俺らは多兄弟!

春之介

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1.日常生活

三つ子、三男組のクラス。【速人・蒼天・莉媛】

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健「じゃ、決まりっすねー!よっしゃーっ」
数年経ったものの、なんとか成績をあげる術を見つけたのであった。


 そしてまた時間を遡ること一番下の弟たちの場合。
テスト終わりのチャイムが同じくして鳴り響く。
シャーペンで回答用紙と問題用紙をしっかりとギリギリまで見直していたが、その緊張の糸が途切れたかのように、両手を上にして伸びをする。
速人「(…ねっむ……。)」
テスト終わりに思うことはこんなことだった。
回答用紙が回収されるとすぐに他の兄弟の元に駆け寄る。
莉「相変わらず来るの早いね、速人」
チョロチョロと動く相手に思わず笑いながら、話しかける。
速人「うるさいな…別によくない?早く話したかったの。こっちは」
相手の言葉に少し口ごもったものの、言い返す。
二人が話しているところに、後から課題を両手で抱えた蒼天が近くに来る。
蒼「二人とも、テスト、どうだった?」
比較的穏やかな口調で聞くと、コテリと首を傾けた。
速人「まぁまぁ…普通かな、ぼくは。」
莉「ボクもボクも、普通かな~」
緩い返事が二人から返ってくると、ホッとしたような笑みを浮かべる。
蒼「実は今回あんまり上手くいかなくて、低いかもと思ってて自信なくて」
両手で抱えている課題をぎゅっと抱きしめながら、弱々しく笑う。
莉「え、いやいや!蒼天が成績悪いとか天変地異!絶対大丈夫だよ!」
この中で一番頭が良いのは、蒼天だった。
その相手が点数が低いなんてなかなかないことだ。
速人「そうだよ、蒼天は元からできる方だし、不安になるのもわかるけど、きっと今回も普段通りだよ」
莉媛の言葉にプラスし、宥めるように言う。
蒼「そういう速人も自分と同じくらいできるから、今回は抜かれそう…」
悔しそうに相手を見つめながら言うと、「たまには譲ってくれてもいいんじゃない?」と笑いかける。
莉「うわ~、そういうところだけちゃっかりしてるよね、速人」
速人「な!うるさいなぁ、だってたまにはこの中で一番取りたいし!」
蒼「たまにはね、たまには。普段は譲らない」
どこか負けず嫌いなところが見える口調であった。でもそんな返答は予想ができていて「そう言ってくれないと面白くないからね」と告げるなり速人は笑う。
莉「(ボクなんかそこまであれだし、なんというか…仲良いな~)」
二人の張り合いを見ていると、自然とふふっと釣られて笑っていた。
莉「ほんとさ、そこまで大差ないのによく張り合うよね」
速人「順位とか出るとついつい…」
蒼「なんか負けたくない気がして…」
二人からはやはり似たような返答が返ってきたわけで。
そんな他愛のない会話をしている中、ハッと何かを思い出した。
莉「あ!ちょっと!そうだよ、朝なんでそそくさといなくなっちゃったわけ!?」
その言葉は朝、そそくさと一番先に出て行ってしまった速人に向けられた。
速人「…逃げるが勝ち、だって面倒ごとに巻き込まれるのはごめんだよ…!」
蒼「自分もちょっと大変だった…まぁ、なんとか逃れたけど…」
莉「危うくボクなんかとばっちりを喰らうところだったんだから!」
勘弁してよ…と疲れた顔をしながら呟く。
速人「ごめんごめん…でも、ほら予想できる場合は早く逃げたもん勝ち…あとでどうなるかわからないけど」
そこだけ心配、と言わんばかりの表情になり眉を下げる。
莉「まぁ、大丈夫じゃない?正臆兄さんと登校したみたいだし」
蒼「確かに忘れてそうな気がする」
莉媛と蒼天の話を聞き、「そうかなぁ…」と言葉を漏らすものの、自分の頬を掻き苦笑いになる。
速人「案外兄さん覚えてるんだよね、威一郎兄さん。」
その言葉に驚いたように顔を見つめる莉媛。
莉「うっそでしょ、信じられないんだけど…」
速人「うんうん、一日くらいのことじゃ覚えてるよ…きっと…というより、なんか隠し事しててもバレるよね…」
蒼「それはカンがいいとかじゃなく…?」
不思議に思った蒼天の口からそんな言葉が出るも、速人は横に首を振った。
速人「多分、勘がいいとかそういうものじゃないと、思う…浮羽みたいになるけど、なんか、その…天性的にもっているみたいな…」
自分でもどう表現したらいいのかわからず、少しオロオロとした様子が見える。
蒼「そういうことってあるものなの」
莉「一種の超能力みたいなものじゃない?」
と、一言で片を付けようとしたものの、莉媛がふとしたことに気がつく。
莉「(…ボクのときもあったような…まさかね…)」
この時にはみんな深くは考えなかった。
速人「まぁ、きっとぼくの思い過ごしというか、なんかだと思うから気にしないで!」
深く考え込ませてしまったら申し訳ないという念からか、慌てて二人にそう声をかける。
莉「えっ?あ、う、うん。気にするわけないじゃん、長男なんて」
クスッと笑うと、速人はホッと胸を撫で下ろし「よかった」と呟く。
蒼「……。」
ただ1人は、その話に何か突っかかるものがあったようだった。
しばらくするとやはり出るのは兄弟の話題、テスト中の兄弟についてだ。
速人「やっぱり今回もいつも通り、粋唯兄さんたちのところかな?」
莉「あー、わかる、なんかそんな感じするよね」
蒼「あ、うん…多分そうだよね、その次にマシなのは一郎兄たちだと思う」
ここの兄弟たちからは、おおよその順位が予想できたようで話が広まっていく。
莉「ってことは、やっぱりボクらが一番かな?」
あったりまえだよね、とにぱっと笑みを浮かべる。
速人「なんか、兄なのにどうしてここまで差が出るのか…」
思わず苦笑いにもなる。
蒼「結構、差が酷いからね…」
こくこくと数回頷くとそう言った。
莉「そうそう、凄い差があるよね、一番上達はぜんぜん…普通?よりちょっと下なのに」
速人「二番目たちが赤点ギリギリって…」
思わず三人から、大丈夫なのかなぁ…と心配な声が漏れる。
莉「就職とかに支障でないのかな?三年になってから」
速人「確かにね…でも職に就くからそこまで関係ない…?でもちょっとした計算とかあるよね。」
蒼「それを考えると教えてあげたいと思うけど…」
「「「(頑固なんだよなぁ…)」」」
以前、勉強面にて話を持ちかけたことがあったものの、全面的に拒否されてしまったのは言うまでもない。
速人「…まぁ、大丈夫だよ、ぼくら高校生だし、なんとか…するよ、あの人達も」
とりあえずそう思うしかないよ、と苦笑いをしながらに言うと二人も静かに頷いた。
速人「さてと…多分今日は帰ったらテストの愚痴だね愚痴…」
莉「えー、めんどくさいから自室に逃げていい?」
だるいー、と言いながら両手を上に体を伸ばす。
蒼「まぁ…暴れなけれはまだマシだから全然いいや」
そしてこちらはこちらで諦めたように笑う、八男。
速人「出来れば、ぼくも面倒だから避けたいなぁ…」
考えただけでもヤダヤダ…と首を左右に振る。
テスト最終日ならともかくテスト初日。
ザッと考えてもあと2日はあるのだ。
その度に愚痴を言う兄たちには頭を悩ませられていた。
莉「べっつにさー…勉強してないなら大凡自分の点数予想つかない?普通」
速人「本当それな…わかる、普通それなのにあいつら怒るからな…ちょっとは勉強しろ!みたいな…言えたらどんだけいいか…」
以前そういった速人は逆ギレされて、滅多打ちにされたことがあったのを蒼天も莉媛も目の前で見てしまったが為に下手なことは言えなかった。

「席につけー」
教室に現れた教師の掛け声にそこに集まっていた三つ子たちは、自分たちの席へと素早く戻る。
「今日はこれで終わりだ、次の日のテストも復習をして備えるように、以上」
ホームルームが終わると、家に帰るには重い腰を持ち上げ、鞄を持つと、七男の「帰ろっか」という声に頷き教室を後にする。

残りの2日もこのような現状でテスト日は終わっていった。
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