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妖鬼対策研究会編
最悪の事態を防ぐためには誰を叩かなければならないのか
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風太郎は凶悪な白虎と化した日向に果敢に立ち向かっていく。
と、言うのも暴走した彼が仲間である妖鬼研究会の海崎に噛み付こうとしていたからだ。
彼は太刀を日向に加えさせて彼が噛み付くという最悪の事態を防ぐ。
「やめろ!日向!落ち着け!その人たちは味方だッ!」
だが、日向は聞こうとしない。それどころか、風太郎の太刀を噛み砕こうとさえしている。
このまま、口枷代わりの太刀が噛み砕かれれば、日向は何をするのか分からない。
風太郎は慌てて太刀を使って引っ張ろうとしたが、その前に白虎と化した日向の悲鳴が聞こえたので思わず太刀を動かせてしまう。
それに乗じて彼が逃げ出そうとしたので、慌てて太刀の力を強めたが、日向が悲鳴を上げた理由を知ると、彼は漠然としてしまう。
と、言うのもその攻撃が桐生桃の手によるものであったからだ。
彼女は刀の刃先を風太郎と日向の両名に向かって突き付けて言った。
「そいつが妖鬼と分かった以上は我々はそいつを処分しなければならん。そいつを渡せ」
冷徹な声。夏に買うアイスキャンディーでもそこまで冷えていないだろう。
風太郎は仲間を殺せと言ってもう平然とするこの眼鏡の女性に心底から恐怖を覚えてしまう。
心胆から寒かしめるという諺はこんな時に利用するのだろう。今、本当に彼は心臓が氷の中に漬けられたかの様に冷たい。
同時に、説得を試みようとした。だが、目の前の女性はそんな説得を受け入れる様な相手ではないだろう。
万事休すという奴かもしれない。風太郎が上手い言い訳を考えようとした時だ。
日向を太刀で抑えている風太郎と、その二人に向かって刀を突き付ける桐生の間に綺蝶が割って入った。
「待ってください。桐生さん。彼は討滅寮でもその存在は認められています。あなたが近作さんの首を刎ねるというのは上様のご意向に逆らう形となりますが、それでもよろしいのでしょうか?」
綺蝶は顔にドス黒い笑顔を浮かべて言った。だが、その顔のあちこちには青筋が立っていた。
それだけ、今回の桐生の攻撃に怒っているという事だろう。
だが、桐生は引く様子を見せない。むしろ、更なる怒りに火を付けてしまったらしい。
「上様は貴様といい、そこの妖鬼といい毒を手元に抱えておくのがお好きらしい。だが、上様に警告しておこうか、毒ばかりを抱えていてはその内、自身の用意した毒に飲み込まれてしまうとなッ!」
桐生は刀を斑目綺蝶に向かって振るう。真剣稽古というものではない。その剣は確実に綺蝶を殺すつもりで放れていた。
だが、綺蝶は自らの剣を盾にして彼女の斬撃を防ぐと、彼女の剣を弾いて彼女に向かって突きの攻撃を喰らわせていく。
こちらも本気。確実に殺すつもりで放った一撃だ。
二人の対決の凄まじさに言葉を失う風太郎。
だが、妖鬼対策研究会の面々は違う。彼ら彼女らは刀を周りを囲んでいた阿波の部下ではなく、日向と風太郎の両名、加えて斑目綺蝶に向けていた。
いつでも参戦するつもりなのだろう。風太郎たち三名を細切れにするために。
今、二人の斬り合いに首を突っ込まないのは巻き込まれる危険性があるから。
その一点に他ならない。
風太郎は日向の口を太刀で抑えつつも、周りで待機している研究会に警告の目を向けていく。
対魔師になってから、まさか、妖鬼ではなく、多少立場は違えども、同じ対魔師を相手にするとは思ってもみなかった。
一方で、二人が交わした刀の打ち合いの数は百合を優に超えていた。
激しい火花が飛んではいたものの、綺蝶はこんな状態でもまだ笑っている。
控えめに言って化け物。風太郎は自分の師でありながら、そう思わざるを得ない。
彼女は斬り合いの最中に、風太郎と顔が笑うと、あの柔和な笑みを浮かべて笑い掛ける。
それも、桐生に刀を振りながら。二人の斬り合いを止めるのには、そして、日向の催眠を解くためにはどうすれば良いのだろう。
いや、考えるまでもない。風太郎は上空で二人の斬り合いや妖鬼対策研究会の面々が困惑している様子を眺めて楽しんでいる蝙蝠の翼を生やした女性を睨む。
そして、空中でワインでも飲みかねない程に優雅に構える彼女に敵意に満ちた視線を送っていく。
だが、彼女は答える様子は見せない。そのまま空中に飛び上がり、自分たちを翻弄していく。
完全に笑っていた。風太郎は太刀を持つ力を怒りによって強めていく。
それが多少は虎になった日向にも伝わったのか、大きな声で悲鳴を上げていく。
そんな時だ。不意に日向の姿が消えて、代わりに海崎英治が現れて、風太郎に向かって刀を振るう。
右斜め下から振り上げられた刀を風太郎は両手で握った刀を盾にして防ぐ。
「悪いが、キミを生かしておく事はできない。あの妖鬼と一緒に消えてもらう。心配はしないで、キミらの首を狩った後はあいつの首も跳ね飛ばすから」
英治は先程まで、自分が居た位置に移動した日向を指差す。
日向は完全に阿波に操られてしまっているのか、仲間である筈の妖鬼対策研究会の面々を襲っていた。
だが、攻撃の手口が単純であるためか、彼らは容易に彼の爪や牙に刀を喰らわせて攻撃を塞いでいく。
だが、それでも応える様子は見えない。唸り声を上げる日向が、日下部暁人に襲い掛かろうとした時だ。
彼と暁人の間に一体の妖鬼が割って入り、操られている状態の日向を手招きして、共同戦線を張ろうかと誘っていたのだが、日向はそれを無視してあろう事か仲間である筈の妖鬼へと齧り付く。
それを見て妖鬼対策研究会の面々は暫くその光景を信じられないと言わんばかりに両目を開けて眺めていた。
だが、直ぐに頭を横に振って彼ら彼女らは日向やそれを守ろうとする対魔師に攻撃を仕掛けていく。
しかし、またしても周りを囲っていた妖鬼の襲撃。恐らく、あの妖鬼を殺された報復によるものだろう。桐生と海崎を除く、研究会の面々はやむを得ずに、日向ではなく周りの妖鬼へと刀を向けていく。
二人は何とか斑目綺蝶とその弟子にして彼女の相棒である獅子王院風太郎の首を狩ろうと躍起になっていた。
二人は冷静に対応していたのだが、風太郎は何度も来る攻撃がうざったくなってしまったのか、刀で弾き返す度に舌を打ってしまう。
だが、それがいけなかったらしい。彼は利き腕を英治に掴まれて地面の上に押し倒されてしまう。
勿論、自分の上に寝そべる男は刀で自分の首元を狙っている。
圧倒的に不利な状況。彼はどうすれば打開できるのかを頭の中で巡らしていくが、考えは思い付かない。
彼は『詰み』を感じた様な気がした。
と、言うのも暴走した彼が仲間である妖鬼研究会の海崎に噛み付こうとしていたからだ。
彼は太刀を日向に加えさせて彼が噛み付くという最悪の事態を防ぐ。
「やめろ!日向!落ち着け!その人たちは味方だッ!」
だが、日向は聞こうとしない。それどころか、風太郎の太刀を噛み砕こうとさえしている。
このまま、口枷代わりの太刀が噛み砕かれれば、日向は何をするのか分からない。
風太郎は慌てて太刀を使って引っ張ろうとしたが、その前に白虎と化した日向の悲鳴が聞こえたので思わず太刀を動かせてしまう。
それに乗じて彼が逃げ出そうとしたので、慌てて太刀の力を強めたが、日向が悲鳴を上げた理由を知ると、彼は漠然としてしまう。
と、言うのもその攻撃が桐生桃の手によるものであったからだ。
彼女は刀の刃先を風太郎と日向の両名に向かって突き付けて言った。
「そいつが妖鬼と分かった以上は我々はそいつを処分しなければならん。そいつを渡せ」
冷徹な声。夏に買うアイスキャンディーでもそこまで冷えていないだろう。
風太郎は仲間を殺せと言ってもう平然とするこの眼鏡の女性に心底から恐怖を覚えてしまう。
心胆から寒かしめるという諺はこんな時に利用するのだろう。今、本当に彼は心臓が氷の中に漬けられたかの様に冷たい。
同時に、説得を試みようとした。だが、目の前の女性はそんな説得を受け入れる様な相手ではないだろう。
万事休すという奴かもしれない。風太郎が上手い言い訳を考えようとした時だ。
日向を太刀で抑えている風太郎と、その二人に向かって刀を突き付ける桐生の間に綺蝶が割って入った。
「待ってください。桐生さん。彼は討滅寮でもその存在は認められています。あなたが近作さんの首を刎ねるというのは上様のご意向に逆らう形となりますが、それでもよろしいのでしょうか?」
綺蝶は顔にドス黒い笑顔を浮かべて言った。だが、その顔のあちこちには青筋が立っていた。
それだけ、今回の桐生の攻撃に怒っているという事だろう。
だが、桐生は引く様子を見せない。むしろ、更なる怒りに火を付けてしまったらしい。
「上様は貴様といい、そこの妖鬼といい毒を手元に抱えておくのがお好きらしい。だが、上様に警告しておこうか、毒ばかりを抱えていてはその内、自身の用意した毒に飲み込まれてしまうとなッ!」
桐生は刀を斑目綺蝶に向かって振るう。真剣稽古というものではない。その剣は確実に綺蝶を殺すつもりで放れていた。
だが、綺蝶は自らの剣を盾にして彼女の斬撃を防ぐと、彼女の剣を弾いて彼女に向かって突きの攻撃を喰らわせていく。
こちらも本気。確実に殺すつもりで放った一撃だ。
二人の対決の凄まじさに言葉を失う風太郎。
だが、妖鬼対策研究会の面々は違う。彼ら彼女らは刀を周りを囲んでいた阿波の部下ではなく、日向と風太郎の両名、加えて斑目綺蝶に向けていた。
いつでも参戦するつもりなのだろう。風太郎たち三名を細切れにするために。
今、二人の斬り合いに首を突っ込まないのは巻き込まれる危険性があるから。
その一点に他ならない。
風太郎は日向の口を太刀で抑えつつも、周りで待機している研究会に警告の目を向けていく。
対魔師になってから、まさか、妖鬼ではなく、多少立場は違えども、同じ対魔師を相手にするとは思ってもみなかった。
一方で、二人が交わした刀の打ち合いの数は百合を優に超えていた。
激しい火花が飛んではいたものの、綺蝶はこんな状態でもまだ笑っている。
控えめに言って化け物。風太郎は自分の師でありながら、そう思わざるを得ない。
彼女は斬り合いの最中に、風太郎と顔が笑うと、あの柔和な笑みを浮かべて笑い掛ける。
それも、桐生に刀を振りながら。二人の斬り合いを止めるのには、そして、日向の催眠を解くためにはどうすれば良いのだろう。
いや、考えるまでもない。風太郎は上空で二人の斬り合いや妖鬼対策研究会の面々が困惑している様子を眺めて楽しんでいる蝙蝠の翼を生やした女性を睨む。
そして、空中でワインでも飲みかねない程に優雅に構える彼女に敵意に満ちた視線を送っていく。
だが、彼女は答える様子は見せない。そのまま空中に飛び上がり、自分たちを翻弄していく。
完全に笑っていた。風太郎は太刀を持つ力を怒りによって強めていく。
それが多少は虎になった日向にも伝わったのか、大きな声で悲鳴を上げていく。
そんな時だ。不意に日向の姿が消えて、代わりに海崎英治が現れて、風太郎に向かって刀を振るう。
右斜め下から振り上げられた刀を風太郎は両手で握った刀を盾にして防ぐ。
「悪いが、キミを生かしておく事はできない。あの妖鬼と一緒に消えてもらう。心配はしないで、キミらの首を狩った後はあいつの首も跳ね飛ばすから」
英治は先程まで、自分が居た位置に移動した日向を指差す。
日向は完全に阿波に操られてしまっているのか、仲間である筈の妖鬼対策研究会の面々を襲っていた。
だが、攻撃の手口が単純であるためか、彼らは容易に彼の爪や牙に刀を喰らわせて攻撃を塞いでいく。
だが、それでも応える様子は見えない。唸り声を上げる日向が、日下部暁人に襲い掛かろうとした時だ。
彼と暁人の間に一体の妖鬼が割って入り、操られている状態の日向を手招きして、共同戦線を張ろうかと誘っていたのだが、日向はそれを無視してあろう事か仲間である筈の妖鬼へと齧り付く。
それを見て妖鬼対策研究会の面々は暫くその光景を信じられないと言わんばかりに両目を開けて眺めていた。
だが、直ぐに頭を横に振って彼ら彼女らは日向やそれを守ろうとする対魔師に攻撃を仕掛けていく。
しかし、またしても周りを囲っていた妖鬼の襲撃。恐らく、あの妖鬼を殺された報復によるものだろう。桐生と海崎を除く、研究会の面々はやむを得ずに、日向ではなく周りの妖鬼へと刀を向けていく。
二人は何とか斑目綺蝶とその弟子にして彼女の相棒である獅子王院風太郎の首を狩ろうと躍起になっていた。
二人は冷静に対応していたのだが、風太郎は何度も来る攻撃がうざったくなってしまったのか、刀で弾き返す度に舌を打ってしまう。
だが、それがいけなかったらしい。彼は利き腕を英治に掴まれて地面の上に押し倒されてしまう。
勿論、自分の上に寝そべる男は刀で自分の首元を狙っている。
圧倒的に不利な状況。彼はどうすれば打開できるのかを頭の中で巡らしていくが、考えは思い付かない。
彼は『詰み』を感じた様な気がした。
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