女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

二大国大戦ーその①

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ヴィトは屋敷に戻るないなや、異世界に行くための機械を操り、異世界へと行く準備をする。
「急だね、キミも大変そうだ」
オウは壁に掛けてあるライフル銃や散弾銃を壁掛けから外しながら他人事のように呟く。
「恐らくエドワードはフランソワ王国を潰すために総力を挙げるつもりだ。オレたちの世界に総攻撃を仕掛けるにはフランソワ王国がその障害になるに違いないからな」
ヴィトは小型の映写機を懸命に動かしながら答えた。
「あんたさぁ~これからどうすんの?」
ヴィトはオウの言葉の意味が分からないという風に振り向く。
「本当に朴念仁だよね、あんたはルーシーの気持ちに気づかないの?」
オウは腕を組みながら冷静な視線でヴィトを見つめる。
「……」
ヴィトは知ってか知らずか黙っている。
「その様子だと知ってるんだよね?私と戦っている時にルーシーはあんたを深く信頼しているのに、いやそれ以上の思いを私は感じたよ」
「何故お前にそんな事が分かる?」
オウは口元を緩めながら答える。
「さあね~でも何かルーシーから感じるものがあったんだよ、あいつはあんたが好きだって……」
ヴィトはその質問に答える事はなく代わりに自分の過去を語りだす。
「アイツとオレが再会したのは、高校を出てからだ。オレは高校を卒業しからは、造船所でお袋を養うために必死に働いていたんだ。それから、熱心に働くうちに造船所の組合幹部に『お前さえよければ、カヴァリエーレ・ファミリーの仕事を紹介しよう』と言われたんだ。そして彼の案内のままにこの屋敷に案内された」
ヴィトは当時の事を思い返していたのか、ボンヤリとしていた。
「手が止まってるよ」
オウの指摘にヴィトは我に返って異世界へ行くための機械に手をつける。
「その時にオレを出迎えてくれたのが、ルーシーだよ、久しぶりに会った時は華麗な赤いワンピースを着ててな、本当に女神のようだった。それから、オレの顔を見るなり、ハッと息を呑むかのように自分の手元を口で覆ったんだ。何て言ったと思う?」
オウはそんな事は知らないとばかりに両手を宙に上げる。
「だろうな」
ヴィトは口元を緩めて笑う。
「いいから、次に何て言ったのか教えてってば」
「焦るな、次に彼女は『あなた……ヴィト・プロテッツオーネでしょ?』って言ったんだ。オレはあまりの変貌ぶりに苦笑してしまってな『キミはルーシーなのかい?』って尋ねてしまったんだ。中学校の頃に大人の教師や街一番の悪ガキも恐れる女リーダーとしての彼女の面影はどこにもなかったからね」
オウは思い当たらない事がないとばかりに苦笑した。
確かに彼女のパンチは強力だった。本当に喧嘩慣れてしていると感じてしまう。
それには、そんな彼女の過去があったなんて。
「ちっとも知らなかったよ、見るからに優等生って雰囲気だったもの」
「だろな、オレは彼女にお茶に勧められた後にどうして、どうして彼女にそんなにお淑やかになったのかを尋ねたんだよ」
ルーシーはヴィトにこう答えた。自分の短気が原因で、自分の父親がナポリ人のヤクの売人に襲われてしまったと。
「つまり、ルーシーはドメニコとそのヤクの売人との話し合いの最中に自分がヤクをいらない事を話し合いの場で公然と述べられて、侮辱されたから頭にきたってこと?だから報復に及んだと」
「百点満点の回答だぜ、そうさ、アイツらは公然の話し合いの場でルーシーに自分たちのヤクをボロクソに言われたらしい、その後に報復としてゴッドファーザーを襲ったんだ。幸いにもそれは未遂に終わったがな」
ヴィトは大きく口を開けながら言った。
「その後にそのヤクの売人はどうなったの?」
ヴィトは一旦映写機の動きを止め、沢山の銃が掛かってある下に置いてあるタンスの一つから、一つの中世の模様を象った原始的な拳銃をオウに見せる。
「これは?」
「ゴッドファーザー愛用の魔法銃さ、ここにかつての相談役コンシリエーレであるエマ・ロマゾワーノが込めた魔法の銃弾があれば、どんな奴でも一瞬のうちに焼け死んでしまうわけさ」
ヴィトの解説にオウは思わず身震いする。
「もしかして、それを使って……」
「その通りさ、ファミリーの報復により、ナポリ人の売人たちはあの世に送られちまったよ」
ヴィトはその時の当事者ではないためか、他人事のような笑いを浮かべている。
「話はその後だ……」
ヴィトはタンスの上に置いてあったタバコに火をつけながら言った。恐らく誰かの忘れ物であろうタバコは今ここにヴィト・プロテッツオーネの所有物となったのであろう。
「ゴッドファーザーは病床のベッドから起き上がると同時にルーシーをものすごい勢いで殴りつけたらしい、それから、『お前のその短気はやがてお前の大事な人を失うぞ !』と怒鳴ったらしい、周りの大人は大慌てだったらしく、その日一日はただ、ルーシーを慰めるだけの日になったらしいな、それがオレがルーシーから聞いた原因だぜ」
ヴィトは誰かの忘れ物であるタバコを吸いながら言った。
「さてと……話が終わったのなら、異世界へと行く準備を続けるか」
ヴィトはタバコを口に咥えながらも異世界へと行く準備は着実に進めていた。

ルーシーは屋敷に戻ると同時に武器庫へと足を運ぶ。
「ふう、どうやら間に合ったみたいね」
ルーシーは今から、異世界へと行く予定であろう二人を見つけて安堵の表情を浮かべた。
「間に合ったみたいだな、良かった。悪いがこのまま出発だ。エドワードの奴が王国に総攻撃を仕掛けているみたいなんでな、オレらが行かなければ、誰が向こうにいるファミリーの連中やトンプソンすら触ったことのない中世の兵士たちを元気付けるんだ?」
ヴィトは屈託のない笑顔で問いかける。
「そうね、でも少しだけ待ってほしいわ、わたしのベレッタに弾を込めていく時間がほしいの……」
「いいさ、オレ達は待ってるよ」
その言葉を聞くと、ルーシーは冷静にベレッタに弾を込め、懐にベレッタを入れた後にヴィトとオウの間に割って入る。
「さてと、行こうか?」
「最後の決戦でしょ?分かるわ」
三人はアメリカから異世界に足を踏み入れた。
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