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フォー・カントリー・クロスレース編
フォー・カントリー・クロスレース
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フォー・カントリー・クロスレース。
その名前の通り、四つの国を股にかけてゴールを目指すという一年に一度の重要なレースだ。
このレースを参加する資格を持つのは各国の魔法学院の生徒であり、一般には生徒会や強豪部などの生徒から選抜するらしい。他の評価はともかくとして、学校からは〈杖無し〉いわゆる落第生の烙印を押されている私には通常ならば、参加は許されない代物だ。
だが、今回は妹がその参加資格を取ってくれるという事で、私は参加できる事になった。
だが、それに反感を抱く学生は多いだろう。通常、選手資格を得られるのは多くの他の普通の学院の乗馬部を含めての大勢の選手の中で馬を競わせて最も高い倍率を勝ち抜いた人間が出場できるのだと相場が決まっているのだ。
少なくとも、私はその選ばれ者ものではない。加えて、選抜試合にすら選ばれない落第生なのだ。エマ部長やケネス、マーティなどの仲間はともかく、他の面々は明らかにこの事実を知った私を敵視するだろう。
出場の日までは黙っていた方が良いだろう。最も、妹の参加資格の受理が却下されてしまう場合もある。
少なくとも、自分の実の姉だからという理由で不相応の実力を持つ人間を王国は認めたりはしないだろう。
不相応の実力の人間を出してしまえば、王国の尊厳に泥を塗ってしまう事になるだろう。
少なくとも、私の事を落ちこぼれ、杖無しだと判断しているお父様、いや、国王陛下ならば絶対に拒否をする筈だ。
と、私の両肩に手が置かれている事に気が付く。慌てて振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた射撃の教師が立っていた。
「ミス・スペンサー。またぼんやりとしているのかい?」
「い、いえ!ち、違います!みんなの銃を撃つ姿を眺めてて……」
「まぁ、キミの銃の腕は誰もが認めるからね。それは否定しないんだけれど、やはり、授業はちゃんと受けてほしいな」
射撃の教師の言葉に私は思わず両肩を震わせてしまう。いや、本当に背筋が凍る瞬間を体験した。
結局、あの後は私が皆の前で射撃のお手本を見せる事になった。
結局、弾は目標の的に命中して、私が罰則を受ける事は無かったのだが、それでもクラスの面々から冷ややかな視線で見られるのは辛いものがある。
私は午後の体育の授業が終わり、シャワーで温かい水を浴びながら、ぼんやりとしていた自分の頬を強く叩く。
途中、私が頰を叩いてせいで、頬に付着していた水滴が隣の女子生徒の目に入ってしまったらしく、慌てて謝罪をする。
だが、私の腹を括ったのだ。もう、泣き言は言っていられないだろう。
どうせ、『フォー・カントリー・クロスレース』は夏休みの間に開催されるのだ。勿論、開催期間中は各々の街やら村が選手の休憩スポットとなり、住民達は歓待にあたるのだが、当然、接待にあたるのは村の代表の人やホテル業や飲食業を営む人となるらしい。
つまり、大多数の人々からすれば、一年に一回、国を挙げて開催される“大きなお祭り”程度にしか認識されていない。
物心付いた時に見に行ったりはするだろうが、それでも毎回毎回見に行ったりはしないだろう。
大抵は関係ない場所で遊んだり、或いは今後の学習のために本なり、復習なりを行なっている筈だ。
そう考えた私は動じる事なく、堂々と学園生活を過ごせば良いのだ。
そうだ。怯える事はない。そんな事を考えながら、制服に着替え終わってから、シャワールームを出ると、その入り口で唐突にソルドとカレンの二人から声を掛けられて呼び止められる。
思わず私は飛び上がってしまいそうになってしまう。
「や、やぁ、ウェンディ……良かったら、今晩ディナーにでも行かない?ほ、ほら近くの酒場で美味しいものがあるしさ」
「だ、ダメかな。最近、あたし達あんまり遊べてないからさ、たまには、ね?」
私は二人の問い掛けに対して、思わず悩んでしまう。確かに、ここ最近はケネスやマーティ、ジャックとばかりつるんでいて、この二人とは少し疎遠になっていたような気がする。
流石にここまで交流が無いのも不味いだろう。
だが、金は少し前の休みの前日に大宴会を行なった身としては苦しいのだったが、私は今日の賞金首を狩ってからという条件を二人に約束させてから、ディナーの申し出を受ける。
その際にケネスも連れて行く事になり、今日、賞金首を狩りに行く途中でケネスと何を食べようかと考えていると、とっくの昔にホームルームは終わっていたらしい。
私は考える事に夢中になると、他人の言葉が耳に入らなくなるという悪癖があるのかもしれない。
あの嫌味な哲学者風の教師が消えた事を確認すると、私は急いで鞄を携えて部活棟へと向かって行く。
部活棟に向かうと、部長が椅子の上で私を待ち構えていたらしく、私が扉を開けるなり、ニヤニヤと笑っていた。
恐らく、遅くなった事を責めているに違いない。
私は苦笑いを浮かべようとしたが、エマ部長は懐から一枚の紙を取り出して、賞金首の情報の載った紙を勢い良く地面に叩き付ける。
「これが今日のキミとケネスが追う賞金首だよ。早く、取ってきたまえ」
私は苦笑いを浮かべながら、賞金首の情報の載った紙を懐へとしまう。
懐の中にしまった、バツの悪そうな態度で部活を出ていく。
私が部室を出ると、そこにはケネスが両腕を組んで待っていた。
というか、入る時には気が付かなかった。慌てていて周りが見えなかったのだろう。
私はケネスに謝罪の言葉を述べて、賞金首の首を取りに向かう。
私は馬での移動の最中に今日の夕食の事と何を食べるのかを話していく。
ケネスは料理の話には乗り気だったのだが、その中に酒が出てくると、顔が険しくなっていく。
「頼む、飲み過ぎるなよ。お前は飲み過ぎると自制心が抑えられなくなってしまうからな」
「わ、分かってるわよ。前回の反省も踏まえて、今回は飲み過ぎないようにするわ」
私とケネスはそんな軽口を叩き合いながら、賞金首の潜む場所へと向かう。
賞金首のポスターにはその賞金首が隠れている可能性が高い場所を示し、それが高確率で当たるようになっている。
だから、見つけた後は生死を問わずに連れて行っていい事になっている。
何やら、各警察署には賞金首の隠れている場所を水晶玉に映し出すような便利な魔法を持っている人間が配置されているらしく、賞金稼ぎや警察の人間にはありがたい仕掛けになっているのだが、一方で毎日、更新される賞金首達も一筋縄では無い人間ばかり。
下手をすれば、魔法や銃の腕が上の可能性があり、返り討ちにされてしまう可能性がある。
加えて、反政府主義者は常に逃げ続けるために、署の水晶玉に映し出せる範囲を超えている可能性もあるため、他の凶悪犯と並ぶ程、懸賞金が高くなっている場合もある。
だが、今回私とケネスが追うのは強盗殺人犯の男であり、逃亡の恐れは無い。
むしろ、物資不足のためにこちらを返り討ちにしようとしている可能性さえある。
私は安心して馬の手綱を引いて男の潜む方角へと進む。
その名前の通り、四つの国を股にかけてゴールを目指すという一年に一度の重要なレースだ。
このレースを参加する資格を持つのは各国の魔法学院の生徒であり、一般には生徒会や強豪部などの生徒から選抜するらしい。他の評価はともかくとして、学校からは〈杖無し〉いわゆる落第生の烙印を押されている私には通常ならば、参加は許されない代物だ。
だが、今回は妹がその参加資格を取ってくれるという事で、私は参加できる事になった。
だが、それに反感を抱く学生は多いだろう。通常、選手資格を得られるのは多くの他の普通の学院の乗馬部を含めての大勢の選手の中で馬を競わせて最も高い倍率を勝ち抜いた人間が出場できるのだと相場が決まっているのだ。
少なくとも、私はその選ばれ者ものではない。加えて、選抜試合にすら選ばれない落第生なのだ。エマ部長やケネス、マーティなどの仲間はともかく、他の面々は明らかにこの事実を知った私を敵視するだろう。
出場の日までは黙っていた方が良いだろう。最も、妹の参加資格の受理が却下されてしまう場合もある。
少なくとも、自分の実の姉だからという理由で不相応の実力を持つ人間を王国は認めたりはしないだろう。
不相応の実力の人間を出してしまえば、王国の尊厳に泥を塗ってしまう事になるだろう。
少なくとも、私の事を落ちこぼれ、杖無しだと判断しているお父様、いや、国王陛下ならば絶対に拒否をする筈だ。
と、私の両肩に手が置かれている事に気が付く。慌てて振り返ると、そこには満面の笑みを浮かべた射撃の教師が立っていた。
「ミス・スペンサー。またぼんやりとしているのかい?」
「い、いえ!ち、違います!みんなの銃を撃つ姿を眺めてて……」
「まぁ、キミの銃の腕は誰もが認めるからね。それは否定しないんだけれど、やはり、授業はちゃんと受けてほしいな」
射撃の教師の言葉に私は思わず両肩を震わせてしまう。いや、本当に背筋が凍る瞬間を体験した。
結局、あの後は私が皆の前で射撃のお手本を見せる事になった。
結局、弾は目標の的に命中して、私が罰則を受ける事は無かったのだが、それでもクラスの面々から冷ややかな視線で見られるのは辛いものがある。
私は午後の体育の授業が終わり、シャワーで温かい水を浴びながら、ぼんやりとしていた自分の頬を強く叩く。
途中、私が頰を叩いてせいで、頬に付着していた水滴が隣の女子生徒の目に入ってしまったらしく、慌てて謝罪をする。
だが、私の腹を括ったのだ。もう、泣き言は言っていられないだろう。
どうせ、『フォー・カントリー・クロスレース』は夏休みの間に開催されるのだ。勿論、開催期間中は各々の街やら村が選手の休憩スポットとなり、住民達は歓待にあたるのだが、当然、接待にあたるのは村の代表の人やホテル業や飲食業を営む人となるらしい。
つまり、大多数の人々からすれば、一年に一回、国を挙げて開催される“大きなお祭り”程度にしか認識されていない。
物心付いた時に見に行ったりはするだろうが、それでも毎回毎回見に行ったりはしないだろう。
大抵は関係ない場所で遊んだり、或いは今後の学習のために本なり、復習なりを行なっている筈だ。
そう考えた私は動じる事なく、堂々と学園生活を過ごせば良いのだ。
そうだ。怯える事はない。そんな事を考えながら、制服に着替え終わってから、シャワールームを出ると、その入り口で唐突にソルドとカレンの二人から声を掛けられて呼び止められる。
思わず私は飛び上がってしまいそうになってしまう。
「や、やぁ、ウェンディ……良かったら、今晩ディナーにでも行かない?ほ、ほら近くの酒場で美味しいものがあるしさ」
「だ、ダメかな。最近、あたし達あんまり遊べてないからさ、たまには、ね?」
私は二人の問い掛けに対して、思わず悩んでしまう。確かに、ここ最近はケネスやマーティ、ジャックとばかりつるんでいて、この二人とは少し疎遠になっていたような気がする。
流石にここまで交流が無いのも不味いだろう。
だが、金は少し前の休みの前日に大宴会を行なった身としては苦しいのだったが、私は今日の賞金首を狩ってからという条件を二人に約束させてから、ディナーの申し出を受ける。
その際にケネスも連れて行く事になり、今日、賞金首を狩りに行く途中でケネスと何を食べようかと考えていると、とっくの昔にホームルームは終わっていたらしい。
私は考える事に夢中になると、他人の言葉が耳に入らなくなるという悪癖があるのかもしれない。
あの嫌味な哲学者風の教師が消えた事を確認すると、私は急いで鞄を携えて部活棟へと向かって行く。
部活棟に向かうと、部長が椅子の上で私を待ち構えていたらしく、私が扉を開けるなり、ニヤニヤと笑っていた。
恐らく、遅くなった事を責めているに違いない。
私は苦笑いを浮かべようとしたが、エマ部長は懐から一枚の紙を取り出して、賞金首の情報の載った紙を勢い良く地面に叩き付ける。
「これが今日のキミとケネスが追う賞金首だよ。早く、取ってきたまえ」
私は苦笑いを浮かべながら、賞金首の情報の載った紙を懐へとしまう。
懐の中にしまった、バツの悪そうな態度で部活を出ていく。
私が部室を出ると、そこにはケネスが両腕を組んで待っていた。
というか、入る時には気が付かなかった。慌てていて周りが見えなかったのだろう。
私はケネスに謝罪の言葉を述べて、賞金首の首を取りに向かう。
私は馬での移動の最中に今日の夕食の事と何を食べるのかを話していく。
ケネスは料理の話には乗り気だったのだが、その中に酒が出てくると、顔が険しくなっていく。
「頼む、飲み過ぎるなよ。お前は飲み過ぎると自制心が抑えられなくなってしまうからな」
「わ、分かってるわよ。前回の反省も踏まえて、今回は飲み過ぎないようにするわ」
私とケネスはそんな軽口を叩き合いながら、賞金首の潜む場所へと向かう。
賞金首のポスターにはその賞金首が隠れている可能性が高い場所を示し、それが高確率で当たるようになっている。
だから、見つけた後は生死を問わずに連れて行っていい事になっている。
何やら、各警察署には賞金首の隠れている場所を水晶玉に映し出すような便利な魔法を持っている人間が配置されているらしく、賞金稼ぎや警察の人間にはありがたい仕掛けになっているのだが、一方で毎日、更新される賞金首達も一筋縄では無い人間ばかり。
下手をすれば、魔法や銃の腕が上の可能性があり、返り討ちにされてしまう可能性がある。
加えて、反政府主義者は常に逃げ続けるために、署の水晶玉に映し出せる範囲を超えている可能性もあるため、他の凶悪犯と並ぶ程、懸賞金が高くなっている場合もある。
だが、今回私とケネスが追うのは強盗殺人犯の男であり、逃亡の恐れは無い。
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