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1章後半 デビルサイド編
41.教会へ
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「正直、腕の一つや二つは覚悟してたんだ」
教会までの道程でマーコが言った。
「なんの話だ? 」
「さっきの交渉のお話。魔族ってもっと暴力的で話の通じない相手だって教わってたから、交渉途中に顔はなくても殴られると思った」
「自分で自分の道具を壊すヤツなんていないっしょ? 俺っち物は大事にしなさいって、母上に教わったからよ。言葉の通じる相手には対話で解決すんの」
「……変な魔族」
「じゃあマーコは変な人間だ。よかったな、変なのが一人じゃなくて」
そんなことを言っていたら、アッと言う間に教会前についた。
二人共恰好がローブで顔を隠す旅人みたいで、なんだかとても怪しい恰好をしていた。
「教会に来た目的はなんなのぉ? 」
「なんで冒険者が復活するのか調べに来たのさ。つまりココの聖職者に話を聞きにきたってわけ」
「うへー………嫌な予感。私帰っていい? 」
「交渉事ならお前さんの顔が役に立つ。休みの上に金まで取ろうって言うんだ。せいぜい役に立ってくれよん」
嫌がるマーコを引っ張りながら教会の中に入れば、そこは外界とは切り離されたような別世界だった。
壁や天井には世界創生の神話が描かれ、目にするものに息を呑ませる荘厳さがある。
そして正面には彼らの信仰している…であろうアポライ神の像が佇ずむ。
奥に広く、正面には大勢の信徒を座らせるための長椅子が四つずつ、シンメトリーに置かれていた。
「ケヒヒ…珍しい。お祈りですか? それともご相談でしょうか」
痩せ細り腰の曲がった神父が奥の扉から現れた。冒険者や町の人間の対応に忙しいのか心労の色が見える。
信用の担保となっていた冒険者の蘇生が出来なくなった今、教会を維持することが難しくなっているのだろう。
「少し聞きたいことがあってよ。もう何度も話してるかも知れねえけどさ」
「……あぁ」
神父は苦笑いを浮かべて、僕達を最前列の長椅子に座らせた。
話を聞くにつれて、神父に特殊な力があるわけではないことや、手順を踏めば奥の部屋で冒険者を誰でも蘇生できるという話を聞くことが出来た。
「その場所さあ、見せてくんね? 」
「それは難しいでしょう。神が我らに試練をお与えになっている今、あの場所は神と最も近い場所です。そう簡単に人が入って言い場所では…」
中々これ以上は踏み込めそうにない。マーコに視線を送ると、彼女は頷き前に出てくれた。
「どうしてもダメですかー? 」
彼女は上目遣いで老神父を見つめる。老神父も満更ではないのか、目の先がマーコの大きな胸に集中していた。これならちょっと押しただけでいけそうだ。
「彼女、実は各地の教会を巡礼して周っているみたいでさ。この町に来たのも、ココが目的だったみたいなんすよ。俺っちは単なる木こりだけど、もしかすると今回の件で彼女の知識が役に立つかも」
「ほほう…なんと、それは敬虔な信徒でしょう。確かに、彼女からは純粋な心を感じる」
彼女は一応娼婦だが…職業で心の清らかさが決まるワケではないしな。…清楚系なんですよ、彼女は。
「どうっすかね。何とかならないっすか」
すると、老神父はニタリと笑ってマーコだけなら奥の部屋に連れて行っても良いと快諾してくれた。こう言う部分は人間も魔族も変わらないようだ。
それにしてもお布施もなしに行けるとは、流石の可愛さだ。上手く扱えるか不安ではあったが、どうやら彼女は十分にその武器を振るう知恵を兼ね備えているらしい。
「ホントに!? やったー! 神父様大好きです! 」
マーコはそう言って自然に神父に抱き着いた。
デレデレとする老神父とは対照的に、後ろから抱き着いているマーコの顔は獲物を前にした蛇のように不敵な笑みを浮かべている。これで彼女が魔族ではないというのだから恐ろしい。
―――そうしてしばらくして、マーコと老神父は手をつないで奥の部屋から出てきた。
老神父の顔は破顔しており、マーコは獲物を捕らえた狩人のように満足気な笑みをしている。どうやら潜入捜査は上手くいったらしい。宿屋に戻って調査報告をさせてみるか。
そうして教会を出ようとしたとき、神父がマーコを呼び止めた。
「マーコさん」
何か不手際をしたのではないかと彼女を睨むが、思い当たるフシがないのか彼女は全力で知らないと頭を振る。
「次はいつ会いに来れますか」
「うーん……分かんない☆ 」
「ケヒヒ…そうですか。いつでも、お待ちしていますよ」
「うん! まったねー」
「ま、まったねー…ケヒヒ」
最後の最後までマーコは笑顔のまま、老神父に手を振って別れを告げた。あの老神父にはいい思い出になった事だろう。
♢♢♢
教会までの道程でマーコが言った。
「なんの話だ? 」
「さっきの交渉のお話。魔族ってもっと暴力的で話の通じない相手だって教わってたから、交渉途中に顔はなくても殴られると思った」
「自分で自分の道具を壊すヤツなんていないっしょ? 俺っち物は大事にしなさいって、母上に教わったからよ。言葉の通じる相手には対話で解決すんの」
「……変な魔族」
「じゃあマーコは変な人間だ。よかったな、変なのが一人じゃなくて」
そんなことを言っていたら、アッと言う間に教会前についた。
二人共恰好がローブで顔を隠す旅人みたいで、なんだかとても怪しい恰好をしていた。
「教会に来た目的はなんなのぉ? 」
「なんで冒険者が復活するのか調べに来たのさ。つまりココの聖職者に話を聞きにきたってわけ」
「うへー………嫌な予感。私帰っていい? 」
「交渉事ならお前さんの顔が役に立つ。休みの上に金まで取ろうって言うんだ。せいぜい役に立ってくれよん」
嫌がるマーコを引っ張りながら教会の中に入れば、そこは外界とは切り離されたような別世界だった。
壁や天井には世界創生の神話が描かれ、目にするものに息を呑ませる荘厳さがある。
そして正面には彼らの信仰している…であろうアポライ神の像が佇ずむ。
奥に広く、正面には大勢の信徒を座らせるための長椅子が四つずつ、シンメトリーに置かれていた。
「ケヒヒ…珍しい。お祈りですか? それともご相談でしょうか」
痩せ細り腰の曲がった神父が奥の扉から現れた。冒険者や町の人間の対応に忙しいのか心労の色が見える。
信用の担保となっていた冒険者の蘇生が出来なくなった今、教会を維持することが難しくなっているのだろう。
「少し聞きたいことがあってよ。もう何度も話してるかも知れねえけどさ」
「……あぁ」
神父は苦笑いを浮かべて、僕達を最前列の長椅子に座らせた。
話を聞くにつれて、神父に特殊な力があるわけではないことや、手順を踏めば奥の部屋で冒険者を誰でも蘇生できるという話を聞くことが出来た。
「その場所さあ、見せてくんね? 」
「それは難しいでしょう。神が我らに試練をお与えになっている今、あの場所は神と最も近い場所です。そう簡単に人が入って言い場所では…」
中々これ以上は踏み込めそうにない。マーコに視線を送ると、彼女は頷き前に出てくれた。
「どうしてもダメですかー? 」
彼女は上目遣いで老神父を見つめる。老神父も満更ではないのか、目の先がマーコの大きな胸に集中していた。これならちょっと押しただけでいけそうだ。
「彼女、実は各地の教会を巡礼して周っているみたいでさ。この町に来たのも、ココが目的だったみたいなんすよ。俺っちは単なる木こりだけど、もしかすると今回の件で彼女の知識が役に立つかも」
「ほほう…なんと、それは敬虔な信徒でしょう。確かに、彼女からは純粋な心を感じる」
彼女は一応娼婦だが…職業で心の清らかさが決まるワケではないしな。…清楚系なんですよ、彼女は。
「どうっすかね。何とかならないっすか」
すると、老神父はニタリと笑ってマーコだけなら奥の部屋に連れて行っても良いと快諾してくれた。こう言う部分は人間も魔族も変わらないようだ。
それにしてもお布施もなしに行けるとは、流石の可愛さだ。上手く扱えるか不安ではあったが、どうやら彼女は十分にその武器を振るう知恵を兼ね備えているらしい。
「ホントに!? やったー! 神父様大好きです! 」
マーコはそう言って自然に神父に抱き着いた。
デレデレとする老神父とは対照的に、後ろから抱き着いているマーコの顔は獲物を前にした蛇のように不敵な笑みを浮かべている。これで彼女が魔族ではないというのだから恐ろしい。
―――そうしてしばらくして、マーコと老神父は手をつないで奥の部屋から出てきた。
老神父の顔は破顔しており、マーコは獲物を捕らえた狩人のように満足気な笑みをしている。どうやら潜入捜査は上手くいったらしい。宿屋に戻って調査報告をさせてみるか。
そうして教会を出ようとしたとき、神父がマーコを呼び止めた。
「マーコさん」
何か不手際をしたのではないかと彼女を睨むが、思い当たるフシがないのか彼女は全力で知らないと頭を振る。
「次はいつ会いに来れますか」
「うーん……分かんない☆ 」
「ケヒヒ…そうですか。いつでも、お待ちしていますよ」
「うん! まったねー」
「ま、まったねー…ケヒヒ」
最後の最後までマーコは笑顔のまま、老神父に手を振って別れを告げた。あの老神父にはいい思い出になった事だろう。
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