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愛と恋と食材を載せて、今日も運びます!運びます!
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私は幼い頃、この世には絶対に宇宙人や幽霊やUMA或いはドラキュラ伯爵やフランケンシュタイン、狼男といった類のものが実在しているものだとばかり思っていた。
だが、時間が経つにつれ、そんなものは空想上の産物に過ぎないという事を理解した。
だが、年取った剣豪の老人が若い町娘を後妻に迎え、その娘と共に夫婦生活を営みながら、事件を解決するという大物作家によって書かれた時代劇だけは本当である事を悟った。
なぜなら、今、この私自身が自分よりも30歳以上も歳上の人と結婚しているのだから。
しかも、その連れ子は私の元カレ。
こんな偶然などあろうものか。いや、ない。
私はそう思いながら、料理部の活動を終えて陽の沈みかけた街を歩いていく。
夕方の街は綺麗だ。オレンジ色の眩い光が街を照らしていく。
その中で動く人々の姿は映画の登場人物のようだ。
いつだって見られる光景。だが、そんな何でもない光景が私は好きだった。
私があの人たちを呆然と眺めていると、ここまでの日々が走馬灯のように頭の中に流れ込む。
当初は私の結婚に反対していた元樹も母も今は文句を言わなくなり、引き篭もりだった兄は引き篭もりを脱却し、今はちゃんと会社に勤めている。
ついでだから、何が買い物をしていこう。私が街のスーパーに寄ると、突然、背後から声を掛けられて振り向く。
すると、そこにはよっと手を挙げる私の元カレ兼今のパートナーの連れ子の姿。
「今日の夕飯なんだい?」
と、聞いてきたので、私はぶっきらぼうに言ってやる。
「別に何も決まってないよ。食材を見て考えようと思ってるから」
「へぇーじゃあさぁ、今日の夕飯はハンバーグにしてくれよ。お前のハンバーグまだ食べた事なくてさ」
なっと両手を合わせて懇願する元カレ兼今のパートナーの子供。
それを見て、私は断固突っぱねようとしたのだが、ふと、桐生零の姿を見て思い出す。
彼との出会いが今の最愛の人との出会いを作ってくれた事、そして、彼が様々な事をして、私と私の最愛の人と私の家族との間にあった亀裂を取っ払ってくれた事を。
そう考えると、夕食のリクエストに応えるくらいは当然ではないだろうか。
私はカートを押しながら、苦笑する。
「あ、なんだよ!俺の事を笑って!」
零は馬鹿にされたのと思ったのか、顔を真っ赤にしたのだが、次の私の一言でまたしても機嫌を元に戻してしまう。
「別になんでもないよ。それよりも、今晩はハンバーグにするから、お菓子とかは買うなよ」
「えっ!?マジ!?ハンバーグなの!?やったー!!」
実に単純だ。上辺だけを見れば、大抵の人はそう判断するだろう。だが、私はその評価も下すが、同時に別の評価も彼には下している。それは私にとってはキューピッドであり、救世主だという考え方。
だから、たまにくらいは彼のリクエストに答えてやろうではないか。
そう考えると、私はご機嫌に鼻歌を歌いながら、カートを押していく。
それをご機嫌な様子で追い掛ける零の姿。
その姿に思わず口元の端を緩めてしまう。恐らく、私と誠太郎さん、そして、零の関係は生涯にも渡ってこんな感じだろう。
だが、それがいい。私はそれから、今日のお腹を満たすための食材並びに私たちの未来を紡ぐための物資を手に入れるために、カートを押していく。
あと書き
『親父の再婚相手が俺の元カノだった件について』はこれで終了となります。
こんな中途半端な終わり方で申し訳なく思いますが、これにて大円団という事で(笑)如月涼子と桐生一家並びにその友達はこれからも仲睦まじく過ごすという事で、小説が終わった後も、きっと平穏に暮らしていると思います。
また、何処かで投稿しますので、その時もまた読んでくだされば嬉しいです。
だが、時間が経つにつれ、そんなものは空想上の産物に過ぎないという事を理解した。
だが、年取った剣豪の老人が若い町娘を後妻に迎え、その娘と共に夫婦生活を営みながら、事件を解決するという大物作家によって書かれた時代劇だけは本当である事を悟った。
なぜなら、今、この私自身が自分よりも30歳以上も歳上の人と結婚しているのだから。
しかも、その連れ子は私の元カレ。
こんな偶然などあろうものか。いや、ない。
私はそう思いながら、料理部の活動を終えて陽の沈みかけた街を歩いていく。
夕方の街は綺麗だ。オレンジ色の眩い光が街を照らしていく。
その中で動く人々の姿は映画の登場人物のようだ。
いつだって見られる光景。だが、そんな何でもない光景が私は好きだった。
私があの人たちを呆然と眺めていると、ここまでの日々が走馬灯のように頭の中に流れ込む。
当初は私の結婚に反対していた元樹も母も今は文句を言わなくなり、引き篭もりだった兄は引き篭もりを脱却し、今はちゃんと会社に勤めている。
ついでだから、何が買い物をしていこう。私が街のスーパーに寄ると、突然、背後から声を掛けられて振り向く。
すると、そこにはよっと手を挙げる私の元カレ兼今のパートナーの連れ子の姿。
「今日の夕飯なんだい?」
と、聞いてきたので、私はぶっきらぼうに言ってやる。
「別に何も決まってないよ。食材を見て考えようと思ってるから」
「へぇーじゃあさぁ、今日の夕飯はハンバーグにしてくれよ。お前のハンバーグまだ食べた事なくてさ」
なっと両手を合わせて懇願する元カレ兼今のパートナーの子供。
それを見て、私は断固突っぱねようとしたのだが、ふと、桐生零の姿を見て思い出す。
彼との出会いが今の最愛の人との出会いを作ってくれた事、そして、彼が様々な事をして、私と私の最愛の人と私の家族との間にあった亀裂を取っ払ってくれた事を。
そう考えると、夕食のリクエストに応えるくらいは当然ではないだろうか。
私はカートを押しながら、苦笑する。
「あ、なんだよ!俺の事を笑って!」
零は馬鹿にされたのと思ったのか、顔を真っ赤にしたのだが、次の私の一言でまたしても機嫌を元に戻してしまう。
「別になんでもないよ。それよりも、今晩はハンバーグにするから、お菓子とかは買うなよ」
「えっ!?マジ!?ハンバーグなの!?やったー!!」
実に単純だ。上辺だけを見れば、大抵の人はそう判断するだろう。だが、私はその評価も下すが、同時に別の評価も彼には下している。それは私にとってはキューピッドであり、救世主だという考え方。
だから、たまにくらいは彼のリクエストに答えてやろうではないか。
そう考えると、私はご機嫌に鼻歌を歌いながら、カートを押していく。
それをご機嫌な様子で追い掛ける零の姿。
その姿に思わず口元の端を緩めてしまう。恐らく、私と誠太郎さん、そして、零の関係は生涯にも渡ってこんな感じだろう。
だが、それがいい。私はそれから、今日のお腹を満たすための食材並びに私たちの未来を紡ぐための物資を手に入れるために、カートを押していく。
あと書き
『親父の再婚相手が俺の元カノだった件について』はこれで終了となります。
こんな中途半端な終わり方で申し訳なく思いますが、これにて大円団という事で(笑)如月涼子と桐生一家並びにその友達はこれからも仲睦まじく過ごすという事で、小説が終わった後も、きっと平穏に暮らしていると思います。
また、何処かで投稿しますので、その時もまた読んでくだされば嬉しいです。
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