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サラマンダー・パシュート編
転び転んで転び尽くした人魚姫
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その日も私はエマ部長と部活練のグリフィスと生徒会長との論争に付き合わされ、辟易しながら自宅へと帰還したのだった。
ルパートはもう一週間も前のアナベル・オハラの事を持ち出し、賞金稼ぎ部の解体を主張したのだが、エマ部長はこれまでの実績とまた、今後、賞金稼ぎ部という部活を引き締めていく事により、更なる賞金首の検挙という可能性を提示し、部活を潰すよりも残しておいた方が良いというメリットを主張し、彼の推論を木っ端微塵に砕き、彼を黙らせたのかと思ったのだが、そこに生徒会長がアナベルの件だけではなく、今後も彼女のような危険性を持った人物が出るという可能性を提示し、ルパートの勢いを取り戻させる。
『会議は踊る。されど、進まず』という諺をピーターから聞いた事があるのだが、まさにこの状況がそうだろう。
無駄な議論を延々と繰り広げているだけではないか。
第一、賞金稼ぎ部としてはこの様な不毛な議論に付き合う前に、一週間前に報復すると宣言したアナベル・オハラとあの得体の知れない男の報復に備えるべきではないのか。
そんな事を考えていると、すっかり日が落ちている事に気が付く。
賞金稼ぎ部の面々は生徒会室から出ると、賞金首を狩る事が出来なかった不満を次々に口にしていくのだが、中でもヘイトの対象となったのは生徒会長と部活練の頭目、ルパート・グリフィスであった。
これでもかという程の罵声やら悪口を浴びせて帰宅していく。恐らく、明日が休みの日だから言えるのだろう。
だが、部活の面々のあまりの怒りっぷりを馬係のジャックが困惑した表情で訴えるくらいであった。
私はジャックに事情を説明し、自分の馬を学校にある馬繋場から引いて、玄関へと向かう。
校門の所でケネスやマーティとは別れ、私はアナベルの報復宣言もあった事から、寄り道をする事なく自宅へと帰っていく。
自宅へと帰ると、ピーターが外で待っていたらしく、私と私の愛馬の姿を見るなり、大慌てで柵を開けて私を家の中に入れる。
馬を仕舞わせ、二階にある自室で部屋用の質素なロングドレスに着替えると、ダイニングに向かって、馬を屋敷の馬小屋に仕舞ったピーターにワインを持ってくるように指示を出すと、私はダイニングの上に座り、運ばれてきたワインを飲む。
やはり、疲れた時にはアルコールに限る。そんな事を思いながら、手に持っている明るい赤紫色の液体を飲み干す。
やはり、ワインは美味い。特に不毛な議論の後の一杯は最高だと言っても良いだろう。
ワインを飲んでいると、ピーターが夕食が出来たと言って、私をダイニングにある席から立ち上がらせて、半ば強制的に白いテーブルクロスの敷かれた机の前に座らせる。
私はそれから、ピーターの用意した夕食を口にしていく。
やはり、彼の作った料理は美味しいのだが、今日は何処となく味がしない。
どれだけ放課後の議論を引き摺るつもりだと自嘲し、私は夕食の後片付けをピーターに任せて二階の自室へと食後の読書のための本を取りに行く。
そして、ダイニングの椅子の上でリビングルームの椅子の上で本を片手にワインを楽しもうとした時だ。
ガタガタと何か揺らす音が私の耳に届く。初めは強い風が吹いているのかと思ったのだが、何度も何度も揺れていくうちに、この揺れがただ事ではないと気が付く。
そこで、私はキッチンで洗い物をしているピーターに玄関を見に行く様に指示を出したのだが、ピーターは怖がって行こうとしない。
そのために、一度部屋に上がって銃を取ってきた後に、銃を装備したまま彼の背後にくっ付いて玄関へと向かう事になった。
全く、私の幼い頃からの馴染みの執事ときたら、体格は立派なのだが、こういう怖がりな面が私に軽く見られてしまうのではないかと考えつつも、かくいう私も両足を震わせながらついて行っているのだから、人の事は言えないのだが。
二人で夜の屋敷の玄関口を歩いていると、目の前の道と屋敷との境目にある柵の前に一人のボロボロの女性が倒れている事に気が付く。
ピーターは慌てて彼女の元へと駆け寄っていく。そして、彼女を抱えて屋敷へと戻ろうとしたのだが、背後から彼女の知り合いだと思われる柄の悪そうな男二人が現れたので、私の出番となった。
私はピーターにボロボロの女性を二階の私の部屋に運ぶ様に指示を出し、私は玄関に現れた二人の男を相手取る事になった。
押し問答の末に男どもには私がここら辺では名の通っている賞金稼ぎである事と貴族の令嬢である事を主張したら、何とか退散して頂けたらしい。
それとも、逃げる際に拳銃のハンマーを立てたのが良かったのだろうか。
そんな事を考えながら、私は柵の向こうで無残な様子で逃げていく悪党どもを眺めてから、自宅へと戻っていく。
自宅に戻ると、私は自分のベッドに倒れている女性の顔を覗き込む。
私は彼女の服を替えて、体を洗う事を提案する。ピーターに水の入った桶と布製のタオルを貰うと、私が彼女の体を拭く間にピーターに外の戸締りをしっかりとするように指示を出す。
彼女の体を洗っている時に気が付いたのだが、この女性の体が酷く傷付いている事に気が付く。
中には勿論、木やら何やらの傷もあったのだろうが、大半部は人為的な傷であった。
私はその酷さに思わず顔を背けそうになったが、その思いを必死に押し殺して自分のクローゼットから予備のネクジェを着せて、弱っている彼女の手を握る。
今の私にはそれくらいの事しかできないが、少なくともこの部屋に誰も居ないよりは良いだろう。
そんな私の気分を察したのか、ピーターは彼女の額に当てるための水とタオルを持ってきて、私を手伝ってくれた。
大分、夜も更けてきた頃に私はピーターにもう休む事と明日の朝に彼女に朝食を出す様に指示を出すと、私は彼女の手を握り続けた。弱り切った手。それにボロボロになった足。
一体何があったのだろう。私が彼女の並々ならぬ事情の事を考えると、気が付かないうちに自分の意識が落ちている事に気が付く。
気が付けば、部屋の窓ガラスに朝日が差し込んでいたのだが、どうして昨日助けた女性が怯えた表情を見せているのか、そして、どうしてピーターが慌てているのかが、今の私には理解できなかった。
彼が何か変な真似をしたのだろうか。いや、幾ら彼でも弱った女性に馬鹿な真似をしたりしないだろう。
ここでは自分が原因を聞いてみるのが一番だろう。
私が立ち上がり、理由を尋ねようとすると、彼女は私の顔を見るなり、枕に縋り付いて顔を伏せてしまう。
どうやら、彼女は私を恐れているか、若しくは嫌っているのだろう。
落ち着くまでは部屋から出た方が良いだろう。私は彼女とピーターを残して、部屋の扉の前に立つ。
いざという時のためだ。悪く思わないで欲しい。そんな事を思いながら、私は聞き耳を立てていく。
ルパートはもう一週間も前のアナベル・オハラの事を持ち出し、賞金稼ぎ部の解体を主張したのだが、エマ部長はこれまでの実績とまた、今後、賞金稼ぎ部という部活を引き締めていく事により、更なる賞金首の検挙という可能性を提示し、部活を潰すよりも残しておいた方が良いというメリットを主張し、彼の推論を木っ端微塵に砕き、彼を黙らせたのかと思ったのだが、そこに生徒会長がアナベルの件だけではなく、今後も彼女のような危険性を持った人物が出るという可能性を提示し、ルパートの勢いを取り戻させる。
『会議は踊る。されど、進まず』という諺をピーターから聞いた事があるのだが、まさにこの状況がそうだろう。
無駄な議論を延々と繰り広げているだけではないか。
第一、賞金稼ぎ部としてはこの様な不毛な議論に付き合う前に、一週間前に報復すると宣言したアナベル・オハラとあの得体の知れない男の報復に備えるべきではないのか。
そんな事を考えていると、すっかり日が落ちている事に気が付く。
賞金稼ぎ部の面々は生徒会室から出ると、賞金首を狩る事が出来なかった不満を次々に口にしていくのだが、中でもヘイトの対象となったのは生徒会長と部活練の頭目、ルパート・グリフィスであった。
これでもかという程の罵声やら悪口を浴びせて帰宅していく。恐らく、明日が休みの日だから言えるのだろう。
だが、部活の面々のあまりの怒りっぷりを馬係のジャックが困惑した表情で訴えるくらいであった。
私はジャックに事情を説明し、自分の馬を学校にある馬繋場から引いて、玄関へと向かう。
校門の所でケネスやマーティとは別れ、私はアナベルの報復宣言もあった事から、寄り道をする事なく自宅へと帰っていく。
自宅へと帰ると、ピーターが外で待っていたらしく、私と私の愛馬の姿を見るなり、大慌てで柵を開けて私を家の中に入れる。
馬を仕舞わせ、二階にある自室で部屋用の質素なロングドレスに着替えると、ダイニングに向かって、馬を屋敷の馬小屋に仕舞ったピーターにワインを持ってくるように指示を出すと、私はダイニングの上に座り、運ばれてきたワインを飲む。
やはり、疲れた時にはアルコールに限る。そんな事を思いながら、手に持っている明るい赤紫色の液体を飲み干す。
やはり、ワインは美味い。特に不毛な議論の後の一杯は最高だと言っても良いだろう。
ワインを飲んでいると、ピーターが夕食が出来たと言って、私をダイニングにある席から立ち上がらせて、半ば強制的に白いテーブルクロスの敷かれた机の前に座らせる。
私はそれから、ピーターの用意した夕食を口にしていく。
やはり、彼の作った料理は美味しいのだが、今日は何処となく味がしない。
どれだけ放課後の議論を引き摺るつもりだと自嘲し、私は夕食の後片付けをピーターに任せて二階の自室へと食後の読書のための本を取りに行く。
そして、ダイニングの椅子の上でリビングルームの椅子の上で本を片手にワインを楽しもうとした時だ。
ガタガタと何か揺らす音が私の耳に届く。初めは強い風が吹いているのかと思ったのだが、何度も何度も揺れていくうちに、この揺れがただ事ではないと気が付く。
そこで、私はキッチンで洗い物をしているピーターに玄関を見に行く様に指示を出したのだが、ピーターは怖がって行こうとしない。
そのために、一度部屋に上がって銃を取ってきた後に、銃を装備したまま彼の背後にくっ付いて玄関へと向かう事になった。
全く、私の幼い頃からの馴染みの執事ときたら、体格は立派なのだが、こういう怖がりな面が私に軽く見られてしまうのではないかと考えつつも、かくいう私も両足を震わせながらついて行っているのだから、人の事は言えないのだが。
二人で夜の屋敷の玄関口を歩いていると、目の前の道と屋敷との境目にある柵の前に一人のボロボロの女性が倒れている事に気が付く。
ピーターは慌てて彼女の元へと駆け寄っていく。そして、彼女を抱えて屋敷へと戻ろうとしたのだが、背後から彼女の知り合いだと思われる柄の悪そうな男二人が現れたので、私の出番となった。
私はピーターにボロボロの女性を二階の私の部屋に運ぶ様に指示を出し、私は玄関に現れた二人の男を相手取る事になった。
押し問答の末に男どもには私がここら辺では名の通っている賞金稼ぎである事と貴族の令嬢である事を主張したら、何とか退散して頂けたらしい。
それとも、逃げる際に拳銃のハンマーを立てたのが良かったのだろうか。
そんな事を考えながら、私は柵の向こうで無残な様子で逃げていく悪党どもを眺めてから、自宅へと戻っていく。
自宅に戻ると、私は自分のベッドに倒れている女性の顔を覗き込む。
私は彼女の服を替えて、体を洗う事を提案する。ピーターに水の入った桶と布製のタオルを貰うと、私が彼女の体を拭く間にピーターに外の戸締りをしっかりとするように指示を出す。
彼女の体を洗っている時に気が付いたのだが、この女性の体が酷く傷付いている事に気が付く。
中には勿論、木やら何やらの傷もあったのだろうが、大半部は人為的な傷であった。
私はその酷さに思わず顔を背けそうになったが、その思いを必死に押し殺して自分のクローゼットから予備のネクジェを着せて、弱っている彼女の手を握る。
今の私にはそれくらいの事しかできないが、少なくともこの部屋に誰も居ないよりは良いだろう。
そんな私の気分を察したのか、ピーターは彼女の額に当てるための水とタオルを持ってきて、私を手伝ってくれた。
大分、夜も更けてきた頃に私はピーターにもう休む事と明日の朝に彼女に朝食を出す様に指示を出すと、私は彼女の手を握り続けた。弱り切った手。それにボロボロになった足。
一体何があったのだろう。私が彼女の並々ならぬ事情の事を考えると、気が付かないうちに自分の意識が落ちている事に気が付く。
気が付けば、部屋の窓ガラスに朝日が差し込んでいたのだが、どうして昨日助けた女性が怯えた表情を見せているのか、そして、どうしてピーターが慌てているのかが、今の私には理解できなかった。
彼が何か変な真似をしたのだろうか。いや、幾ら彼でも弱った女性に馬鹿な真似をしたりしないだろう。
ここでは自分が原因を聞いてみるのが一番だろう。
私が立ち上がり、理由を尋ねようとすると、彼女は私の顔を見るなり、枕に縋り付いて顔を伏せてしまう。
どうやら、彼女は私を恐れているか、若しくは嫌っているのだろう。
落ち着くまでは部屋から出た方が良いだろう。私は彼女とピーターを残して、部屋の扉の前に立つ。
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