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天楼牛車決戦編
総員、天楼牛車へと乗り込め!
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風太郎は三階に玉藻紅葉の姿を見かけると、刀を振って向かっていく。
「お前かァァァァァ~!!返せ!オレの弟と妹を!オレの未来への希望を!」
玉藻紅葉は風太郎の刀を自らの背中から出した得体の知れない糸で防いで、風太郎に向かって叫ぶ。
「ハッ、私のせい?弟と妹が死んだのはあなたのせいでしょう!?あなたが私の放った刺客から、弟と妹を全力で守っていれば、今頃、ここに立っていたのはその二人だったんじゃあないの!」
彼女はそう言うと例の背中の武器で風太郎を跳ね飛ばす。
同時に背中の凶器を一本抜き取ると、それを薙刀に変えていく。
彼女は薙刀を振るいながら、階段の下を駆け降りていく。
途中、途中の対魔師の攻撃も防ぎながら、彼女は着実に天楼牛車へと戻っていく。
幸いにして、天楼牛車の前まではあの二人は追いかけて来ないらしい。
彼女はこれ幸いとばかりに、その場から逃亡しようとしたが、彼女の体に一人の男がくっ付き、彼女を地面の上に転ばせていく。
本能的に「痛ッ」と呟いた後に彼女が自分に抱き付いた男を見つめると、その男には見覚えがあった。と、言うのもその人物は何度も自分を狙い、返り討ちにされた平安時代の陰陽師、長谷川零であったからだ。
彼は得意そうな声で笑いながら、
「どうだ!?オレの捨て身の攻撃は!?気高いお前にとって今の自分の姿は屈辱以外の何者でもねーだろ!?」
「せ……がわ……長谷川ァァァァァ~!!」
「オレは今日、ここで死ぬ。お前を道連れになッ!」
長谷川は懐から一枚の人型の紙を取り出すのと同時に、宙の上に放つ。すると、全体を包む程に人型の紙は大きくなり、同時に彼は指を鳴らす。
すると、巨大な紙は玉藻紅葉の体とを覆い隠していく。
紙の下、全てが覆い隠された暗黒の空間の中で紅葉は叫ぶ。
「ま、待ちなさい!私をどうするつもり!?」
「このままオレと一緒に死んでもらう。妖鬼だって言っても、爆発で吹き飛ばされりゃあ、ただで済まんだろう!?」
それを聞いた紅葉の顔が曇る。彼女は必死に長谷川に懇願する。
「ま、待って、や、やめて!」
「何人の人がお前に「やめて!」と叫んだ!?その声を黙殺して、殺したのは貴様だろう!?」
「へ、変な言い掛かりはやめてよ!あれは部下が勝手にーー」
「今度は配下に責任をなすり付けるつもりか!?」
彼女はその後も言い訳の言葉を述べようとしたが、長谷川は聞く耳を持たずに再度指を鳴らす。
同時に爆音が響き渡り、煤竹色の煙が周りに立ち込む。
どうやら、爆発が行われたらしい。周囲の草木が消し飛び、地形も深く抉られた地から傷だらけの女が姿を表す。
「せ……がわ……長谷川ァァァァァ~!!あのクソ野郎がァァァァァ~!!」
全ての対魔師が野獣の様な雄叫びの聞こえる方向へと足を運ぶ。
対魔師たちはその場所に辿り着くと、刀を構えて女を牽制する。
「動くな!玉藻紅葉!お前は既に包囲されている!直ぐに対魔師たちの元に投降しろ!」
だが、彼女は答えない。千鳥足で、情けない足で地面の上をふらつきながら、呻き声を上げていく。
「己、己、よくも……よくも……」
はっきりとした怨恨の言葉。長谷川への明確な怒りは誰の目から見ても明らかである。あまりの恐ろしい姿に見る人間の大半が怯えていたが、勇気のある対魔師が一人、彼女の元に斬りかかっていく。
だが、彼女は容赦なく背中に生えた武器で対魔師を斬り刻む。
その時だった。彼の行動に触発されたのか、大勢の対魔師たちが彼女を取り囲む。
だが、その全てを蹴散らすと、足を引き摺りながら彼女は前へ前へと逃げ出す。
目の前には天楼牛車。自身の居城にして乗り物。
そこに辿り着きさえすれば、自分は生き延びられる。
彼女が勇気を出して足を前へと踏み入れようとした時だ。
背後から大きな音が聞こえたかと思うと、彼女の目の前には巨大な火炎の付いた岩石がめり込んでいた。
満身創痍の彼女はもう既に嫌になり、大きな声で泣き叫ぶ。
「な、何なのよ!もう!」
その声が聞こえるのと同時に、背後から刀を振り上げた丸渕眼鏡のいかにも気の強いと主張せんばかりの女性が紅葉に向かって斬りかかっていく。
「逃がすものか!お前は我々妖鬼対策研究会が狩る!」
妖鬼対策研究会。それは、妹の姑獲鳥に潰す様に命じた組織の事ではなかったのか。
どうして、この場に存在するのだ。紅葉が今にも漏らさんばかりに足を震わせていると、彼女と紅葉の前にその妹が割って入り、姉の窮地を救う。
それから、右手に抱えていた槍斧で岩石を破壊すると、姉に向かって笑いながら、
「姉様ぁ、先に牛車の方に入っていなさいませぇ。後はあたしぃの手でこいつらを倒してみせますぅ」
彼女の言葉に従って紅葉は笑いを溢して岩の先へと進む。
彼女は牛舎に辿り着くと、入り口を開いてその中へと逃げ込む。
姉が完全に逃げたのを確認すると、玉藻姑獲鳥は槍斧を構えながら、目の前から湧き出す対魔師たちを眺める。
対魔師たちは全員が刀を握りながら、姑獲鳥を殺さんばかりの鋭い視線で姑獲鳥を睨む。
姑獲鳥はそれを見ても尚、笑いを浮かべている。
彼女を二重三重にも囲む対魔師たちにも彼女は笑いを返す。
すると、どういう事だろう。彼女の位置と目の前の白い髪の青年と入れ替わっている。
姑獲鳥が首を傾げていると、横に、背後に刀を構えていた対魔師たちが攻撃を繰り出してきたので、姑獲鳥は次々に槍斧を振るっていく。
周りは対魔師の男女の血液で赤く染まり、惨劇を作り上げていく。
彼女は笑いながら、槍斧を振り回して対魔師たちの首を刎ねていく。
その中には見知った顔、あの大学の中で知り合った学生対魔師の顔もある。
地面の真下に落ちている四角い眼鏡にも、チャラそうな『太陽族』の様な風貌の男にも彼女は見覚えがあった。
そして、真面目そうな顔の男にも。
彼女は無念そうに口を大きく開けて、こちらを睨む青年の首を持ち上げて、他の対魔師たちにそれを晒していく。
あまりの悍ましい光景に何人かの対魔師たちは精神的な攻撃を受けたらしい。
何人か戻している者もいるらしい。彼女はそれを見て考え始めた。
何故、人間は精神的に無理な事が有れば、食べた物を戻すのか、と。
今度、また何処かの大学に潜り込む時にそれを尋ねようかと考えていると、背後から刀を振り上げてきた青年がいるので、彼女はそれを槍斧で防ぐ。
どうやら、まだまだ楽しみ甲斐がありそうだ。彼女は口から笑いを溢す。
「お前かァァァァァ~!!返せ!オレの弟と妹を!オレの未来への希望を!」
玉藻紅葉は風太郎の刀を自らの背中から出した得体の知れない糸で防いで、風太郎に向かって叫ぶ。
「ハッ、私のせい?弟と妹が死んだのはあなたのせいでしょう!?あなたが私の放った刺客から、弟と妹を全力で守っていれば、今頃、ここに立っていたのはその二人だったんじゃあないの!」
彼女はそう言うと例の背中の武器で風太郎を跳ね飛ばす。
同時に背中の凶器を一本抜き取ると、それを薙刀に変えていく。
彼女は薙刀を振るいながら、階段の下を駆け降りていく。
途中、途中の対魔師の攻撃も防ぎながら、彼女は着実に天楼牛車へと戻っていく。
幸いにして、天楼牛車の前まではあの二人は追いかけて来ないらしい。
彼女はこれ幸いとばかりに、その場から逃亡しようとしたが、彼女の体に一人の男がくっ付き、彼女を地面の上に転ばせていく。
本能的に「痛ッ」と呟いた後に彼女が自分に抱き付いた男を見つめると、その男には見覚えがあった。と、言うのもその人物は何度も自分を狙い、返り討ちにされた平安時代の陰陽師、長谷川零であったからだ。
彼は得意そうな声で笑いながら、
「どうだ!?オレの捨て身の攻撃は!?気高いお前にとって今の自分の姿は屈辱以外の何者でもねーだろ!?」
「せ……がわ……長谷川ァァァァァ~!!」
「オレは今日、ここで死ぬ。お前を道連れになッ!」
長谷川は懐から一枚の人型の紙を取り出すのと同時に、宙の上に放つ。すると、全体を包む程に人型の紙は大きくなり、同時に彼は指を鳴らす。
すると、巨大な紙は玉藻紅葉の体とを覆い隠していく。
紙の下、全てが覆い隠された暗黒の空間の中で紅葉は叫ぶ。
「ま、待ちなさい!私をどうするつもり!?」
「このままオレと一緒に死んでもらう。妖鬼だって言っても、爆発で吹き飛ばされりゃあ、ただで済まんだろう!?」
それを聞いた紅葉の顔が曇る。彼女は必死に長谷川に懇願する。
「ま、待って、や、やめて!」
「何人の人がお前に「やめて!」と叫んだ!?その声を黙殺して、殺したのは貴様だろう!?」
「へ、変な言い掛かりはやめてよ!あれは部下が勝手にーー」
「今度は配下に責任をなすり付けるつもりか!?」
彼女はその後も言い訳の言葉を述べようとしたが、長谷川は聞く耳を持たずに再度指を鳴らす。
同時に爆音が響き渡り、煤竹色の煙が周りに立ち込む。
どうやら、爆発が行われたらしい。周囲の草木が消し飛び、地形も深く抉られた地から傷だらけの女が姿を表す。
「せ……がわ……長谷川ァァァァァ~!!あのクソ野郎がァァァァァ~!!」
全ての対魔師が野獣の様な雄叫びの聞こえる方向へと足を運ぶ。
対魔師たちはその場所に辿り着くと、刀を構えて女を牽制する。
「動くな!玉藻紅葉!お前は既に包囲されている!直ぐに対魔師たちの元に投降しろ!」
だが、彼女は答えない。千鳥足で、情けない足で地面の上をふらつきながら、呻き声を上げていく。
「己、己、よくも……よくも……」
はっきりとした怨恨の言葉。長谷川への明確な怒りは誰の目から見ても明らかである。あまりの恐ろしい姿に見る人間の大半が怯えていたが、勇気のある対魔師が一人、彼女の元に斬りかかっていく。
だが、彼女は容赦なく背中に生えた武器で対魔師を斬り刻む。
その時だった。彼の行動に触発されたのか、大勢の対魔師たちが彼女を取り囲む。
だが、その全てを蹴散らすと、足を引き摺りながら彼女は前へ前へと逃げ出す。
目の前には天楼牛車。自身の居城にして乗り物。
そこに辿り着きさえすれば、自分は生き延びられる。
彼女が勇気を出して足を前へと踏み入れようとした時だ。
背後から大きな音が聞こえたかと思うと、彼女の目の前には巨大な火炎の付いた岩石がめり込んでいた。
満身創痍の彼女はもう既に嫌になり、大きな声で泣き叫ぶ。
「な、何なのよ!もう!」
その声が聞こえるのと同時に、背後から刀を振り上げた丸渕眼鏡のいかにも気の強いと主張せんばかりの女性が紅葉に向かって斬りかかっていく。
「逃がすものか!お前は我々妖鬼対策研究会が狩る!」
妖鬼対策研究会。それは、妹の姑獲鳥に潰す様に命じた組織の事ではなかったのか。
どうして、この場に存在するのだ。紅葉が今にも漏らさんばかりに足を震わせていると、彼女と紅葉の前にその妹が割って入り、姉の窮地を救う。
それから、右手に抱えていた槍斧で岩石を破壊すると、姉に向かって笑いながら、
「姉様ぁ、先に牛車の方に入っていなさいませぇ。後はあたしぃの手でこいつらを倒してみせますぅ」
彼女の言葉に従って紅葉は笑いを溢して岩の先へと進む。
彼女は牛舎に辿り着くと、入り口を開いてその中へと逃げ込む。
姉が完全に逃げたのを確認すると、玉藻姑獲鳥は槍斧を構えながら、目の前から湧き出す対魔師たちを眺める。
対魔師たちは全員が刀を握りながら、姑獲鳥を殺さんばかりの鋭い視線で姑獲鳥を睨む。
姑獲鳥はそれを見ても尚、笑いを浮かべている。
彼女を二重三重にも囲む対魔師たちにも彼女は笑いを返す。
すると、どういう事だろう。彼女の位置と目の前の白い髪の青年と入れ替わっている。
姑獲鳥が首を傾げていると、横に、背後に刀を構えていた対魔師たちが攻撃を繰り出してきたので、姑獲鳥は次々に槍斧を振るっていく。
周りは対魔師の男女の血液で赤く染まり、惨劇を作り上げていく。
彼女は笑いながら、槍斧を振り回して対魔師たちの首を刎ねていく。
その中には見知った顔、あの大学の中で知り合った学生対魔師の顔もある。
地面の真下に落ちている四角い眼鏡にも、チャラそうな『太陽族』の様な風貌の男にも彼女は見覚えがあった。
そして、真面目そうな顔の男にも。
彼女は無念そうに口を大きく開けて、こちらを睨む青年の首を持ち上げて、他の対魔師たちにそれを晒していく。
あまりの悍ましい光景に何人かの対魔師たちは精神的な攻撃を受けたらしい。
何人か戻している者もいるらしい。彼女はそれを見て考え始めた。
何故、人間は精神的に無理な事が有れば、食べた物を戻すのか、と。
今度、また何処かの大学に潜り込む時にそれを尋ねようかと考えていると、背後から刀を振り上げてきた青年がいるので、彼女はそれを槍斧で防ぐ。
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