親父の再婚相手が俺の元カノだった件について

アンジェロ岩井

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現在の俺のやる気はゼロである

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逃げるように部活棟に来たのだが、今の俺は部活に所属していないために、大した用事はない。

以前、俺は文化部に所属していたのだが、他ならぬ、今の俺の義母に貢ぐために、バイトを大量に入れていたので、部活を辞めていた。

これから先はあの高価な宝石を売った金が残っているので、暫くは部活をしなくても余裕があるという状況である。

だから、俺はフリーになっていたのだが、振られたショックと無気力感からから何もやる気が出てこない。

その状態が、二ヶ月間続き、今では完全に手隙の状態で、そろそろ何か始めたいと思っている。

だが、いきなり辞めて、そのまま前の部活にふらっと戻れるほどに、俺の心臓は図太くできてはいない。

部活棟の周りでウロウロとしていると、
「あれ」と背後から声を掛けられた。
俺が振り向くと、そこにはボブショートの髪をした小柄な少年が立っていた。

「あれ、桐生じゃん。こんな所で何してんの?」

彼の名前は小町祐輔こまちゆうすけ。中々に可愛らしい顔がクラスの女子からは評判となっている。

いや、女子ばかりではない。男子からも人気がある。いや、下手をすれば、女子生徒よりも人気が高いのではないだろうか。

それくらい、彼は小柄で華奢で、可愛らしい顔付きをしていたのだ。
思わず、抱き締めたくなるようなぬいぐるみのような存在だとも言うべきだろうか。

とにかく、そんな風に可愛らしい顔を持っている奴なのだ。

そんな俺自慢の友人が何の用だろう。俺が小首を傾げていると、彼は鞄を一度、廊下に落とし、そこから一枚の紙を取り出して、俺に手渡す。

「これは?」

「ぼくが入っている部活の入部届けだよ。良かったら、入部してよ」

俺が目を通すと、そこに書かれているのは『文芸部入部求める』の文字。

「文芸部ってあれか?本書いたり、読んだりする、あの……?」

「うん、きっと楽しいと思うよ」

それを聞いて、俺はもう一度、書類に目をやっていく。
本など漫画以外は殆ど読まない俺だ。そんな人間が本を読んだり、書いたりする部活に入って楽しいだろうか。

結果は容易に想像できる。だが、突っ返して、こいつの泣き顔を見たくなどない。
なので、一応は考える素振りを見せるため、俺は黙って鞄の中に書類を仕舞い込む。

そして、これ以上、絡まれる前に、俺は鞄を引っ下げて、その場を去っていく。
そして、真っ直ぐに家へと向かう。家に着いて、適当にゲームをして、適当に勉強をして過ごす。

そうして、今日も終わる筈だった。
だが、鞄の中に宿題用のプリントに混ぜていた入部の書類が気になって仕方がない。

なので、俺はそのまま書類を引っ張り出し、なぜか、俺はその用紙に記入していた。
なぜ、書いていたのかは自分でも分からなかった。
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