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妖鬼対策研究会編
決して川の流れは元には戻りません
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阿波が次の反撃に出ようとした時だ。不意に彼女の上空から声が聞こえたために、全員がその声のした方向を振り向く。
すると、そこには大きな槍斧を持った派手なフリルの付いた黒いドレスを着た小柄な女性が立っていた。
阿波は彼女を見つけた途端に顔を震わせて大きな声で泣き叫ぶ。
「ち、違うんです!私はただ……」
「言い訳なんてぇ、聞きたくないわぁ。あなたは下手に計画を突き回して、計画を台無しにしたんだものぉ、その責任を取るというのは当然じゃあない?そんな事も分からないようになるなんて、姉様の直属の部下である百鬼の中の精鋭であり、姉様の直属の親衛隊である24魔将も落ちぶれたものだわぁ」
彼女はそう言って空中から降りると、怯えた表情の彼女に向かって槍斧を振り上げて、頭を叩き割ろうとしたのだが、彼女は必死に手と頭を横に振って弁解の言葉を紡ぎ出していく。
「ま、待ってください!確かに、あたしがやった事は取り返しがつかない事なのは知ってます!川の流れが決して逆に戻らない様に、どんなに戻したくても戻せないものなんです!」
「分かっているじゃあないぃ。なら、さっさと斧を振るうわよぉ、せめて楽にあの世に逝けるのをーー」
「ですがッ!」
彼女は声を振り上げて敢えて彼女の言動を遮る。そして、そのまま自分の延命方法を述べていく。
彼女は当初は斧を振り上げたままであったのだが、彼女の弁明を聞くうちに、振り上げていた槍斧を下ろして、左手で顎を摩るようにまでなっていく。
やがて、全ての話を聞き終えると、彼女は寛容な笑顔を浮かべて言った。
「分かったわぁ、今回だけよぉ、今回だけ、あなたに挽回の機会を与えるわぁ。あなたの言葉通り、そこに居るカスどもをあなた一人の手だけで始末できればこの件は不問にしてあげるわぁ」
彼女は頭を下げて、もう一度、風太郎と刀を使って向かい合おうとした時だ。
彼女は暗雲の様なものに飲み込まれてしまう。
その中から、少しの時間、悲鳴が聞こえたかと思うと次第に彼女の影も形も見えなくなっていく。
彼女の存在がこの世から消えたのと同時に、日向が元の人間の姿に戻り、彼女の姉妹にして分身である十体の体が消えていく。
だが、綺蝶はそんな周りの景色など見る事なく、黒い闇を纏わせた刀を振り回しながら、玉藻姑獲鳥へと斬りかかっていく。
姑獲鳥は闇に満ちた綺蝶の剣を槍斧で防ぐと、槍斧を上へて上げてその勢いで綺蝶を弾いていく。
綺蝶は刀を槍斧から離す真似こそしたものの、直ぐに足を踏ん張って耐え忍び、もう一度、彼女へと斬り込む。
「第一の破魔式『暗黒星雲の彼方』」
彼女は口で小さく呟くと、彼女と姑獲鳥の前に巨大な暗雲が覆い始めていき、やがてその暗雲が彼女を拘束していく。
だが、それでも尚、姑獲鳥は余裕の笑みを浮かべて笑っていた。
「相変わらず、変わっていないわねぇ、綺蝶ちゃぁん」
「黙れッ!お前の顔、忘れたては言わせないぞ!私の母の仇ッ!ここで取らせてもらうッ!」
彼女はそう言うと、闇を纏わせた刀を振るっていく。
そして、今度は大きな声で叫ぶ。
「第二の破魔式!『黒雲白雨』!!」
彼女はそう叫ぶと、闇を纏わせた方 刀から小さな闇の塊を出して、姑獲鳥へと投げていく。
だが、姑獲鳥は体から翼を生やすのと同時に、綺蝶の暗雲を切り離すと、上へ上へと登っていく。
だが、綺蝶は容赦しない。右手で刀を地上から上空へと押し上げると、刀から黒色の竜を上らせていく。
「第三の破魔式『黒竜天昇』!!闇の力を纏った竜は大将の相手を飲み込むまでは絶対に止まらないッ!そのまま、闇の力に飲み込まれて消えちまえ!」
綺蝶は彼女らしからぬ言葉遣いと声で暗黒の竜に指示を出す。
蛇の様に長くて大きな体を持つ黒色の竜は姑獲鳥を飲み込もうとしたが、彼女はそれを一々交わしていく。
いや、あろう事か彼女はわざと暗黒の竜の前に立ち、竜が口を開く寸前に身を交わしている。
彼女はまた普段の彼女らしからぬ態度でいた。鼻息を荒くし、唸り声を上げる女がどうして、常に柔和な笑顔を振り撒く少女と同一人物だと信じられるだろうか。
そんな事を考えていると、彼女の真上から槍斧を持った姑獲鳥が降下して、竜を操るのに夢中になっている綺蝶を襲う。
風太郎が助けに向かおうとした時だ。よりにもよってそれを先程まで綺蝶と斬り合いをしていた女性に止められてしまう。
「待て、闇の破魔式を使う綺蝶に迂闊に声を掛けるのは危険だ。心配はいらん。綺蝶なら、上手くやるさ」
結果は桐生の予想通りであった。上空から降下してきた姑獲鳥の槍斧を綺蝶は難なく受け止め、そのまま刀を弾いて、自分の元に現れた姑獲鳥の体に向かって刃を振るっていく。
振り回されていく刀は強い。女性とは思えない程に。
だが、悲しい事にそれらの全てはことごとく交わされてしまう。
綺蝶は大きな声を上げて真上から刀を振り上げていくが、またしても槍斧で塞がれてしまう。
未だに興奮の冷めぬ彼女に向かって姑獲鳥は冷徹な声で言った。
「残念ねぇ、あたしには攻撃が当たらないのよぉ。兄様と姉様に並ぶ妖鬼の始祖よぉ、幾ら闇の破魔式を用いたとしても容易に倒せる訳ないでしょぉ」
だが、綺蝶は聞く耳を持たないらしい。何度も何度も彼女の槍斧に向かって刀を振っていく。
姑獲鳥はそれを楽しそうな笑顔を浮かべて受け止める。そして、槍斧を彼女の刃の前で旋回し、刀を弾いたばかりではなく、彼女の体を切り刻もうと試む。
だが、綺蝶の体には槍斧が当たらない。姑獲鳥が彼女の顔から視線を外すと、そこには自分の槍斧に纏わり付いている暗雲の姿が見えた。
どうやら、鎧の代わりに槍斧を食い止めたらしい。
姑獲鳥は眉を顰めながら、槍斧を離してもう一度、綺蝶の頭上に目掛けて振りかぶる。
だが、綺蝶は刀を頭の前に構えて、姑獲鳥の攻撃を防ぐ。
そのまま何度も引いては振るかぶるという攻撃を繰り返していたのだが、綺蝶は応える様子は見せない。
いや、それどころかもう一度、振りかざした槍斧を離して、彼女の懐の中へと飛び込む。
そして、彼女の目の前で『黒雲白雨』を唱える。
姑獲鳥には多少の攻撃が当たったが、彼女には一向に打撃の痛みは蓄積されないらしい。
彼女は綺蝶の元を離れると、もう一度、空中へと飛び上がっていく。
それに対してまた黒竜を放つ綺蝶。
両者の対決は付く気配は見えない。
すると、そこには大きな槍斧を持った派手なフリルの付いた黒いドレスを着た小柄な女性が立っていた。
阿波は彼女を見つけた途端に顔を震わせて大きな声で泣き叫ぶ。
「ち、違うんです!私はただ……」
「言い訳なんてぇ、聞きたくないわぁ。あなたは下手に計画を突き回して、計画を台無しにしたんだものぉ、その責任を取るというのは当然じゃあない?そんな事も分からないようになるなんて、姉様の直属の部下である百鬼の中の精鋭であり、姉様の直属の親衛隊である24魔将も落ちぶれたものだわぁ」
彼女はそう言って空中から降りると、怯えた表情の彼女に向かって槍斧を振り上げて、頭を叩き割ろうとしたのだが、彼女は必死に手と頭を横に振って弁解の言葉を紡ぎ出していく。
「ま、待ってください!確かに、あたしがやった事は取り返しがつかない事なのは知ってます!川の流れが決して逆に戻らない様に、どんなに戻したくても戻せないものなんです!」
「分かっているじゃあないぃ。なら、さっさと斧を振るうわよぉ、せめて楽にあの世に逝けるのをーー」
「ですがッ!」
彼女は声を振り上げて敢えて彼女の言動を遮る。そして、そのまま自分の延命方法を述べていく。
彼女は当初は斧を振り上げたままであったのだが、彼女の弁明を聞くうちに、振り上げていた槍斧を下ろして、左手で顎を摩るようにまでなっていく。
やがて、全ての話を聞き終えると、彼女は寛容な笑顔を浮かべて言った。
「分かったわぁ、今回だけよぉ、今回だけ、あなたに挽回の機会を与えるわぁ。あなたの言葉通り、そこに居るカスどもをあなた一人の手だけで始末できればこの件は不問にしてあげるわぁ」
彼女は頭を下げて、もう一度、風太郎と刀を使って向かい合おうとした時だ。
彼女は暗雲の様なものに飲み込まれてしまう。
その中から、少しの時間、悲鳴が聞こえたかと思うと次第に彼女の影も形も見えなくなっていく。
彼女の存在がこの世から消えたのと同時に、日向が元の人間の姿に戻り、彼女の姉妹にして分身である十体の体が消えていく。
だが、綺蝶はそんな周りの景色など見る事なく、黒い闇を纏わせた刀を振り回しながら、玉藻姑獲鳥へと斬りかかっていく。
姑獲鳥は闇に満ちた綺蝶の剣を槍斧で防ぐと、槍斧を上へて上げてその勢いで綺蝶を弾いていく。
綺蝶は刀を槍斧から離す真似こそしたものの、直ぐに足を踏ん張って耐え忍び、もう一度、彼女へと斬り込む。
「第一の破魔式『暗黒星雲の彼方』」
彼女は口で小さく呟くと、彼女と姑獲鳥の前に巨大な暗雲が覆い始めていき、やがてその暗雲が彼女を拘束していく。
だが、それでも尚、姑獲鳥は余裕の笑みを浮かべて笑っていた。
「相変わらず、変わっていないわねぇ、綺蝶ちゃぁん」
「黙れッ!お前の顔、忘れたては言わせないぞ!私の母の仇ッ!ここで取らせてもらうッ!」
彼女はそう言うと、闇を纏わせた刀を振るっていく。
そして、今度は大きな声で叫ぶ。
「第二の破魔式!『黒雲白雨』!!」
彼女はそう叫ぶと、闇を纏わせた方 刀から小さな闇の塊を出して、姑獲鳥へと投げていく。
だが、姑獲鳥は体から翼を生やすのと同時に、綺蝶の暗雲を切り離すと、上へ上へと登っていく。
だが、綺蝶は容赦しない。右手で刀を地上から上空へと押し上げると、刀から黒色の竜を上らせていく。
「第三の破魔式『黒竜天昇』!!闇の力を纏った竜は大将の相手を飲み込むまでは絶対に止まらないッ!そのまま、闇の力に飲み込まれて消えちまえ!」
綺蝶は彼女らしからぬ言葉遣いと声で暗黒の竜に指示を出す。
蛇の様に長くて大きな体を持つ黒色の竜は姑獲鳥を飲み込もうとしたが、彼女はそれを一々交わしていく。
いや、あろう事か彼女はわざと暗黒の竜の前に立ち、竜が口を開く寸前に身を交わしている。
彼女はまた普段の彼女らしからぬ態度でいた。鼻息を荒くし、唸り声を上げる女がどうして、常に柔和な笑顔を振り撒く少女と同一人物だと信じられるだろうか。
そんな事を考えていると、彼女の真上から槍斧を持った姑獲鳥が降下して、竜を操るのに夢中になっている綺蝶を襲う。
風太郎が助けに向かおうとした時だ。よりにもよってそれを先程まで綺蝶と斬り合いをしていた女性に止められてしまう。
「待て、闇の破魔式を使う綺蝶に迂闊に声を掛けるのは危険だ。心配はいらん。綺蝶なら、上手くやるさ」
結果は桐生の予想通りであった。上空から降下してきた姑獲鳥の槍斧を綺蝶は難なく受け止め、そのまま刀を弾いて、自分の元に現れた姑獲鳥の体に向かって刃を振るっていく。
振り回されていく刀は強い。女性とは思えない程に。
だが、悲しい事にそれらの全てはことごとく交わされてしまう。
綺蝶は大きな声を上げて真上から刀を振り上げていくが、またしても槍斧で塞がれてしまう。
未だに興奮の冷めぬ彼女に向かって姑獲鳥は冷徹な声で言った。
「残念ねぇ、あたしには攻撃が当たらないのよぉ。兄様と姉様に並ぶ妖鬼の始祖よぉ、幾ら闇の破魔式を用いたとしても容易に倒せる訳ないでしょぉ」
だが、綺蝶は聞く耳を持たないらしい。何度も何度も彼女の槍斧に向かって刀を振っていく。
姑獲鳥はそれを楽しそうな笑顔を浮かべて受け止める。そして、槍斧を彼女の刃の前で旋回し、刀を弾いたばかりではなく、彼女の体を切り刻もうと試む。
だが、綺蝶の体には槍斧が当たらない。姑獲鳥が彼女の顔から視線を外すと、そこには自分の槍斧に纏わり付いている暗雲の姿が見えた。
どうやら、鎧の代わりに槍斧を食い止めたらしい。
姑獲鳥は眉を顰めながら、槍斧を離してもう一度、綺蝶の頭上に目掛けて振りかぶる。
だが、綺蝶は刀を頭の前に構えて、姑獲鳥の攻撃を防ぐ。
そのまま何度も引いては振るかぶるという攻撃を繰り返していたのだが、綺蝶は応える様子は見せない。
いや、それどころかもう一度、振りかざした槍斧を離して、彼女の懐の中へと飛び込む。
そして、彼女の目の前で『黒雲白雨』を唱える。
姑獲鳥には多少の攻撃が当たったが、彼女には一向に打撃の痛みは蓄積されないらしい。
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両者の対決は付く気配は見えない。
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