女王陛下と護衛兵たちの日々〜ワガママ女王陛下の騎士たちは王国の独立を夢見る

アンジェロ岩井

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第三部 トゥー・ワールド・ウォーズ

二大国大戦ーその⑧

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ギシュタルリア帝国のエドワード・デューダレア三世はかつての部下であるルカ・ミラノリアから送られたゼニアの背広にその下に茶色のベスト、黄色のネクタイ、それからスーツの胸ポケットに入っていると思われる高価な金製の懐中時計を身につけ、フランソワとの決戦のために備えられたクジラのように巨大な飛行艇に兵士を集め、演説する。
「ギシュタルリア帝国の諸君 !!我々は今よりフランソワ王国軍に我々は総攻撃を仕掛けるッ!諸君らはこの攻撃を無謀な攻撃だと考えるかもしれんが、その心配は無用だッ!」
エドワードはその証拠と言わんばかりに腰につけていた皇帝家に代々伝わる伝説のサーベルを見せる。
「これが、我々の勝利の証明となるだろうッ!無謀にも我らが帝国の要求を拒み、余の温情に再三背いた王国の逆賊どもは必ず裁かれるであろうッ!立てッ!ギシュタルリア帝国の兵士たちよ !我らに勝利の女神は微笑んでいるぞッ!」
エドワードが宙に振り上げたサーベルに応用するかのように兵士たちも自分たちの剣を宙に上げる。
「ギシュタルリア帝国万歳ッ!皇帝陛下万歳ッ!フランソワ王国を倒せッ!」
エドワードが扇動する前に帝国の兵士たちは彼の望む言葉を叫んでいた。
エドワードはそれを満足そうな顔で聞き、それから兵士たちが落ち着くのを待って演説を再開した。
「そして……我々はフランス王国を倒した後には、我々の新たなる土地が待っている !我々の世界はエルフや怪物どもに大陸の大部分を支配されているが、その世界にはのだッ!」
兵士たちはというエドワードの言葉を信じられずにお互いに顔を見せ合っていたが、次第に疑惑の目は希望の目に変わり、その瞳はその言葉の発言者たるエドワードに向けられていた。
「ふふふ、私も最初は驚いたよ、だかね、これは事実なのだよ、この世界を乗っ取れば、我々の帝国は更に勢いを増し、我々はの中で、一番強力な勢力となるのだッ!」
エドワードの演説は更に続く。
「我々の帝国はやがて世界を統べ、いずれはこの世界の全てを掌握できるだろうッ!さぁ……」
エドワードはここで言葉を切ると、船の上から見えるフランソワ王国の城に自身のサーベルの先端を突きつけながら叫ぶ。
「いざ、進めッ!我々に恐るべきものは何もないのだッ!」
エドワードの言葉にギシュタルリア帝国の三台の飛行艇と周りに大量のガーゴイルを従えた空軍はフランソワ王国の城へと向かって行く。

ヴィトはその日の戦闘を終え、焚き火に当たりながら本でも読もうとしていた所だった。
何か第六感のようなものが、ヴィトに働きかける。
「よし、全員戦闘態勢に入れッ!」
ヴィトは天幕に籠っている兵士たちに命令を出す。
「えっ、まさか夜襲が?」
兵士の一人がシャツとズボンという鎧を外した楽な姿でポリポリと頭をかきながら、天幕から姿を現わす。
「いいや、夜襲が来るという可能性だけさ、強いて言うのなら、オレの第六感って奴かな……」
ヴィトは懐から差し出したタバコを兵士に差し出しながら言った。
「そんな理由で、オレ達を!?」
男は信じられないというような目で、ヴィトを見つめたが、ヴィトはタバコを加えると、空中を見上げる。
「今までの戦いで空中から敵が来たという事があまりなかったんでな、もしや何らかの大掛かりな作戦のために空中の戦力を保持しているままなのかなと思ってな」
ヴィトの言葉に兵士は意表を喰らったような顔をしていた。
「確かに空中の戦力が全く来なかったな、ガーゴイルすら来なかったし……」
兵士は何かに気がつくと同時にタバコをポトリと口から落とす。
「まさか本当に夜襲が……」
「察しがいいな、キミも……分かってくれたのなら、早く他の仲間に武装するように伝えてくれよ、アイツらに襲撃されてはたまらんからな……」
ヴィトはタバコを落とし、それを足で踏み潰す。

兵士たちは緊急装備に身を固め、ヴィトの周りに集合する。
「いいな、我々の使命はギシュタルリア帝国との戦争に勝利し、フランソワ王国を勝利に導く事だッ!そのためには、今後の帝国に動きに用心しなければならんッ!」
ヴィトの言葉に剣やトンプソン機関銃や散弾銃を携えた兵士たちはその言葉に鼓舞されていた。
「よし、我々はこれよりギシュタルリア帝国軍の夜襲に備えるッ!帝国の奴らはこの闇夜に紛れて、我々に夜襲を仕掛けつもりに違いないッ!そのためには諸君らには浮遊魔法スカイアップ・マジックを使って、空から来るであろう帝国に備えなければならんッ!」
その言葉に疑問を抱いたのか、目を細めながら尋ねる。
「なあ、騎士さんよぉ~あんたは帝国の奴らが空から奇襲してくると言っていただろ?そんな可能性は……」
その言葉にヴィトの代わりに先ほど説明を聞いた兵士が代わりに答える。
「でもよぉ~所詮はあんたの勘に過ぎないわけだろ?もし外れたりしたら……」
「いいえ、彼の勘はかなり当たるわよ」
兵士の前に現れたのは帝国の騎士団の現団長たるカリーナ・ルーシー・カヴァリエーレであった。
「ヴィトは前も屋敷に侵入しようとした敵に気づいて、わたし達の危機を救ってくれたのよ、彼の言うことは信頼できるわ、これは確実なのよ」
ルーシーの言葉に兵士たちが顔を見合わせて、ヒソヒソと相談をしようとしていたところだった。
「大変だッ!ギシュタルリアの飛行艇が見えるッ!」
近くの物見櫓で見張りを務めていた兵士が、こちらに慌てて駆け寄ってくる。
「どうした!?」
ヴィトの言葉に男は息を整えながら答える。
「大変ですッ!我々の元に大量の空軍が迫ってきて……」
「大丈夫さ、今、その話を……」
ヴィトが喋ろうとした瞬間に飛行艇から樽が次々と落とされていく。
「こっ、これは……」
ヴィトが何だろうと考えていると、その樽が地面のフランソワ王国国王のマリア・ド・フランソワの近くのテントの近くに触れるなり凄まじい爆発を引き起こす。まるで爆弾のようだ。
「ぐっ……生存者は!?」
「わっ、わたしは無事よ……」
ルーシーは周りの煙に咳き込みながら答えた。
「酷いな、周りが完全にやられている……」
ヴィトは悲惨な状況を見渡す。
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