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新しい時代の守護者編
三対一の決闘
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獅子王院風太郎は目の前で最初は船橋で友好を保った青年の顔を睨む。
初めはこの青年に対して好感の様なものを持っていた様な気もする。あの三角関係なる言葉を持ち出されてからの四人での朝食はとても楽しかった。
今もあの時の四人の朝食は楽しい思い出だ。だからこそ、彼が敵であるという事を知った時には悲しくなった。いいや、それどころか残念にさえ思えた。
だが、もう彼は敵なのだ。容姿などしていたら、こちらが殺されてしまう。
風太郎は太刀を振り上げて、彼に向かって斬り掛かっていく。
だが、男はそれを容易に仕込み刀を盾にして防ぐ。
彼はにべつなく笑うと、風太郎に向かって言った。
「無駄なんだよ。坊や、お前はオレを傷付ける事はできない。だが、私はお前を傷付けられる。この差なんだよ。坊や……今のお前はまるで、大学生に挑もうとする幼稚園児……いや、巨大な像の前に挑む一匹の蟻なんだ」
「……では、その例えとは対照的な諺をあなたに教えてあげますよ。『蟻の一咬みでも像は倒れる』蟻とみくびっていると酷い目に遭いますよ」
綺蝶はそう言うと、地面を蹴って玄竜の懐の中へと潜り込む。
咄嗟の事だったので、彼も早急な対策を取れなかったのだろう。慌てる姿が見えた。
やはり、蟻の一咬みで像は倒れるのだ。彼女は彼の心臓に光の破魔式を纏わせた刀を突き立てようとしたのだが、玄竜は今度は全身にヒルを纏わせて自身の代わりに、そのヒルを綺蝶に浄化させていく。
彼はもう焦りの表情を引っ込めて、勝ち誇った様な笑みを浮かべる。
それから、脇腹に向かって蹴りを食らわせようとした時だ。
風太郎が再度、刀を振り上げて玄竜の元に現れた。玄竜は舌を打つと、綺蝶の脇腹に蹴りを喰らわせる代わりに、彼の腹に向かって立派な足を喰らわせた。
風太郎は悲鳴を上げて地面の上に転がっていく。
彼は綺蝶から離れると、地面の上に倒れている風太郎の元に向かい、風太郎の胸ぐらを掴み上げて叫ぶ。
「おい!まだくたばるんじゃあないぞ!お前にはまだ動いてもらわないといけないからな……」
彼はそう言うと、風太郎の顔を思いっきり殴り付けた。気取りもせずに思いっきり。
悲鳴を上げる風太郎の胸ぐらを持ち上げて、もう一度、彼を殴り付けていく。
「どうした?泣けよ。このオレを誘き寄せて、その太刀で殺したかったんだろう?ええ?」
殴り倒された風太郎の手の甲を彼は入念に踏み付けた。
悲鳴を上げるものの、その悲鳴は男の手によって遮られてしまう。
「いいざまだぜ、このままくたばっちまいな」
玄竜は挑発する様な笑みを浮かべて言った。悔しかったら、こちらに掛かって来いと言わんばかりに。
だが、武器は飛んでしまった。綺蝶を助ける時に腹を蹴られた際に。
今、自分に出来る事は何だろう。太刀を奪われ、体を殴られ蹴られて砂を食った自分に残された道は何なのだろうか。
いいや、あるじゃないか。たった一つ、それもシンプルな道が。
そう、それはあの男の首を跳ね飛ばす事だ。妖鬼ならば狩る。それが、対魔師としての務めだ。
彼は太刀を拾いに行こうとしたのだが、その前に男によって腹を蹴られて悶絶して地面の上を転んでいく。
「て、テメェ……」
と、風太郎は睨む。だが、男は容赦しない。もう一度、大きな蹴りを喰らわせと風太郎を悶絶させようとした時だ。
彼の前に日向が現れて、斬り掛かっていく。
「第一の破魔式!『草花の舞』!」
そう叫んで、玄竜に向かって斬り掛かっていく。
だが、効果はない。と、言うのも玄竜は日向が刀から出した草花を自身の刀の頭身であっさりと切り裂いてしまったからだ。
それでも、彼は怯む事なく、玄竜に向かって攻撃を繰り出していく。
だが、それもいたちごっこ。玄竜は彼の破魔式を全て受け止め、次に魔獣覚醒で日向に向かって反撃する。
あまりにも強烈な勢い。果たして防ぎ切れるのだろうか。風太郎がそう考えていた時だ。日向は先程、怪我をした場所に同じ怪我を負って地面に倒れていく。
玄竜は日向に向かって攻撃を繰り出していく。彼の脛を蹴り、彼に悲鳴の声を出させていく。
悲鳴を上げる日向を見て思わず叫ぶのは風太郎。
だが、彼は乱暴な蹴りを止める気配は見えない。
何度も何度も執拗に日向を蹴っていく。風太郎が懇願の声を上げようとした時だ。彼の前に綺蝶が現れて、彼に抜き身の太刀を渡す。
「……綺蝶、これって」
「私がただ寝ているだけだと思ったんですか?私はあの男の隙を狙って、これを取りに行っていたんですよ」
風太郎は太刀を渡されると、もう一度、強い力で握り締めていく。
彼は未だに日向をいたぶっている玄竜の元へと向かっていく。
そんな、風太郎に向かって彼女は言った。
「さぁ、その太刀で悪を斬りなさい。そして、復讐なさい。人を奪い、人を殺す妖鬼に……」
彼女は自分の弟子を奮い立たせようと言ったのだが、風太郎はそれ以上の効果を与えていたらしい。
彼はそれを聞いて対魔師となった当初の目的と自身の復讐心を思い出していく。
彼は太刀の刃先を玄竜に向かって突き付けて言った。
「……お前の横暴もここまでだ。それ以上はオレが許さない」
それを聞いた玄竜はそれまで日向に向けていた蹴りをやめて風太郎の元に振り返る。
「ふん、許さないだと大きく出たな……そうか、お前、太刀を……チッ、あいつに目を向けていなかったのはオレの失策だったな」
「ありがとうよ。お前がまだ人間らしくて……」
それを聞くのと同時に彼の中に血が上っていく事に気が付く。
風太郎は玄竜に向かって斬り掛かっていく。
最初は氷の破魔式を、次に風の破魔式を。それぞれ、一回ずつ玄竜に向かって振っていく。
だが、彼は魔獣覚醒でそれを受け止め、風太郎の攻撃を防いでいく。
だが、そこには先程までの余裕の含んだ笑みはない。
焦った様子は見せていないものの、彼の顔からは笑顔が失われていた。
風太郎は太刀で続けて風、氷と破魔式を打ち続けていく。
どうやら、突破口は見出したに違いない。彼は鎖蛇に囲まれながらも、それらの全てを破魔式で打ち砕き、頭上から玄竜に向かって斬り掛かっていく。
玄竜は自身の頭の真上に刀を構えて、最悪の事態を防ぐ。
彼は刀を引くと、そのまま受け止めてまだ落下していない風太郎に向かって刀を向けたが、風太郎はそれを宙返りで避けて、華麗に地面に着地する。
今までの風太郎ではない。玄竜には目の前の少年が何か別のものに見えて仕方がない。
ここに神による仕切り直しが行われと言っても良いだろう。
圧倒的な力を持つ玄竜と圧倒的な心の強さと太刀を持つ風太郎による決闘の仕切り直しが……。
初めはこの青年に対して好感の様なものを持っていた様な気もする。あの三角関係なる言葉を持ち出されてからの四人での朝食はとても楽しかった。
今もあの時の四人の朝食は楽しい思い出だ。だからこそ、彼が敵であるという事を知った時には悲しくなった。いいや、それどころか残念にさえ思えた。
だが、もう彼は敵なのだ。容姿などしていたら、こちらが殺されてしまう。
風太郎は太刀を振り上げて、彼に向かって斬り掛かっていく。
だが、男はそれを容易に仕込み刀を盾にして防ぐ。
彼はにべつなく笑うと、風太郎に向かって言った。
「無駄なんだよ。坊や、お前はオレを傷付ける事はできない。だが、私はお前を傷付けられる。この差なんだよ。坊や……今のお前はまるで、大学生に挑もうとする幼稚園児……いや、巨大な像の前に挑む一匹の蟻なんだ」
「……では、その例えとは対照的な諺をあなたに教えてあげますよ。『蟻の一咬みでも像は倒れる』蟻とみくびっていると酷い目に遭いますよ」
綺蝶はそう言うと、地面を蹴って玄竜の懐の中へと潜り込む。
咄嗟の事だったので、彼も早急な対策を取れなかったのだろう。慌てる姿が見えた。
やはり、蟻の一咬みで像は倒れるのだ。彼女は彼の心臓に光の破魔式を纏わせた刀を突き立てようとしたのだが、玄竜は今度は全身にヒルを纏わせて自身の代わりに、そのヒルを綺蝶に浄化させていく。
彼はもう焦りの表情を引っ込めて、勝ち誇った様な笑みを浮かべる。
それから、脇腹に向かって蹴りを食らわせようとした時だ。
風太郎が再度、刀を振り上げて玄竜の元に現れた。玄竜は舌を打つと、綺蝶の脇腹に蹴りを喰らわせる代わりに、彼の腹に向かって立派な足を喰らわせた。
風太郎は悲鳴を上げて地面の上に転がっていく。
彼は綺蝶から離れると、地面の上に倒れている風太郎の元に向かい、風太郎の胸ぐらを掴み上げて叫ぶ。
「おい!まだくたばるんじゃあないぞ!お前にはまだ動いてもらわないといけないからな……」
彼はそう言うと、風太郎の顔を思いっきり殴り付けた。気取りもせずに思いっきり。
悲鳴を上げる風太郎の胸ぐらを持ち上げて、もう一度、彼を殴り付けていく。
「どうした?泣けよ。このオレを誘き寄せて、その太刀で殺したかったんだろう?ええ?」
殴り倒された風太郎の手の甲を彼は入念に踏み付けた。
悲鳴を上げるものの、その悲鳴は男の手によって遮られてしまう。
「いいざまだぜ、このままくたばっちまいな」
玄竜は挑発する様な笑みを浮かべて言った。悔しかったら、こちらに掛かって来いと言わんばかりに。
だが、武器は飛んでしまった。綺蝶を助ける時に腹を蹴られた際に。
今、自分に出来る事は何だろう。太刀を奪われ、体を殴られ蹴られて砂を食った自分に残された道は何なのだろうか。
いいや、あるじゃないか。たった一つ、それもシンプルな道が。
そう、それはあの男の首を跳ね飛ばす事だ。妖鬼ならば狩る。それが、対魔師としての務めだ。
彼は太刀を拾いに行こうとしたのだが、その前に男によって腹を蹴られて悶絶して地面の上を転んでいく。
「て、テメェ……」
と、風太郎は睨む。だが、男は容赦しない。もう一度、大きな蹴りを喰らわせと風太郎を悶絶させようとした時だ。
彼の前に日向が現れて、斬り掛かっていく。
「第一の破魔式!『草花の舞』!」
そう叫んで、玄竜に向かって斬り掛かっていく。
だが、効果はない。と、言うのも玄竜は日向が刀から出した草花を自身の刀の頭身であっさりと切り裂いてしまったからだ。
それでも、彼は怯む事なく、玄竜に向かって攻撃を繰り出していく。
だが、それもいたちごっこ。玄竜は彼の破魔式を全て受け止め、次に魔獣覚醒で日向に向かって反撃する。
あまりにも強烈な勢い。果たして防ぎ切れるのだろうか。風太郎がそう考えていた時だ。日向は先程、怪我をした場所に同じ怪我を負って地面に倒れていく。
玄竜は日向に向かって攻撃を繰り出していく。彼の脛を蹴り、彼に悲鳴の声を出させていく。
悲鳴を上げる日向を見て思わず叫ぶのは風太郎。
だが、彼は乱暴な蹴りを止める気配は見えない。
何度も何度も執拗に日向を蹴っていく。風太郎が懇願の声を上げようとした時だ。彼の前に綺蝶が現れて、彼に抜き身の太刀を渡す。
「……綺蝶、これって」
「私がただ寝ているだけだと思ったんですか?私はあの男の隙を狙って、これを取りに行っていたんですよ」
風太郎は太刀を渡されると、もう一度、強い力で握り締めていく。
彼は未だに日向をいたぶっている玄竜の元へと向かっていく。
そんな、風太郎に向かって彼女は言った。
「さぁ、その太刀で悪を斬りなさい。そして、復讐なさい。人を奪い、人を殺す妖鬼に……」
彼女は自分の弟子を奮い立たせようと言ったのだが、風太郎はそれ以上の効果を与えていたらしい。
彼はそれを聞いて対魔師となった当初の目的と自身の復讐心を思い出していく。
彼は太刀の刃先を玄竜に向かって突き付けて言った。
「……お前の横暴もここまでだ。それ以上はオレが許さない」
それを聞いた玄竜はそれまで日向に向けていた蹴りをやめて風太郎の元に振り返る。
「ふん、許さないだと大きく出たな……そうか、お前、太刀を……チッ、あいつに目を向けていなかったのはオレの失策だったな」
「ありがとうよ。お前がまだ人間らしくて……」
それを聞くのと同時に彼の中に血が上っていく事に気が付く。
風太郎は玄竜に向かって斬り掛かっていく。
最初は氷の破魔式を、次に風の破魔式を。それぞれ、一回ずつ玄竜に向かって振っていく。
だが、彼は魔獣覚醒でそれを受け止め、風太郎の攻撃を防いでいく。
だが、そこには先程までの余裕の含んだ笑みはない。
焦った様子は見せていないものの、彼の顔からは笑顔が失われていた。
風太郎は太刀で続けて風、氷と破魔式を打ち続けていく。
どうやら、突破口は見出したに違いない。彼は鎖蛇に囲まれながらも、それらの全てを破魔式で打ち砕き、頭上から玄竜に向かって斬り掛かっていく。
玄竜は自身の頭の真上に刀を構えて、最悪の事態を防ぐ。
彼は刀を引くと、そのまま受け止めてまだ落下していない風太郎に向かって刀を向けたが、風太郎はそれを宙返りで避けて、華麗に地面に着地する。
今までの風太郎ではない。玄竜には目の前の少年が何か別のものに見えて仕方がない。
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