女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

ドン・マルゲリータからの招待状

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ヴィトはゆっくりと建物から降り、部下たちに礼を言った。
「ありがとよ、お前らのおかげで助かったよ」
「いいや、すごいのはお前の判断だよ、三龍会との奴らとの交渉に失敗することを見越して、おれらを中華街に待機するように言っておくなんてよぉ~普通なら、考え付かんぜ」
マイケルの言葉にヴィトは照れるように頭をかきながらも、反論をしてみせた。
「いやいや、アイツらのこれまでの行動パターンを分析すれば……周りに兵隊を待機させとくなんて誰でも思いつくぜ」
ヴィトの言葉にマイケルは怪訝そうな顔を浮かべていた。
「何だよ、お前も折角褒められたのに……素直に受け取ればいいじゃあないか」
「いいや、そんな事を毎回言われると、そんなにオレは偉いのかとなってしまうからな、いざって時に油断しちまうよ」
ヴィトはマイケルに真剣な表情で言ってみせる。
「まぁ、どうでもいいじゃあないか !みんな助かったんだろ?」
マルロの言葉に全員が表情を和ませる。
「そうだな、今は勝利だけを喜ぶか……」
と、マイケルが何気なく周りを見渡すと、ある事に気がつく。
「そうだッ!ドン・カヴァリエーレが居ないぞッ!」
「おっと、レストランで三龍会のボスの一人を捕らえているんだ。お前ら銃を持っていきな」
ヴィトは剣を鞘にしまい、腰に付けると、それから、マルロにオート拳銃をもらいレストランへと戻る。

「遅いわよ、オウも退屈していたみたいだし」
ルーシーは光り輝くような目を全員に向ける。
「すまんな、リューのやつの魔法が思ったよりも強くてな、倒すのに少し時間がかかっちまったよ」
ルーシーはヴィトのボロボロのコートと真ん中に穴が空いた中折れ帽子を見て、ヴィトの言葉が嘘ではない事を確認した。
「ご苦労様ね、それよりも三龍会は彼女だけになってしまったようね」
ヴィトはルーシーの「彼女」という言葉が引っかかった。確かに彼女は美しいし、何より女っぽいとも思ってはいたのだが、本当に女性だろうと認識してはいなかった。
「まさか、オウは……」
「そうよ、女性なの、だから尋問するのはわたしだけになるわ」
ルーシーは満面の笑みで言っていたが、オウはそれとは対照的に青ざめた表情であった。
「さてと、あなたには色々と聞かなければいけない事があるわね」
オウは黙って首を背ける。
「よし、そろそろ戻ろうぜ、三龍会との交渉は失敗に終わったんだ。この街のファミリーの連中が現れたら、厄介な事に……」
マイケルがそう言いかけた時だ。表のドアに数台の車が停まる。
「おい、テメェら何の用だッ!街に戻りやがれッ!」
「うるせぇ!お前らは黙っていやがれッ!オレはドン・マルゲリータに命じられてここにやってきたんだよ !お前らこそなんですここにいんだッ!ゴルァ!」
ジョルジ・マルゲリータの手下はパットに負けず劣らずの剣幕で怒鳴っている。
「うるせぇ!オレらはゴッドマーザーの護衛で来てんだよ、文句でもあんのかッ!」
パットは自分の緑色のコートに手を突っ込みながら鋭い顔で言い返す。
「んだとッ!お前ら、マルゲリータ・ファミリーを舐めていたら、怪我をするぜッ!」
男は自分の懐に手を入れる。
「やる気かゴルァ!」
パットは自分の懐に手を入れようとした……。その時だった。
「すまんね、オレ達は三龍会との奴らとの交渉でここに来たんだ。あんたらの迷惑になったのなら、謝る。申し訳ない……」
ヴィトは軽く頭を下げる。
「よぉ~し、お前らのせいでオレらはドン・マルゲリータから大目玉だぜ、お前らが三龍会と接近しようとしているからなッ!」
男の剣幕は一般の人間ならば、怖気付いで土下座でもしようという剣幕であったが、ヴィトは動じる事なく頭を下げたまま、男を軽く睨みつけている。
「謝るのは謝るが……もし、これ以上オレに正当な理由もなく頭を下げさせるのならば、カヴァリエーレ・ファミリーとしては、マルゲリータ・ファミリーに大きな処置を施す事を覚悟しておくんだな」
ヴィトの頭を下げながらの脅迫は効果てきめんであった。
「わっ、分かったよ、ドン・マルゲリータに会わせてやるよ、その後にオレ達が抗議した理由を教えてやるよ」
男はたじろぎ、車に乗り込むと、ヴィトたちに付いてくるように手招きをする。
「行くとするか……」
ヴィトの言葉にルーシーは片眉を上げている。
「あなた正気なの?三龍会との戦いが終わった直後にもう別のファミリーとの交渉なの?戦いの傷も癒えていなのに……」
ルーシーの言葉に対し、ヴィトは人差し指を左右に動かす。
「いいや、オレはここで行くべきだと思うぜ、三龍会の支配が解かれた後はカヴァリエーレ・ファミリーが、この街の支配者だという事を奴らに教えてやるんだ」
ヴィトの言葉にルーシーはようやく安堵の顔を見せた。
「分かったわ、行きましょう」
ルーシーは自分たちの黒のリムジンの乗り込む。

男が連れてきた場所はマルゲリータ・ファミリーの本拠地であり、ドン・ジョルジ・マルゲリータの屋敷であった。
「着いたみたいだな」
ヴィトは車の窓から見える中央にそびえる大きな時計が付いた塔を眺める 。屋敷のシンボルマークなのだろう。その下に建物が続いている。
「まぁ、この街のファミリーのボスというだけあって豪華ね」
ルーシーは屋敷の庭にあった人魚の付いた大きな噴水を見つめる。
(こんなヨーロッパの王族が使うような、噴水を買えるなんて、よっぽど儲かっているらしいわね)
ルーシーが他の庭にあるオブジェを見つめていると、マルゲリータの構成員が時計の付いた塔の下にある建物に二人を案内する。
二人は構成員に正面の茶色の大きな扉を開けられ、ドン・マルゲリータと面会する。
「ふふふ、キミらがカヴァリエーレ・ファミリーのドンなのかい?随分と若そうだね」
ジョルジ・マルゲリータは太った中年の男であった。顔はお世辞にもハンサムとは言えない顔であったが、別に不快なるようなブサイクという顔でもない。
(言うのならば、至ってシンプルな顔か……)
ヴィトは顔の次に三段に分かれている腹を眺める。
(なるほど、あれはこれだけ、そいつが儲かっているという証拠だろうな)
ヴィトは苦笑した。
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