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三神官編
獲物は罠にかかった
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「第一、彼女をこっちに引き渡したのはあなたでしょ!?どうして、今になって彼女を庇うような真似をするのよッ!」
王女が大きな声でブレードを弾劾していくが、彼自身は済ました顔でその弾劾を聞き流している。
「庇っているのではありません。殿下の主観に満ちた主張をこちらで客観的なものへと変えて、聴衆の皆様方にも真意を教えようとしているのです」
「あ、あんたッ!」
馬鹿にされたと判断したのだろう。頬をまだら色に染めた王女が歯を剥き出しにしてブレードへと迫ろうとしたのだが、それを国王自らが制止させた。
「控えておれ、ローブ。今は審理の最中であるぞ」
「で、でも、パパ」
「控えておれ」
威圧するかのような一言で国王は王女を下がらせたのである。国王の持つ威厳と尊厳に彼女はすっかりと怯えてしまったらしい。両肩をすくませたかと思うと、黒装束の男たちの元へと戻った。
ブレードは男たちの元へと帰った事を確認してから、今度は討伐隊の側からの報告書を読み上げていく。
その報告書には確かに私が犯した過ちが記されており、私を弾劾する意図があったが、どこか私を庇うような記述があったのも確かである。
本人は仲間の一部に擁護意見が存在すると弁明していたが、それは仲間たちの中での私の意見だということがわかり、私は心が温かい気持ちになった。
その後で夢の中とはいえ仲間たちを疑ってしまったことを反省したくなった。
謁見の間に控えていると思われる仲間たちに合図を送りたかったが、王女や集まった貴族たちに悟られるのも嫌なのでここは黙っておいた方がいいだろう。
しばらくの間、不毛な査問会が続いたが、やがて一人の貴婦人がいきなり玉座の間中央に現れ、挨拶代わりとばかりに人差し指を突き付けて掌を通した自らの手で念力波を放射して周りにいた人々を殺傷したために謁見の間は混乱に包まれた。
この中で混乱の感情に包まれていないのは事前に計画を知っていたブレードや私。それからこの中に潜入している仲間たちくらいだろう。
我を忘れて逃げ惑う聴取たち。その中には貴族や兵士の姿も見えていたから驚きである。
それでも混雑し狂騒に騒ぐ謁見の間で何人かの貴族や兵士は逃げ出そうとしている人たちは対照的に懸命に国王を守ろうとしていた。
王女も動揺し恐怖に囚われつつも王族としてのプライドが勝ったのか、その場からは逃げ出そうとはせずに人差し指を震わせながら突然、現れた正体不明の婦人を糾弾する。
「ぶ、無礼者……こ、ここをどこだと弁えているの!?恐れ多くもミーティア王国の王宮でーー」
「知っているわよ。それくらいね」
貴婦人は恐怖で涙を流す王女の首を強く締めながら言った。
首の力が強いのか、王女の体がビクビクと痙攣していく。その姿を見て、国王も慌てて婦人を止めに入った。
「何者かは知りませんが……娘をそれ以上傷つけるのはやめていただけないでしょうか?出来の悪い娘ですが、私にとってはただ一人の大事な娘ですので」
国王は素の口調に戻って説得に応じていた。それだけ切羽詰まった事態という事なのだろう。
婦人は国王の口調が変わったことに違和感を感じることなく話を続けた。
「あなたね。この国の国王っていうのは?」
「いかにもローズ・ミーティア一世。この国の正当な国王です」
「ふぅん。あなたがこの国の国王なのね」
婦人は白目を剥くほどに自我を失いかけていた王女を乱暴に地面の上へと放り投げた後に国王の元へと近付いていく。
「失礼ながら王様……あなたに恨みはないけれど、ここで死んでもらおうかしら?」
「いいでしょう。ただし条件があります。私が死ぬ代わりに今回の査問会に訪れた人々は見逃してもらえないでしょうか?それができればあなたは上の上ともいうべき存在です。死んでも私は忘れないでしょう」
「フフッ、立派な王様ね。私、人間だったらあなたに仕えてそうだわ」
「ありがたいな。天使からそんな事を言われるなんて。きっと、私の死後は天国に行けるのでしょう」
婦人が国王に向かって何かをしようとした時だ。ブレードが服の下に隠し持っていたと思われる剣を抜いて背後から婦人に向かって斬りかかっていく。
婦人はどこからか取り出した鉄扇でブレードの剣を防ぐ。
ブレードは相手に斬りかかりながらも苦しい調子ではありながら人の良い笑顔を浮かべて言った。
「言葉を交わすのは初ですね。ぼくの名前はブレード。ブレード・ホルスタインです。父からの指示で討伐隊の隊長をしております」
ブレードが敬語を使っているのは婦人が私の母を自称しているからだろう。
仮にも友人の母親に敬語を使わないというのは彼の倫理に引っ掛かるのだろう。律儀なところがある。
「討伐隊の隊長?」
婦人はブレードの気遣いなど気にすることなくいつもの慇懃な口調で問い掛けた。
「えぇ、王立孤児院の中にて魔法を使える思春期前の子供たちで構成される対エンジェリオン部隊の名称ですよ」
「子供を戦わせてるのね?」
「大人よりも子供の方が魔法が出やすいのでね……大丈夫です。適性のない子は弾かれますからッ!」
ブレードは剣に込める力を更に強めるが婦人はブレードの剣を容赦なく鉄扇で弾き飛ばし、地面の上に倒れさせることに成功したのである。
「なるほど、あなたもその魔法に適性があった一人なのね?」
「えぇ、ぼくがこれまで何体のあなたの同胞を討ち取ったのか……語ってあげましょうか?」
「事細かに覚えてるの?すごいわね」
それを聞いて口元に笑みを浮かべるブレード。そんなブレードの腹を婦人は容赦なく蹴り付ける。
ブレードの口から血が飛ぶ。どうやら内臓を痛めてしまったらしい。それを見た瞬間に私は雄叫びを上げて自らの姿を変えていく。
いつもの武装と人々を勝利へと導く純白の翼が背中から生えた。
そして狭い謁見の間を飛び上がり、短剣を揃えて婦人に向かって斬りかかっていく。
婦人はそれを鉄扇で難なく防ぐのであった。
「久し振りというべきかしら?波瑠」
「そうだね。母親のふりをした卑劣な天使さんッ!」
私は短剣を大きく振り上げて婦人の持っていた鉄扇を地面の上へと落とす。
そのまま婦人の首を落とそうとした時だ。目の前に蟷螂の姿をした怪物が立ち塞がり、私の短剣を持っていた二本の手鎌で受け止めたのである。
蟷螂の姿に腹部に鎧を身に纏った怪物は二本の足に二本の手を生え揃え、その両手には蟷螂の鎌を思わせるような手鎌を持っていた。
恐るべき怪物である。天使たちを見慣れている私ですら恐怖を覚えるような外見であり、思わず腰を抜かしてしまうほどである。
私は自身の運の悪さを呪った。
王女が大きな声でブレードを弾劾していくが、彼自身は済ました顔でその弾劾を聞き流している。
「庇っているのではありません。殿下の主観に満ちた主張をこちらで客観的なものへと変えて、聴衆の皆様方にも真意を教えようとしているのです」
「あ、あんたッ!」
馬鹿にされたと判断したのだろう。頬をまだら色に染めた王女が歯を剥き出しにしてブレードへと迫ろうとしたのだが、それを国王自らが制止させた。
「控えておれ、ローブ。今は審理の最中であるぞ」
「で、でも、パパ」
「控えておれ」
威圧するかのような一言で国王は王女を下がらせたのである。国王の持つ威厳と尊厳に彼女はすっかりと怯えてしまったらしい。両肩をすくませたかと思うと、黒装束の男たちの元へと戻った。
ブレードは男たちの元へと帰った事を確認してから、今度は討伐隊の側からの報告書を読み上げていく。
その報告書には確かに私が犯した過ちが記されており、私を弾劾する意図があったが、どこか私を庇うような記述があったのも確かである。
本人は仲間の一部に擁護意見が存在すると弁明していたが、それは仲間たちの中での私の意見だということがわかり、私は心が温かい気持ちになった。
その後で夢の中とはいえ仲間たちを疑ってしまったことを反省したくなった。
謁見の間に控えていると思われる仲間たちに合図を送りたかったが、王女や集まった貴族たちに悟られるのも嫌なのでここは黙っておいた方がいいだろう。
しばらくの間、不毛な査問会が続いたが、やがて一人の貴婦人がいきなり玉座の間中央に現れ、挨拶代わりとばかりに人差し指を突き付けて掌を通した自らの手で念力波を放射して周りにいた人々を殺傷したために謁見の間は混乱に包まれた。
この中で混乱の感情に包まれていないのは事前に計画を知っていたブレードや私。それからこの中に潜入している仲間たちくらいだろう。
我を忘れて逃げ惑う聴取たち。その中には貴族や兵士の姿も見えていたから驚きである。
それでも混雑し狂騒に騒ぐ謁見の間で何人かの貴族や兵士は逃げ出そうとしている人たちは対照的に懸命に国王を守ろうとしていた。
王女も動揺し恐怖に囚われつつも王族としてのプライドが勝ったのか、その場からは逃げ出そうとはせずに人差し指を震わせながら突然、現れた正体不明の婦人を糾弾する。
「ぶ、無礼者……こ、ここをどこだと弁えているの!?恐れ多くもミーティア王国の王宮でーー」
「知っているわよ。それくらいね」
貴婦人は恐怖で涙を流す王女の首を強く締めながら言った。
首の力が強いのか、王女の体がビクビクと痙攣していく。その姿を見て、国王も慌てて婦人を止めに入った。
「何者かは知りませんが……娘をそれ以上傷つけるのはやめていただけないでしょうか?出来の悪い娘ですが、私にとってはただ一人の大事な娘ですので」
国王は素の口調に戻って説得に応じていた。それだけ切羽詰まった事態という事なのだろう。
婦人は国王の口調が変わったことに違和感を感じることなく話を続けた。
「あなたね。この国の国王っていうのは?」
「いかにもローズ・ミーティア一世。この国の正当な国王です」
「ふぅん。あなたがこの国の国王なのね」
婦人は白目を剥くほどに自我を失いかけていた王女を乱暴に地面の上へと放り投げた後に国王の元へと近付いていく。
「失礼ながら王様……あなたに恨みはないけれど、ここで死んでもらおうかしら?」
「いいでしょう。ただし条件があります。私が死ぬ代わりに今回の査問会に訪れた人々は見逃してもらえないでしょうか?それができればあなたは上の上ともいうべき存在です。死んでも私は忘れないでしょう」
「フフッ、立派な王様ね。私、人間だったらあなたに仕えてそうだわ」
「ありがたいな。天使からそんな事を言われるなんて。きっと、私の死後は天国に行けるのでしょう」
婦人が国王に向かって何かをしようとした時だ。ブレードが服の下に隠し持っていたと思われる剣を抜いて背後から婦人に向かって斬りかかっていく。
婦人はどこからか取り出した鉄扇でブレードの剣を防ぐ。
ブレードは相手に斬りかかりながらも苦しい調子ではありながら人の良い笑顔を浮かべて言った。
「言葉を交わすのは初ですね。ぼくの名前はブレード。ブレード・ホルスタインです。父からの指示で討伐隊の隊長をしております」
ブレードが敬語を使っているのは婦人が私の母を自称しているからだろう。
仮にも友人の母親に敬語を使わないというのは彼の倫理に引っ掛かるのだろう。律儀なところがある。
「討伐隊の隊長?」
婦人はブレードの気遣いなど気にすることなくいつもの慇懃な口調で問い掛けた。
「えぇ、王立孤児院の中にて魔法を使える思春期前の子供たちで構成される対エンジェリオン部隊の名称ですよ」
「子供を戦わせてるのね?」
「大人よりも子供の方が魔法が出やすいのでね……大丈夫です。適性のない子は弾かれますからッ!」
ブレードは剣に込める力を更に強めるが婦人はブレードの剣を容赦なく鉄扇で弾き飛ばし、地面の上に倒れさせることに成功したのである。
「なるほど、あなたもその魔法に適性があった一人なのね?」
「えぇ、ぼくがこれまで何体のあなたの同胞を討ち取ったのか……語ってあげましょうか?」
「事細かに覚えてるの?すごいわね」
それを聞いて口元に笑みを浮かべるブレード。そんなブレードの腹を婦人は容赦なく蹴り付ける。
ブレードの口から血が飛ぶ。どうやら内臓を痛めてしまったらしい。それを見た瞬間に私は雄叫びを上げて自らの姿を変えていく。
いつもの武装と人々を勝利へと導く純白の翼が背中から生えた。
そして狭い謁見の間を飛び上がり、短剣を揃えて婦人に向かって斬りかかっていく。
婦人はそれを鉄扇で難なく防ぐのであった。
「久し振りというべきかしら?波瑠」
「そうだね。母親のふりをした卑劣な天使さんッ!」
私は短剣を大きく振り上げて婦人の持っていた鉄扇を地面の上へと落とす。
そのまま婦人の首を落とそうとした時だ。目の前に蟷螂の姿をした怪物が立ち塞がり、私の短剣を持っていた二本の手鎌で受け止めたのである。
蟷螂の姿に腹部に鎧を身に纏った怪物は二本の足に二本の手を生え揃え、その両手には蟷螂の鎌を思わせるような手鎌を持っていた。
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