33 / 41
守れなかった命
しおりを挟む
「静御前を守りし者が参られたか!」
次の日、行信は鎌倉殿が留守の間に御台所に会いに行った。
「あんたはうちの旦那が呼ぶより早く、この政子にこっそり会いに来て、大姫の心を癒やす代わりにこの政子に静御前を守らせた・・・やりおる」
行信はサクヤを鎌倉殿から守るに当たって強力な仲間が必要だと判断した。
その仲間こそが鎌倉殿の妻である御台所を味方につけることだった。
「あんた、義経に似とるというのは真か!」
母屋の前で頭を下げる行信に御台所自ら縁側を降りて、行信の肩を強く叩いた。
「いっいえ、それほどでは!?」
行信は後ずさりした。
「はっはっはっ、して・・・用件は礼だけかえ?」
「静さまの、赤児を守っていただきとうございます・・・」
御台所の表情が変わった。
御台所は縁側に座り考え込んだ。
「あんた、鬼神を見たことはあるのか?」
「・・・幼い頃に・・・」
「夫が子供を殺したがっておるのは間違いない」
権力者は宿敵の息子を殺すのは、この時代の慣わしだ。
かつて頼朝と義経も平清盛に殺されそうになった。だが2人は殺されること無く、今日まで生きて平家を滅ぼした。
頼朝は運が良い。そして息子を生かすとどうなるか身を以て知っている。
「政子は大姫の心を救ってくれた静御前に深く感謝しておる。じゃが、政子が頼朝を止めても、どうせ頼朝は奴に頼むわ!」
御台所が悔しそうに床を叩いた。
「あんたの、願いは政子も叶えたい。じゃが、あやつが動けば・・・人間は阻止できんわ」
* * *
「あっ、今、お腹を蹴ったわ」
7月、臨月の時期に入った。お腹は大きくなり、いつ生まれてもおかしくない状況になった。
「ただいま戻りました・・・」
行信さまが帰ってきた。
その表情は暗かった。
「この子のことですか?」
行信さまはだまって頷いた。壁に掛かっている新三郎さまの薙刀を見た。
「この子はわたしの子です。故に死んでも守ります!」
「奴が来ます・・・」
「そ・・・それが・・・なんっ!」
最後まで言おうとしたが言葉が詰まった。
わたしはこの時はまだ鬼神を見たことがなかった。
それでも行信さまが怖がっている様子を見るとよほど恐ろしいものだと感じた。
「某に案があります・・・」
行信さまの案はこうだった。鎌倉殿は何としてでも赤児を殺すために、鬼神に頼ることが十分考えられる。
奴には出てきて欲しくない。
「それならば、こちらから赤児を殺す・・・と騙してしまう」
「それでこの子はどうするのですか?」
「近いうちにこの鎌倉を去って都に戻りましょう。それまでの間、赤児をある者に預かって貰うのです」
「それは誰です?」
「我が師匠!鬼神を欺くには天狗の力を借りて守るのです!奴の力には、天狗の力を持って抗するしかありません・・・」
わたしはその案を飲んだ。あの鬼神相手にわたしの力などたかが知れている。
行信さまはすぐに新三郎さまに策を伝えた。
「母上・・・」
「どうしたのです?」
「わたしは、鬼神と戦えるのでしょうか?」
この子を何としてでも守りたかった。
わたしは母上にも助けを求めた。
母上は腹をくくるようにしてわたしに言った。
「静・・・あなたと赤ん坊を周りの人たちが守ってくれています。あなたは独りでは戦ってはいない・・・まずは行信さまを信じることです」
素人のわたしより経験豊富な行信さまの策と天狗の力を信じることにした。
* * *
「新三郎殿、鎌倉殿に情報はもれておらぬな?」
行信が鬼神と同じくらいに警戒しているのが、この策が鎌倉殿に漏れていないかどうかだった。
もし、この館に鎌倉殿の間者がいれば策がばれてしまう。
「ご安心下さい。何一つもれておりません」
「よし!」
「行信殿~」
「来たか!さすが無学殿。よくぞ危険をかいくぐって、ここまで来られた!」
無学がやって来た。
「へっへっへ、バカの得意技でしてね・・・バカは死なないんですよ~」
自分は無敵だと言わんばかりの自信を持って無学は自慢した。
行信は「頼もしい」と一緒に笑った。
「これが偽の赤児です・・・」
無学がおくるみに包んだ”偽物”を行信に渡した。
「・・・本物ではないのか?」
無学が持ってきた偽の赤児を見て驚いた。柔らかさ、温もり、呼吸する音まで、どう見ても本物の赤児に思えた。
「いえ鞍馬天狗様いわく、これは”偽の命”だそうです」
どうやって作るのかは分からないが、天狗は秘術によって妖怪でもだませるほどの偽物を作ることができるらしい。
「これが偽物だと・・・」
* * *
「あぁ!」
戌の刻くらい。
陣痛が走り、出産が始まった。
わたしは無限の刻とも思える激痛に耐えた。
「オギャァァァァァー」
すっかり朝日が昇りきったとき、赤児が生まれた。
男の子だった。
それを見届けた無学さまはあるものを大事そうに抱えて鞍馬山へと走り出した。
「新三郎さま、お願いします・・・」
母上が温もりを感じる孫をおくるみに包んで新三郎さまに託した。
新三郎さまは床板を外した。
軒下に穴が見えた。
抜け道だった。
新三郎さまは赤児を抱えて抜け道を走っていった。
無学さまは、おくるみの束を抱えて走っただけだった。本物は新三郎さまが高徳院で鞍馬天狗の遣いに渡す手はずになっていた。
「鎌倉殿よりの使者が参りました!」
すぐに鎌倉殿からの使者がやって来た。
鎌倉殿も動きは素早かった。
「鎌倉殿の命である。その子をこちらに渡していただきたい!」
「・・・はい」
わたしは天狗が作ったという偽物を使者に渡した。
「うむ、では!」
使者は全く疑いもせず偽物を腕の中に抱くと屋敷を後にした。
わたしは疲れが出たのか床に寝そべった。
「行信さま。これであの鬼神をだませるのでしょか?」
「某は新三郎殿を信じております。静様も仲間を信じてください!」
行信さまが信じて欲しいと言っている。
わたしはこの人達を信じる。
だが、行信さまの仲間が大慌てでやって来て、恐るべき事を告げた。
「新三郎は由比ヶ浜に向かったとの報が!」
「何故、由比ヶ浜だ?高徳院だろ!?」
「まったく分かりません」
恐怖の空気が流れ出した。
その空気に皆、凍り付いた。
「まさか!?」
行信さまは屋敷を飛び出した。
わたしに恐怖と共に屋敷に残された。
「わたしの子・・・」
* * *
「新三郎!」
行信が由比ヶ浜まで行くと、波打ち際で新三郎が座り込んでいた。
「貴様、裏切ったのか!?静様の子供を海へ流したのかー!?」
行信は新三郎を砂浜に打ち付けた。海の水が顔にかかりながら新三郎は告白した。
「あなたたちが・・・来る前に・・・鬼神が、拙者の前に現れた!逆らえば・・・拙者も、妻も・・・子も殺されるんだ!」
行信は顔を震わせながら新三郎の襟を握りしめ聞いていた。
「奴の策にはまっていたのか?初めから!?」
行信に悔しさがこみ上げてくる。必死に考え御台所を味方に付けたのに、奴は先手を打っていた。
神斬を抜いた。
「静様も殺せと言ってきたのか?」
「あなたと静御前は・・・生かせと言っていた・・・」
* * *
夕刻、行信さまが屋敷に戻ってきた。
赤児を抱いていない。
「わたしの子は?」
わたしはわたしを見ようとしない行信さまに身体を震わせながら訴えた。
行信さまは、黙ったまま地面に頭を付けて必死に詫びた。
「わたしの子供を返してください!」
9月16日、わたしと母上は京へと帰ることが許された。そして御台所さまはあるお方を付けてくれた。
「御台所様に、お二人をお守りするよう命じられました・・・」
この後、行信さまは光へと名前を変えた。
* * *
「わたしは我が子を守れなかった・・・」
「サクヤさま、ククリ殿、食事の用意が出来ました」
外で光さまの声がしたが、返事が出来なかった。あの時、光さまに八つ当たりをするつもりはなかった。
だが、わたしは光さまに我が子を返して欲しいと何度も懇願した。
「すぐに参る!」
代わりにククリさまが返事をした。
「その悔しさは、わらわにも痛いほど分かる・・・」
ククリはサクヤの涙を拭いた。
次の日、行信は鎌倉殿が留守の間に御台所に会いに行った。
「あんたはうちの旦那が呼ぶより早く、この政子にこっそり会いに来て、大姫の心を癒やす代わりにこの政子に静御前を守らせた・・・やりおる」
行信はサクヤを鎌倉殿から守るに当たって強力な仲間が必要だと判断した。
その仲間こそが鎌倉殿の妻である御台所を味方につけることだった。
「あんた、義経に似とるというのは真か!」
母屋の前で頭を下げる行信に御台所自ら縁側を降りて、行信の肩を強く叩いた。
「いっいえ、それほどでは!?」
行信は後ずさりした。
「はっはっはっ、して・・・用件は礼だけかえ?」
「静さまの、赤児を守っていただきとうございます・・・」
御台所の表情が変わった。
御台所は縁側に座り考え込んだ。
「あんた、鬼神を見たことはあるのか?」
「・・・幼い頃に・・・」
「夫が子供を殺したがっておるのは間違いない」
権力者は宿敵の息子を殺すのは、この時代の慣わしだ。
かつて頼朝と義経も平清盛に殺されそうになった。だが2人は殺されること無く、今日まで生きて平家を滅ぼした。
頼朝は運が良い。そして息子を生かすとどうなるか身を以て知っている。
「政子は大姫の心を救ってくれた静御前に深く感謝しておる。じゃが、政子が頼朝を止めても、どうせ頼朝は奴に頼むわ!」
御台所が悔しそうに床を叩いた。
「あんたの、願いは政子も叶えたい。じゃが、あやつが動けば・・・人間は阻止できんわ」
* * *
「あっ、今、お腹を蹴ったわ」
7月、臨月の時期に入った。お腹は大きくなり、いつ生まれてもおかしくない状況になった。
「ただいま戻りました・・・」
行信さまが帰ってきた。
その表情は暗かった。
「この子のことですか?」
行信さまはだまって頷いた。壁に掛かっている新三郎さまの薙刀を見た。
「この子はわたしの子です。故に死んでも守ります!」
「奴が来ます・・・」
「そ・・・それが・・・なんっ!」
最後まで言おうとしたが言葉が詰まった。
わたしはこの時はまだ鬼神を見たことがなかった。
それでも行信さまが怖がっている様子を見るとよほど恐ろしいものだと感じた。
「某に案があります・・・」
行信さまの案はこうだった。鎌倉殿は何としてでも赤児を殺すために、鬼神に頼ることが十分考えられる。
奴には出てきて欲しくない。
「それならば、こちらから赤児を殺す・・・と騙してしまう」
「それでこの子はどうするのですか?」
「近いうちにこの鎌倉を去って都に戻りましょう。それまでの間、赤児をある者に預かって貰うのです」
「それは誰です?」
「我が師匠!鬼神を欺くには天狗の力を借りて守るのです!奴の力には、天狗の力を持って抗するしかありません・・・」
わたしはその案を飲んだ。あの鬼神相手にわたしの力などたかが知れている。
行信さまはすぐに新三郎さまに策を伝えた。
「母上・・・」
「どうしたのです?」
「わたしは、鬼神と戦えるのでしょうか?」
この子を何としてでも守りたかった。
わたしは母上にも助けを求めた。
母上は腹をくくるようにしてわたしに言った。
「静・・・あなたと赤ん坊を周りの人たちが守ってくれています。あなたは独りでは戦ってはいない・・・まずは行信さまを信じることです」
素人のわたしより経験豊富な行信さまの策と天狗の力を信じることにした。
* * *
「新三郎殿、鎌倉殿に情報はもれておらぬな?」
行信が鬼神と同じくらいに警戒しているのが、この策が鎌倉殿に漏れていないかどうかだった。
もし、この館に鎌倉殿の間者がいれば策がばれてしまう。
「ご安心下さい。何一つもれておりません」
「よし!」
「行信殿~」
「来たか!さすが無学殿。よくぞ危険をかいくぐって、ここまで来られた!」
無学がやって来た。
「へっへっへ、バカの得意技でしてね・・・バカは死なないんですよ~」
自分は無敵だと言わんばかりの自信を持って無学は自慢した。
行信は「頼もしい」と一緒に笑った。
「これが偽の赤児です・・・」
無学がおくるみに包んだ”偽物”を行信に渡した。
「・・・本物ではないのか?」
無学が持ってきた偽の赤児を見て驚いた。柔らかさ、温もり、呼吸する音まで、どう見ても本物の赤児に思えた。
「いえ鞍馬天狗様いわく、これは”偽の命”だそうです」
どうやって作るのかは分からないが、天狗は秘術によって妖怪でもだませるほどの偽物を作ることができるらしい。
「これが偽物だと・・・」
* * *
「あぁ!」
戌の刻くらい。
陣痛が走り、出産が始まった。
わたしは無限の刻とも思える激痛に耐えた。
「オギャァァァァァー」
すっかり朝日が昇りきったとき、赤児が生まれた。
男の子だった。
それを見届けた無学さまはあるものを大事そうに抱えて鞍馬山へと走り出した。
「新三郎さま、お願いします・・・」
母上が温もりを感じる孫をおくるみに包んで新三郎さまに託した。
新三郎さまは床板を外した。
軒下に穴が見えた。
抜け道だった。
新三郎さまは赤児を抱えて抜け道を走っていった。
無学さまは、おくるみの束を抱えて走っただけだった。本物は新三郎さまが高徳院で鞍馬天狗の遣いに渡す手はずになっていた。
「鎌倉殿よりの使者が参りました!」
すぐに鎌倉殿からの使者がやって来た。
鎌倉殿も動きは素早かった。
「鎌倉殿の命である。その子をこちらに渡していただきたい!」
「・・・はい」
わたしは天狗が作ったという偽物を使者に渡した。
「うむ、では!」
使者は全く疑いもせず偽物を腕の中に抱くと屋敷を後にした。
わたしは疲れが出たのか床に寝そべった。
「行信さま。これであの鬼神をだませるのでしょか?」
「某は新三郎殿を信じております。静様も仲間を信じてください!」
行信さまが信じて欲しいと言っている。
わたしはこの人達を信じる。
だが、行信さまの仲間が大慌てでやって来て、恐るべき事を告げた。
「新三郎は由比ヶ浜に向かったとの報が!」
「何故、由比ヶ浜だ?高徳院だろ!?」
「まったく分かりません」
恐怖の空気が流れ出した。
その空気に皆、凍り付いた。
「まさか!?」
行信さまは屋敷を飛び出した。
わたしに恐怖と共に屋敷に残された。
「わたしの子・・・」
* * *
「新三郎!」
行信が由比ヶ浜まで行くと、波打ち際で新三郎が座り込んでいた。
「貴様、裏切ったのか!?静様の子供を海へ流したのかー!?」
行信は新三郎を砂浜に打ち付けた。海の水が顔にかかりながら新三郎は告白した。
「あなたたちが・・・来る前に・・・鬼神が、拙者の前に現れた!逆らえば・・・拙者も、妻も・・・子も殺されるんだ!」
行信は顔を震わせながら新三郎の襟を握りしめ聞いていた。
「奴の策にはまっていたのか?初めから!?」
行信に悔しさがこみ上げてくる。必死に考え御台所を味方に付けたのに、奴は先手を打っていた。
神斬を抜いた。
「静様も殺せと言ってきたのか?」
「あなたと静御前は・・・生かせと言っていた・・・」
* * *
夕刻、行信さまが屋敷に戻ってきた。
赤児を抱いていない。
「わたしの子は?」
わたしはわたしを見ようとしない行信さまに身体を震わせながら訴えた。
行信さまは、黙ったまま地面に頭を付けて必死に詫びた。
「わたしの子供を返してください!」
9月16日、わたしと母上は京へと帰ることが許された。そして御台所さまはあるお方を付けてくれた。
「御台所様に、お二人をお守りするよう命じられました・・・」
この後、行信さまは光へと名前を変えた。
* * *
「わたしは我が子を守れなかった・・・」
「サクヤさま、ククリ殿、食事の用意が出来ました」
外で光さまの声がしたが、返事が出来なかった。あの時、光さまに八つ当たりをするつもりはなかった。
だが、わたしは光さまに我が子を返して欲しいと何度も懇願した。
「すぐに参る!」
代わりにククリさまが返事をした。
「その悔しさは、わらわにも痛いほど分かる・・・」
ククリはサクヤの涙を拭いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜
KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞
ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。
諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。
そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。
捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。
腕には、守るべきメイドの少女。
眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。
―――それは、ただの不運な落下のはずだった。
崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。
その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。
死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。
だが、その力の代償は、あまりにも大きい。
彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”――
つまり平和で自堕落な生活そのものだった。
これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、
守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、
いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。
―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる