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フォー・カントリー・クロスレース編
ニューヨーシャー王国へと入る
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後から分かった事だったのだが、王子の命を狙った男の名前はゲオルグ・ザオレルなる人物で、元々は王国の大きな大学で魔法を教える教授だったのだそうだ。それが、最近の強烈な魔法撲滅運動に乗っかり、生徒と共に熱心に運動に取り組んでいるうちに、仕舞いには彼自身が引き返すに引き返せないところにまで行ってしまったらしい。
少なくとも、気が付いた時には自分よりも年下の同志と革命を待ち望む日々を過ごしていたらしい。
死体を回収した子爵の私兵が私にそう語っていたのだ。間違いのない事実だ。
子爵の私兵はその後に私にこの男に賭けられていた懸賞金を手渡し、旅の資金にするように言った。
少しばかりグリップに止められた王国ドルの数が多いのは口止め料というのも中に含まれているためだろう。
私は金を下げていた鞄の中に仕舞うと、馬に乗り、自分の一族の治める領地を駆けていく。
馬に乗り、身分を隠しながら各地の街を回るのはかつてピーターが話してくれた副王の話のように感じて面白かった。
時たまに、私に対して妨害工作を行うような奴が現れたのだが、その人物には容赦なく鉄槌を下す。
彼ら彼女らもそれを承知して攻撃を加えて来たのだ。後で、探索隊に泣き付く羽目になろうだとしても、それは一歩間違えれば私が辿る事になった道を彼ら彼女らが歩んでいるだけなので同情の心配はしない。
ある人物は火を、ある人物は水を使用して私に対して攻撃を加えてきたのだが、その度に私が左手の掌から魔法を奪い取り、その度に自分達の加えるはずだった攻撃が自分達に降りかかってくる姿が少しおかしかったような気がする。
魔法による攻撃を交わしている時以外は私はひたすら、荒野や草原、湿原の上で馬を走らせていた。馬のスピードは一定のスピードを保ち続けながら、走っていき、遅すぎず、早すぎないという微妙な距離を保ちながら、確実に前へ前へと進んでいた。
だが、流石に陽が傾くと馬も疲れてくるし、当然、私も疲れてしまう。
そんな時に、私はキャンプに適度な場所を探し、テントを広げ、焚き火を焚いて夜を過ごす事にするのだ。
夕食はキャンプを張った場所から少し離れた場所から取れた肉や魚になるのだ。魚は近くに川が流れている場合に食べる。あの化け物を殺した次の街で仕入れた竿は意外に強く、良い餌を一緒に買ったためもあるのか、良い魚が次々と釣れていく。
肉は近くに川がない場合に仕方が無しにホルスターに下げている銃を使用して獲る。
そして、釣った魚や鹿や鳥の肉を焚き火で焼き、それを炙って食べるのが最近の一日の中での一番楽しい時間だ。
そして、テントの中で寝袋に包まれながら一日を終える。
だが、チェックポイントされる各町では街のホテルに泊まれるので、その場合はふかふかのベッドの上で眠れる事になるのだ。
ついでに言うと、ホテルでは風呂を借りられるのがありがたかった。ホテルの風呂は小さなバスタブなのだが、充分にその中で体を洗え、汚れを落とせるのがありがたい。
中には金を払う事で、ホテルの女性スタッフに洗ってもらうサービスもあるらしいが、このレースの参加者は男性参加者がたまに使用する頻度なのらしい。
ホテルに泊まった時の様子は大概がこんな感じであったが、一度だけ困った事があった。
実家に帰り、レースの参加者を見ると言っていたソルドとカレンの二人がわざわざレースの参加者が集まるホテルへと足を踏み入れ、大きな樽に入った酒と皿の上に大量に盛られたサンドイッチを差し入れに来たのだ。
勿論、私は二人の顔を確認するなり、大急ぎで二階にある自分の部屋へと戻ったので詳しい事は知らなかったのだが、差し入れの酒はバーボンらしい。
しかも、結構いいお酒だったようで、部屋の前から美味い美味いと叫ぶ声と差し入れのサンドイッチが良いつまみになっているという声が聞こえてきて、非常に複雑な思いをしたのを覚えている。
これ以上、複雑な思いをするのも嫌だと感じて、翌日の朝は誰よりも早く起きて、街を離れたのだった。
二人は最初に貴族が威張っていて嫌だったのと言っていたのだが、この街は貴族は威張る程度のちょっと偉いが迷惑な奴らくらいの存在なのだろう。
そもそも、悪質な税の取立てなどをすれば、即座に王宮が動いて、貴族の地位を剥奪されるから出来ないのだろうが。
私は安心して、馬を進めていく。ジャックやケネスの住んでいる町も訪れたのだが、二人はどうやら普段はロングドレス状の制服姿や私服だったとしても制服と同じような格好ばかりを見慣れているためや、私が仮面を被っているためか私に気が付く事は無かった。
ジャックもケネスも純粋な様子で自分の町を訪れたレースの参加者達を応援していた。
勿論、二人の時と同じで気不味くなって逃げ帰ってしまったのだが……。
私にとって衝撃的だったのは王国の最後の町にしてグリムショーなる伯爵が治める薔薇の騎士という町でレース参加者を出迎える歓迎会の元で、グリムショー伯爵の側で選手達に酌をするマーティの姿を見た事だった。
私は伯爵の側に立っている姿を見て、彼は長期の休暇の間は伯爵の宮仕えをしているのかと思ったのだが、伯爵は和やかにそれも優しく話している様子や何より、マーティが伯爵に対して対等に口を訊いている様から、その考えは私の頭の中から振り払われていく。
私はマーティにウィスキーを注がれている間もバレないかと冷や冷やしていたし、実際に彼が、
「あれ、あなた綺麗な銀髪ですね」
と、褒めた時には口から心臓が飛び出そうになったほど震え上がったのを覚えている。
だが、マーティはそんな私の心情など構う事なく話を続けていく。
「いやぁ、オレは普段は王立の魔法学院に通っていて、そこの賞金稼ぎ部に所属しているんですけれども、そこの相棒の女の子何あんたに似てるんですよ!そう、あなたみたいに!」
マーティはノリノリで話を続けようとしたのだが、伯爵家の執事と思われる礼装の老人がマーティを引き摺っていったので、私の正体はバレずに済んだらしい。
執事に連れて行かれたマーティは執事と思われる老人にこっ酷く叱られているのをパーティーに参加していた全員が目撃していた。
私は執事相手に項垂れる学校とは違う顔を見せるマーティの姿を見てクスッと笑ってしまう。
こんな面白い光景を見せられると、元気が湧いて、明日からの初の外国となるニューヨーシャー王国入りも頑張れそうな気がしてきた。
少なくとも、気が付いた時には自分よりも年下の同志と革命を待ち望む日々を過ごしていたらしい。
死体を回収した子爵の私兵が私にそう語っていたのだ。間違いのない事実だ。
子爵の私兵はその後に私にこの男に賭けられていた懸賞金を手渡し、旅の資金にするように言った。
少しばかりグリップに止められた王国ドルの数が多いのは口止め料というのも中に含まれているためだろう。
私は金を下げていた鞄の中に仕舞うと、馬に乗り、自分の一族の治める領地を駆けていく。
馬に乗り、身分を隠しながら各地の街を回るのはかつてピーターが話してくれた副王の話のように感じて面白かった。
時たまに、私に対して妨害工作を行うような奴が現れたのだが、その人物には容赦なく鉄槌を下す。
彼ら彼女らもそれを承知して攻撃を加えて来たのだ。後で、探索隊に泣き付く羽目になろうだとしても、それは一歩間違えれば私が辿る事になった道を彼ら彼女らが歩んでいるだけなので同情の心配はしない。
ある人物は火を、ある人物は水を使用して私に対して攻撃を加えてきたのだが、その度に私が左手の掌から魔法を奪い取り、その度に自分達の加えるはずだった攻撃が自分達に降りかかってくる姿が少しおかしかったような気がする。
魔法による攻撃を交わしている時以外は私はひたすら、荒野や草原、湿原の上で馬を走らせていた。馬のスピードは一定のスピードを保ち続けながら、走っていき、遅すぎず、早すぎないという微妙な距離を保ちながら、確実に前へ前へと進んでいた。
だが、流石に陽が傾くと馬も疲れてくるし、当然、私も疲れてしまう。
そんな時に、私はキャンプに適度な場所を探し、テントを広げ、焚き火を焚いて夜を過ごす事にするのだ。
夕食はキャンプを張った場所から少し離れた場所から取れた肉や魚になるのだ。魚は近くに川が流れている場合に食べる。あの化け物を殺した次の街で仕入れた竿は意外に強く、良い餌を一緒に買ったためもあるのか、良い魚が次々と釣れていく。
肉は近くに川がない場合に仕方が無しにホルスターに下げている銃を使用して獲る。
そして、釣った魚や鹿や鳥の肉を焚き火で焼き、それを炙って食べるのが最近の一日の中での一番楽しい時間だ。
そして、テントの中で寝袋に包まれながら一日を終える。
だが、チェックポイントされる各町では街のホテルに泊まれるので、その場合はふかふかのベッドの上で眠れる事になるのだ。
ついでに言うと、ホテルでは風呂を借りられるのがありがたかった。ホテルの風呂は小さなバスタブなのだが、充分にその中で体を洗え、汚れを落とせるのがありがたい。
中には金を払う事で、ホテルの女性スタッフに洗ってもらうサービスもあるらしいが、このレースの参加者は男性参加者がたまに使用する頻度なのらしい。
ホテルに泊まった時の様子は大概がこんな感じであったが、一度だけ困った事があった。
実家に帰り、レースの参加者を見ると言っていたソルドとカレンの二人がわざわざレースの参加者が集まるホテルへと足を踏み入れ、大きな樽に入った酒と皿の上に大量に盛られたサンドイッチを差し入れに来たのだ。
勿論、私は二人の顔を確認するなり、大急ぎで二階にある自分の部屋へと戻ったので詳しい事は知らなかったのだが、差し入れの酒はバーボンらしい。
しかも、結構いいお酒だったようで、部屋の前から美味い美味いと叫ぶ声と差し入れのサンドイッチが良いつまみになっているという声が聞こえてきて、非常に複雑な思いをしたのを覚えている。
これ以上、複雑な思いをするのも嫌だと感じて、翌日の朝は誰よりも早く起きて、街を離れたのだった。
二人は最初に貴族が威張っていて嫌だったのと言っていたのだが、この街は貴族は威張る程度のちょっと偉いが迷惑な奴らくらいの存在なのだろう。
そもそも、悪質な税の取立てなどをすれば、即座に王宮が動いて、貴族の地位を剥奪されるから出来ないのだろうが。
私は安心して、馬を進めていく。ジャックやケネスの住んでいる町も訪れたのだが、二人はどうやら普段はロングドレス状の制服姿や私服だったとしても制服と同じような格好ばかりを見慣れているためや、私が仮面を被っているためか私に気が付く事は無かった。
ジャックもケネスも純粋な様子で自分の町を訪れたレースの参加者達を応援していた。
勿論、二人の時と同じで気不味くなって逃げ帰ってしまったのだが……。
私にとって衝撃的だったのは王国の最後の町にしてグリムショーなる伯爵が治める薔薇の騎士という町でレース参加者を出迎える歓迎会の元で、グリムショー伯爵の側で選手達に酌をするマーティの姿を見た事だった。
私は伯爵の側に立っている姿を見て、彼は長期の休暇の間は伯爵の宮仕えをしているのかと思ったのだが、伯爵は和やかにそれも優しく話している様子や何より、マーティが伯爵に対して対等に口を訊いている様から、その考えは私の頭の中から振り払われていく。
私はマーティにウィスキーを注がれている間もバレないかと冷や冷やしていたし、実際に彼が、
「あれ、あなた綺麗な銀髪ですね」
と、褒めた時には口から心臓が飛び出そうになったほど震え上がったのを覚えている。
だが、マーティはそんな私の心情など構う事なく話を続けていく。
「いやぁ、オレは普段は王立の魔法学院に通っていて、そこの賞金稼ぎ部に所属しているんですけれども、そこの相棒の女の子何あんたに似てるんですよ!そう、あなたみたいに!」
マーティはノリノリで話を続けようとしたのだが、伯爵家の執事と思われる礼装の老人がマーティを引き摺っていったので、私の正体はバレずに済んだらしい。
執事に連れて行かれたマーティは執事と思われる老人にこっ酷く叱られているのをパーティーに参加していた全員が目撃していた。
私は執事相手に項垂れる学校とは違う顔を見せるマーティの姿を見てクスッと笑ってしまう。
こんな面白い光景を見せられると、元気が湧いて、明日からの初の外国となるニューヨーシャー王国入りも頑張れそうな気がしてきた。
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