夜を這うモノ達

狭雲月

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第三夜 見たものは※

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 外は静かだった。
 大きな満月がぽっかりと空に浮かんでて、街灯が少ない道でも歩ける。
 田舎なので隣の家との距離は遠い。
 でも夕兄の家までは道路じゃなくて、林をつっきれば歩けば十分もかからない。
 誰にも会いたくない、早く会わないと勇気がしぼんでしまう勢いで、表の道じゃなくて、そっちを選ぶ。
 勢いで外に出て来たのはいいけれど、外に出てから気が付いた。

 ――祭りのルール。

 家から外に出れば、それは参加しているという。
 もし、夕兄以外の人間に見つかったら?
 軽はずみに、外に出たことに後悔する。だけど引き返すには微妙な距離になってしまって、こうなったら進むしかないと、夕兄の家への道を取った。
 誰かがそこらの茂みに、潜んでいるような気がして、疑心暗鬼におちいっているのか自然の音が妙に大きく聞こえる。いつもならすぐのその道が、とても時間がかかっているように感じた。
 だからと言って走り抜けるのは、こちらの存在を大声で知らせてるみたいで、出来なかった。
 気を遣いながら、じっくりと進む。

 そんな緊張感の中、聞こえる小さな音。
 かすかに聞こえるのは――人の声?

 いつもなら聞き逃してしまいそうな、些細な音が妙に聞こえるのは緊張してたからだろう。
 苦しそうな、声が聞こえて。
 だれか、怪我して倒れてるのかも……どうしたんだろうと、反射的にそちらの方を向く、そして茂みをかき分けて木の陰からこわごわと覗き込む。


 苦しそうに聞こえた声の主は、知ってる人だった。
 近所に住む、清楚美人なお姉さん。
 頭の先から指の先まで、上品で綺麗な人で、おっとりとしていて。
 最近結婚した旦那さんは、地味だけど優しそうなほのぼのとしたお兄さん。
 朝、よく家の前を箒で掃いて掃除している、ほほえましい絵にかいたような新婚さん。
 こんな結婚したいなぁって、あこがれてしまうほどの二人。

 昔は遊んでもらってて、綺麗で優しくて憧れのお姉さんが……。 

 それが……今はその姿は見る影もなく。

「やぁっ……!」

 遠目でも分る。
 木立の隙間から見え隠れする、見事な裸体。
 月の光に所々照らされて、肌の白さが青白い光で眩しい、絵のように幻想的な姿。

 でもそれは――立ちバックで犯されている、姿だった。

 木に必死で手をついて、こらえているお姉さんの躰。
 陶器のように美しい身体の細腰についてるとは思えない大きい胸が、お尻が……揺れていて。その行動は、昨日の私のように、いやらしい男を望むメスそのものだ。
 客観的にみると、自分もあんなだったのだろうかと、ショックをうける。

 ――けど。

「だ、めぇ! あっああっ! こわれるうぅ……あぁぁ」

 ――でも、それ以上に衝撃的なのは。

「もう、これ以上はっ……死んじゃうっ……あっ、あんっ、いいっ、ああ! 熱いぃ」

 乱れに乱れて……正気を失っている。
 お姉さんの上に覆いかぶさって、夢中になって腰を振っている体は。

 旦那さんじゃない。
 これが旦那さんである訳がない。
 大きな姿。
 毛むくじゃらで。
 四足でお姉さんを包み込む姿は。


 ――――人ではなく、獣だった。


 犬?
 形はどう見ても大型犬にしか見えない。
 銀色の美しい獣が、お姉さんを犯している。
 お腹を破ってしまうんじゃないかとほどの、激しい突き上げに体が動きすぎて、大きな男根を抜き差ししているのが、隙間からちらちらと見える。犬はお姉さんの横顔を夢中になって舐めていた。その動きは止まる事がない。

「あーあー……、おっきぃ、あーーーーっ。あっ! ッツ あったかいのぉ ナカァ」

 必死になって木にしがみついていたお姉さんが、崩れ落ちる。でもお尻は上に向けてつながった肉を離さないかのごとく、四つん這いのポーズはかろうじて保っている姿。

 その常識を外れた異常な姿に、やっと正気に返った私は悲鳴をあげそうになって口を開く。


 その瞬間。
 後ろから口を押さえ込まれ、私は草むらの中に引きずり込まれた。


 
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