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1章後半 デビルサイド編
45.開門準備
しおりを挟む「パオーン! 」
丘の上にある町から、下っていくパオンとその仲間達の後ろ姿を捉えて声を掛けた。短剣使いに長剣使い、二人もちゃんと後ろにいる。
「……女湯に入って来る変態の上に脱走犯で、約束も破るなんて、貴方見た目通りのクソ野郎みたいね」
パオンがそう言うと、パーティーメンバーの長剣使いの眼つきが鋭くなる。女湯に侵入したことが気に障ったらしい。
前々から感じ取っていたが、彼の眼つきは彼女を狙っているように見えた。だとしたら、彼から見れば僕は途中から入ってきた間男的な立ち位置ということになるが…まあそれは一度置いといて。
「あー!この人!酒場でパオンに話しかけてきた怪しい人だ! 」
ティッキーも元気そうだ。彼女にも手を振りながら挨拶をする。
「怪しいって。ハハハッ。最後にお別れの挨拶をしにきたんだよ」
森にはパオンを打ち取るために大軍を潜伏させている。
千にも満たない数だが、勇者侵攻の際にも戦った歴戦の猛者たちだ。彼らが一斉に彼女達に襲い掛かる算段となっているため、次に会うことがあればそれは死体となった彼女達とだろう。
「早く牢屋の中に帰りなさい」
「いいじゃないの。本当にこれが最後なんだからさ。…さようなら、パオン」
「さようなら」
彼女の姿が小さくなるまで見送ると、その足で町の城壁に登った。服はもちろん、購買で買った制服だ。一度記憶した服はいつでも軍服で再現できる。魔族の技術の粋の結晶がここでも役に立った。
「交代の時間はまだ先だぞ。こんなところで何をしている? 」
笑顔で話かけてくる見張りの戦士に会釈し、すれ違い様に首を折って城壁の外へ投げ落とした。
そしてすぐに門を操作する部屋まで向かい、歯車で動く装置を蹴って破壊する。
「まずは一つ……」
デビルサイドの門は北と南にある。どちらか片一方の門が空いていれば、もしかすれば町の人間を外に逃がしかねない。念入りに両方潰す必要がある。
計画の成功は、事前にできた準備の量で決まる。
士官学校で始めに習うことだ。
「南の門も…コレでお終いだ」
レバーを左右に動かし、歯車と鎖が回転しないことを確認する。
「―――こちらおにぎり小僧。両側の門を破壊。事前に告知通り中央広場に転移用ゲートを開くっすよ」
「了解。コチラはいつでも準備オーケーだ」
クロックドムッシュの声がリングの奥から聞こえてくる。そしてその後ろには大勢の魔族による雄叫びが聞こえてきていた。声量だけで町を破壊できそうなほどの大音量に苦笑してしまう。
「出来れば無傷で町は手に入れたいんだぜ? 分かってんのかよ」
そして空はまさに逢魔が時、デビルサイドは夕焼けに赤く染まっていた。
そんな中央広場の噴水前で、デボットリングを空に掲げる一人の兵士が町の人々の視線を集める。
「ゲート開放! 」
合図の後、空から魔族の大軍が町へ降り注いだ。
狩りの時間が始まった。
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