王立魔法学院の落第生〜王宮を追放されし、王女の双子の姉、その弱い力で世界を変える〜

アンジェロ岩井

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オール・ザ・ソルジャーズマン編

王都動乱 パート6

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マッケンジーの恐れ慄く様子を見て私の唇の右端が吊り上がっていく事に気が付く。
彼はどうやら、こんな展開になるとは予想だにしていなかったらしい。
マッケンジーは部下の犯罪者どもに命令を下し、三人を殺すように指示を出す。
指示に従った犯罪者たちはホルスターから拳銃を引き抜いて男の敵を撃ち殺そうとしていくのだが、それもケネスとマーティの二人の手によって次々と仲間が撃ち殺されていくと犯罪者たちは当初の勢いも失ってしまい戸惑う姿が見えた。
「どうする?まだやるの?」
クラリスの言葉に周りの不良たちが固まっていく姿が見えた。
「くっ、なれば……お前は私の魔法で始末してやろうッ!光栄に思うが良いッ!私の魔法を公開するのはお前が初めてだッ!」
マッケンジーは拳銃を抜くと自分たちの命令に背いた部下たちに向かって撃ち抜いていく。
彼の持っている銃はたんぱつしきものではない。荷台に存在するマシンガンのように連写式だ。
だが、そんな銃があるものだろうか。いや、存在しない。技術の問題で連写式の拳銃を作り出す事は不可能だ。
恐らくあれが男の魔法であるに違いない。あくまでも推測の範囲内を出ないのだが、マッケンジーの魔法は通常のピストルを荷台のマシンガンのように使用する事ではないだろうか。
何はともあれ、不味い状況になっている事は確かだ。二人に立ち向かわずに彼の側に残った十人の犯罪者たちはみんな撃ち殺されたもののマッケンジーの魔法はそれらに匹敵する強さを誇っている。
果たした三人の武器で彼に対抗できるものかと考えて私は物陰から飛び出し、不意を突く形であの男を撃ち殺してやろうかと考えたのだが、その前にクラリスが声を張り上げてケネスとマーティの二人に静止の言葉を叫んだために私は飛び出すをやめ、彼女に兄の仇を取らせるために建物の陰で見守る事にした。
マッケンジーは彼女の静止の言葉を聞いて口元を緩めて勝ち誇ったような笑みを浮かべたのを私は見た。
彼はクラリスには勝てるだろうと見越したに違いない。
マッケンジーは銃を構え直し、彼女に向かって連写式の銃を放っていく。
三人はそれを飛んで避け、二人はもっと後方に介添人に相応しい位置へと向かう。
彼女は銃を構えてマッケンジーの元へと向かう。
「小娘が無駄な足掻きを今、楽にしてやる」
と、彼は銃口を向けて彼女を抹殺しようと企んだのだが、彼女は自身の背後から糸と編み物棒とを取り出し、それをマッケンジーに向かって放つ。
「何、小癪な」
と、彼は銃を放ってクラリスの編み物棒と糸とを弾き落とそうとしたのだが、彼女の放った編み物棒と糸は彼の銃弾を避け彼の顔に狙いを定めてくっ付く。
いや、その様な生易しい表現で済むものではない。
マッケンジーの顔に編み物棒が突き刺さり、そこに糸がくっ付き、何重にも彼の顔を巻き、やがて、彼の顔全体を分厚く覆ってしまう。
つまり、幾重の糸で彼の顔を覆う事により、彼の呼吸を奪ってしまったのだ。
その証拠に彼は拳銃を持っているのも辛くなったのか足元に先程まで持っていた回転式の拳銃を落としてしまう。
だが、糸はそれでも止まる事なく彼の顔に付いている物を全て覆い始めていく。それが終わると編み物棒は彼女の元へと戻り、彼女は編み物棒を空中に放り投げて消すと彼に銃口を突き付けながら叫ぶ。
「これがあたしの魔法よッ!あたしの魔法『私の作品マイクラフト』!!自由自在に魔法の糸と編み物棒を操り、魔法の糸で様々な物を作ったり、敵の体の機能を奪うために糸を縫いつけたりする魔法よッ!こんな危険な魔法、本当だったら、使いたくなかったッ!基礎魔法には分類されないから、学校からは落第生のレッテルを貼られたッ!けれどこの魔法であんたを殺せるんだったら、あたしはいくらでも煽られるからッ!」
視界も嗅覚も言葉さえも糸に奪われたマッケンジーは呻き声を漏らしていたのだが、彼女は気にする事なく彼の顔を見つめていた。
苦しそうに腕を動かしても足を動かしても知らんぷりだ。そのうちに男の呻き声らしき声が聞こえたのかと思うと男は地面に倒れて二度と起き上がらなかった。
だが、彼女はそれでも満足しなかったのか、はたまた男が死んでいる振りをしているのかと思ったのか、彼女は倒れている男の頭に向かって引き金を引く。
乾いた音が響いたかと思うと糸に顔を覆われた男の後頭部に焼いた様な真っ黒な穴が開く。
恐らく死んでしまったのだろう。
ケネス、マーティの両名、そして私は彼女の元に寄り、彼女の成果を褒めたのだったが、三人は突然、現れた私に心底から驚いた様子を見せた。
そこで私はこれまでの経緯を話し、反乱が終わった事とこれ以上の攻撃がない事を告げた。
そしてマッケンジーと彼女との戦いとに加わらなかった理由も説明した。
クラリスはそれを聞くと私の手を取って、
「ありがとう!ウェンディ!あたしの敵討ちを邪魔しないでくれないでいて……そうだッ!あたしもあなたに謝っておかない事があるわ!」
クラリスは私に謝罪の言葉を述べていく。と、言うのも彼女は私を誤解していたらしい。彼女は最初はフォークナイト・ゲイシーではなく私が彼女の兄を殺したのだと思い込んでいたらしい。
それで彼女の仇を撃とうとしたのだが、私のこれまでの経緯を思い出し、尚且つ私が兄を殺す理由がないと思って別の人物の犯行だと考え、調べていくうちにゲイシーが犯人だと知ったのだそうだ。
そして、その背後にマッケンジーがいる事も突き止めたらしい。
黒幕にマッケンジーがいたと知ったのは今回の動乱の最中、たまたま彼女は警察署に犯罪者の解放に向かうマッケンジーと解放された後にその二人とゲイシーが兄を殺した場面を話すシーンを目撃してしまったのだという。
流石にゲイシーを相手にするのは部が悪いと考えたのか、その場は引き下がったが、彼女は彼らが国取りにマシンガンを使用すると目論むと思ったので、彼女は入り口の近くで彼らを待ち伏せしていたらしい。
幸いにもケネスもマーティも同じ事を考えたらしい。
三人で近くでマッケンジーを待ち伏せしようという計画になったらしく、マッケンジーが現れた瞬間に三人で出ようと考えたらしい。
私は彼女の行動力と計画を褒める。
すると、彼女は満更でもなさそうに笑った。兄を亡くして以来暗い表情が多かった彼女の明るい表情が見れた事を私は嬉しく思ったのだった。
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