王立魔法学院の落第生〜王宮を追放されし、王女の双子の姉、その弱い力で世界を変える〜

アンジェロ岩井

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ホープ・オブ・マジシャンスクール編

帰還直後の穏やかな時間

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自宅に帰宅した私とピーターをボニーは泣きながら出迎えた。彼女は私とピーターを交互に抱き締めてから、私たち二人のために用意していたという料理を出していく。
普段はピーターと共に作っていた料理ばかり食べていたので、彼女一人で作った料理というのは新鮮であったのだが、中々に新鮮であった。普段はピーターも立って給餌をするのだが、この日ばかりは彼も私と一緒に料理を食していく。彼の笑顔が眩しい。
私は横で食事を摂りながら、彼の輝かしい笑顔がいつもよりも眩しく感じたような気がした。まるで、彼はお姫様を守った騎士のような充実した顔だったので、私の顔も自然と綻んでしまう。
その日は風呂に入り、眠った。学校は大分遅れているが、何とかなるだろう。
私はそんな楽観的であったのはやはり、友人の存在を信じていたからであろう。あの街から電報は送ったのだ。きっと、学院側もそれを受けている事だろう。
それを知った彼らも私の再会を待っている筈だ。
そんな期待と久し振りの再会による喜びを胸に抱きながら、床に着く。
翌日、朝食を食べ終えて久し振りの愛馬に乗り、学校へと向かう。
愛馬はやはり、主人が居ない事を感じ取っていたのだろう。久し振りに私が首を撫でてやると嬉しそうに鳴く。
私は馬に跨り、柵を出て久し振りの学院前の街へと向かう。
久し振りの学院前の街は前に通っていた時よりも何処となく大きく感じたような気がした。
私はそんな事を考えながら、学院に向かい馬繋場に馬を渡そうとするジャックが目に涙を溜めて私を見ていた事に気が付く。
彼は私が馬から降りるのと同時に私の両手を強く握り、互いに繋いだ手を握りながら、私の無事を祈った。
それから、直ぐに教室に向かうように叫んだ。
私は彼の助言に従い学院の校舎の中に入ると、教室の中で男子陣からの熱い歓待を受ける。
その後にソルドとカレンの二人から、穏やかな拍手を送られた後にクラス全員から私の復学を祝われた。
教師陣からは疎まれている筈なので、私は彼らからは復学を祝われはしなかったのだが、唯一射撃教師だけは例外であったようで素直に私の復学を祝ってくれた。
私はその日の学習や実技は親切な男子からこれまでの経緯を聞きながら、こなしていく。
だが、それでも大幅に抜けている事は確実なのだ。今週の休みに私の家で勉強会を開く事となった。
私は再び我が家にみんながやってくる事に喜びを感じ、ピーターに伝えておかなければならないと決意した。
賞金稼ぎ部ではクラリスと再会を喜び合った以外には特に何も言われることなく淡々とした様子で部長や上級生からは任務を与えられたのであったが、すれ違い様に新部長は部長の椅子に座り、ハードカバーに顔を埋めながら、一言「良かった」とだけ告げて私を見送っていく。
その日、逃げ出した小悪党を追い詰め、逮捕して賞金を掠め、部室に納めた後は一度それぞれが自宅に帰り、その後に学院近くの酒場で私の復帰を祝ってのささやかなパーティーが行われる事になった。
私は家に帰った後にピーターとボニーの二人を誘ったが、ボニーは家の用事があると断り、結局、パーティーにはピーターだけが同席する事になった。
夜になり、徒歩で学院前の酒場に向かうと既にみんなが集まっており、私とピーターが来たのを見届けると手を振って仲の良い六人が私たち二人を迎えた。
酒場では店主が私たちがつまみにステーキを頼んだ事に難色を示したが、ケネスや他のみんなが茶色い財布を取り出した事により、店主は折れてステーキとバーボンをバーカウンターに並べていく。
この日は珍しく私はあまりビールやバーボン、ウィスキーには手を付けずに、つまみのステーキばかりを食べていた。
私は仲間と共に飲む酒の雰囲気が好きでそれに酔っていたとも言える。そんな仲間の様子を眺めていると、ピーターが普段よりも強めの酒を飲み、顔を真っ赤に染めていっている事に気がつく。彼はバーボンを五杯立て続けに飲んだ事で更に機嫌が良くなったのか歌を大きな声で歌っていく。
その歌はピーターのみが知っている曲だったらしく、全員が首を傾げていた。
だが、その歌が素敵だというのは理解できた。その曲は『一人じゃない』という単語を何度も繰り返し、相手といつまでも一緒にいたいという思いを伝える曲だった。
ピーターはその曲を歌い終わると満足したのかバーカウンターの上に突っ伏してしまう。
寝息を立てながら、カウンターの上で寝転ぶピーターを見て思わず笑ってしまう。
カウンターで相手をしていた店主も「普段だったら、逆なんだけどな」と苦笑する言葉が聞こえた。
私は「そうね」と苦笑した様子で言葉を交わし、ピーターの肩を持って共に家に向かう事にした。
本来だったのならば、まだまだ宴会を楽しみたかったのだが、同居人がこの様ではどうしようも無い。
パーティーに集まって更には費用も出してくれたみんなには申し訳ないのだが、ここまで酔い潰れては迷惑を掛けてしまうだろう。
ここで帰ろうとしたのだが、ケネスが大きな声を上げて引き止める。
「ま、待てよ!ピーターはそこで寝かせておけば良いだろう!?お前が飲んだらという不安だろう?心配するなッ!オレが送ってやるよ!」
いつになく必死なケネス。私は彼の情熱に押されてもう暫くパーティー会場に留まる事になった。
暫く酒を交わすうちに私にも酔いが回ってきた事に気が付く。
私はここでお開きにしようと提案した。各々が提案に乗り、私はふらついた足取りでピーターを連れて屋敷へと向かおうとするが、その前にケネスとなぜか、引きつった顔を浮かべるマーティの姿があった。
ケネスがピーターを、マーティが私を支えて屋敷へと送ってくれる事になった。
この時は結構酒は回っていたためか、朧げなのだが、なぜかマーティがいつもの陽気な顔ではなく、険しく大きく見開いた瞳を彼に向けていたのはどういう事だろうか。
私は二人にお礼を言って屋敷の柵が開いた後に私たち二人を迎え入れてくれたボニーの姿を見ると、二人はボニーに頭を下げて元来た道を戻っていく。
私は玄関でピーターをボニーに預けると千鳥足で二階の自室へと向かう。
私は用意された白色のシーツに制服のまま飛び込むとそのまま意識を失ってしまう。
だが、朝までの時間を幸福な夢を見て過ごしていた事だけはハッキリと覚えていた。
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