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第二十六話 魔女の襲撃ーその③
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メアリーは今度こそ本当に勝利を確信した。目の前のヴィトは何もできないはずだ。
渾身の不意打ちを防がれ、今見抜かれたということは、今後もあの魔法を使えないということを指しているのだ。
「あなたも終わりね、カヴァリエーレ・ファミリーは終わりよ、今後この街はミラノリアの縄張りになる筈よ」
ヴィトは剣を手から離し、メアリーを憎らしげな目で睨みつける。
(くっ、不意打ちも避けられた……どうすればいい……考えろッ!考えろッ!)
ヴィトはそんな中で『三国志』の諸葛亮孔明と孟獲の中の一エピソードを思い出す。
(確か、孟獲は孔明を倒すために何処かの国の王様をけしかけ、孔明の元へと攻め込んだはずだ……その時に孔明はどうやって敵を倒した……)
ヴィトは話の続きを必死に思い出す。それさえ思い出せば、必ずや目の前の敵を倒せると確信したためだ。
「うふふ、どうかしたのかしら、わたしに勝てないからって何か面白い話でも考えてわたしの気を逸らせようと言うの?」
メアリーの答えは半分正解、半分外れだろうとヴィトは思った。
話を考えているのは本当だが、気を逸らせようとは思っていない。せいぜい、今のうちに的外れな考察でもしていろとヴィトは心の中で悪態を吐く。
そしてようやく話を思い出す。
(そうだッ!孔明は敵がその土地に不慣れだという事を知り、罠を仕掛けたんだ……なら、おれもそれを利用させてもらおう)
ヴィトは長い間住んでいる屋敷の庭を見渡す。そしてある物に目をつける。
(アレだ……アレを使えば……)
ヴィトは意を決してメアリーに特攻を仕掛ける。
「ウォォォォォォ~!」
ヴィトは全力の力を使い、メアリーへとぶつかる。何度も何度も剣を上に振り上げ、メアリーを後ろに追い込んでいく。
「やけになったのかしら?あなた随分と焦っているようだけど」
「……黙りな」
ヴィトは黙々とメアリーを追い込んでいき、そしてメアリーの背中にある物が引っ付くのを確認した。
(よしッ!後一押しだッ!)
ヴィトは渾身の一撃をメアリーに振るう。メアリーはそれを石槍の先端で防いだが、後ろの異変には気づかなかった。
(今だッ!それでも喰らいやがれッ!)
ヴィトはそれがメアリーの頭上に落ちようとするのを見計らい、その場を勢いよく離れる。
ヴィトはメアリーがキチンとそれに押しつぶされたのを確認した。
ヴィトは落ちた岩を確認し、冥土の土産代わりにメアリーに何故そうなったのかを教えてやる事にした。
「お前は何故そうなったのかを知りたいだろう?簡単な話だ……ファミリーの屋敷にはな、先代が色々とオブジェが置いているんだ……お前が押しつぶされた首一枚で繋がれた岩と岩もその一つさ……」
ヴィトは懐から45口径のオート拳銃を用心のために手入れしながら答える。
「おれはお前を追い込んでいき、庭の端にあるオブジェにまで誘導したんだ……そして最後にお前に攻撃を放つと見せかけてあの一撃を放ったんだ……お前の敗因は背後をキッチリと確認しなかったって事だな」
ヴィトがその落ちた岩を跡に屋敷に戻ろうとした時だった。突然目の前の地面が割れ、そこから先ほど潰れたはずのメアリーが現れたのだ。
「なっ、どうなっているッ!」
動揺するヴィトにメアリーは無言で槍を突き刺そうとする。
ヴィトは背中を逸らし、避けるが、勢いよく槍が空中を裂く音がヴィトの耳にも聞こえるほど聞こえた。
「ったく……随分とひどいことするわね、女を石で押し潰そうとするなんて」
メアリーは全身こそ屋敷の土で覆われているものの、体は完全に無傷と言っても過言ではない。
「……質問に答えな、どうしてお前はあの石を避けられたッ!」
「ブードゥの呪術を知っているかしら?」
メアリーはブードゥの呪術や精霊の事を語り出した。そして精霊が自分に力を貸して魔法を使わせている事を。
「わたしはね……石がわたしの頭上に落ちる寸前に大地の精霊に頼んだのよ、そうしたらね、わたしを地面の中に引きずり込んだの……何と潜っている間はまるで地上にいる時と同じように呼吸ができたのよ」
メアリーは再び槍を得意げに回し、最後にヴィトに槍の先端を向ける。
「おっと動くなよ、おれの銃の方が速いと思うぜ」
ヴィトは剣ではなく、自慢の45口径のオート拳銃の銃口をメアリーに向けていた。
「あら、人間が精霊に勝てるのかしら、言っておくけど、わたしの呪術はそんなチャチなもので倒せやしないわ」
「なら、試してみろよ」
銃と槍の勝負では、銃の方が勝つだろう。これは万人が答える答えだ。間違いない。だが、ブードゥの石槍だけは例外だろう。少なくともメアリーはそう思っていた。
長い緊張の間に沈黙を奪ったのは、メアリーだった。ヴィトはメアリーが動いたのを見計らい、拳銃を撃とうとしたが、メアリーがヴィトの手を傷つける方が早かった。
ヴィトは右手から短い血を流す。
「分かったでしょう?わたしはブードゥの呪術がかかった石槍だけは例外と……」
「このクソッタレが……」
ヴィトは歯をギリギリと鳴らしながら、メアリーを睨みつける。
「終わりね、あなたも利き腕が使えないんじゃあ、お終いだわ」
「どうかな、おれ達ギャングの世界では、『やるか、やらないか』だ……勝ち負けをお前が決める事じゃあない」
ヴィトは慣れない左手で剣を持ち、それを負傷した右手に持ち替え、何とか矛先をメアリーに向ける。
「いいわよッ!いいわよッ!わたしはねぇ !そういう根性を持った人にグッとくるのよッ!敵味方問わずにねッ!」
メアリーは再び石槍を持ち、特攻する。
メアリーは今度はいつもの突き刺す攻撃では、槍を横にし薙ぎ払う形でヴィトを攻撃する。ヴィトは下唇を噛み締め、自分の9時方向から迫る槍を剣を盾にし防ぐ。
「危なかったぜ……だが、あまり持ちそうにないがなッ!」
ヴィトは自分が落としたオート拳銃こそが、勝敗を決するのだろうと急いで手を伸ばす。
それをメアリーは見逃さなかった。メアリーは槍を再び構え直し、何やらブツブツと呟き始める。と、今度は石槍がまるでゴムのように伸縮し始めたのだ。
「攻撃範囲は広がったわ……今度こそあなたを逃さないから」
ヴィトは何とか絶望した事だけは悟られまいとひたすらメアリーを睨みつけた。
渾身の不意打ちを防がれ、今見抜かれたということは、今後もあの魔法を使えないということを指しているのだ。
「あなたも終わりね、カヴァリエーレ・ファミリーは終わりよ、今後この街はミラノリアの縄張りになる筈よ」
ヴィトは剣を手から離し、メアリーを憎らしげな目で睨みつける。
(くっ、不意打ちも避けられた……どうすればいい……考えろッ!考えろッ!)
ヴィトはそんな中で『三国志』の諸葛亮孔明と孟獲の中の一エピソードを思い出す。
(確か、孟獲は孔明を倒すために何処かの国の王様をけしかけ、孔明の元へと攻め込んだはずだ……その時に孔明はどうやって敵を倒した……)
ヴィトは話の続きを必死に思い出す。それさえ思い出せば、必ずや目の前の敵を倒せると確信したためだ。
「うふふ、どうかしたのかしら、わたしに勝てないからって何か面白い話でも考えてわたしの気を逸らせようと言うの?」
メアリーの答えは半分正解、半分外れだろうとヴィトは思った。
話を考えているのは本当だが、気を逸らせようとは思っていない。せいぜい、今のうちに的外れな考察でもしていろとヴィトは心の中で悪態を吐く。
そしてようやく話を思い出す。
(そうだッ!孔明は敵がその土地に不慣れだという事を知り、罠を仕掛けたんだ……なら、おれもそれを利用させてもらおう)
ヴィトは長い間住んでいる屋敷の庭を見渡す。そしてある物に目をつける。
(アレだ……アレを使えば……)
ヴィトは意を決してメアリーに特攻を仕掛ける。
「ウォォォォォォ~!」
ヴィトは全力の力を使い、メアリーへとぶつかる。何度も何度も剣を上に振り上げ、メアリーを後ろに追い込んでいく。
「やけになったのかしら?あなた随分と焦っているようだけど」
「……黙りな」
ヴィトは黙々とメアリーを追い込んでいき、そしてメアリーの背中にある物が引っ付くのを確認した。
(よしッ!後一押しだッ!)
ヴィトは渾身の一撃をメアリーに振るう。メアリーはそれを石槍の先端で防いだが、後ろの異変には気づかなかった。
(今だッ!それでも喰らいやがれッ!)
ヴィトはそれがメアリーの頭上に落ちようとするのを見計らい、その場を勢いよく離れる。
ヴィトはメアリーがキチンとそれに押しつぶされたのを確認した。
ヴィトは落ちた岩を確認し、冥土の土産代わりにメアリーに何故そうなったのかを教えてやる事にした。
「お前は何故そうなったのかを知りたいだろう?簡単な話だ……ファミリーの屋敷にはな、先代が色々とオブジェが置いているんだ……お前が押しつぶされた首一枚で繋がれた岩と岩もその一つさ……」
ヴィトは懐から45口径のオート拳銃を用心のために手入れしながら答える。
「おれはお前を追い込んでいき、庭の端にあるオブジェにまで誘導したんだ……そして最後にお前に攻撃を放つと見せかけてあの一撃を放ったんだ……お前の敗因は背後をキッチリと確認しなかったって事だな」
ヴィトがその落ちた岩を跡に屋敷に戻ろうとした時だった。突然目の前の地面が割れ、そこから先ほど潰れたはずのメアリーが現れたのだ。
「なっ、どうなっているッ!」
動揺するヴィトにメアリーは無言で槍を突き刺そうとする。
ヴィトは背中を逸らし、避けるが、勢いよく槍が空中を裂く音がヴィトの耳にも聞こえるほど聞こえた。
「ったく……随分とひどいことするわね、女を石で押し潰そうとするなんて」
メアリーは全身こそ屋敷の土で覆われているものの、体は完全に無傷と言っても過言ではない。
「……質問に答えな、どうしてお前はあの石を避けられたッ!」
「ブードゥの呪術を知っているかしら?」
メアリーはブードゥの呪術や精霊の事を語り出した。そして精霊が自分に力を貸して魔法を使わせている事を。
「わたしはね……石がわたしの頭上に落ちる寸前に大地の精霊に頼んだのよ、そうしたらね、わたしを地面の中に引きずり込んだの……何と潜っている間はまるで地上にいる時と同じように呼吸ができたのよ」
メアリーは再び槍を得意げに回し、最後にヴィトに槍の先端を向ける。
「おっと動くなよ、おれの銃の方が速いと思うぜ」
ヴィトは剣ではなく、自慢の45口径のオート拳銃の銃口をメアリーに向けていた。
「あら、人間が精霊に勝てるのかしら、言っておくけど、わたしの呪術はそんなチャチなもので倒せやしないわ」
「なら、試してみろよ」
銃と槍の勝負では、銃の方が勝つだろう。これは万人が答える答えだ。間違いない。だが、ブードゥの石槍だけは例外だろう。少なくともメアリーはそう思っていた。
長い緊張の間に沈黙を奪ったのは、メアリーだった。ヴィトはメアリーが動いたのを見計らい、拳銃を撃とうとしたが、メアリーがヴィトの手を傷つける方が早かった。
ヴィトは右手から短い血を流す。
「分かったでしょう?わたしはブードゥの呪術がかかった石槍だけは例外と……」
「このクソッタレが……」
ヴィトは歯をギリギリと鳴らしながら、メアリーを睨みつける。
「終わりね、あなたも利き腕が使えないんじゃあ、お終いだわ」
「どうかな、おれ達ギャングの世界では、『やるか、やらないか』だ……勝ち負けをお前が決める事じゃあない」
ヴィトは慣れない左手で剣を持ち、それを負傷した右手に持ち替え、何とか矛先をメアリーに向ける。
「いいわよッ!いいわよッ!わたしはねぇ !そういう根性を持った人にグッとくるのよッ!敵味方問わずにねッ!」
メアリーは再び石槍を持ち、特攻する。
メアリーは今度はいつもの突き刺す攻撃では、槍を横にし薙ぎ払う形でヴィトを攻撃する。ヴィトは下唇を噛み締め、自分の9時方向から迫る槍を剣を盾にし防ぐ。
「危なかったぜ……だが、あまり持ちそうにないがなッ!」
ヴィトは自分が落としたオート拳銃こそが、勝敗を決するのだろうと急いで手を伸ばす。
それをメアリーは見逃さなかった。メアリーは槍を再び構え直し、何やらブツブツと呟き始める。と、今度は石槍がまるでゴムのように伸縮し始めたのだ。
「攻撃範囲は広がったわ……今度こそあなたを逃さないから」
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