美少女おにぎり

星島新吾

文字の大きさ
59 / 64
1章後半 デビルサイド編

59.マーコとハンバーグさん

しおりを挟む
「…その、おにぎり小僧さんはあの子とどのようなご関係なのでしょうか」
 あの子とはどういう関係と言われても、あの子がどの子か知らないから、それを今から探しに行くのだが。
 一応カマかけの最中だし、知っていることをそれっぽく話しておくか…。
「そうですね……計画の修正をしてもいいと思えるぐらい、あの子にはハンバーグさんについて教えて貰いましたよ。この町の人々に好かれ、様々な方法でこの町に活気を届けていたんだとか」
「あの子がそこまで……」
 彼か彼女か知らないが良かったですね。アナタとても感謝されていますよ。
 そんな話をしながら街中を歩いていると、流石におにぎりボディが魅惑的過ぎるのか、通行人がコチラをずっとチラチラ見てきた。
 これではゴウルにいた時と何も変わらない。おにぎりボディを一度捨てて人間の姿で人探しをした方が良さそうまであった。
 となると、やはり宿屋に戻った方がいいだろう。
 そう思い立つとすぐに宿屋に歩みを進めた。目立ったところで何にもいいことはありませんからね。
 ♢♢♢
 宿屋に戻り、部屋の扉を開けた。マーコが仲間になってから移った新しい部屋だ。
 視界の先には真っ先に奥の窓が目に移る。そして目を下ろすとその窓を対称に簡素かんそなベッドが二つはしに沿って備え付けられていた。マーコのベッドはグシャグシャ、僕のベッドは枕の位置から布団の位置まで完璧に来た時のままだ。
 そして部屋に一つ机があり、その机の前ではマーコが何やら手紙のような物を書いていたようだった。
 ようだったというのは、僕が二階に上がって来る音を聞いてマーコが手紙を書くのを止めて引き出しを開けてその手紙を隠したのが、全て聞こえていたからだ。
 別に何を書いていても良いのだが、布団ぐらい綺麗にしてから作業しても良いとは思った。
「ただいま戻りました」
「はいよー……」
 机に座ってコチラに目を合わせないマーコ。手紙を書いていたことがバレないようにしているのだろうか。
 だとしたら少し可愛さポイントを取られたような気がして負けたような気もするが、今は客人の前だ。可愛さバトルはまた後日に持ち越すとしよう…。
「こちらハンバーグさんだ」
 そう言って扉の後ろにいたハンバーグさんを中に通すと、マーコは一瞬顔をピクッとさせたが、すぐに表情を笑顔にして対応した。
「あ、どうもー……」
 マーコの笑顔の対応になぜかハンバーグさんはぎこちない様子で、頭を深々と下げた。
「どうも。こんばんは」
 領主の癖に一度捕まったせいで、前のような堂々さが一切消え失せてしまっているが、むしろコチラの方が本来の姿のようにも見えた。
「………」
 二人の眼が合ってしばらくの沈黙の後、なぜか僕の方が気まずくなっておにぎりボディを脱いだ。
 今回変身するのは弓使いのセシリー。他にも人間の姿はあるが、この町とも無関係ではない今、無用に顔を増やして雑然とするのが嫌だった結果の姿だった。
「よ、よ~し♪ いくよーおじさん。パパっと見つけましょ。マーコはお留守番ね~」
 そう言うと、マーコは油を指していないブリキみたいに、ギギッと頷いた。一体どうしたって言うんだ。
「…うん。待ってる」
 それに返答も何か変だ。喉元に剣を突きつけているワケでもないのに、こんなに素直なのは少し不気味に思えた。
「うわっなに? やっけに素直じゃない。変なの~…」
 そうして宿を出ると、ハンバーグさんは繋がれていた疲労もあったのか、膝をついてしまった。
「あっちゃー…おじさん無理してたの? ゴメンなさいね、気づいてあげられなくて。肩貸すわ」
「ああ、すまない」
 人探しもこれでは無理だろうし、一度兵舎に戻って明日に備えて貰った方が良いだろう。
「…捜索は中断ね。兵舎に戻りましょ。部屋はそのままだろうし、今日は自分の部屋で休んで明日に備えてちょうだい」
 その後も何度か謝ったりしていたが、そもそもコチラが無理を言って連れ出したのだ。コチラが謝ることはあるにせよ、ハンバーグさんが謝る必要はない。なんだかそれがとても申し訳なかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

処理中です...