をかけてくれ」
「え・・・はい・・・」
嫌な予感がする。
ルナどのに支援魔術をかけてもらった。
そして国へと向かった。
「・・・・・・」
ルナどのが言葉を失った。
砂しかないところに周りに木々が生えるとてつもなく大きな湖があった。その巨大な湖の真ん中に進むかのごとく、橋が架けられその先に城門があった。
その城門は無残にも崩れ落ちていた。
「母上、父上!」
ルナが城門をくぐり町の中を走った。
幼い頃からずっと見ていた『トレースドガーデン』と呼ばれたオアシスの中に作られた自分の故国。
だが、眼に入るのはことごとく破壊された町だった。
「・・・そんな・・・」
ルナが崩れ落ちた。
我らはアシム大陸の西のとある浜辺にいた。
ハンツどのから光明をもらった後、ルナどのが「いそいでセレーネ国へ行こう」と言い出し港町アロへ戻った。
セレーネ国に行くためには、セヌビア砂漠の海岸にあるエルザグの町へと乗せていってくれる船を見つけねばならなかった。
そんなときに突然バート船長配下のヘンリー船長が現れた。
ヘンリー船長曰く、サハリどのがバートどのに頼んで手配してくれたそうだ。
「かたじけない!」
我らはヘンリー船長の舟に乗り込んだ。
「虎吉さま、あそこクエール!」
「ああ、小さいけど海から飛び上がっているな」
ルナどのが某がバートどのからもらったテレスコープで海を飛んで泳ぐクエールと呼ばれる生き物を眺めていた。
某はその側に一緒にいた。
初めてこの世界に来てからどれくらいたったか知らぬが、ルナどのとはずっと一緒にいて旅をしていた。
今では、すっかり何の気なしに会話をしている。
テイチの港街パロから西へ1ヶ月ほどの航海を経て、ルナどのが希望したエルザグの町へと到着した。
「虎吉さま、ここはエルザグが住む町です」
「肌が真っ黒だ」
海岸にある町にいたのは足が長く額に2本の長い角を生やし、黒い肌を持った魔物達だった。
「わたしの国はこの先にあります。行くためにはカーメルが必要になりますので、カーメルを貸してくれる商人のところに行きましょう!」
「カーメル?」
ルナどのが町の中に入っていった。
「あ、そうだ。その前に虎吉さまのローブも買っておかなくちゃ!」
ルナどのが道沿いにあった着物売りの店に入っていった。
「1万エルーでございます」
「虎吉さん1万エルーです!」
「いるのか?」
「これから砂漠の中を進むんです。絶対にいります!」
ルナどのが「買え」と申すのでローブを買って、ローブを初めて着た。
頭まで覆われて逆に熱いと思うが。
「いたカーメルの行商人!」
町の真ん中の広場に馬のような体格で背中が盛り上がり、耳が異常にでかい魔物が数頭座っていた。
「4日間で2頭合わせて8万エルーだな」
ルナどのがパスクーブで8万エルーを支払った。
「さぁ、行きましょう!」
盛り上がった背中に乗った。
我らが乗るとカーメルが立ち上がった。
見晴らしは馬よりも高く、乗り心地は悪い。
「砂しか無いのか?」
この世界というのはどこまで広く、いったいどれだけの光景があるのだ。
今某がいるのは砂しか存在しない世界だった。
この世界に来て、元の世界では見れぬものをたくさん見てきた。
そして今この先で某はまた己が知らぬ所へと連れて行かれる。
某はこの世界のどこへ行こうとしているのか。
「ルナどの。あのエルザグもそうだが、ルナどのの民は、こんな砂漠でどうやって生きているのだ?」
「ご安心ください。セレーネ国は、このセヌビアにある巨大なオアシス、『トレースドガーデン』の中にありますので、そこは緑豊かな楽園です!」
「楽園だと?」
この砂の大地の先に楽園があると言うのか。
カーメルは我らを乗せて砂漠の中を進んでいった。
ルナどのの言うとおり、ローブが役に立った。この砂の中で太陽が身体を照らそうものなら、一瞬にして即身仏にでもなるかもしれぬ。
このローブが我が命を守っている。
やがて黄色い砂が太陽が傾くと共に赤く変わっていった。
「何だ?」
黄色い砂が宝石のように光り出した。
「この砂漠には、長い年月をかけて結晶化した石が所々にあるんです。『トレースドの宝石』と呼ばれて、この時間帯に輝くんです。あと、虎吉さま。迷子にならないように、ちゃんとわたしの側にいてください!」
「え、まだ覚えてるの?」
ノム国の首都シャドで迷子になったことを、ここで言われた。
「時々、周りに光っているトレースドの宝石に目がくらんで、それを取っている間にトレースドの砂地獄に落ちる者がいるんです」
「え、そうなのか?」
周りの落ちている光り輝く宝石を見た。
確かに目を奪われる輝きだ。
「宝石じゃなくてわたしを見て!」
「はい!」
ルナどのを見失わないようルナどのだけを見て歩いていた。だが、暗闇の中にある無数の綺麗な宝石はまるで地面に散らばる星のように輝きに眼を奪われる。
その中に一本の光の道が現れた。
その道をカーメルは歩いていた。
「セレーネ国は隠された光の国とも言われています。・・・わたしたちがずっと隠し守っているものがそうです」
「隠された光?」
「はい、わたしの国は小国ながら、大切なものを守っている国です。それは初代帝王と約束をした大切な守りものです」
「初代帝王との約束?」
「はい。噂ですが、初代帝王はセレーネ国の一人の女性に恋をしたと言われています。その女性との約束とも言われています」
「女性?」
「古い言い伝えがありまして・・・。この世界が始まるころ1匹の龍が空より舞い降り1匹のハサルトと恋に落ちました。2匹は仲睦まじく世界を創造し、世界を守りました」
月が輝きだした。
その月から無数の光が、砂の大地へと降り注いだ。
不思議だ。
その光景は砂の上を歩いているはずなのに、まるで夜の大海原の中を突き進んでいるようも見えた。
「やがて龍に死が訪れました。龍は深い水の底へとその亡骸を沈めました。そしてハサルトにも死が訪れたとき、ハサルトは龍が眠る同じ水の底へ亡骸を沈めました。
その水は長い長い年月、龍とハサルトの力を磨き上げ、それは世界を動かすほどの巨大な力となったと言われています。でもそんな水など世界のどこにもなくただの伝説だと言われていました」
「・・・もしかして、その伝説と言われていた水が?」
「はい1万ネン前、1人の魔術師が小さな湧き水を飲みました。その瞬間その魔術師はとてつもない力を発揮したそうです。それは私たちの国の中にありました」
「それでどうしたのだ?」
「わたしの先祖はその水を封印し隠すためにその場所に国を作りました。ですが、いくら隠しても勘ぐる者が現れます。わたしたちは小国ながら必死に守ってきました。
そして100ネン前、初代帝王がこの地に来たとき、1人の女性が初代帝王にこの国を守ってくれるよう願いました。初代帝王はそれを守ってくれました。セレーネ国を子子孫孫守り抜くよう初代帝王は言い残しました」
何者だ。
その小国を初代帝王に守らせた女とは。
「ミントスの巨岩だ。虎吉さま、今日はここで一泊しましょう!」
辺りが大分暗くなり、砂がかなり黒くなったとき、目の前に大きな奇形な岩があった。
その窪みで我らは休むことにした。
「セレーネ国には明日到着できます・・・もうすぐ父と、母に・・・」
「さて、飯でも・・・ルナど・・・!?」
某はカーメルに着けていた荷物を下ろし、食料を取った。そしてルナどのに渡そうとした。
「あ・・・すいません」
ルナどのが目に涙を浮かべていた。
「気を抜いた途端に・・・」
ルナどのが涙を拭いた。
そして膝を強く抱えて恐怖を押し殺した。
「虎吉さま・・・セレーネはこの先なので・・・側にいてください」
「うむ・・・」
朝。
目を開けるとルナどのの笑顔が見えた。
「行きましょう!」
ルナどのがカーメルに乗った。
某もカーメルに乗った。
「ん?」
遠くでウサギが某を見ている。
「うわお!」
こんどは空からフクロウが某の頭すれすれを飛んできた。
そして上空で某を眺めている。
奴らは某が迷うのを待っているのだろうか。
「ふふ・・・」
「な、なんじゃ?」
ルナどのが某を見て笑っていた。
「虎吉さまにもっと見せたいです。この砂漠には他にも綺麗な景色があって、オアシスにはもっとたくさんの生き物がいて、虎吉さまを驚かせたいです!」
ルナどのが某をからかうように言って笑った。
「虎吉さま・・・もうすぐです・・・」
遠くの地平線から何かが見えてきた。
上には青、下には灰色がかった黄色い光景の中に別の色が見えてきた。
「ルナどの・・・【覚醒(アウェイクニング)】をかけてくれ」
「え・・・はい・・・」
嫌な予感がする。
ルナどのに支援魔術をかけてもらった。
そして国へと向かった。
「・・・・・・」
ルナどのが言葉を失った。
砂しかないところに周りに木々が生えるとてつもなく大きな湖があった。その巨大な湖の真ん中に進むかのごとく、橋が架けられその先に城門があった。
その城門は無残にも崩れ落ちていた。
「母上、父上!」
ルナが城門をくぐり町の中を走った。
幼い頃からずっと見ていた『トレースドガーデン』と呼ばれたオアシスの中に作られた自分の故国。
だが、眼に入るのはことごとく破壊された町だった。
「・・・そんな・・・」
ルナが崩れ落ちた。
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