王立魔法学院の落第生〜王宮を追放されし、王女の双子の姉、その弱い力で世界を変える〜

アンジェロ岩井

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ホープ・オブ・マジシャンスクール編

学院前の死闘

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何処から入って来るのだろう。私は耳を、そして目を研ぎ澄ませた。目の前の扉だろうか、はたまた私が破いた窓から現れるのだろうか。はたまた、扉を超えた向こう側にある別の窓から現れるのだろうか。いや、もしかすると裏口の方かもしれない。
私は銃を構えて相手が来るのを待つ。単数か複数かどれくらいの数でどのような方法で現れるのかは分からない。検討も付かないのだ。
ただ一つ言える確かな事はエリアーナが私を憎んでおり、この場で殺したいと思っている事で、彼女が私を逃す筈はないという事だろう。
なので、待ち惚けを喰らう可能性は無いと言ってもいい。
この時、私は普段は吸わない煙草が無性に吸いたくなってしまう。
ケネスが普段吸っているように気分を落ち着かせたいのだろうか。
机にもたれながら、そんな事を考えていると私の目の前の扉が粉々にされた。
それを見た私は慌てて机の背後へと回り込む。
どうやら、エリアーナは散弾銃で扉を破壊した後に家の中に入って来たらしい。
彼女は次に私が身を潜めている机に向かって狙いを定める。
私は慌てて机の横へと転がり、彼女の散弾が当たる前に逃げ出す。
彼女は私に散弾銃の銃口を向けて言った。
「フッフッ、相当に追い詰められているみたいね。ウェンディお姫様……」
「ええ、あなたの持っている散弾銃の凄さにね」
「そうでしょう?そうでしょう?私の持っている散弾銃はこの世の中で一番強力な武器だと言ってもいいわ。そんな机なんてカーテンにもならないくらいの事はあなたも知っているわよね?」
彼女の言う通りだ。木製の机も扉も普通の銃弾を防ぐ事はできても、散弾の前では無力だ。塵に等しい。
相手が相手ならば、蛇に睨まれて動けない蛙に等しい状態になっただろう。
だが、私は目の前を見続けた。射抜くように相手を眺めたのだが、彼女は視線を逸らさないばかりか、私が強く睨めば睨む程、口元を緩めていくような気がしてならない。
彼女は私を指して大きな声で笑う。すると、私の喉が突然呼吸を奪われた事に気が付き、必死に空気を求めて口をパクパクと動かしている事に気が付く。
あの時と同じだ。彼女は私の呼吸を奪ったのだ。彼女はそれだけの魔法を持っている。
私は自分の左手を喉に向けて彼女の魔法を吸収して窮地を脱した。
その後、一年前と同様に彼女に向かって彼女自身の魔法を喰らわせようとしたのだが、彼女は直ぐにその場から逃亡して外に出ていく。
私は慌てて後を追う。もし、彼女が散弾銃を用いて攻撃すればその前に私が撃てば良いだけの話だ。
私は表の学院前の通りに出ていき、エリアーナを追う。
彼女はどうやら、大勢の同志と話しており、私の方には見向きもしていない。
私はその隙を突いてケネスの元へと向かっていき、彼と共に家の柱の陰に隠れて彼らの出方を伺う。
「どうする?明らかに弾の数と相手の数とが合わんような気がするんだが……」
「だったら、相手から弾を奪うまでよ!それに、私たちは何のために賞金首を追っているの?か弱い人たちを守るため、無垢な市民を無法者やテロリストの手から守るためでしょう?」
その言葉を聞いてケネスは暫く惚けたような調子で私の顔を眺めていたが、やがて首を縦に動かして、
「そうだなッ!我々の手でやろうじゃあないか!」
ケネスと私は共に演説の最中のエリアーナと彼女の部下の元へと繰り出していく。
私は弾が切れるまでに十名の敵を馬の上から落とし、ケネスも四人ほどの敵を馬の上から落としたが、そこで二人とも弾が切れてしまう。
二人で顔を見合わせて冷や汗をかきながら、逃亡の準備を行おうとするが、その際に私がたまたまエリアーナの近くの部下の男に向かって彼女から奪った魔法を使用した事により、彼女の動揺を誘い、近くの建物の柱に隠れる事が出来た。
加えて、逃亡の最中にケネスが例の雷雲を操作してテロリスト共を何人か落馬させたのも大きかった。
それから、二人で予備の弾丸をホルスターから取り出し、それぞれの銃の弾倉に込めていく。
これで、先程の攻撃で敵は十人近くにまで減った筈だ。
私とケネスが身を乗り出し、エリアーナとその仲間の拿捕に向かおうとすると、彼女らがいつの間にか乗ってきた馬で逃亡を図っていた。
私は慌てて彼女らを止めたのだが、彼女らがそんな言葉に耳を貸す筈もない。
やむを得ずに舌を打って死んだ彼女の仲間の乗ってきた馬を使用して二人で残ったテロリストたちを追っていく。
テロリストは仲間と共に学院前の街を抜けて私の家の方角へと向かう。
ここで彼女は森へと抜けるのだと思ったのだが、その私の目論見は甘かったらしい。
いや、初めはそうするつもりだったのだろう。だが、予想だにしないVIPの登場に彼女らはそれを利用しない手は無いと考えたに違いない。
私が仮にテロリストだったとしても、一介の屋敷の前に王家の紋章の入った馬車を見たのなら、その人物を人質に取ろうと目論むに違いない。
そう、私の家の前に私の妹にしてこの国の正当な王女であるシンディの乗る馬車の姿があったのだ。
過激派らは私の家の柵を破壊し、彼女らは私の家の中へと乗り込む。
私はそれを見て急いで馬を駆け出すが、ケネスは何故か、横で馬と共に突っ立っていた。
「どうしたのよ!早く、家に向かわないと王女様がーー」
「どうして、お前の家に王女の馬車がある?お前の家が大きな貴族だというのは知っていたが、まさか王女とコネクションがあるなんてーー」
「そんな事は後でいいでしょう!このままだと王女が、いいえ、妹が殺されちゃうわ!」
「い、妹だと……?」
ケネスは一瞬信じられないと言わんばかりに目を開けたのだが、直ぐに首を縦に動かして、
「分かった。オレだってこの国のお姫様が殺されるのは嫌さ」
そう言って私と共に馬に乗り、散弾で錠を壊された私の家へと向かう。
私とケネスは錠を壊し、私の家の前で見張りをしていたと思われるテロリスト二人を撃ち殺し、屋敷の中へと向かう。
屋敷の中に突入するのと同時に私は玄関の前で屯していた三人の男を矢継ぎ早に撃ち倒していく。
それから、妹の行方を探す。一階には他に五人ほどのテロリストが居たのだが、結局、妹は愚かピーターとボニーの姿も見当たらない。
私とケネスが二人で辺りを見渡していると二階から散弾を放つ音が聞こえた。
私とケネスは互いに顔を見合わせて二階へと駆け上がっていく。
私とケネスが二階に駆け上がり、様々な部屋を探していると、少し前に私とマルトーとが会合式での会話を交わした部屋にエリアーナと他二名の若い男が妹にピーター、ボニーの三人を人質に立て籠もっていた。
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