夜を這うモノ達

狭雲月

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番外夜 新婚さん※

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 私と芳路よしみち君……ミチ君は幼馴染だ。

 ほわほわしたミチ君はすごく優しくて。
 こちらも優しくなれるぐらい、すごく大事でいつも当たり前のようにそばに居てくれた。
 女性と男性の区別がつくようになった頃。
 つまり、子供ができるような体になった頃には、薄々この村の真実が分っていた私たちは、お互いに番になる事を約束してた。

 子供が望める体になると言う事は、筆おろしどうていそつぎょう水揚げしょじょそうしつの時期。
 童貞はそのあらぶった獣の本性から、処女を相手にすることはあまり歓迎されていない。
 特にミチ君みたいな、先祖がえりの特性が強くでるオスなら尚の事。
 だからといって、慣れるために他の男に手ほどきされるのは嫌だった。
 初めてもこれからも、子作りするのはミチ君とじゃなきゃ嫌。

 私はもう、ミチ君を番って決めてたから。

 ミチ君は、獣の血が色濃く流れていた。
 普段のホンワカな雰囲気からは――全くと言っていいほど、性的な表情がうかがえない。
 お風呂に一緒に入ったとしても、そんな雰囲気にはならない。
 祭の本番の前に、少しずつでも慣らすため。
 凄い恥ずかしかったけど「チャレンジしようか?」と、女の私から勇気をもって誘ってみても、全くできなかった。
 私ってそんな魅力ないかなぁと、思わず泣いてしまったら。
 「ごめんね、こんな僕じゃ……嫌だよね」って逆に落ち込まれたけど。でもその代り、昔から祭の日に近づくとすごい事考えていたと、恥ずかしそうに言われて機嫌が直った。男の人にとって勃たないって、すごい深刻な悩みだって知ってからは、言わないようにしているけど。

 そして迎えた、祭の日。 
 
 ――びっくりした。

 初日は、まだ獣化してなかったのに。
 それでもミチ君が、豹変した。
 普段はどんなにチャレンジしても、ピクリともしなかった雄が恐ろしいほどに大きくなっている。
 この日を覚悟する為に、AVとか頑張って借りて見ていたけど。
 想像以上に、本物は凄かった。

 私も発情期で体の準備が、普通の女性よりも――いわゆる感じやすい状態になっている。
 ミチ君、初めは獣の本性を抑え込もうと頑張ってこらえるために、薬まで飲んでくれたらしい。
 だから、処女喪失は痛かったけど、とっても痛かったけど、怪我をしないで済んだ。
 なのに、一夜、二夜……特に最終日になると、ミチ君は殆ど獣の様だった。
 
 次の日に、中が痛いのが収まらなくて、恥ずかしくても婦人科に駆け込んだぐらい。
 もしかしたら強姦されたのかと、誤解を受ける程の身体の痕跡にいたたまれなくなるけど。
 診察してもらったら、そんな深刻な状態じゃなくってほっとした。
 ミチ君は私に謝り通しだった。
 そんなギャップに、きゅんとしてしまう。
 ほんとにミチ君のこと大好き。

 AV見ていて激しい特殊プレイは、そんなに胸を力いっぱい揉んだり、乳首をひっぱっちゃったら痛くないのかな、とか。
 ガンガンについたら、お腹の中壊れちゃうんじゃないか、痛いよねと冷静に思ってはいたけど。
 本当にされると、現実は甘くない。
 アレは訓練され、プロの演出なんだ、と。
 だからこそ、別の人に慣らしてもらった方がいいといった、先人たちの言葉は本当だったんだろう。


 AV女優さんのように、訓練したら……ミチ君の全てを受け止められるかな。


 それからはミチ君も薬を飲むのを調整して、理性を保っていてくれて、祭を重ねることに私の躰も交わることに慣れてくる。
 段々と行為が慣れた分だけ薬の量を減らす、その分だけミチ君は激しさを増していった。

 そんなすごさに、私の理性は壊されて、いた。
 普段の生活に、支障が出る程。 


 女は孕む確率を上げるために、人間に近くて。
 その気になれば、いつでも発情できるのに。
 私も――ミチ君を知ってからは、きっかけがあればでいつでも発情してしまう。
 一族の人には、祭以外の日にもできる人もいるらしい。
 なので、発情期じゃないミチ君を――もしかしたら出来るかも知れないと言う望みをかけて。
 口で、手で、胸で、その気にさせようと頑張ったけど、やっぱり血の色濃いミチ君が勃たないのは仕方がない。
 ごめんとくしゃっと苦笑いする顔で謝られるばかりで、仕方ないなぁって思うけど。あの感覚を知ってしまった私の方は、ちょっとしたきっかけで、エッチな気分になるとそれが解消できなくて、日々悶々としてしまう。
 でもこんなにミチ君を求める淫らな体になったのは、祭の日のミチ君の所為だ。
 毎日穏やかなのに、祭りの日の濃厚で……なのに長く激しい行為のせいで、それが欲しいってミチ君に対して淫乱になってる。

 ミチ君は高校を卒業したらすぐに役場に勤めてて、私は隣の県の大学に進んで。
 ちょっとした遠距離恋愛の時期もあった。

 大学生の時、よく言われた。

 清楚なお嬢様に見えるのに、巨乳でいい体してるから逆にエロい、と。
 お嬢様はともかく清楚に見えるのは、長いストレートの黒髪の所為かもしれない。
 そんな髪型に似合うのは、自然と大人しい清楚系コーデになってしまうから。
 本当は一度ぐらいはパーマとかカラーとか、長さはショートとかやってみたいって興味があるんだけど。ミチ君が長い黒髪が好きって私は知っている。
 やっぱり本性が獣だと、毛並にはうるさくなっちゃうのかな? ミチくんだったらしたらしたで、似合うよって言ってくれるだろうけども、ガッカリさせちゃうと思うと実行する勇気はない。

 エッチな事に興味がないのは、巨乳の持ち腐れだってことも言われた。
 こんなに脳内ミチ君でいっぱいでピンク妄想してる私が、だ。
 基本的に猥談とかそんな事は恥ずかしくって、人とは話せないという常識はまだ残っていたけど、そう言われる一番の理由は、私の興味はミチ君とのエッチだけで、彼氏の話題になったとしてもミチ君との行為は特殊すぎて、普通の人には話せないからだった。
 そういうのがあからさまの感じの子達とは付き合ってなかったな。
 さらっと表面上はそう見えない様に誘われても、ヤリもくだろうなと獣としての勘が働いたのか見透かせて、きっぱりと断っていたから。その勘は危険な事態を回避するのに、とっても役立った。どうしても断れない飲み会で、お酒に危なげな薬を混ぜられそうになったりとかも回避できたし。

 普段の私を知っている人には知られたくない。
 淫らな本当の自分。
 でも知ってるのは、ミチ君だけというか――ミチ君だけ知ってればいい。

 初めは勉強の為に見ていたはずのAV。
 なのに今では悶々とした気持ちを解消する為に、見るタイトルは色々移り変わっていって、最終的には人妻凌辱ものになりつつある……昼下がりの情事的な。
 本当は獣姦物を参考の為に見たいんだけど、マニアックすぎてなかなか見つからなくって、その方向に行ってしまった。旦那さんに相手してもらえなくて悶々とした妻が、ギラギラとした雄にくらりとくるのが分る。かなり共感し始めている事は、流石に誤解されそうでミチ君には言えないけど。
 AVをもとに淫らな妄想する時は、旦那さんミチ君、相手役ミチ君と、もちろん全部ミチ君で妄想する。
 一人二役どころか複数人プレイの時は、ミチ君何人いるんだと言うぐらい……自分の妄想にツッコミどころが多すぎるけど。想像でもミチ君以外とは出来ない私、ミチ君が好きすぎる。だから未亡人物はちょっと好きじゃない。ミチ君の遺影を見ながら、ミチ君に犯されるってすごく悲しすぎる。私の想像力、果てしない。
 このままでは、大人の玩具にまで手を出してしまいそうになってるけど。
 お店に買いに行くのはすごく恥ずかしくて、手が出せなかった。
 けどネット通販というモノがあって、ポチりと誘惑に負けそうになる頃には、やっと祭の日が始まる。

 祭までお預けのせいか、解禁になった祭の日は、貪るようにセックスした。

 初めは渋っていた外での行為も、段々と慣れて気にならなくなってきた。
 むしろ今では、当たり前で。ミチ君に抱いてもらえるなら理性失っちゃうので……どこでも出来そうで、自分が怖くなってしまう。
 ミチ君的には、人の気配を感じ取りにくいごちゃごちゃした家の中よりも、外の方が安心するみたい。
 テリトリーがあって、この林は誰も近づかない筈だからと言われても、初めは感覚が普通の人間だった私は、開放感あふれる野外なんて安心できなかった。
 家の中、窓辺、玄関、納屋……と段々と段階を踏んで、ミチ君は私を外に連れ出して。
 快楽に抵抗できない私は、薬をほとんど飲まないミチ君に本能のままにめちゃくちゃにされても平気になった頃には、外でも普通にできるようになってきたのだ。


 最終日。


 ミチ君の獣姿の前戯は、主に舌ばかりになる。
 裸になって、体中を舐められて、涎でべたべたにされるのが大好きだ。
 興奮して、私が欲しくてたまらないって感じなのが、普段のミチ君では見せない態度で嬉しいからだ。本当に食べられてる気分になるぐらい強引に私にのしかかってきて、胸も思い切り舐められている間に、すぐに下半身が濡れてくる。 
 そして、その濡れた部分を水を飲むようにびちゃびちゃと卑猥な音を立てて舐める。
 バター犬のようにだ。
 人ではないしなやかさを持った舌、そして大きさで、広範囲を舐められて、奥まで蜜を絡め取る。
 人の姿なら顎が疲れそうな速さで、しかも長時間、執拗に追い詰めるせいで、どんなにイッても舐めても蜜は溢れてくる。
 その間に、感じやすいところに、ミチ君の毛がさわさわと触る。
 人では味わえない、快感。
 でも、犬だからやりたいんじゃない、ミチ君だから一緒に気持ち良くなりたいの。
 ずっと舌でなめられて足を開いた、ミチ君に挿れられ続けて拡張されたのか、中までぱっくりと開いて空洞が見えるほどになっていた、その密が溜まった奥まで、舌がぬるりと届く。その刺激に何度でも軽くいかされてしまう。
 そんな間に、ミチ君の性器は大きくなっていた。
 みちっと腫れ上がった肉の塊。人にはない鮮やかな赤さと、つるっとした……臓器のようなモノ。
 その先端からあふれ出した、先走り液が、更にてかてかと光らせる。
 お口とか、胸でとかしたいけれど。がっついたミチ君ではそれは難しい。そんなのより、即入れたい獣になっているからだ。

 私は完全に奪われる側だった。

 獣の姿の時は、やりやすいよう後背位――いわゆるアニマルポジションだ。
 本当は、ミチ君の顔を見てしたい、ぴったりくっつけないよ、と言ったら、その分、行為中に顔を舐めてくれるようになった。
 支えのない立ったままじゃ辛くて、四つん這いよりも、木にしがみついてするのが一番私たちのしっくりくるパターンになってる。正常位は私が腰を上げないといけない分、長時間だとかなり無理なポーズになってツライからだ。

 どれだけ中に入れて、揺さぶられて必死に木にしがみついていたんだろう。
 がくがくと、快感と――そして体力の限界で夢中になってしがみついてる所為で、腕にも樹の幹で擦り傷ができてる。でも、その痛ささえも、気持ちいい――全てが、快感。
 そして、限界が来た。

 ミチ君が、イった後の身体はすごい。

 ミチ君の根元のコブが大きくなって、私の入り口に蓋をする。
 精液を逃がさないように、という獣の本能。
 本当に子作りに特化した変化。
 ミチ君がイったあとは根元がむりやり抜けないように気を付けて、お尻はミチ君の身体にぴたっとつけたまま、地面にかろうじて四つん這いのポーズでへたり込む。

 ちかちかと、中が波打つ。
 熱い、熱い、みっちりとミチ君が中に入っている隙間にじわじわと、精子が広がっていく感覚。
 そして自分の意志とは関係なく中が、イキすぎたせいで、収縮を繰り返す。
 それがたまらなく気持ちよくて。


 独特な、終わり。


 その状態は、半時間ぐらい続いて、抜けない。
 抜きたくない――けど。


「誰か、いる?」
「はっ……え??」

 この姿を見られてる。
 野外に慣れ過ぎていても、初めての状況に正気に返る。
 無理に抜こうとすると、膣が痙攣して抜けなくなる事もあるし、入り口が裂けそうなほど膨らんだコブの為に下手に動けない。

「このままの姿で……追いかける訳にもいかないしなぁ」
 領域(なわばり)への侵入は、雌を奪われる事と同じだ。
 特に祭の最終日、満月の日なんて死人が出てもおかしくない程の挑発行為だった。
 ――それは、普段温和なミチ君だって例外じゃない。
 理性ではそんな気があるはずがないと分っている侵入者でも、容赦なく排除しようと本能が行動させてしまうのだ。
 でもイッてしまって、精液を出し尽くしたミチ君は、冷静になっていたのでほっとする。
 のんきな口調だけど、どう考えても凄い体位だ、それって。

 鵯越え? ううん、背面駅弁みたいな?
 AVで無駄に知識がある私は想像してしまう。
 普通の人間ならできないつながったままでの行動も、今のミチ君なら出来るだろうし。

 こんな姿で追いかけるなんて行為。
 こんなはしたなくなってしまった私でも、二人のセックスを近所の皆さんに見せびらかせるなんて領域までにはまだ達してない。

「あ、無事に夕に回収されたね」

 獣の姿のミチ君の感覚は凄くて、私には全く見えないけれど、勝手に納得していた。
 と、言う事は、見ていたのは隣のひーちゃん? こんな姿見られてた、と焦ってギュッと、ミチ君を締め上げてしまう。

「っ……落ち着いて」
「ん、ん」

 これ以上もないほど中がパンパンなのに。
 自分で締め付けていたいけど、それ以上のなかから跳ね返ってくる弾力に、私はまた感じてしまう。

 ――ああ、だめ。
 もうこれ以上、イッちゃって、疲れ切らないように。
 もっともっと狂いたくならないように。私は意識を別に向けた。

 お隣のひーちゃんは、小さい頃によく遊んであげた事がある。
 でも彼女には、夕君という幼馴染がいて。
 小さい頃から、思ってた、夕君はひーちゃんを番に決めたんだろうって。
 だから、もし祭の事を知らなかったとしても大丈夫だと思ってた。

 あの子はねぇ……。
 昔あの子たちが小さい頃、見てるとわざと、ひーちゃんが自分を頼ってくるようにしていた節がある。子供だてらにSっ気の素質十分で、ちょっと止めた方がいいと思ったけど、好みは人それぞれだから仕方ない。
 私だって、普段の夜は淡白すぎて、欲求不満に陥るけど……ミチ君以外には居ないと思ってるし。

 感じすぎないように意識を飛ばしていた私の身体から、ミチ君が離れていく感じがする。
 この瞬間はすごくさびしいけど、それと同時にその後にミチ君がしてくれる行為が好きだから、我慢する。
 終わった後の、精液であふれかえり、こぼれそうになる入り口を舐めるのがミチ君の癖だ。
 感じすぎて、ぽーっとなる。
 この時、くるくると頭の毛皮をなぞる……すると目を細める、ミチ君の表情が好き。
 人の時とは違って獣でも、ミチ君だなぁって分かる。

 それから、モフモフの毛皮にぎゅって抱きついて寝る。
 それが私達の夜の夫婦生活の終了の合図。

 ミチ君に包まれて幸せだ。
 本当に、幸せ。


 睡魔に誘われた私の意識はもうろうとしてる。
 心地よい、疲れ。


 でも、明日から、おとなりのひーちゃんとどんな顔をして顔を合わせればいいのかな。
 そう考えて、意識を手放した。



 明日からは、また欲求不満の日々が私を待っている。




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