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1章 転生→カタリナ村脱出
6話 魔力暴走 前編
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夕飯は獣の肉が入ったシチューだった。
時折、兵士たちがカタリナ村の外で獣を狩ってくる。捌いた肉の一部を、村民にも分け与えてくれるのだ。
それ以外の方法では、不定期に訪れる商人から買い取ることが可能だが、基本的に自給自足を行い、兵士と村民が互いに助け合って生きている。勿論、奴隷についても同様だ。
今回は狩猟によって得た肉が入っている。脂が乗って、パンの上に乗せて食べれば、より美味しい。
キャビーはまだ自力で食べれない為、小さく千切ってシチューでふやかしたパンや、ファイが噛んで柔らかくした肉を食べた。それでもやはり、美味しかった。
夕飯を終え、ファイは片付けを始める。その隙にキャビーは隣の寝室に移動する。
魔法の訓練を、いつも空き時間を見つけては、ファイの眼を盗んで行っている。
現在練習しているのは、無属性魔法による単純な身体能力の底上げ──<身体強化>だ。
発動方法は、ただ魔力を纏い、筋力をサポートするだけである。これを魔法と呼べるのかについては、諸説ある。
誰でも簡単に発動出来るが、それ故に疎かにしてはならない。この魔法を如何に極めるかが、勝敗を分ける。
キャビーは新しい身体になったことにより、前世ほどの身体強化が使えない。また、魔力を纏う際の<魔力操作>についても、上手く行えない。
勘はあれど、やはり身体に覚えさせる必要があるらしい。
★
※説明になります。★まで読み飛ばしてもok
身体強化の魔法は、どの部位に魔力を集中させるかによって、効果は変動する。
脚首に多くの魔力を集めれば、踏み込みと蹴り上げが通常よりも強力になる。初動の動きや加速後の反転を高速化することも可能だ。
腕に魔力を集中させれば、投擲や武器の使用に影響を与える。そして全ての魔力を1箇所に集め、凝縮させれば反作用が働き、敵の攻撃を受け止めることが出来る。
このように魔力の移動──所謂<魔力操作>は無属性魔法を行使する上で重要な項目となる。当然、無属性以外の魔法においても必須スキルだ。
★
無属性魔法を行使する上で、魔力の量も重要になる。多ければ多いほど、性能の向上が見込める。
並行して、魔力量の強化も必要なのだが──
「相変わらず凄まじい身体だ。この調子で成長すれば、以前の身体を軽く凌駕するかも知れない」
喋れない口で彼は言う。
現在は前世に及ばないが、それでもキャビーの小さな身体には、努力を嘲笑うかのような圧倒的な才を秘めていた。
特に魔力量は顕著に肥大化していく。魔力操作も次第にスムーズになっている。
思わず、彼は笑みを溢していた。
しかし──
何故、ファイから生まれたこの身体に、これ程の力が宿っているのだろうか。
決して、キャビー本人に才能がある訳では無い。才能があれば、次期魔王の候補に上がっている。
あくまでこれは、紛れもなくこの肉体に宿っている力だ。
知っての通り、彼の目的は人類を殲滅することにある。
その為の手段として──
国王に取り入り、王国を内側から疲弊させていく。そして行く行くは、魔王の手によって我が身ごと滅ぼして貰う。
当然可能であれば、キャビー自身の手で王国を滅ぼしても構わない。
この身体なら、本当に実現出来るかも知れない。はっきり言って無理難題な命令ではあったが、現実味を帯びて来た。
カタリナ村という閉鎖的な空間に生まれてしまい、出鼻を挫かれたが、良い身体を持ったことは救いだ。
もう少し成長すれば、自分を知る者を全て殺害し、ここを抜け出してしまおう──
そう決心したところで、集中力が僅かに途絶えた。
操作を誤り、胸に魔力が集まっていく。
すると、心臓から何かが溢れてきた。まるで張力を失わずに膨れ上がった水が、重たくのしかかってくるようだ。
刹那、大きな衝撃がキャビーを襲う。身体は吹き飛ばされ、壁に激突してしまう。心臓に痛みを覚えて、口内から血を吐き出した。
朧げな意識で目前を捉えると、家の壁にポッカリと巨大な穴が空いていた。
コントロールを失ったことによる<魔力暴走>だった。
生物の心臓部にある<コア>に、キャビーは誤って魔力を通してしまった。すると魔力は<増幅>され──
コアの色に応じた<属性>が宿る。
破壊した壁の断面は綺麗な切断面を見せ、黒い靄が浮かんでいた。
キャビーの意識はそこで途絶えた。
『作者メモ』
少し用語が多く出てしまいましたが、基本的にそのままの意味です。
多分独自の設定は、コアの部分かと思います。
心臓に水晶があり、魔力を通せば出力される魔力が増幅され、尚且つ属性魔法が発動出来る。
通さなければ、無属性です。
それだけです。雰囲気で大丈夫です。
時折、兵士たちがカタリナ村の外で獣を狩ってくる。捌いた肉の一部を、村民にも分け与えてくれるのだ。
それ以外の方法では、不定期に訪れる商人から買い取ることが可能だが、基本的に自給自足を行い、兵士と村民が互いに助け合って生きている。勿論、奴隷についても同様だ。
今回は狩猟によって得た肉が入っている。脂が乗って、パンの上に乗せて食べれば、より美味しい。
キャビーはまだ自力で食べれない為、小さく千切ってシチューでふやかしたパンや、ファイが噛んで柔らかくした肉を食べた。それでもやはり、美味しかった。
夕飯を終え、ファイは片付けを始める。その隙にキャビーは隣の寝室に移動する。
魔法の訓練を、いつも空き時間を見つけては、ファイの眼を盗んで行っている。
現在練習しているのは、無属性魔法による単純な身体能力の底上げ──<身体強化>だ。
発動方法は、ただ魔力を纏い、筋力をサポートするだけである。これを魔法と呼べるのかについては、諸説ある。
誰でも簡単に発動出来るが、それ故に疎かにしてはならない。この魔法を如何に極めるかが、勝敗を分ける。
キャビーは新しい身体になったことにより、前世ほどの身体強化が使えない。また、魔力を纏う際の<魔力操作>についても、上手く行えない。
勘はあれど、やはり身体に覚えさせる必要があるらしい。
★
※説明になります。★まで読み飛ばしてもok
身体強化の魔法は、どの部位に魔力を集中させるかによって、効果は変動する。
脚首に多くの魔力を集めれば、踏み込みと蹴り上げが通常よりも強力になる。初動の動きや加速後の反転を高速化することも可能だ。
腕に魔力を集中させれば、投擲や武器の使用に影響を与える。そして全ての魔力を1箇所に集め、凝縮させれば反作用が働き、敵の攻撃を受け止めることが出来る。
このように魔力の移動──所謂<魔力操作>は無属性魔法を行使する上で重要な項目となる。当然、無属性以外の魔法においても必須スキルだ。
★
無属性魔法を行使する上で、魔力の量も重要になる。多ければ多いほど、性能の向上が見込める。
並行して、魔力量の強化も必要なのだが──
「相変わらず凄まじい身体だ。この調子で成長すれば、以前の身体を軽く凌駕するかも知れない」
喋れない口で彼は言う。
現在は前世に及ばないが、それでもキャビーの小さな身体には、努力を嘲笑うかのような圧倒的な才を秘めていた。
特に魔力量は顕著に肥大化していく。魔力操作も次第にスムーズになっている。
思わず、彼は笑みを溢していた。
しかし──
何故、ファイから生まれたこの身体に、これ程の力が宿っているのだろうか。
決して、キャビー本人に才能がある訳では無い。才能があれば、次期魔王の候補に上がっている。
あくまでこれは、紛れもなくこの肉体に宿っている力だ。
知っての通り、彼の目的は人類を殲滅することにある。
その為の手段として──
国王に取り入り、王国を内側から疲弊させていく。そして行く行くは、魔王の手によって我が身ごと滅ぼして貰う。
当然可能であれば、キャビー自身の手で王国を滅ぼしても構わない。
この身体なら、本当に実現出来るかも知れない。はっきり言って無理難題な命令ではあったが、現実味を帯びて来た。
カタリナ村という閉鎖的な空間に生まれてしまい、出鼻を挫かれたが、良い身体を持ったことは救いだ。
もう少し成長すれば、自分を知る者を全て殺害し、ここを抜け出してしまおう──
そう決心したところで、集中力が僅かに途絶えた。
操作を誤り、胸に魔力が集まっていく。
すると、心臓から何かが溢れてきた。まるで張力を失わずに膨れ上がった水が、重たくのしかかってくるようだ。
刹那、大きな衝撃がキャビーを襲う。身体は吹き飛ばされ、壁に激突してしまう。心臓に痛みを覚えて、口内から血を吐き出した。
朧げな意識で目前を捉えると、家の壁にポッカリと巨大な穴が空いていた。
コントロールを失ったことによる<魔力暴走>だった。
生物の心臓部にある<コア>に、キャビーは誤って魔力を通してしまった。すると魔力は<増幅>され──
コアの色に応じた<属性>が宿る。
破壊した壁の断面は綺麗な切断面を見せ、黒い靄が浮かんでいた。
キャビーの意識はそこで途絶えた。
『作者メモ』
少し用語が多く出てしまいましたが、基本的にそのままの意味です。
多分独自の設定は、コアの部分かと思います。
心臓に水晶があり、魔力を通せば出力される魔力が増幅され、尚且つ属性魔法が発動出来る。
通さなければ、無属性です。
それだけです。雰囲気で大丈夫です。
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