王立魔法学院の落第生〜王宮を追放されし、王女の双子の姉、その弱い力で世界を変える〜

アンジェロ岩井

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ホープ・オブ・マジシャンスクール編

新人研修を行った結果の末だ。誰も文句は言うまい

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やはり、エリートと俗に言う落ちこぼれとは分かり合えないのだろうか。
賞金首を仕留めに行く道中、憂鬱な表情を浮かべて馬を動かす。
そんな私を隣で馬を操るケネスが励ましの言葉を掛ける。
「あんな奴の言う事など気にするんじゃあない。第一、あんな奴が何だ。今回の賞金首……確か〈火炎瓶の使い手〉ヒヤー・ファスターなる男を先に捕まえて鼻を明かせば良いだろう」
「そうね」
私はそれを聞いて今日捕まえる予定のヒヤー・ファスターという男の事を思い返す。
ヒヤー・ファスターは火炎瓶を使い、多くの保安委員を殺害した凶悪犯であり、その動機というのが国王制打倒と政府転覆という目的の一環である治安局の混迷という目的であったのだから、彼には王政の打倒者と殺人鬼という二つの危険性を帯びており、そのため、他の凶悪犯よりも多くの賞金が掛けられてもおかしくは無かった。むしろ、国は普通の強盗殺人犯よりも、こちらの方に大金を割くだろう。
そんな男がシティーの周りを囲む森の中に潜伏しているのだ。
私たちの鼻を明かすために、先程の生意気な新人がその首を取ろうと功を焦ったとしてもおかしくはない。
そんな事を考えていると森の奥で女子の悲鳴が聞こえてきた。
二人で馬を走らせてそこに向かうと、そこには火炎瓶を持った顔に多くの傷を負った男が舌舐めずりをしながら、銃を捨てた女を追い詰めていた。
「ヘッヘッ、犬の犬がオレを殺そうと思っても無駄なんだよ。オラァ、次の新しい王様だぜ、大人しく従っておけよ」
「こんな事はやめなさい!今すぐにでも投降すれば、きっと国も寛大な処置をしてくれる筈よ!」
その言葉にあの男が怒ったのだろうか、手に持っていた火炎瓶を少女に向かって放り投げようとした時だ。
私は奴が私に気付いていない事を利用し、あの男の持っていた火炎瓶に目掛けて銃を放つ。
たちまちあの男は炎に包まれていく。私は慌てて彼女の前に駆け出し、まだ目の前で起きた事が信じられないと言わんばかりに目の前を虚な視線で見つめる少女に向かって手を伸ばす。
だが、彼女は私から伸ばされた手を拒否して反対に私の顔を強く睨み付ける。
「どうして、どうして、あの人を殺したッ!」
予想だにしない言葉を浴びせられて私は氷のように固まり、言葉を失ってしまう。
だが、目の前の彼女は私を悪人を尋問する保安委員の男のように強い口調で弾劾していく。
「幾ら、賞金首だからと言って直ぐにパンパン撃ち殺してもいいものなんですか!?そんなんだから、新聞部から人権無視だと言われるんですよ!」
彼女は私に近付くと私に向かって強い一撃を喰らわせる。
突然の事に動揺する私。だが、彼女はそんな私の様子など構う事なく話を続けていく。
「私は今回の件であんたの様な〈杖無し〉が我が部でデカい顔をしていられるのか理解できましたよ。こうして、相手に魔法を使わせる前に銃でパンパン撃ち殺しちゃうからですよね?」
続いてもう一度、彼女が私に向かって平手打ちを喰らわせようとした時だ。ケネスが彼女の手を強く握って、鋭い視線で彼女を睨む。
「今、流行の人道主義ヒューマニズムという奴か?いいか、確かにオレ達の行動は部活動だ。だがな、相手と撃ち合うに至ってはこっちだって命懸けなんだ。容赦なんてーー」
「我々は人間です!賞金首だって生きているんですよッ!凶悪な殺人犯だから、過激派だからって簡単に命を奪って良いものなんですか!?」
ケネスは何かを言いたそうなに目を大きく開けて少女を睨んでいたが、私はそんな彼に言わせてはならない。これ以上、状況をこじれさせてはならないと彼の腕と彼の腕が握っている彼女腕の両方を下げさせて自由になった右腕を振る目の前の少女と対峙していく。
「聞くけど、あなたはその殺人犯や過激派に命を奪われた人にも同じ事が言えるの?」
「……ッ、それは……」
彼女は言葉に詰まってしまったらしい。だが、私は容赦する事なく話を続けていく。
「それにあなたはさっき、あの男に殺されてかけていたでしょ?その相手に説得が通じた?」
その言葉に彼女は押し黙ってしまう。顔を背けて彼女は森の向こうへと走っていく。
「おいおい、あんなまどろっこしい事を言わずにシンプルに外道に人権なんて……といつもの台詞を言えば良いだけだろうが」
ケネスは苦笑しながら言ったが、私は先程、ケネスに腕を下させた時に思った事を喋ると彼は黙って馬の元へと戻っていく。
私とケネスはその後、馬を警察署にまで走らせ、保安委員を呼び、賞金を受け取るとそのまま学院の部室内に部活分の金を渡しに向かう。
すると、部活棟にある我が部室の扉の前で何やら叫び声が聞こえた。
明らかな怒声、罵声の類。私が耳を済ませるとその声の主が先程の新入部員の確か……。
私が顎に人差し指を指して彼女の名前を考えていると、
「オリビア・モンドラゴンだ」
助け舟を出してくれた。私とケネスの二人で扉の前で彼女が部長への抗議の声を聞いていると、抗議をしている彼女の声がヒートアップしている事に気が付く。
「第一、あんな〈杖無し〉をここに置いておくなんて事が間違っています!私は彼女の退部処分を部長に要求します!」
彼女は大きな声を上げて抗議するが、彼女から答えが返ってこないという事は彼女は構う事なく本でも読んでいるのだろう。
部屋の中で短い叫び声が聞こえ、眉間に皺を寄せながら出てくるオリビアの姿が見えた。
彼女はすれ違い様に私に舌打ちをした。ここまで来ると哀れにも見えてしまう。
私とケネスが部室に入り、部活の分の取り分を机に置いて退室しようとしたのだが、その際に椅子に座っていた部長が声を掛けたために私とケネスの二人は立ち止まる。
「……前に話したテロリストの件とは別であの娘にも注意を向けた方が良い」
「待ってください。あんなものにウェンディがやられるとでも?」
「……塵も積もれば山となる……」
部長はそれだけ言ってまた読書に戻っていく。
私とケネスはそんな部長の警告を後に部室を後にした。
私とケネスが部室に入る前に馬を停めた馬繋場で馬を出して帰ろうかとしていた矢先の事だ。
入り口に繋がる方向に何人かの男女が立ち塞がる。
何者かと振り返ろうとする前に、私の前にケネスが立ち塞がる。
「どうして生徒会執行委員並びに新聞部の方々がいらっしゃるのかな?ちょいと理由を聞かせて願おうか」
そのケネスの問い掛けに短い金髪に禿鷲の様に高い鼻のある丸い顔の男が答えた。
「テメェらの胸に聞いてみたらどうだ?」
その禿鷲の様な頭をした男は鋭い視線を向けながら言った。
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