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1章後半 デビルサイド編
37.マーコ。マーコちゃんでも可。
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町娘と話をすること数十分。嬉しい誤算が一つ生まれていた。
彼女が思いのほか聡い人だったのだ。話した内容はすぐに理解するし、質問には深さがある。
ただ少し問題があるとすれば―――
「ねえねえ! この町にいるのはおにぎり小僧だけなの! 」
朝食である麦粥を胃袋に流し込みながら彼女は質問を投げかけてくる。
ようは、見ての通り少し好奇心が旺盛すぎるところだ。
「あー! なんだか失礼なことを考えているなぁ! おにぎり頭の癖に! 」
恐怖心を消してからというもの、彼女の発言はなんというか不遜だ。無礼とまでは言わないがやや鼻につく。
それに妙に勘が鋭い。他の人間には見られない傾向だが、彼女にのみ備わる能力か?
道具としてのポテンシャルは十分にあるみたいだが…。
「あなたは一体何歳ですか…まったく」
「へ? いきなりなに? アタシは確か……何歳だっけ。二十……二か三だったような」
これで年上だというのだから、頭痛がしてくる。魔族は人間の年齢にプラス五歳くらいなのだろうか。いや、成長レベルにそれほど差異は見られないし、この振る舞いも生来のものだろう。
「僕より六つも年上なら、もう少し理知的に振る舞えませんか? 」
「あはっ。おにぎり君マジ面倒くさーい」
傷ついたァ…今の言葉は僕を傷つけるのに十分な言葉だ、許せない。
この道化に構うだけ無駄ということが分かった所で、一階から何者かがコチラに向かって歩いてくる音が聞こえてきた。
「……宿屋の店主でしょう。君、対応をお願いできますか? 」
「君ってアタシのこと? 」
「この部屋にいるのは僕とあなただけです」
「だからって君って言われるのはちょっとなぁ~」
「では親しみを込めてゲロ子にしましょうか」
そう言うと彼女は項垂れた。やっぱり気に入りはしないか。
「…マーコって呼んで。マーコちゃんでも可。皆からはそう呼ばれてるんだ」
部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。
「それではマーコ、対応を」
「あーはいはい。はー面倒くさいなぁ~。はーい今出ます」
「このお部屋はイソマルト様がお泊りになっていたはずです。イソマルト様はどうされましたか? 」
「彼ならまだ寝てます」
「あなたは? 」
「見て分かるでしょ」
「貴女様ほどの美人であれば、忘れることはないと思うのですが…」
「アハハッ。冗談。回れ右して元の場所に戻りなー」
店主との扉越しの対応が終わると、マーコは不思議そうな顔をして戻ってきた。
「どうかしましたか」
「いやぁ、宿屋の店主が妙な色目使ってきてさ。怖いなぁって。今までそんなことなかったからビックリしちゃった」
そう言ってマーコが部屋のベッドに腰を掛けたからコチラもビックリしてしまった。まさか自分の姿を確認していないのかこの女。だとしたら少し不味い。丁度鏡のある高い部屋に移ったことだし、鏡の前に立たせてみるか。
「うわっ……これどうしちゃったの? 」
交渉事が上手くいくように、顔面のパーツを少し変え、貧相な体にはいくらかの脂肪を注入済みだ。
「悪いとは思いましたが、このままでは人間の交渉に不向きと思い改造しました。不満でしょうが、それで頑張ってください 」
そう言うと、彼女は興奮したようにクルクルと鏡の前で動きながら、自分の体に起きている異変を確認しているみたいだった。
「まず髪!この髪! 」
彼女は自分の髪を見上げ、驚愕の表情を浮かべた。
サイドに柔らかく流れるふわふわとしたブロンドの髪は、まるで手をかざすように持ち上げられ、彼女の思いもよらぬ変化を物語っていた。彼女の髪型は、スタイリッシュなアップスタイルであり、これは皮娘の趣味によるものだ。
次に彼女の目が肌に移ると、さらに驚きが広がったようだった。
荒れた肌に激怒した皮娘が、すべてを一度溶かして新しいものに入れ替えたのが、とても彼女にとっては高評価だったようだ。
顔をペタペタと触りながら「じゃ、じゃあ、この顔は?」と、鏡の前で信じられないモノを見るような目で触っている。
「顔はそんなに触っていません。しいて言うなら、少しバランスの調整をした程度です」
本当ならば美人顔にしたかったが、それは無理だったので、今ある素材を最大限生かした結果、遠目に見るとリスのような印象を与える顔になった。
元々ヤブイヌのような顔だったので、少しだけ可愛くしただけなのだが、そんな顔を見て彼女は一番喜んでいるように見える。
「へ~…すっごい分かりやすい美人さん」
喜んでいる割には、若干トゲのある言い方だが…まあいい。嬉しいなら素直に嬉しいと口にすればいいのに。面倒なヤツだ。
「仕事道具ですから。早いところその顔になれて下さい」
「え~…これ元には戻らない感じ? 」
彼女は前のヤブイヌフェイスをお気に入りだったようだが、万人受けを狙う以上、今の顔で活動してもらいたい。ただ、そう言って彼女のモチベーションを下げるのも考えものだな。
「…今後の働き次第では、元に戻すのも、考えなくはありません」
「ホントに? 」
「えぇ。あなたの頑張り次第ではありますが」
「それじゃあ頑張って見ようかな、何するか知らないけど☆」
彼女が思いのほか聡い人だったのだ。話した内容はすぐに理解するし、質問には深さがある。
ただ少し問題があるとすれば―――
「ねえねえ! この町にいるのはおにぎり小僧だけなの! 」
朝食である麦粥を胃袋に流し込みながら彼女は質問を投げかけてくる。
ようは、見ての通り少し好奇心が旺盛すぎるところだ。
「あー! なんだか失礼なことを考えているなぁ! おにぎり頭の癖に! 」
恐怖心を消してからというもの、彼女の発言はなんというか不遜だ。無礼とまでは言わないがやや鼻につく。
それに妙に勘が鋭い。他の人間には見られない傾向だが、彼女にのみ備わる能力か?
道具としてのポテンシャルは十分にあるみたいだが…。
「あなたは一体何歳ですか…まったく」
「へ? いきなりなに? アタシは確か……何歳だっけ。二十……二か三だったような」
これで年上だというのだから、頭痛がしてくる。魔族は人間の年齢にプラス五歳くらいなのだろうか。いや、成長レベルにそれほど差異は見られないし、この振る舞いも生来のものだろう。
「僕より六つも年上なら、もう少し理知的に振る舞えませんか? 」
「あはっ。おにぎり君マジ面倒くさーい」
傷ついたァ…今の言葉は僕を傷つけるのに十分な言葉だ、許せない。
この道化に構うだけ無駄ということが分かった所で、一階から何者かがコチラに向かって歩いてくる音が聞こえてきた。
「……宿屋の店主でしょう。君、対応をお願いできますか? 」
「君ってアタシのこと? 」
「この部屋にいるのは僕とあなただけです」
「だからって君って言われるのはちょっとなぁ~」
「では親しみを込めてゲロ子にしましょうか」
そう言うと彼女は項垂れた。やっぱり気に入りはしないか。
「…マーコって呼んで。マーコちゃんでも可。皆からはそう呼ばれてるんだ」
部屋の扉をノックする音が聞こえてくる。
「それではマーコ、対応を」
「あーはいはい。はー面倒くさいなぁ~。はーい今出ます」
「このお部屋はイソマルト様がお泊りになっていたはずです。イソマルト様はどうされましたか? 」
「彼ならまだ寝てます」
「あなたは? 」
「見て分かるでしょ」
「貴女様ほどの美人であれば、忘れることはないと思うのですが…」
「アハハッ。冗談。回れ右して元の場所に戻りなー」
店主との扉越しの対応が終わると、マーコは不思議そうな顔をして戻ってきた。
「どうかしましたか」
「いやぁ、宿屋の店主が妙な色目使ってきてさ。怖いなぁって。今までそんなことなかったからビックリしちゃった」
そう言ってマーコが部屋のベッドに腰を掛けたからコチラもビックリしてしまった。まさか自分の姿を確認していないのかこの女。だとしたら少し不味い。丁度鏡のある高い部屋に移ったことだし、鏡の前に立たせてみるか。
「うわっ……これどうしちゃったの? 」
交渉事が上手くいくように、顔面のパーツを少し変え、貧相な体にはいくらかの脂肪を注入済みだ。
「悪いとは思いましたが、このままでは人間の交渉に不向きと思い改造しました。不満でしょうが、それで頑張ってください 」
そう言うと、彼女は興奮したようにクルクルと鏡の前で動きながら、自分の体に起きている異変を確認しているみたいだった。
「まず髪!この髪! 」
彼女は自分の髪を見上げ、驚愕の表情を浮かべた。
サイドに柔らかく流れるふわふわとしたブロンドの髪は、まるで手をかざすように持ち上げられ、彼女の思いもよらぬ変化を物語っていた。彼女の髪型は、スタイリッシュなアップスタイルであり、これは皮娘の趣味によるものだ。
次に彼女の目が肌に移ると、さらに驚きが広がったようだった。
荒れた肌に激怒した皮娘が、すべてを一度溶かして新しいものに入れ替えたのが、とても彼女にとっては高評価だったようだ。
顔をペタペタと触りながら「じゃ、じゃあ、この顔は?」と、鏡の前で信じられないモノを見るような目で触っている。
「顔はそんなに触っていません。しいて言うなら、少しバランスの調整をした程度です」
本当ならば美人顔にしたかったが、それは無理だったので、今ある素材を最大限生かした結果、遠目に見るとリスのような印象を与える顔になった。
元々ヤブイヌのような顔だったので、少しだけ可愛くしただけなのだが、そんな顔を見て彼女は一番喜んでいるように見える。
「へ~…すっごい分かりやすい美人さん」
喜んでいる割には、若干トゲのある言い方だが…まあいい。嬉しいなら素直に嬉しいと口にすればいいのに。面倒なヤツだ。
「仕事道具ですから。早いところその顔になれて下さい」
「え~…これ元には戻らない感じ? 」
彼女は前のヤブイヌフェイスをお気に入りだったようだが、万人受けを狙う以上、今の顔で活動してもらいたい。ただ、そう言って彼女のモチベーションを下げるのも考えものだな。
「…今後の働き次第では、元に戻すのも、考えなくはありません」
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